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表題作彼岸過迄

鈴呂 (絵師)
初音 (男娼)

その他の収録作品

  • ブレックファスト
  • 指輪物語
  • Honey β

作品情報

作品名
彼岸過迄
著者
水城せとな 
作画
水城せとな 
媒体
漫画(コミック)
出版社
ビブロス
レーベル
ビーボーイコミックス
発売日
ISBN
9784882712312
4.6

(5)

(3)

萌々

(2)

(0)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
23
評価数
5
平均
4.6 / 5
神率
60%

レビュー投稿数3

切なく心に残ります。

寂しさゆえに幻(初恋)の兄を思い続ける初音。
色を売りながらも、ただ一人の男を思い続ける初音に惹かれていく鈴呂。
用心棒に身を落とした自分を蔑み、初音を影で見守ることしかできない兄。
3人の心情がそれぞれ丁寧に描かれている切ない物語です。

初音を手に入れるためではなく、自由にするためだけに、身請けしたいと考え、
一つの決断を下した鈴呂の姿には、思わず涙が…。
失ったものとそれによって得たもの、両方の重みをずっしりと感じました。

同時収録作品の『ブレックファスト』も、悲しくて切ない話でお薦めです。
こちらの作品は、水城先生の初めての単行本だったようですが、
きっと“原点”なんだろうなぁ…と、思います。

残念ながら、絶版となっていますが、古本屋やネットで入手が可能です。
是非、水城先生のファンの方は、手にとって読んでみてください。
心に残る何かがきっとあると思います。

4

やっぱ水城さんは凄い

ずっと読みたかった絶版作品なんですが、やっと読めました。
それだけで満足だったんですが、中身にも大満足。
絵は古いけど、世界観は最近の水城作品に繋がるものがある。
曇りのないまっさらなハッピーエンドじゃなく、必ず鬱的なものを組み込んだ結末。これが好きか嫌いかで、水城作品に対する評価は180度変わんだろうなと思いました。私は好き。大好きです。

『彼岸過迄』
陰間茶屋っていろんな作家さんが題材にしてるけど、シチュエーションとエロだけのベタな作品になってる場合が多いんだよね。
でも水城さんのこの作品は、まったく違う。
この結末のモヤモヤ感ときたらもう…。
ハッピーエンドなのに鬱エンド。

『ブレックファスト』
最後、声が出ました。
怖い怖い怖い怖い…。
まさかそうくるとは思わんかった…。

『指輪物語』
ひー…。
男の三角関係も怖い。
萌えとは違うものを表現しようとしてるのが、水城さんだと思います。
人間の、一瞬のこわさとか。ずるさとか。弱さとか。
あとがきで描かれてた長いバージョン読みたいよ~。

『Honey β』
不思議なお話でした。
日常と非日常の境目をもうちょい曖昧に描いてくれてたほうが私好みだったかも。

しかし好きな作家さんの初期作品を漁るのって楽しいですね!

0

色々想像膨らむ、面白い作品でした

たまたま町の古本屋さんに行った時に
水城せとなさんの絶版になってる本を見つけました。
しかも4冊も。
嘘でしょ、おい!しかも安いっ!
で、その他新刊も安くあったりしまして、
古本屋さんで大量に漫画を買い込んでしまいました(笑)
たまには行ってみるもんですね、古本屋。
そんな訳で「彼岸過迄」を読む事が出来ました。

感想、面白かったです!
最近、漫画を(しかもBLを)読み始めた私が言うのもなんなんですが、
水城さんの絵ってそこ迄上手いと思わないんですけど、
(勿論味があって好きですけど)
話とか、台詞とか、流れのもっていき方とかが上手いなぁ〜と思いました。
決して説明的な感じではなくて、自然に流れを繋いでいくというか。
なのでこっちの想像の世界に自由があって、
後からふと色々想像してしまう。
で、実はこうだったのかなっとか思ったりして、
で、読み返してみると、
読み返せば読み返すほど色んな角度から読める。
で、色んな角度から、せつなさだったり、優しさだったりを更に感じられて…
なんか凄いなーと思いました。
(私の妄想癖もあるとは思いますが)
後、関係ないですが、
著者紹介で、初めてご本人のお顔も拝見出来ました。
こういう感じの方なんですね。
夢は所ジョージさんの愛人になる事って…
時代だなぁ〜。

以下、ネタバレ含むレビューです。

今回の作品中、設定としてファンタジーなのがありまして、
人喰い人種になっちゃう病気とか、
人間から花が咲くとかっていう
そういうのがあるんですけど、
私自身そういうの苦手で、
ありえないなぁ〜とか、
御都合主義っぽいな〜等に感じたりして楽しめない場合が多い。
でも、今回はそういうのなかったです。
作家さんへの贔屓目かなっと思いつつも、
やっぱり水城さんだからこそかなって思いました。
結局根底に流れてるリアルを身近に感じられらからなのかなと思います。
「ブレックファスト」、良かったです。
最初なんの前情報もなく読んだので、
病気になった守谷さん側からしか読んでなくて、
まったく鱗平の事は考えてなかったし、
2人共せつないな〜位だったので、
最後は「あ…」でした。
それでまた、少し時間経ってから読み返したんですけど、
今度鱗平側から読むと、一言一言の台詞や表情が重くて、深くて、せつなくて…
嘘、マジですか…この題名、そういう事だったの?
どれだけ彼の気持ちが入ってんのか…
してやられました…と思いました。
読み終わってちょっと呆然でした…。

表題作も勿論良かったです。
最初に書いた、色んな角度から読めるって思ったのが、
まさにこの作品でした。
鈴呂さんが言っていた「手に入る真実」、
初めて読んだ時は単純に「初音の愛かな?」と思ってたんですけど、
後から考えると、やっぱり「自由になった初音の幸せ」とかそういうのかな?と。
そういうのを思ったりして読み返すと、
そういう風にも読めるんですよね。
そうすると、初音が鈴呂を選んだ時、
更に一歩、鈴呂が思っていなかった幸せに包まれた感が出るし、
でも最後のシーン、それでも鈴呂は「自由になった初音の幸せ」を考えてるのかな?と思うと、
最後のシーンがまますますせつなくなる。
なんだか色々想像が膨らむ作品でした。

指輪物語、面白かったです!
「指輪」は朔也と都倉の愛の証なのに、
最後は先生の気持ちがその「指輪」に込められてる。
こういうのって面白いなと思いました。
ちょっと爽快な感じもあったりして。
決して最後ハッピーエンドではないんですけど。
後、なんか説明的じゃない所が好きでした。
最後指輪をどっちに渡すかの所、
先生の心情は、朔也の笑顔を見て、先生のちょっとうつむいた表情だけで、
その後はまったく先生に触れてないんですよね。
朔也に話の軸は移る。
でも最後の絵の時、先生の事を想いました、勝手に。
でもウェットな感じではない、
なんかこういう感じが好きでした。

最後のHoney Bは、
うーん…不思議ちゃんで終わったかな…
って感じでした。

私のレビューもなんだか不思議ちゃんになってしまいましたが、
この作品、面白いと思います。
手に入って良かったなと思います。

0

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