ボタンを押すと即立ち読みできます!
闇夜に迷う心を照らす、一等星の恋。
高校生同い年、幼馴染、両片想い。
個人的萌えを煮つめて煮つめて、きれいな結晶にしてもらったような作品。
幼少期の回顧で流星の母、奏さんがおおきな洗濯物を干していたときに交互に洗濯ばさみをわたした……というくだりがあるのですが、かっわいくないですか~幼馴染ならではのエピソードにキュンキュンです!
でも、ただラブラブなだけじゃないところが…流星の母の死後のどしゃぶりの雨☔のなかの一世一代の告白シーンは、ときめけるはずなのに「重い、重いよ流星……」ってつらくなるし(褒めてます)、ビリーさんの登場には肝が冷えるしで感情のアップダウンぶりはまるでジェットコースター並み。
後半はバイト代貯めて、ひとりでハワイ行っちゃう太陽に炎のごとき本気を感じました。べた惚れじゃない…って感じよ……。
好きと萌えをクリーンヒットされた、永遠のバイブルです!!!スピンオフのムーンライトマイルも好き〜
少し前の作品ですが、ソムリエコンシェルジュさんからの紹介で読みました。
今日、レビューを書こうとして初めてスピンオフがあることがわかったので、早速買いに行きます。
どんな好みの方が読んでも微笑める作品だと思いますし、いい意味での、ある種の物足りなさが魅力的な作品だったと言うのが、読後最初に感じた印象です。
等身大の眩しさ全開の高校生と対照的に大人びているように見える高校生、幼馴染2人の甘酸っぱいでは片付けられないみずみずしさや様々な葛藤に、応援したくなる気持ちが終始止みませんでした。
言葉選びがセンセーショナルで、とても美しかったです。読み終わった直後は、日常生活の何気ない瞬間にもあの美しい文章が蘇ってきました。
ちなみに、「オールトの雲」は、簡単に言うと、太陽系の1番遠いところ、冥王星のもっと奥で、太陽からオールトの雲までが1光年らしいです。流れ星の故郷とも言われています。とはいえ、未観測なのに、"ある"と信じられているものらしいです。読んだ方はわかると思いますが、2人の関係を象徴するにふさわしいタイトルですよね。
読み終わった後には、少し夜空を見上げたくなる、星みたいな小さなキラキラが散りばめられた作品でした。ぜひ、色んな方に読んでいただきたいです。
自分には珍しく電子書籍で読みました。イラスト、あとがき、ありました。
一穂さんの作品は、これまで私が知らなかった知識が盛り込まれていることが多く、それが物語の展開に絶妙に重ねられているので、読んでいて心が躍る気がします。
本作品は宇宙がモチーフになっています。
高校生の流星と太陽は10年来の幼馴染。母子二人で暮らし、ハーフで美しい容姿を持ちながら人づきあいが苦手で孤独な流星を、誰よりも傍で見守ってきた優しい太陽。天体観測がライフワークの流星が語った星々の話に、やがて太陽が二人の恋を重ねていく描写が、ロマンチックなだけでなく、普遍的な恋のはかなさ美しさまでも感じさせて、胸が熱くなります。
最初に心をつかまれたのは、太陽が流星の天体望遠鏡で月を見せてもらう場面。流星は月面の『虹の入り江』を一番きれいなところ、と言うのですが、太陽にはそれが荒涼として見えたこと。代わりばんこに望遠鏡を覗いても、共有できない景色。今まで一緒だと思っていたものが、違うと感じること。きっとそれが恋の始まりなんだと伝わってきます。
流星の母親の死をきっかけに二人は想いを伝えあいますが、ハワイに住む父親が流星を迎えに来て、太陽の心は揺れます。いつか流星が教えてくれた真昼の金星のように、夜空の小さな星のように、確かにそこにある流星と父親が互いを想う気持ち。寂しさを抑えて、太陽が流星に「幸せになって」と背中を押す場面に、涙が溢れます。太陽の強さと優しさが尊いです。
別れの前夜、初めて体を重ねた二人は、流星群を目にします。太陽系の果てにある流れ星のふるさと『オールトの雲』。人の寿命よりはるか遠くから来た流れ星に、嬉しくて切ない恋心の不思議さを重ねる太陽。ちょっと壮大過ぎない?と思わなくもないですが、恋のはかなさと美しさが瑞々しく伝わってきて、胸を打たれます。こんな気持ち、すっかり忘れていました。
八か月の後、ハワイで再会した二人は少しだけ大人になっていて、嫉妬や誤解ですれ違い、でも気持ちを確かめ合って、また別れていきます。その想いの輝きがまるで流れ星のようです。
きれいごとだけでは生きていけないこと、やがて二人を分かつ死が訪れること。それでも何度でも会いたい、という気持ちは祈りなんだと伝わってきて、読み返すたびに心が洗われる気がします。
本棚整理してる際に目にとまり、凄く久しぶりに読み返しました。
何度読んでも、情景が思い浮かぶような綺麗なお話だと思います。
ただ2人の初Hに関しては、そのタイミングじゃなくとも…と思ってしまうんです。
旅立つ前日だからこそ切なさが際立つのかもしれないんですが、ドラマティックなシチュエーションすぎたような。
事後に見た流星群もやりすぎ感を感じてしまうのは、私が捻くれているからかもしれません(^^;;
難癖つけてしまいましたが、好きだけではどうしょうもならない、そして好きだからこそ離れる2人が切なくて愛おしかったです。
今作が初めての一穂先生の作品だったんですが、この優しく美しいお話に魅了されはまったんだよな…と思い出しました。
派手なお話ではないけど、心の中に温かいものを残してくれる作品だと思います。
いわゆる美文調よりも読んだそばから映像が立ち上がる…といったものが、本当に上手な文章なんだろうなぁとBL小説を読むようになってから思うようになりました。一穂ミチ先生の作品はコミックスを読んでいるかのような感覚で読めてしまいます。頭の中で鮮やかに絵が浮かび、動いている。作品を読んでいる間は木下けい子先生のイラストで存分に作品世界をイメージして楽しむことができ、読み終わってしまうのが勿体なくなるような至福のひと時でした。
太陽が幼稚園の時にお隣に引っ越して来た同い年の流星。彼が幼心にお姫さまみたいに綺麗な女の人だと思った女性は流星の母親、奏(かな)だった。高校生の太陽は儚げな美しさを湛えた彼女と初めて会った時の夢を見ていた。そんなシーンから始まる、幼なじみ二人の関係と家族愛を描いた物語。
小、中学校とずっと一緒だった二人は、それぞれ別の高校へ進学することに。通学の時間帯もずれるようになり、やがて奏が入院してから二人はなんとなくギクシャクして…。それぞれの部活の夏合宿が偶然同じ場所で行われるのだけれど、そこで描かれるボートのシーンが印象的で、個人的には貴腐人の古典である『草の花』のハイライトシーンを重ねてしまいました。
後半の「真夜中の虹」ではハワイが舞台となるのですが、実際に行ったことがあってもなくてもリアルに空気や湿度、匂いなどを感じさせてくれます。とってもさりげない文章なのに強烈な臨場感を提供してくれる表現力は、作家さまならではの技量なのでしょう。
ただ、濡れ場のシーンにはしっくりこないものが。「好き」だからキスしたり、流れが自然なのは素晴らしいと思うのです。なんというか、不釣合いというか、不似合いというか…。無理に入れなくてもいいんじゃないかと思ってしまいました。そのシーンがあることで逆にリリカルな雰囲気を壊してしまっているような気がしてならないのです。同性を好きになる葛藤をもうちょっと読んでみたかったかなと。BLのエロはエンタメの側面が多分にあるし、作品によって時にはそういうものと割り切って鑑賞することもありますが、ここまで作家さまのピュアなカラーが全面に押し出されていると、もう一歩踏み込んで同性同士が身体の一線を越える意味について先生はどう考えていらっしゃるのかな〜なんて俄然興味が湧いてしまうのでした。
初期の作品なので以降の作品に見られるかもしれない作風の変遷にも注目しながら、作家さまの後を追っていきたいと決意させてくれた、乙女な作品でした。