どう見たって……君は 抱かれる方に向いてるだろう

  • 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作夜明けはまだか 上

元財務省勤務の議員秘書 小早川秀峰
評論作家 谷町胡太郎

あらすじ

資産、才能、容姿…すべてに恵まれている評論家・谷町胡太郎。9年間片想いしている先輩の駆け落ちと俺様議員秘書との出会いがセットで訪れて!?

親の遺産の不労所得で何ひとつ不自由ない生活環境を持ち、年に一冊本を書くことで人気評論家の身分を有する谷町胡太郎。だがその私生活は9年に及ぶ片想いと、肩書きばかりが立派な三人の居候に支配されていた。そんな胡太郎の運命の分かれ道、某日お台場のホテル――「誰ともつき合ったことがないって言うんじゃないだろうな?」弱点を抉る痛烈な一言を浴びせてきたのは、財務省の出世頭から議員秘書へ謎の転身を遂げ、官僚たちの間で伝説と化している男・小早川秀峰で……。
出版社より

作品情報

作品名
夜明けはまだか 上
著者
谷崎泉 
イラスト
藤井咲耶 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
ISBN
9784576090399
3.1

(7)

(1)

萌々

(1)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
2
得点
21
評価数
7
平均
3.1 / 5
神率
14.3%

レビュー投稿数2

面倒見がよいばかりにトラブルを背負込んでしまう損な主人公ですが・・・

表紙絵が胸をはだけた主人公に迫る男前様・・・題名も何やらシリアスを感じさせ、帯のあおり文句は「どう見たって・・・君は抱かれる方に向いているだろう」なんてあれば、絶対内容もそれに合うもののはず!
と思いきや、しょっぱなからくじかれました~良い意味で~

主人公は親の残した不動産収入だけで生活していけるほどの余裕のある生活をし、評論でその才能を認められている文筆業を生業にしている谷町。
広すぎる家には、大学時代の仲間の3人が居候。
彼は家賃も払わず、谷町に食事や生活の世話までしてもらっている寄生型の輩なんですが、実は何と皆財務省だの、農水省だの、厚労省に勤める官僚なんですよ!
女性問題やら、賭けごとやら、鬱やらと、谷町の面倒見のよさといったら、口ではしょっちゅう出ていけ!と言っているものの、誰も出て行かず、そんな毎日。
また編集担当の杉浦も、奥さんとの不仲を取り持ってくれと泣きついてきて、谷町の平穏なはずの生活はドタバタです。
そんな時、大学時代から9年間も片思いしている先輩の折原と食事に出かけたホテルで、代議士の古館と再会したことから、折原と古館が駆け落ちをしてしまう。
古館が代議士である以上、世間に彼がゲイであることがバレたら大変と隠ぺいしなくてはならないのです。
古館の秘書の小早川と折原が気になる谷町が、彼らを追跡する、、、というのがこのお話のおおまかなあらすじ。

谷町は、先輩に告白したら嫌われるかもしれないと怖くて9年もずっと見つめるだけだったのですが、実はゲイだったということがわかって、自分はどうしたいのかわからなくなってくるのです。
秘書の小早川も、古館に振り回されて頼るのはつい谷町。
酔うと記憶がなくなるという、とんでも性癖のせいで、小早川にバージンを奪われてしまう谷町。
でも谷町のよいところは、うじうじしないところ。
何より大事に思う先輩が行方不明ですから、ここは嫌な小早川でも一緒に行動しなくてはなりません。
二人を追って、いざ北海道へ・・・というのが前編です。

とんでも性格の居候3人や杉浦が登場するのは、話をややこしくして欲張りなのでは?と思いましたが、微妙に谷町と小早川が接近していくポイントになってくるので、その役割ははずせないのかな?と。
そして何より、バラエティホームドラマのような作りに盛り上げているのに役だっています。
駆け落ちした二人は一体どうするのか?
小早川と谷町はどうなるのか?
下巻で夜明けがくるのでしょう(笑)

2

はた迷惑な!愉快な個性派ぞろいの仲間達(笑)

タイトルと表紙からシリアス系のお話を想像していたら、中身はドタバタコメディ系のお話で、いい意味で裏切ってくれていて、上下巻通して楽しく読めました。

谷町胡太郎(通称コタ)は、若いながらも人気の評論家。
出版社の担当者からは、原稿を急かされるものの、ろくに仕事をしていないような呑気な暮らし。
それも、親が残してくれた不動産関連の遺産を引き継いでいるから。

そんなコタには、大学時代から長年片思いをしている先輩•折原さん(オトコ)という想い人がいます。

ところが、ノンケだと思っていた折原さんに、昔男の恋人がいたことが発覚⁉︎
しかもその相手は古舘といい、国会議員になっていて!
古舘家は、代々政治家を務めるサラブレッド一家。
古舘の亡くなった父親に頼まれた折原さんは、大学卒業を期に彼に別れをつげ終わっていたのだけれど⁉︎
偶然再会した2人は、やけぼっくりに火がついたように急接近!

それと同時に、コタは古舘の秘書を務める小早川と知り合い、最初こそ険悪なムードだったものの、古舘と折原2人が姿を消してしまった成り行きで協力し合い、親交を深めていくことに!

古舘と折原の件で充分振り回されてしまうコタだけれど…
コタの周囲は厄介ごとを持ち込むのが趣味のような人間達ばかり(笑)

コタは所有するビルのワンフロアに住んでいるのですが、そこには、居候が3人も住み着いています!
しかもこの3人、公官庁に勤めるような立派な役人!

大学の同級生で、コタの住まいが広い事をいい事に、1人一部屋を占領し、家賃も払わず仕舞い。
朝はコタに起こしてもらい、もちろん上げ膳据え膳状態。
3人集達の、代引き荷物の受け取りに、付き合う女性の対応、会社での愚痴など、「おまえらいい加減にしろ!」と文句を言われながらも、
結局人のいいコタの面倒見の良さを知っている3人は、居心地の良さから何があっても出て行こうとはしないんです(笑)
1番は、それぞれ厄介な事情を抱えて住み着いているっていう所がポイントなんですけどね!

小早川も財務省のエリート官僚から議員秘書という不思議な経歴の持ち主!
彼がどうしてそういう道を選んだのか?という所も気になる所。
人の痛い所ばかりを分かって突ついてくる物言いが、最初は陰険そうで嫌だったんですけど、読むに連れ小早川のイメージが変わっていきます。
秘書という仕事柄、気配りも出来るし、コタの前で徐々にみせる素の姿に好感が持てます。
お酒に呑まれるタイプだったり、素直だったり、冷酷そうなイメージだったのが、わりと普通の人だった所が可愛く見えてきて良かったです。

そして、コタが本当にいい人!
こんな友人がいたら、私も甘えて転がり込みたいって思ってしまいます(笑)
気は強いけれど、基本お坊ちゃまタイプかな〜と!
人がいいというか、世話焼き女房タイプだから、結局「困ってる、助けてくれコタ!」と甘えられたらほおっておけないんです。
いい意味での不幸体質&女難の持ち主な所が、読んでいて面白かったです。
あと童貞くんだから、反応が初々しくて可愛らしいのも好感でした。

どうしても谷崎先生の作品は脇キャラにも注目してしまうんですが、
今回も悪の強い女性陣が勢揃いしてます(笑)
その辺の絡みも2巻にかけて見所になっていきます。

婚約会見後、逃避行してしまった古舘と折原は?
古舘の怖い婚約者の出方は?
小早川に「あんたはやっぱり抱かれる方に向いている」と言われたコタ!
酔った勢いで微妙な関係になってしまった2人の恋の行方は?
居候が3人集は自立してくれるのか(笑)
いい所で下巻2に続くので、上下巻揃えて読まれることをお勧めします。

0

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP