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表題作椿姫

超絶技巧のピアニスト フリーデル
甘い歌声の声楽家 シノダ

同時収録作品ハーレム

ダリオ 長らく追放されていた双子の弟 
シルヴァーノ 双子の兄 現領主

同時収録作品フォルテュナ

ルネ フォルテュナの異父兄弟
フォルテュナ 前領主の息子・騎士団の元副団長

同時収録作品死の商人

リュカ 隣国の次期当主
イリヤ 男娼&武器商人

あらすじ

フリーデルは超絶技巧を持つ優れたピアニスト。一方、陰でジゴロと囁かれる声楽家のシノダの歌声は気だるく甘いという。正反対だからこそ二人は惹かれあい、強烈な官能に溺れていく。やがて訪れる仕打ちも知らずに…。欧州に花咲く艶やかな恋。 他、ハーレムや美しき騎士団の男たちを描く読み切り作品集。ドラマチックに加筆して待望の刊行。
出版社より

作品情報

作品名
椿姫
著者
みなみ恵夢 
媒体
漫画(コミック)
出版社
芳文社
レーベル
花音コミックス
発売日
電子発売日
ISBN
9784832286115
3.4

(7)

(1)

萌々

(2)

(3)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
23
評価数
7
平均
3.4 / 5
神率
14.3%

レビュー投稿数4

これぞお耽美

【椿姫】
音楽家同士の恋。超絶技巧を誇るピアニスト・フリーデルと甘ったるい歌を歌ってご婦人方を夢中にさせ、ジゴロのようだと評されている声楽家のシノダ。

全くタイプの異なる二人が惹かれ合うお話なのですが、面白いなと思ったのがタイトルの「椿姫」とシノダが歌う歌「ああ、そは彼の人か」。
これはヴェルディの有名なオペラ「椿姫」でパリの社交界を舞台に、ヒロインである高級娼婦・椿姫が田舎の青年貴族アルフレードに出会った後に歌うアリアなのですが、今までは高級娼婦としてパトロン達を次から次へと渡り歩いてきた彼女が、「彼こそ今まで待ち望んできた真実の恋の相手ではないか…」と夢見心地に歌うのですがソプラノが歌う歌なんです。女性が歌う曲としか思っていなかったので、それを男性がどう歌うんだろう?と物凄く興味をそそられて私も聴いてウットリしてみたい…と思ってしまいました。

シノダの妖艶な美しさに絡め取られていく様子やら、19世紀末〜20世紀初頭と思われる優雅で退廃的な雰囲気に満ちていてウットリ。
この他にも「恋ひ死なむ 後の煙にそれと知れ 終にもらさぬ 中の思ひは」という一節があって、色々調べてみたら葉隠の一節だそうで、なんとも意味深くていいなぁと思いました。


ーーーー
以下の三つは、雰囲気が似ています。いずれも外国モノで愛のために自己を犠牲にして、誤解も厭わず愛する人を密かに陰から守り続けてきた受けが登場します。いずれもハッピーエンドです。

決してややこしくはないのですが、どういう身分でどういう立場の人間なのかというのが一読では頭に入ってこず、特に眠い時に読んでしまうと全くといって良い程、頭に入ってきませんのでご注意を。
(もっとも私はヤクザの抗争絡みのBLは人の名前や組織名、作戦日時などが覚えられず挫折しそうになるタイプなので、そういうのが得意な方なら何の心配もありません。)


【ハーレム】
外国が舞台のガチ兄弟もの。肌の色が褐色のため国を追放されたと母親と双子の弟。色白だった兄だけ城主へ残されて成長し、ようやく再会したものの長年の愛憎をぶつける弟と弁明せず仕打ちを黙って受け入れる兄。ガチ兄弟が地雷なのですが、まったく抵抗なく普通に読めてしまいました。双子だけど肌の色が違うせいかな…。
ずっと異母兄弟だと思ってたのですが、双子兄弟(主人公達)プラス領主だった腹違いの兄がいたという事のようです。

【フォルテュナ】
異父兄弟もの。
男を次々とたぶらかし、副騎士団長にまで上り詰めたフォルテュナだが騎士団長殺害の罪で逃亡し、物乞いになっていたところを見つけ…。
その美しさに惑わされる男が続出で捨てられた男は腑抜けになったり気がふれたものもいるという凄い男なんですが、絵柄とあいまって凄みのある女郎蜘蛛みたいです。

【死の商人】
疲弊しきった自国を救うため次期当主リュカが武器商人の元へ忍び込んだところ真っ白くて長い髪をした男イリヤが現れます。武器も体も売るイリヤに反発するリュカだが、幼い頃に出会った亜麻色の髪の少年の面影を何故か思い出し…。
これも昔の出会いを心の支えに生きてきた受けでして、辛酸を嘗めつくした後にどんでん返し、ようやく愛を勝ち得るといった展開です。

答姐の「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」で教えていただいた作品です。耽美というものがこういうものだというのが定義できずいまいち判らなかったのですが、耽美について調べたところこちらの作品も代表的なものとして挙げられていました。

何度も繰り返して読むうちに、現在のBLとは違った良さがあるなぁと思うようになりました。世界が広がった気がします。教えてくださり本当にありがとうございました。


2

耽美な世界へ

外国が舞台の色々な味付けの短編集です。
表題作はピアニスト・フリーデルと声楽家・シノダの、「椿姫」の歌曲になぞらえた切ない恋のお話です。
実直なフリーデルは退廃的でストイックなシノダを素直に認められないものの、その歌声のとりことなり身体までつなげてしまいますが・・・
私には多少難解な部分もありましたが、最近滅多に会えない耽美的なお話が読めました。

ほかに、ハーレムや騎士団などに絡めた因縁の再会ラブが3本あります。
一番エロいと感じたのが「ハーレム」。誤解の後、弟のハーレムに堕とされた兄は・・・、

一番ドキドキしたのが「フォルテュナ」。領主の跡継ぎ問題に振り回された元後継者と現後継者、お互いがお互いを思うからこそ・・・、

一番ジーンとしたのは「死の商人」。男娼(エロス)であり武器商人(=死・タナトスの商人)であるイリヤと領主の養子であるリュカが復讐を遂げタナトスから解放されるまでのお話。

みなみさんの作品は綺麗で熱くて哀しいです。(ハッピーエンドですが)

2

耽美の世界

作者によって、こうも一つのストーリーが耽美に変身するのかと、とても興味深い作品。
多分、そのモノローグが詩的表現でつづられているからかもしれません。
一つ間違えると陳腐で臭いセリフ回しも、この作家さんの絵の醸し出す雰囲気がまた合っているので、イメージがふくらむのでしょう。
表題はピアニストと声楽家、残りの話はいずれも義理であったり異母であったりの兄弟ものです。

『椿姫』
日本から来た声楽家・シノダはその情緒でサロンの人々を魅了しているが、ピアニストのフリーデルは、シノダを憎んでいるそぶりをする。
それは互いを慕う気持ちを隠す、いわゆるツンデレなんですが、
このツンデレが耽美表現されている、と見ると超絶技巧だわ♪と感心せざるを得ない。
何故に椿姫なのかといえば、その歌曲と、シノダが身体を差し出して名声を得ているだろうという比喩、報われない恋に、あてはめての題材と思われる。

『ハーレム』は異母兄弟もの
兄の為に弟と母親は国を追い出され、国の戦勝に貢献したと兄と久方の対面をした時弟は、兄をハーレムの一人として幽閉する。
憎んでいたはずの兄が、実は優遇されていたわけではなく、籠の鳥であったことを知り、純粋な愛に変化していく。
『フォルテュナ』は弟を思う兄の行動が、最後ドンデンで魅せる。
『死の商人』国に協力を頼む為、死の商人といわれる男の元へ出向く国主の息子。
娼婦と化していたその男は実は、というこれもドンデン有の結末。

この3編が実に細かい部分が違うものの、テイスト・実は恋していいた、などと基本は全く同じだ。
読んでいて、3本が一本に見えてくる。
恵夢さんは、大股開きの御開帳が得意なのか?
局部を見せる(さらけ出させられる)シーンがやけに多いのだが、絵がきれいなせいと、絶対にイチモツの絵が出ないので全然いやらしくない。
きれいに見せるのも耽美の必須条件ですね♪
作品は07~08年の作品なんですが、過去作品に比べ線が細くなっているのが背景と混じって少し見づらいです。

1

花咲く艶やかな恋の先に何があるのかー?

【椿姫】

フリーデルは超絶技巧を持つ、
優れたピアニスト。

一方、陰でジゴロと囁かれる声優家のシノダの歌声は
気だるく、甘いという。

正反対の2人だからこど2人は惹かれあい
強烈な官能に溺れてゆく。

やがて訪れる仕打ちも知らずに…。
欧州に花咲く艶やかな恋。

他にも…
ハーレムや美しき騎士団の男達を描く読み切り作品も!!


その中でもハーレムが一番良かった☆
誤解の中での兄弟の話。


弟はある事で兄を誤解し…ハーレムという中へ堕とす。


「女」として扱う様に兄を苦しめる弟に…
兄はそれでも何一つ文句も言わずに従う。


その理由はー…!?

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