俺の体をこんな淫乱にしたのは、あいつなのだ

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表題作狂おしい夜を止めて

塾講師・高橋恭平
翻訳家・山本霞

あらすじ

この気持ちは恨みなのか、いまだ残る恋情なのか……
この体に因果な欲情を植えつけた恭平と、15年の歳月を経て再会した霞は…。

霞は俺のものだ――親友だった恭平から告白され、すべてをゆだねた高校時代。しかし想いの分だけ激しく求め合い愛し合った日々は、いつしか周囲に知られてしまう。恭平の未来を守るには関係を断ち切るしかないと考えた霞は手酷く恭平を振るが、その痛みは返す刀で霞を傷つけ、心に消えない爪痕を残し……。あれから15年。甥っ子・翼の父親代わりをする一方で一夜限りの恋を続ける霞の前に、翼が通う塾の講師として現われたのは、包容力と大人の魅力を増した恭平で ――。

出版社より

作品情報

作品名
狂おしい夜を止めて
著者
杏野朝水 
イラスト
黒埜ねじ 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
ISBN
9784576091105
3.1

(10)

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萌々

(3)

(5)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
29
評価数
10
平均
3.1 / 5
神率
0%

レビュー投稿数4

孝行息子にもポイント

元同級生カップルがが周りにばれて別れる、しかも相手にはそのことを告げずに自分だけが責めを負う→そして再会……と言うのはありがちなパターン。

そこにちょっと違うスパイスがあるのは、甥を育てている受け。
その亡くなった母親(姉)は唯一その当時自分を理解してくれていた大切な存在だったこと。
その姉も不倫の末に未婚で子供を産んで、誰にも理解されない恋愛をしていたこと。

脇にはその姉の不倫相手も登場(恋愛には関係なし)と、ちょっとしたスパイスも加わって切ない話でした。

一方的に別れて再会というパターンは、攻めが受けを憎んだまま再会というのも多い気がするのですが、未だに納得はしていないものの、この攻めは一歩的に受けを憎むような場面はほとんどなくそこも好感がありました(憎しみの感情もそれはそれで萌えるのですが)

育てている甥っ子もただまマセているのではなく、大人で思慮深い好感のあるキャラです。
姉の相手もしかり。
こうやって書くといい人揃いで……と思いますが、受けが学生の時に周りから非難によって受けた傷は相当深く、生きる意味を失いかけたまま送る生活にそれ以上の追い打ちがないことに安堵しました。

長編好きの私としてはもうちょっと深く掘り下げてくれても良かったのですが、あっと言う間に読んだという意味では良かったのかも知れません。

過去の恋愛に傷つき、そして幸せになった二人と思いやりのある姉とその息子に拍手!

3

好きだからこそ別れた15年後の再会愛

悪人は出てきません。
良かれと思ってやったことが結果的に悪い方向に行くことはあっても、みんな誰かのためを思っての行動なのでいい人たちばかりです。
けれどそれが焦ったくもありまどろっこしい点でもありました。

15年前の高校生の時、同性とつきあっていることが相手の親にばれ自分の親に抗議されたことから、好きな相手のために身を引いた霞。
それも、自分を貶め嫌われて去っていくことが恋人のためだと信じて自分一人が悪者になって丸く収めようとしました。
こういう健気だけれど思い込みの激しい身勝手な人はどうにも好きにはなれません。

そして15年後、霞は現在早世した姉の遺児を息子として溺愛する翻訳家。
相手の恭平は何も知らずに軽薄な恋人を恨んで別れを受け入れ、塾の講師になりました。

話の流れは、好きなのに別れるに至った恋人のことを今でも引きずりながらセフレと触れ合うことが慰めの乱れた生活を送ってる霞が、息子翼の塾の講師として恭平と偶然再会したことから15年間止まっていた時が動き出すというもの。
そして、その展開とは別に、翼と実父との複雑な関係や霞の思いが描かれています。
そのふたつは全く関係ないことなので、この再会話の主軸に翼の話を絡める必要がなかったような気がします。
恋人と泣く泣く別れた後、ただ一人霞の恋を応援してくれた姉が亡くなりその忘れ形見を溺愛することが慰めだったというのは分かりますが、必要以上に濃くて余計だったと思う。
それなら15年ぶりに再会したふたりの間でもっともめたり誤解からのすれ違いがあったほうが、より二人の距離が近づいていく経過が楽しめる展開になったのにと残念です。

15年前に分かれるに至った理由や今でも愛しているのだから元サヤという結論になるのは全く問題なく当然のことと思いますが、原因ががかけらも解決していないし解決する努力も見えないのが残念。
きっと悲しませるでしょうね。
今度こそ疎遠どころ縁を切られるのかな。
それでも、翼はいい子だからきっと認めて応援してくれるとは思うが。

2

サラッとドロドロ。

はじめて杏野さんの作品読みました。
読みやすい文体でした!

あらすじとしては高校時代男同士で付き合ってたけど、相手の親にバレて非難され、別れを切り出したけどずっと心に残ってた相手と15年ぶりに再会し…という話です。
ストーリーとしては本当に定番で、王道です。別れる時に親になじられたことを相手に伝えずに別れた為、相手は自分を憎んでるはずとか、本当は好きなのに別れたとか、自分の親にバレて責められ自殺をはかるとか、内容としては定番のドロドロするはずなのに、サラッとした文章で読みやすかったです。いつまでウジウジしてるんだよ!?ってことは全然なく、でもトラウマになってることはしっかり伝わってきます。
文章が読みやすいというのはあるけど、姉の子供を育てるという希望がある、という設定が物語を底上げしていて、全体が上手くまとまっています。
読み終わった後も、良かったね〜幸せになるんだよ〜と暖かい気持ちになりますw

希望としては後日談としてラブラブな2人がもっと描かれててほしかった!絶対甘々な2人になるはずです(≧∇≦)

0

15年ぶりの再会ストーリー。

ちょっともやもやした気持ちになるのですけど、なんだろう、たまに読みたくなる。

受け様の霞は、翻訳家。
攻め様は、学習塾講師の恭平。
2人は高校生の時付き合っていたのだけど、恭平の母親にそれがバレて、自分の両親へ告げられ。
恭平の母親だけでなく、両親からもヒステリックな対応をされ、追い詰められた霞は、優秀な恭平の将来の為にも自分を忘れてくれるよう手酷く振って別れることに。

霞の事が大好きだったくせに、霞の嘘に騙されてアッサリ別れる恭平をまずぶん殴りたい。
そんなんでいいのか!
好きならもっと信じろよ!粘れよ(#`皿´)

以来、霞は親元を離れ、どんな時でも唯一の味方だった姉の忘れ形見の翼を心の支えに寂しく生きてきた。
この甥っ子中学生の翼が、とってもいい子でしたわ。

そして、翼の通う塾講師の恭平と15年ぶりに再開する。
恭平に心を残したまま、恭平を呆れさせようと殊更露悪的に振る舞う霞。
気持ちはわからんではないけど、この霞の態度があまり好きではないのです。
なんというか、悲劇のヒロインちっく。

そんな霞をいなしてるけど、内心嫉妬だったり動揺してるであろう恭平を思うと萌えなんですけどね( ☆∀☆)

過去の誤解が解け、今度こそ共に歩もうと抱き締め合う2人。

どっちの態度にも時にイラッとするけど、きゅんともする。
メロドラマ風で、やっぱりたまに補充したくなる一冊なのでした。

0

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