社長が僕(の才能)を狙って同居しようとするんです。

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表題作同居社長に甘やかされてます。

御影仁,34歳,美大同期中で出世頭のミカゲアート社長
小松拓未,23歳,御影が目を付けた木目象嵌を作る青年

その他の収録作品

  • 同居社長のお誕生日会をしようとしています。
  • あとがき

あらすじ

「金、金。あんたはそればっかりだな」。社長・御影の経営するアート販売会社の稼ぎ頭だった版画家は、捨て台詞とともにきっぱり引退。収入激減のピンチのさなかで御影の目を惹いた象眼細工は、人間国宝・小松清祥の孫・拓未が作ったものだという。丸眼鏡にださださのシャツ、身長は160程度のへにょっとした風貌の拓未は御影のイメージとはかけ離れていて頼りない……。就職するという拓未をまたアートの道に引き戻したくて、だらしない生活を送る拓未の面倒をみようと強引に同居を始める御影だけど!?

作品情報

作品名
同居社長に甘やかされてます。
著者
ナツ之えだまめ 
イラスト
陵クミコ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344842984
3.1

(26)

(1)

萌々

(12)

(6)

中立

(5)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
8
得点
76
評価数
26
平均
3.1 / 5
神率
3.8%

レビュー投稿数8

『理解ある年上攻め』に萌え

ルチル文庫の電子書籍は『著者近況』もあるので得をした気分になります(ナツ之さんは近所においしいビアバーを見つけたそうで)

美術商×木象嵌作家(祖父が人間国宝!)です。
まず、LOVEに関する部分以外の感想を。
この美術商(御影さん。敬称を付けたいと思うほど尊敬する)すごい真っ当だわ。これは『いい美術商』。

このお話にある様に、若いアーティストっていうのは本当に『寝ない&食べない』人が多い。それだけ作品に没頭する所為だとは思うのですが。おまけに、金勘定が出来ない人もいるんですよ。「気にしない」って言う方が正しいのかもしれませんが。結果、体を壊したりする。

また、頭の中身を言葉にしない人も多い様な気が……以前その筋の人に「言葉で言えることなら描かなくても良い」と言われたことがあります。確かに「言葉で言えない『もやっとした』ものを表現するからアートなのだ」って言われれば「そりゃそうだ」としか言えないのですけれど。
でも単に「それだけじゃないんじゃないか」と思うんですね。言語表現が下手な人が多い様な気がするんです(偏見かな?)。

だから、図らずも盗作めいた作品を作ってしまった拓未が、一年も引きこもっていたというエピソードがすごくよく解るんです。
「いるよ、いるよ、こういう表現者」と、拓未について書かれる冒頭部分で、一気に気分が乗りまして。

こんな拓未に対して、御影が行うケアが素晴らしいのですよ。
掃除をすること、身綺麗にさせること、買い物に連れ出すこと、そして日常的な仕事(このお話の場合は『食事づくり』ですが)を与えること。そして「お前は金づる」という言葉で『自分にとっていかに必要な人間であるか=拓未の価値』を示し続けること。
御影さん、有能な美術商にして、同時に『若者支援』のプロだわ……

では、LOVEの方を。
そんな御影さんですから、どうしても『スーパーお父さん』っぽくなってしまうのは仕方ありませんね。
でもそのおかげで『理解ある年上の男性の協力で才能を開花させる若いやつ』のお話になっているんです。
私、この手のお話、最大級に萌えるんです!
御影さんは拓未の直接的な師ではないので、対等にポンポン口答えをしたり「あんたには解らない」的なことを言ったりもするのですが、それがまた良い。

色々と切ない事情はあるのですが、読みながら「悲劇で終わるはずがない」と確信できるほど、お話全体のトーンは『ほんわか』していて可愛らしいです。
師弟萌えのある方、大人攻めのお好きな方、そしてアートの世界に興味がある姐さま方は、きっと楽しく読めると思います。

8

木目象嵌!

ナツ之先生+クミコ先生だったので購入。攻め受けとも好き+サブキャラも好きだったので萌2です。面白かった~「本編190P超+後日談SS20Pほど+あとがき」です。地雷となるようなものはあまり思いつかないです。色っぽいシーンは少なめ、ちょっとした異能ありで、木目象嵌を頑張る受けさんのサクセスストーリーといったところです。

お話はバーで攻めさんが飲んだくれるシーンから始まります。アート販売会社として一緒に頑張ってきた版画家さんが戦線離脱してこれからどうすんだよと荒れていたのですが、最終電車が出るからと起こされた時にカウンターの上にあった素晴らしい木目象嵌に目が留まり・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
攻めの秘書(♂、この人好き!スーパー塩対応秘書)、受けさんのじいちゃん(人間国宝)、元ルームメイト、大学同級生等々。秘書も大好きですが、じいちゃんもさすが人間国宝、いい味だしてます。

**以下は好きだったところ

受けさんがあるアクシデント(人のイメージが勝手に自分の脳内に沸き上がる?とでもいえばいいのか)により卒業制作が盗作だと判断されて、もう製作できないというまで落ち込んでいたのですが、そっから社長に甘やかされて立ち上がったところが好きです。岩手県のブナの原生林を二人で見に行って、受けさんが木を抱きしめ、製作したいもののイメージが腹の底から沸き上がったのか、作りたいもののイメージを滔々と語るシーンは心底ああ良かったなあと。
この間別作品でも思ったのですが、このような復活劇が好みなんだわと自覚しました。
きっとこの受けさんは木の精に魅入られたに違いない。山林組合のおっちゃんを説得する際に言った、木に対するとっても素敵なセリフがあるので、お楽しみになさってください。

攻めさんはあっさり早めな段階で塩対応秘書に「恋です」と鋭く指摘されていて、受けさんもうぶうぶながらドキドキしてるのねと分かっているのですが、お互い気持ちを確かめながらゆったりめに進んでいくので可愛いかったです。
受けさんうぶうぶで、攻めさんのことはずっと「おじさん」呼びだし、いざイタさんとなったらきゃーきゃー大変だし、そのあたりの二人の掛け合いはぷぷっと噴き出す面白さでした。

木目象嵌、素敵だなー。可愛いお話ですが、それだけではなくて職人技のようなところも感じて、満足ーでした!私も何かを読み取ってもらって作っていただきたいなー。

4

おじさん呼ばわりww( *´艸`)

表紙の割烹着姿の子が童顔かわいこちゃんなので、この子が単なるお子ちゃまで好みに合わなかったら嫌かも…と危惧していたが、とんでもない!!
読み進めていく程に、この小松拓未って子が見た目に反して敏くて、頭の回転が速い年下受け好きにとっては期待値以上のヒットだった。
何しろ、出逢ったその場で御影の事をさっくりと「おじさん」呼ばわりして、言いたい事をずけずけと言えるなんて良いじゃぁないの(笑)

アート商を営んでいる御影も、単なる拝金主義かと思いきや、彼の言い分は一理あるし筋が通っているものだから卑しいとかの不快さがない。
金づると言いながらも御影の言動の中には、気持ちを読んでくれる小松に心地よさを抱いているかな?って節もあるようだ。
ちなみに小松には『無意識に相手のインスピレーションに感化される』って特殊能力めいたものを持っているのだが、芸術家ならばこういった感覚って有り得るのだろうか?
だとしても、とてつもない才能だけどね。

文章については所々キャラクターの心情が溶け込んでいるような部分が見受けられるが、堅苦しさが緩和されているので木目象眼という芸術に親近感が湧く。
ヒロくんの登場も、最初は特に居なくてもいい当て馬かもとは感じたが、話全体がほんわかした世界に浸っている中に一滴垂らした苦みにはなっていたかな。
小松なりには彼と過ごした一時期に感謝して決して邪険にしていないが、才能がある故に順風満帆ではない試練の波に揉まれる中での一通過点だと既に気付いていたのが救いなのだろう。

御影が口では金の卵と軽口を叩くほど、小松を大事にしている気持ちが伝わったうえで、創作面でも生活面でも充実していく様子にほっこりして満足のいく一冊だった。

3

アーティストとディラーの攻防がうむ秀作と恋

今回は美大出身のアートバイヤーな社長と
木目象眼細工を得意とするアーティストのお話です。

攻様が新たなアーテイストを育て上げ
受様が木目象眼師として独り立ちするまでと
攻様の母が2人を訪ねてくる短編を収録。

攻様の父は画家でしたが
目が出ることく病のこの世を去ります。

攻様は父の才能を引継ぎ
母の反対を押し切って美大に進みますが
己の限界を見る事となり
アートバイヤーとして若手アーティストを
発掘、育成するようになります。

しかし会社の稼ぎ頭だった版画家が
自分の作りたいモノが作れない現状を嘆き
版画制作を辞めると言い出した為に
新しく売りだせて稼げる作家を
探さなくてはならなくなります。

そんな悩みを抱えた攻様は
美大生達の持ち込みアートを
展示しているバーで
木で山間の秋の風景を描いた
端正な象眼細工に一目で魅了されます。

マスターはその木目象嵌は
人間国宝の細工師の孫で真面目で
才能もある青年が作った最後の作だ
と言われてしまいます。

その青年こそ今回の受様になります♪

受様は美大の卒業制作で盗作事件を起こし
新たな作品を作っていないのだそうで
調度その細工を引取に来た受様を
攻様は手に入れたいと思うのです。

攻様いわくの「金の卵」である受様を
社運を賭けるに値する「金づる」として
攻様は猛アタックを始めます。

終電を逃したと受様宅に泊まり
不払いの家賃を立て替えてからは
住む権利を主張して同居まで
決行するのです♪

こんな攻様に見込まれてしまった
受様の未来は如何に!?

ある挫折から心が折れた受様を
才能ある芸術家として立ち直らせ
恋を実らせるお話です。

年の差モノの王道な展開なので
安心して読めます♡

受様は他人の感じた情景を
イメージとして受け取る力を持っていて
卒業制作の際に仲の良かった同級生の
モチーフを無意識に盗んでしまいます。

それ以来、受様は自分が作るモノが
自分自身の考えたモノなのかを信じられず
細工を作れなくなっていたのです。

そんな受様の過去と苦しみを
攻様は責めるではなく慰めるでもなく
別の切り口から諭します。

そして改めて木目象眼に向かった受様は
純粋でまっすぐな思いと内なる才能を光らせ
攻様の顧客を唸られる作品を作ります。

そうした生活の中で
2人は徐々に惹かれ合っていくのですが

受様と以前同居していた男性が
現れて攻様との仲を割こうとしたり

2人が出会ったバーに
受様が仕上げた作品と同じモチーフで
学生が作品を持ちまれたりと

ハラハラな展開を挟みつつ

受様が象眼師として
祖父に認められるラストまで
たいへん楽しく読めました♪

両視点で展開していくので
2人の思いの変化に一緒にワクワク
山谷も微妙にすれ違う展開も
一緒にドキドキできました。

受様が立ち直っていく事が
メインテーマなのですが
攻様も受様と関わっていく事で
過去を振り返り
新たな一歩を踏み出しています。

攻様は手がけるアーティスト達や受様を
「金づる」と呼ぶのですが

才能のある若手に父や自分が出来なかった
芸術家として花開く未来を見せたいという
真摯な思いの照れ隠しとともに
大人な男としての矜持も感じて
すっごく良かったです。

製作に没頭し過ぎてヘマした受様が
攻様にそれを指摘されると
ムリヤリごまかそうとするシーンは
毎回フフって笑わせて頂きました (^-^)

今回は年の差カプで天然な受様仕立てで
崎谷はるひさん『不埒なモンタージュ』など
いかがでしょうか。
本作と違って受様が激アプローチです(笑)

2

もっと甘やかしてほしい

タイトルより全然甘やかされてないけど、読んで良かったです。芸術に対して生活や金というシビアな面で見るアートバイヤー攻めと、天才肌で挫折中だった受けのお話。
名前が二人とも良い字面!

「金は社会的な血液だ」という御影は以前の失敗もありつつ、小松の昼夜問わず熱中する芸術肌を管理するため同居する。彼の大人として仕事としての哲学がビシッとしていて、小松と楽しく時には導き暮らす様が面白い。
小松の木への愛も素敵で、沢山喋るし愛が伝わってきます。

ナツ之さんの作品はいくつも読みましたが、今回改行と一行あけが少なくとても読みづらい部分が多くありました。一行あけてないのに場面が変わったり視点が変わってたり、戸惑う箇所が多かったです。電子処理がまずいのか分かりませんが。

1

この作品が収納されている本棚

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