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榎田尤利さんの作品ですが、珍しく私にはミートしませんでしたね。
タイムスリップもの、だけどちと違う(事故ってる時の夢?)感じで、作品としては面白かったのですが、どうも攻めの心情に寄り添えず。
いじめの津田さんもスパイスやエッセンスに思えず、二人の心情が上滑りしてしまってる感がありました。
ご両親が病室に来て、和解しちゃうところもなんだか???リターンの記録はどうなった???
元々、17歳の時にはなんとも思ってなかった教師に成長した自分が惹かれたポイントは何だったのか?(深く関わったから?)
津田のイジメ事件を臨場感を持って見たから、両親の不仲の中で葬儀に行った曽根の自殺理由を聞いたあとだったから、債務で力になれるとおもったからか?
大人になった自分が当時の人間関係に別の感情を持つ、その背景が今ひとつしっくり来なかったのかな。
読んでみると若干古さを感じさせる作品です。
それは、ここ数年のBL小説が変容したせいかもしれません。
ですが、いい作品であることには変わりはない。
定番で先の読めるBLでしたが、安定の面白さがありました。
十年後、また読み返してみると感想が変わるのかもしれません。
えださんの作品はそんな魅力があります。
設定を見て、なんて面白そうなんだろう!と期待していました。二度目の高校生。逆行小説が大好きなのでわくわくして読み始めたのですが、攻めの一人称が「わたし」でキャラクターとして好みではなくちょっと残念でした。
大人と子供の差別化としてもこの一人称は作品として正解ですし大人の初恋は最高です。
高校生の頃ならきっと好きにならなかったし、大人になった自分だからこそ見えることがたくさんあり、惹かれて恋をした。
はじまりがお葬式なので、どうなることかと思いましたがハッピーエンドで本当に本当によかったです。
時間をおいてしばらくするとまた読みたくなる作品の一つです。
榎田作品は再読したくなることが多く何度読んでも面白く、時間を経て受け取る感想が変わったり登場人物への思いも変化したり新たな発見があるものです。
以前読んだときは久我山の自己中でオレ様なところが嫌いで、こんな男が過去に戻るという不思議体験くらいで急にいい人になるのか?
なんて思いもしましたが、17歳のガキの強がりや知ったかぶって人生舐めきってるようなところを、31歳の心で自覚してみたら、それがどれほど子供じみた意気がりだったか、そして井の中の蛙だったことを知り大いに反省するわけです。
自分以外の誰にも興味を持たない孤高の男。
それが、他人に冷たく人がどうなろうと知ったことではないと思いつつも簡単に切り捨てきれない思いが芽生えてくるのです。
やがて困っている人を助け正義の味方をしたいわけではないけれども、放ってはおけないやさしさとなっていきます。
思春期まで親から愛情を注がれた記憶がなく、親の不仲で壊れた家庭しか知らずに育ったけれど、やり直したい時間の中で生き直せたことで他者を思いやる感情が育ったのだと思う。
家庭に恵まれない幼少期を哀れんだ神様からの贈り物のような気がします。
17歳で出会った時は全く興味がなかったのに、2度目の17歳での再会で生まれた恋心。
14年後に自殺することがわかっていて止めたいのにうまくいかない焦燥感が上手く描かれていて主人公と一緒に焦れ焦れしました。
大人に見えて子供に見えないこと。BLの枠を超えて、ふとしたことに考えさせられたりしました。
未来を変えるために過去へ、というのはとっても好きでわくわく読み始めて、まず受の曽根の通夜から……えっ死んじゃうの?!と焦り。はじめは久我山も高校時代の担任を覚えておらず、少しハラハラするようなはじまりでした。
このお話はよくある(?)未来を変えるために過去へ、ではなく、久我山は事故でなぜか17歳に戻ってしまいます。もちろん望んでいたわけもなく。当然死んでしまった曽根も生きていて……知っている過去を生きる中で、17歳の時と31歳の"私"(この私というのがなんだかたまらない)では曽根の姿が違って見えて、恋に落ちる。17歳の体に入っている31歳は大人であるはずなのに、恋でまた成長して行く姿。甘酸っぱいし爽やか!
大人よりも子供のほうが見方がどうのこうのとか見かけるような気がするけど、大人じゃないとわからないこともある、ということ。当たり前だけど、気付かされたような感じがしました。
久我山の曽根の恋はハッピーエンドだし、本当によかった。それにしても、久我山は自分の不思議な体験を曽根に全て話さないのだろうか。生きていて良かったと思い合う二人は末永く幸せになってほしい……本当に。