SS付き電子限定版
作家買いです。凪良さんに草間さんの挿絵と聞いたら期待度MAXでしたが、その期待を裏切らない神作品でした。
小悪魔ビッチが好きという攻めに、妻子がいるのにゲイバーで一晩の相手を探す受け。あんまり好きな設定じゃないんですよね。そもそもビッチが苦手なんです。
攻めは祖父の空手道場の後を継ぎ師範になったばかり。真面目で温厚な性格の攻めが、美人なビッチ受けに翻弄される、という出だしで、読み切れるかちょっと危惧しつつ読み進めました。が、さすが凪良さんというべきか、ストーリー展開が素晴らしい。
ナイスガイの攻め・成田くんの、その表面からはうかがい知ることのできない悲しい家庭環境、ゲイなのに妻子がいる受け・飴屋の壮絶な過去と彼の覚悟。チラチラと見え隠れするその二人の内面にぐっと惹きつけられました。
雰囲気としては凪良作品の「全ての恋は病から」と少し似ています。わんこ系の尽くす攻めに、女王さまな受け。
飴屋の息子の論と成田くんのおじいちゃんのほのぼのする交流を絡めながらホンワカな空気も流れるところも似ている。
けれど、それでいて根底に流れるシリアスなストーリー展開にこれからどう話が進んでいくのかとページを捲る手が止められませんでした。
成田くんも飴屋も、飄々とした態度で相手に追いすがるということはない。それでいて相手を想いやる気持ちや人に対する優しさがあふれたナイスガイで、自分の事よりも他人を想う気持ち故にすれ違う二人にウルっときました。
あとおじいちゃん。成田くんがああいうナイスガイに育ったのはおじいちゃんの影響も大きかったんだろうなあ、と思うのです。自分の気持ちを押し付けることなく、相手の気持ちを尊重し気配りができる。カッコいいです。ああいう大人になりたいなと思います。
書き下ろしの、幸せそうな二人にこちらも気持ちがほっこりしました。これからも、おじいちゃんも論ものばらも、みんなで幸せでいてほしいと願っています。
今回もまた、かなり壮大なテーマまさに「人類愛」のようでした。
男女の愛情や友情、男同士の愛情と友情。
そして親子肉親、そして他人との愛情。
ただ単に男同士の下半身の話ではなく
主人公の2人が、様々な人生を歩み最終的に行き着く場所に落ち着くまでを
周りの家族や友人、その他様々な人たちと関わりながら
人間として一人の男として、自分の気持ちに向き合いながら生きる
そんなお話でした。
生きていると自分の思い通りに行くことばかりではなく
むしろそうでないことの方が多い。
それでも、自分の大切なものを守り抜くために
時に自分の気持ちを犠牲にし、時にどうしようもなく爆発し
何年もの間、家族のためだけに生きてきた男。
読み進めるごとに、話に引き込まれていきます。
読めばだいたいの人が「この男に幸せになって欲しい」と思うはず。
かつて好きだった男の忘れ形見を自分の子どもとして育て
周りからは裏切り者としてののしられながらも
愛した男とその男の愛した女と共に家族として生きる主人公。
ひどく複雑に絡み合った人間関係と偶然性は
あまりにも男にとって悲しすぎるのですが
後半、主人公に春の兆しが見え始めるとほっとする気持ちと同時に
もっと幸せになって欲しいと欲が出てきてしまいます。
今まで苦しんで、苦労して、本当の愛を知らずに来た男が
自分の気持ちに素直になれるまで・・
最後の最後に、本当にあったかい気持ちになれるお話です。
読了感ほっこりの良い作品でした!
萌えたりはしなかったんだけど大満足です♪
おじいちゃんが一番好きだなーっ!
BLなのにwww一番はおじいちゃんwwww
最近の凪良先生は攻め視点と受け視点が
混ざったのが多い感じがします。
読んだのがたまたまそうだったのかな・・・
私はBLは少女漫画の延長戦で読んでる
みたいなところがあるので受け視点が好きです。
凪良先生の本だったら攻め視点でも読んじゃいますけど
やっぱり受け視点の本がたくさん読みたいな~><
私のような勘違いをする方はきっといないであろうと思うので最初に書きますが、飴屋という名字なのですね。あらすじに「小悪魔美人の飴屋」とありますが飴菓子職人さんといったものかと勝手に思い込んでいました。
飴屋朋、二十五歳。「綺麗な男だった」と形容される美人で色気たっぷり、仕事は大工さんで、そして元ヤン。
いい!飴屋はいいですよ!
美人で少々ビッチ、肝っ玉の据わった男、飴屋。自分はこのような受けが一番好きなのだと改めて実感しました。
のばらと夫婦になり、論の父親になった経緯も男気があっていいですね。ニコイチと称された親友の死から決意したなんて。攻めの成田と出会ってすぐにバーのトイレでイケナイことを致すも、それからなかなか結ばれないところも良かったです。
やきもきして終盤、いざエチとなった場面の色気は最高でした。
飴屋と成田の物語は二人だけでなく「家族」を介して描かれているのがまた、魅力的です。爺孫コンビ、もっとやれー!
私は凪良ゆう先生の作品は「美しい彼」、「おやすみなさい、また明日」ときてこれが三冊目なのですが、このようにコミカルなトーンもどんと来い!なお方なのですね、すっかりファンになりました。
数ある凪良作品のなかで個人的にベスト3に入る大好きな小説です。
攻めの成田は一つ年下の大型ワンコ。穏やかで気遣いのできる良いコ。
受けの飴屋は気の強い美人(ビッチ)。とても深い事情により妻子ある身。
ここに飴屋の妻・のばら、息子・論、成田の祖父が加わり、恋愛小説としてだけでなく、家族の在り方にも重点を置いたバランスの良い魅力的な物語に仕上がっています。
飴屋の想い人は学生時代のニコイチの親友であり、後にのばらの恋人となった拓人。
拓人は交通事故で帰らぬ人となり、飴屋は拓人の子(論)を宿していたのばらと籍を入れ、二人を守ってきました。
亡くなった拓人との約束を守り続ける男気と、一途な気持ちを持ち合わせる飴屋が健気で・・・。
そうした事情のもと、時に男性を誘って鬱憤ではないけれど日々のやりきれなさを発散させていても責められないな、と。
そして、複雑な事情が絡まった飴屋の心を少しずつ解きほぐす成田は本当にいい男!
無理矢理ではなく、あくまで飴屋の考えや思いを汲み取って支える姿が格好いいし、人間として素晴らしい。
頑なに拒んでいた飴屋が成田に心を開いていく過程は葛藤があり、なかなか着地点が見えなかったけれど、最後はすべてがおさまる大団円で気持ちよく本を閉じることができました。
論と成田の祖父のやり取りは微笑ましく、祖父の存在感がこの物語を支える大きな柱であり、最後に皆の背中を押す人生の先輩として強く印象に残りました。
この物語、主役二人だけではなく脇の登場人物も光る作品であったと思います。
恋愛面でいえば、成田の想いを拒んでいた飴屋が一瞬にして心の傾きが大きく振れたキスシーンは読んでいて胸がキュッとしました。
割合にしたら恋愛パートより家族パートの方が多いかもしれませんが、一冊通しての感触はいい意味でBLらしいファンタジーのある物語でした。
読了後、幸せな気持ちになれる一冊でした。