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単行本版と文庫版、更に電子書籍版まで購入するほどこの作品を愛しております。キャラクターの設定は刑事×美貌のヤクザでよくあるBL作品のようですが、ミステリ、ハードボイルド、同性愛、警察小説を濃縮した様な作品なので非常に読み応えがあります。
広域暴力団の大幹部韮崎誠一の殺人事件をきっかけに一人の刑事とヤクザが再開する事により物語は始まります。現在の事件と過去の事件が複雑に交差し、これ程までにストーリーに引き込まれ、ページをめくる毎に明かされる過去に胃と心を痛めた作品はありません。
なんと言ってもこの作品の魅力は美貌のヤクザ山内練に尽きます。同作者のRIKOシリーズでサブキャラクターとして登場し、悪魔のような男と恐れられている彼の物語。私はRIKOシリーズから読んだ為、当時彼の冷酷非道っぷりに吐き気すら催しましたが、この聖なる黒夜を読んで山内練の魅力にどっぷりハマりました。
その山内練と彼を過去に逮捕し今回の殺害事件の担当となった麻生の暗く重く救い様のない泥沼の恋愛です。
BL作品ではありませんが、性描写はしっかりあります。
内容が内容だけに好き嫌いが分かれそうですが、密度の濃い暗めの作品が平気な方にはオススメです。
「刑事」「ヤクザ」「推理小説」なんてキーワードから、なんとなくむさくるしい想像をしてしまい、なかなか手が出せずにいました。
しかし、読み始めて数十分。すっかり山内練(受)の魅力の虜になっていました。悪魔の様な残虐な男かと思えば、弱々しく脆い面を見せたり、アルコールに溺れたり、何かと危なっかしい人物ですが読んでいていい意味でハラハラさせてくれました。
練をはじめとするこの作品の登場人物達は、色々な心の揺れを見せてくれます。「この行動はどんな感情から起こしたのだろう?」と考えて行くと、グッとくるシーンがいくつもあります。
私は時系列的にこの本の後になる「聖母の深き淵」「月神の浅き夢」(RIKOシリーズ)の後に「聖なる黒夜」を読みました(文庫収録の読み切りも含め)。RIKOシリーズには麻生も練も登場しますが、あくまで視点は女刑事・緑子です。彼女の視点から練は悪魔の様に映り、何故麻生は練を愛せるのだろうかと考えますが、この「聖なる黒夜」では練の、麻生曰く天使のような部分を知り納得することが出来ました。
ちなみに、練は「ツンデレ」だとは思いますが、初々しく頬を染めて恥ずかしがったりするタイプのツンデレでは無いようです(笑)。性に対してはかなり奔放で歪んだ変態性も持っていたりするので、王道の分かりやすいツンデレを期待される方にはオススメできないかなと思います。ただ、そんな練が好きな男にだけ見せてしまう「分かりにくいデレ」が最高です。
blの沼に浸ったこの一年、読んだ本と購入した本はほぼ全てblでした。「聖なる黒夜」は久しぶりの非bl作品でして本当、圧倒されました。
ストーリーの詳細は控えますが、大物ヤクザの韮崎が殺されたところから始まります。捜査に当たるのは警視庁捜査一課の刑事、麻生龍太郎、そして運命的に再会する山内練。
この山内練が実に魅力的なのです!インテリで男娼上がりで韮崎の企業舎弟、練は前科者であり、ここが物語の大きな鍵となります。
他の皆様のレビューと他サイトでも「山内練に惚れたー!」など絶賛されていまして、読む前はふーん、ぐらいに思ってましたが私もまんまと彼に惚れてしまいましたよ!
練以外のキャラクターも魅力的で、上巻だけでも600ページを越えますが、引き込まれて飽きません。
ちるちるに入ってなかったら知らなかったままだったと思うこの作品、私が知らなかっただけでかなり有名とのことで、これから読んでみようか迷われてる方には是非オススメします。
ですが、甘キュンを期待されてる方、ミステリーがそもそも苦手な方、あまりボリュームがあるのはイヤな方にはオススメできません。
結構、ハードな描写もありますので不安な方は図書館などでトライされるのもよろしいかと。
私はすっかりハマりましたので、山内練が出ている作品は制覇するつもりです。
これは読み物として、いわゆるBLの1段上にある、本格ミステリーでした。構成、描写、文章力、どれもこれまで読んだBLノベルとは一線を画しています。
読み進むほどに、これまで読んできたBL小説は”ライト”ノベルのレベルなんだなと思わされました。
本作の評価は、ランク外、星6つ以上です。
しかし、上巻後半になってくると、どんどんとこれはBLだ、いやBLでなくしてなんであろう、と思えてきます。これはミステリというよりは、やはり非常に正しいBLです。二人の深い愛の物語です。
そして、ミステリ好きの私は、これほどに萌えた作品はありませんでした。抑制の効いたふたりのやりとり、表面上は事件を通しての関係を装いながら、どうにもできない愛情がにじみでる、そんなかけ合い。それが、通奏低音のように織られた謎解きの上に展開されています。
そして下巻へ続く。
上下巻合わせてレビューさせていただきます。
図書館で手に取った分厚い本。普段読書の嫌いな私が寝る間も惜しんで読み尽くすほど、引き込まれる作品でした!
もちろん非BL作品なのですが、男同士の愛がが物語の本筋となりすぎていて、BL作品のつもりで読んでも何の違和感もありません。上質な刑事・ヤクザモノを浴びるように摂取できます!
ここからは読んだことのある方に語りたいことなのですが、及川さん……!切なすぎませんか?及川さんに最大限感情移入しながら読むと、また違った愛物語を味わえます。