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16世紀のカリブ海を舞台にした、海洋冒険活劇後編。
過去の因縁があるトマス・スコットと山猫の対決(「虹の記憶」)、
山猫に執着するフランシス・ベイリーに拉致された彼を救うべく協力する
山猫の部下たちとコリンズ……(「ファタ・モルガーナ」)
それらの事件を経て、徐々に明らかになる山猫ことキャプテン・スカーレットの過去。
互いに惹かれ合いながらも、それぞれが捨てられないものを持ち、
決定的に生きる立場の違う二人。
共に生きる事も甘い言葉を交わすこともなく、時に敵でありながらも
確かに結びついている二人……
という関係性は、ものすごくツボです。
思わせぶりな伏線もまだあり、続編あり?と思ったりもするが、
下巻から4年、今のところそれはかなっていないのが残念。
いつか、また、海に生きる彼らの冒険が読める事を期待したい。
*ところで。
作者によると、主役の二人には歴史上の人物のモデルがあるらしい。
時代や場所に違いがあるようなのでモデル……いうと語弊があろうが、
インスパイアされた人物という感じか?
乏しい知識で考えてみたのだが、
まずコリンズは、平民出身、20歳頃には艦長、という経歴や
隻眼や融通のきかない性格から、どうしてもネルソン提督を思い浮かべる。
一方ので山猫はよくわからないのだけれど、
深紅の衣装に紅の羽を飾りつけた三角帽子がトレードマークのハンサムだったという、
大航海時代屈指の海賊バーソロミュー・ロバーツか?
終わったー!上下巻合わせて、まるで映画を観たような達成感がありました。
数奇な縁により再び行動を共にすることになったキャプテン・コリンズと山猫が海の上で繰り広げる冒険劇です。下巻では特に山猫の過去にスポットライトが当たっていて、いつもは自由気ままに振る舞う彼が愛おしく、さらにカッコ良く見えるお話になっています。
あとがきでも触れられているとおり、読み終えた瞬間はこのエンディングがかなり意外に感じましたが、キャプテン・コリンズと山猫の物語はそれぞれに、そしてたまに交差しつつ続いていくんだろうと考えると、これがベストなのかもしれません。とはいえ、山猫の出自が分かったようで分からない感じになっているので、いつかどこかで読めたらいいな~…。
櫻井しゅしゅしゅさんのイラストも雰囲気に合っていて良かったです。
上巻に続いて下巻ですが、相も変わらない運命的な再会(若干"山猫"が演出している感じもある)と冒険で、一体どうやってこの二人はくっつくの?とやきもきさせられる進展です。あ、でもちゃんとやってることはやってますので安心を。
下巻に入って少しずつ"山猫"の秘密が明かされてきます。
「虹の記憶」
海賊トマス・スコットに賞金が掛けられ、コリンズとインヴィンシブル号は出動を命令される。
情報を得るため情報屋を訪ねると、そこで山猫に会う。しかし、山猫もトマス・スコットを追っていたのでした。
出し抜くために、一夜の情事の隙にコリンズに薬を盛る山猫と、出し抜かれて怒るコリンズ。
ここで明らかになるのは、山猫がこのトマス・スコットとの関係です。山猫はトマス・スコットへの復讐を企てていたのでした。
相変わらず、最後は風のように去っていく山猫。
このシリーズの終わりにいつも、帰還したコリンズに「転職しないか」と誘う山猫の手紙が届くところで終わるのがしゃれています。
「ファタ・モルガーナ」
コリンズの艦隊の司令官に気に入られた山猫は、”海賊船に乗ってみたい”という我儘な令嬢の望みをかなえるため、その船”ルビー・モーガン”に乗船させることになるが、お目付役にはコリンズが。
そこでまた一つ山猫の過去の過ちと、自出を匂わせる告白を聞くことができます。
なお、注書きしておくと、船内は規律として男色行為や性行為は禁止されておりますので、彼らの営みは全て陸上であります(!?)
任務を終え帰島する途中、山猫は、後偏執的執着を持つ男色家のベイリーに拉致されセントヘレナに監禁されます。
山猫の腹心の部下に懇願され、コリンズはルビー・モーガンに乗船し、救出に向かいます。
無事救出の後、ベイリーに薬を使われて体がおかしくなっている山猫を思いやり、部下達がそっと最下船倉へ山猫とコリンズを入れ、初めて船内エッチのシーンが。
憐れみでは嫌だ、”俺が欲しいといってくれ”と頼む山猫の、これは本心なんでしょう。
回復した後、何事もなかったように、むしろ冷たい態度でコリンズを追いだす山猫。
二人は海賊と軍人である以上、交わることはあっても一緒になることはないのでしょうか?
多分、きっと、もっと山猫の過去がはっきりわかり、事態は進展していくような隠し玉が各所に配置されておりましたので、きっとまだ続編が出ることと思います。
それにしても、コリンズ、、むっつりスケベなのか?君の感情が知りたいよ。
実は、海軍軍人はかなり貧乏で辛いのですよ・・・コリンズが平民出で32門のフリゲート艦長というのは、かなりの出世です、本来ならかなり金持ちか、年寄りでないと序列があって艦長にはなれないのですよ。