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小説はあまり読まない方(BLは)なので、他の方よりも甘い評価かもしれません
悪しからず…
キャラクター、ストーリー、九號先生の表紙と挿絵
すべてが私好みでした◎
特に志田さん
私は「高潔」であったのはやっぱり志田さんだったと思います
誰にも知られない優しさが切なくて、上手くできない不器用さがもどかしくて…
それに気がついた真岸はえらい!
真岸のおかげで志田さんは救われて、志田さんのおかげで真岸は解放された
お互いなくてはならない存在だった訳です
もしジジイと真岸が知り合わなければ、車を運転していたのが志田さんでなければ、志田さんがバイトを募集しなければ、2人が2人でなければ…
運命ってきっとこんな2人のことを言うのでしょう
見えない糸に導かれて2人は出会うための道を歩いてきた、その道のりはとても楽とは言えないものだったと思います
志田さんも真岸もお疲れさま、と言いたいです
それともおめでとう、の方がいいのかな
そういえばこのレビューを書くため読み返して気がついたのですが、志田さんって元々少しゲイの気があったのでしょうか?
大学の時人気者に頼られて~のくだりを読んで思いました
繰り返しになりますが、購入に至った理由のひとつである九號先生の表紙と挿絵、本当に美しいです
元々好きな作家さんでしたが、ますます好きになりました
表紙の雰囲気が内容にぴったりなんですよね~
額縁に入れて飾りたいくらい気に入ってますw
冒頭に書いた通り、小説は数えるほどしか読んだことありません
そんな私にこの本は小説の面白さを教えてくれました
オヤジ受とシリアスな雰囲気が好きなことも、この本で気づいたと言っても過言ではない!
砂原先生ではこういったシリアスは少しめずらしいとか…
先に他の砂原作品を読んでいたらこの本は読むことがなかったかもしれません
とにかく巡りあえてよかった!
そう心から思います
立て続けに重たい話読んでまして、そのあとにコレ。
また重たいのかよぉ(´Д⊂汗
なんて思いながらの読後。やぁ、なんというか、
砂原さんらしいといいますか、面白かったです。
もともとは、復讐するつもりで近づいた。
一人だけ幸せになっているであろう男の幸せをぶち壊してやろうと思っていた。
それなのに、近づいた相手は幸せのひとにぎりも持っていない。
何もかもを失い、これ以上失うものがないほどに。
それどころか、知る程に、惹かれていく想いを止められず~なお話なのであります。
自分を戒め、復讐を近い、5年も執念深く。
あまつさえ、爺さんってのが実際は血のつながりさえなく
よくよく考えればさほど・・・それほど?と思えてしまう相手だったりw
ただ、相手に触れて、自分が思い描いていた人物と違うことの気づき
もろもろ~の進み方が丁寧で、読んでいて少しドキドキさせていただきました。
好きになってはいけないはずの相手が・・・
ただ、正直なところ「もう少し苦しめばよかったのに」と思ってしまったのが実際。
もちろん、当人どうしは苦しんでいたのではあろうと思うのだけれど
せっかくの復讐、5年の・・・積年の恨みとなると
もっとズシンとくる何かがあってもよかったのかなと思ってしまったのであります。
ん~・・・・
まぁ、面白かったからいいんだけど
高潔であろうとするあまり人から疎まれて利用されまくった男の恋物語。読んでいる間は受に同情して泣きっぱなしだったのですが、感想を書こうとしたら受の不幸っぷりが笑えてくる不思議な作品です。萌えたかと聞かれると微妙ですが、心を揺さ振られました。
攻は感受性が強い青年(転職前の臨時アルバイト)。
受はコミュニケーション能力の低い税理士。
攻は幼い頃親しくしていた老人の命を奪った相手(受)に復讐することを誓います。社会人になった攻は不幸のどん底につき落としてやろうと受に近づきますが、受は既に幸せとは縁のない生活を送っていることを知ります。攻は自ら受に幸福を与えてやり、それを奪うという復讐を思いつきます。
受は自分を冷たい人間だと思い込んでいます。自分を捨てた母親や自分に愛情を注がなかった父親を恨んでいないし、浮気した挙句他の男との間に作った子供を養育費目当てで自分の子だと言い張る元妻を責める気もない。しかし、ロボットのように見える受にも心がないわけではなく、誰からも愛されないことに傷ついて苦しんでいます。感受性の強い攻は受の脆い部分にいち早く気づき惹かれていきます。
攻は憎悪と恋心の間で揺れますが、最後は愛が勝つ!罪を憎んで人を憎まず。天国のジジイも可愛がっていた攻の恋が叶って喜んでいることでしょうと勝手に結論づけました。
受についてはこんな無欲な人間いないよ!とツッコミを入れつつ、本当にいたらいいなと思いました。言った者勝ちの現代で生きている身としては沈黙の美徳は目に眩しく映ります。受のネタ元は砂原先生のお父様だそうです。萌え×2と中立どちらにしようか迷ったのですが、あとがきのお父様エピソードに萌えたので萌え×2にしました。
それにしてもレビュー数多いですね。さすが砂原作品。レビュー数が神評価の数を上回っている作品は面白いと感じることが多いです。
真岸(攻め)が復讐をするために、志田(受け)に近づくのですが、志田のあまりの不憫さに驚き、復讐する甲斐がないと嘆きます。そして、自分を好きにならせてから捨てることで、復讐しようとするのですが…と、ここまで書いたところで、復讐する理由が人の死じゃなかったなら、コミカルテイストにもできた作品じゃないかと思いました。男が男を好きにならせようとしている時点で、既にちょっと面白い。
でも、読んでいる最中は、そんなに違和感も覚えませんでしたし、笑いもしませんでした。
志田が落ちたおにぎりを買う様を、眺めている真岸の表情が眼に浮かぶような、情景が浮かびながらすんなり読んでいけました。安定の筆力です。
徹底的に不幸な人はいないので、安心して読んでみてください。風で春の訪れを知るような後味だと思いました。
電子で読みました。挿絵なし。九號さんの絵が好きなので拝めなかったのは残念。
物語は主人公、真岸悟の子供時代の回想シーンから始まる。彼は弟の徹と交わしたとある約束を果たすため、前職を辞し、ある男の税理士事務所で募集されていたアルバイトの面接を受ける。徹の子どもらしい好奇心が縁となって兄弟二人が小学生の頃に慕っていた、隣家のゴミ屋敷に住む「ジジイ」。ある日、車の轢き逃げ事故に巻き込まれ、亡くなってしまう。その加害者が真岸のバイト先の雇い主、志田智明だった。兄弟の約束とは、彼をジジイと同じ目に遭わせてやるという復讐だったのだが…。
真岸は志田と接するようになり、この事故がきっかけでそれまでの安泰な生活を失い、感情すら無意識に殺して生きている男であること徐々に知る。次第に志田へ抱いていた思い込みが払拭されていくのですが、真岸が復讐に徹しきれないのは、彼の記憶の奥底に残っていた志田の姿があったからだというタネがさりげなく仕込まれていました。
真岸の復讐を忘れないようにという五年に及ぶ執念は、法廷で志田の姿を初めて見た時から、既に彼に何かしら惹きつけられるものがあったからなのではないかと思わせます。真岸視点で描写される志田の第一印象がなんとなく色っぽい。志田の方にも大学時代の男子学生との他愛のないエピソードが描かれており、二人が同性なのに惹かれ合う不自然さはあまり感じさせませんでした。(お互い目覚めちゃったってことで。)真岸の人好きのする性格や、脇を固める登場人物のおかげか、深刻になり過ぎず読みやすかったです。孤独な志田がベランダで一人、天体観測をするシーンが印象的でした。
物語序盤は作家さまに抱いていた作風のイメージとはちょっと異なる、意外なトーンのツカミでしたが、最後まで安心して読ませていただきました。うーん、砂原先生の描く濡れ場はツボです。