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表題作恋の中

同時収録作品スタート/スタート

同時収録作品すきなひと

同時収録作品サマータイムロスタイム

同時収録作品愛情イーター

成康・インテリ&弁当屋を道楽でやってる男
勇・硬派に憧れてる高校生

同時収録作品君と見た風景、君と見る風景

その他の収録作品

  • 愛情フラッパー(描き下ろし)

あらすじ

真冬の浜辺で何度か見かけた男は喪服姿だった。思いつめた顔で海を見つめる男に思わず声をかけたある日。その男がぽつぽつと過去を語りだした横顔に、なぜか惹かれていくのであった…。表題作のサーファー×喪服男のほか、イケメンチンピラ弁当屋×高校生、部活仲間、幼馴染、リーマン三角関係などシリアスからラブコメまでメンズラブ満載。37pの大量描き下ろしアリ!
(出版社より)

作品情報

作品名
恋の中
著者
桃山なおこ 
作画
桃山なおこ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
リブレ
レーベル
シトロンコミックス
発売日
ISBN
9784862637529
3.6

(16)

(4)

萌々

(3)

(8)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
8
得点
57
評価数
16
平均
3.6 / 5
神率
25%

レビュー投稿数8

あっさり、でも心にスッと入ってくる話ばかり

地味だけれどどこか印象強い作品たちの短編集です。

「恋の中」
好きな相手に好きと言えず時を過ごした男の後悔。今度は。今度は。

「スタート/スタート」
好きな子が、恋人(♂)を紹介してくる。どうにもならない嫉妬とモヤモヤ。(どうやら教師はその心の隙を狙ってる?)

「すきなひと」
リーマンの、諦めの悪い恋情。それでも共に過ごす相手がいつの間にか自分の一番になっていた、という話。
じわーっと良かった。

「サマータイムロスタイム」
言うつもりはなかったのに衝動的に告白してしまった。英太は多分なかったことにしようとしてる。
何事もなくサッカーの国際試合を一緒に観に行くが…
この話、すごく好きでした!

「愛情イーター」
ヤンキーな高校生を餌付けしていくお弁当屋のお兄さん。
一見ほのぼのしいし実際優しいお兄さんなんだけど、実はコワモテ一家のお兄さんは18才になったらカラダをいただくつもりなの。

「君と見た風景、君と見る風景」
好きな男の言う事を100%受け入れちゃう上多賀。ただの俺様だった赤沢は、実は自分の方が離れられない?

「愛情フラッパー」
「愛情イーター」その後。18才の誕生日パーティーの前日なんだけどヤっちゃう⁈


一番好きだったのは「サマータイムロスタイム」です。
言ってしまった事に落ち込む子。対して受け入れる方の心の動きが描かれない。
読者的にはダメだろうなと思ってたのに、なぜか急転直下キスされて「え〜っ⁉︎」ていうのを体験する感じ。嬉しいとかいうより思いっきり焦る感覚が伝わってくる。

1

淡々とフラットに、けれども芯がある

初読み作家さんです。
ぐわっと、どっぷりきそうな題材(例えば表題作は死ネタ絡み)を扱っているのに、その中心に浸って描いているのではなく、少し俯瞰したところから描いている感じなので淡々とフラットな印象を受けますが、そこがかえって男同士である事を際立たせている気がしました。
少女漫画とは対極にある男同士の恋愛のための作画だなと。そこがとても魅力的です。

一番好きなのが【愛情イーター】その続きである【愛情フラッパー】ほのぼのコミカルなお話。
背伸びして突っ張ってちょっと意気がっているけどまだまだ子供っぽい高校生の勇とそんな彼をかわいーかわいーと溺愛しているお弁当屋さんのお話。
弁当屋はヘラヘラした優男なんだけど、ヤクザと対等どころか店番までやらせちゃったり、英語はもちろんトルコ語まで自在な頭脳を持っていたり、6LDKのマンションに住んでいたり・・・と謎が多い。
勇の涙を躊躇なく舐めとるところが変態っぽくていい。

その次に印象に残ったのが表題作【恋の中】死ネタ絡み。
喪服姿で海岸に佇む男を心配して声をかけたサーファー君と、訳ありげな男の回想話。
見開きいっぱいのページ、真っ黒に塗り潰された空を背景に一人取り残された描写が心打つ。
読み手からすれば両片思いなのが解るだけに、どうにかならなかったのか・・・と思うけどならないのも人生。
切ない想い出話につきあったサーファー君の差し出す手を取ったところが、一筋の光のように感じられて読後感は良い。

【君と見た風景 君と見る風景】
10年間完全に隠し秘めていた思いを悟られた末の動揺、後悔、そして最後のお願いが切ない。

私がトピ立てした「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」
http://www.chil-chil.net/answerList/question_id/4967/#IndexNews
で教えていただいたのが、こちらの作品。

教えてくださりどうもありがとうございました。

1

「日常」の短編集

 『恋の中』

 冬の海辺にトレンチコートの男がただ黙って海を見ている。それだけでなんて絵になるんでしょう(笑)そして、その彼、遼がふるさとの町に帰ってきたのは、片思いの圭を見送るためだった。もしあの時、圭と一緒に町を出ていたら、もしあの時付き合っていれば…なんて、もしに悩まされることもなく、ただぼんやりと海を見ている。サーファーのお兄さんはどこまで分かったのかな?このぼんやりとした時間と遼の渋さが萌えます。

 『スタート/スタート』

 幼なじみのマコトと哲。天然で弱いマコトをいつも引っ張って守るのはテツですが、いきなり完璧すぎるほどの藤本が現れます。ただほっとけないから構うのか、うっとうしいから何とかしてやりたくなるのか…。なんて愚問より答えは分かっているんですよ(笑)哲があっさりと感情を飲み干してしまうあたりは、王道展開とも言えます。

 『好きな人』

 幸也と公平は同棲中。そんな時公平がかつて思いを寄せていた男が結婚することになります。一般的な祝福されるであろう結婚、子供、家、実家。これらのものを望めないということをはっきりと描きながら、公平が自分だけの幸せに気づいていくお話です。公平が悩んでしまう場面もあり、一見シリアルそうですが、結局最後は二人だけの形に気づいていくという、ほっこりするお話です。

 『サマータイムロスタイム』

 アラタからの突然の告白『仕方ねえだろお前のこと好きだから気になんだよ!!』高校生はこういうことも素直なんだか血の気が多いんだか(笑)
 後半ふたりは、あっさりとキス。ストーリーと言うより、台詞や流れで読ませている感じがしました。

 『愛情イーター』

 どうしても硬派を目指している勇くん。彼がアルバイトをしている弁当屋には本当に硬派な人、やくざがやってくるのですが、実は本当のやくざはもっと近くにいます。(笑)

 『君と見た風景、君と見る風景』

 ずっと友人だと思っていたのに、ある日唐突とも言える告白を受けてしまう赤沢。一度冗談だなんて流されても、流れないのはそれはお互いが好きだからでしょうが、悩んだり、一緒にどこかに行こうと誘ってみたり、もう展開がいい意味で早いです。

4

淡々としているのに心に残る短編集

前作の短編集では、雰囲気にばらつきがあると感じたのですが、今回もまたシリアスな作品の中にひとつだけちょっとコメディ調な作品があります。
でも違和感なし。どれもたまらなく好きでした。
表紙もいいですね~。読む前にも目を引いたけど、読後改めて広げて眺めると、ひとりひとりにジーンときちゃいます。

「恋の中」
喪服姿の30代半ばの男性とサーファーの青年のお話。
海を見つめていた喪服の男性が語る切ない思い出話が心臓にキユウーとくる。
これからサーファー君との間に始まりそうな恋というところでお話は終わりですが、ええ!?とはなりません。
この短さでここまでの心に残る素敵なお話を書き上げる腕前。ただものではありまんよ。

「スタート/スタート」
幼なじみのマコから付き合っている彼を紹介され、そこでようやく自分の中のマコに対する想いに気づく哲。
これまた短くても物足りなさはないのですが、ちょっと気になる眼鏡教師との今後が読んでみたいです。

「すきなひと」
好きな男を忘れるために付き合い始めた別の男。その彼との付き合いも2年半になる頃、好きだった男と微妙な感じに。
本当に好きな相手は誰なのか、大切に想う相手は?と揺れ動く乙女心じゃないや、男心。
これもねえ、いいですっ!大人の恋だよー。こういったリーマンものじっくり読みたい!!

「サマータイムロスタイム」
高校三年生の引退したばかりのサッカー部員でセンターバックとサイドバックの二人。
はい、これだけでけっこうな御馳走です。
勢いに乗ってサイド君がセンター君に告白してしまったものの、相手はいつもと変わりなく接してくる。
こりゃもうなかったことにされてんだなと諦めつつも、落ち込みながら一人であれこれ考えるわけですが、とにかくね、どのお話もモノローグがとってもいいんですよ。
くどくなく心情をうまく表現していて、切なくなってしまうんです。
これはこれで高校生らしく可愛いお話で好きじゃった。

「愛情イーター」「愛情フラッパー」
ヘタレな弁当屋店主の成康と、ツンデレ(?)高校生の勇くんのお話。
硬派を気取っている勇くんですが、子供っぽくて単純で「がんばって硬派」ってとこが可愛いです。
そんな勇くんを手のひらの上で転がしてる成康は、バイトとして勇君を雇い、自分を下の名前で呼ばせて、あれよあれよと恋人にしてしまうのですが、見た目のやさ男風とは違い、酸いも甘いも知り尽くしてる男といった感じで、ヘタレなようでなかなか腹黒い男です。
脇役スキーの私としては、不破さんというヤクザさんが気になるところでして、描き下ろしにも登場してくれて嬉しかったです。
こちらでは成長した勇くんも見せてもらえて大満足。
他作品のシリアスなイメージとは違い、ほのぼのラブコメでした。

「君と見た風景、君と見る風景」
10年一緒にいた親友の次晴に、さらりと告白された隆虎。
なんでも隆虎の言いなりになっていて、自分の意見がないような次晴だけに、話の流れ的にそういう風に言ってしまったのか、酔っ払いの冗談だったとも思えないしと、隆虎はかなり悩みます。
次晴がこれまでずっと気持ちを隠し続けていたと判るあたり、ほんとうに切ないです。
こればかりは、ここで終わらせないで!と思ったなあ。
幸せな顔をしてくれる次晴を見せてもらいたいです。続編熱望!

どのストーリーもこれから何かが始まりそうな恋を描いていて、どれが一番なんて選べないぐらいの優れた作品集です。
絵も淡白だしなんかこう淡々としてるんだけど、台詞が特筆しててねえ、間が素晴らしいんです。
いつまでも心に残るシーンの多いこと!最近読んだ短編集ではダントツですな。
ほんともう是非読んでみて!!

2

カバー裏注目

短編が6作+描き下ろし1作です。

『僕たちは、過去の現在の 起こるかもしれない未来の 恋の中にいる』
(カバー裏より)

【恋の中】
止まったままの過去の恋を話すことによって昇華し、新しい恋に踏み出すお話だと思います。
後悔ばかりの恋の中から、光射す未来へ・・・

【スタート/スタート】
幼馴染みのマコに彼氏ができて、複雑な思いの哲ちゃんは・・・
こういったお話だと王道の場合、最終的にマコと哲ちゃんがくっつくことが多いですが、これはそういう展開じゃなかったのが新鮮でした。
哲ちゃんのためには別に年上眼鏡の先生がいるわけですが、このお話は哲ちゃんが自分の気持ちに折り合いをつけるところで終わっています。
先が色々気になります。

【すきなひと】
自分が好きなのは誰なのか、自分が大事なのは誰なのか、自分に今必要なのは誰なのか・・・
ちゃんと答えが出てよかった・・・

【サマータイムロスタイム】
勢いで告白したあとは・・・
相手の態度の一つ一つにハラハライライラ・・・
↑3作が微妙な三角関係だったので、このお話の純情な二人にちょっとホッとしました。

【愛情イーター】【愛情フラッパー】
なぜか弁当屋をやっているヤクザが、突っ張っているチビ高校生を餌付けするお話?ちがうか?
高校生が好きなばっかりに弁当屋を畳めないヤクザのお話?それもちょっと違う?でも、そんなお話。

【君と見た風景、君と見る風景】
今まで一緒にいた友人、これから一緒にいるなら恋人?
答えはまだでないけれど、なくしたくない大切な人。

2

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