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絶対言わない。ずっと一緒にいたい。…好きだよ 、亨が
決して悪くない、けどノリきれない。そんな作品でした。高峰顕さんのカッコ良いイラストに★1つプラスです。
本作のテーマである「たった一つの嘘」…この扱いが雑というか、話の展開に合わせて重くなったり軽くなったりして、途中、主人公が何をそんなに悩んでいるのかよく分からなくなりました。あと、攻は芸能人ですが芸能人らしいエピソードはこれと言ってありません。朴訥キャラと見せかけて俺様なところが一番芸能人っぽかった笑
キーパーソンである妹が良い子でホッとしました。
一度だけ、一回だけついた嘘がその後何年も彼を苦しめる嘘となり、その嘘への罪悪感に苛まれ続ける、話。
亨との出会いは、悠人の妹と亨が付き合いだし、議員で娘の交際に厳しい父親に反対された妹の恋愛に悠人が協力した所から始まります。
交際は続くも悠人がそこに居るのが当たり前になり妹と亨、そして悠人を交えた奇妙な恋人関係となり、やがて亨と2人で会って話をしている内にいやおうもなく彼に魅かれていき、よりにもよって妹の彼氏に恋をしている自分に気付く悠人。
親の離婚で東京へと行ってしまう亨、彼が去ってしまう日時を悠人は妹に伝えずに妹にも彼にも嘘を付きます。
その時に伝えなかった事が何年も引きずる「嘘」です。
やがて数年たち、悠人は大学進学で上京し親の意向に反してそのまま東京で就職してしまい、亨はというと若手映画俳優として有名に。
それでも彼らの付き合いは続いていて、多忙な仕事の合間をぬって亨は悠人のマンションへとやってきては手料理を美味しそうに食べ、自然体でくつろぎ合う関係です。
酒の酔いにまかせて悠人はついに長年の恋心と嘘を亨に告げてしまうのです。
柔らかな文体のせいか、始終どこかしら淡々としたトーンで描かれているのが独自の空気感を産み出していた様に思います。
最後は甘々~~。
長年の嘘への罪悪感が砕け散り、臆病者の嘘はやっと終わりを告げたのでした。
悠人の妹が兄想いのいい妹なとこも良かったです。
いやー、地味なお話でした。
読み終えて改めてあらすじを考えてみると、一冊ぶん引っ張るプロットだと思えなかったのですが、面白かったです。
するすると読みやすくて綺麗な文章で紡がれる、地味ながらツボを押さえたお話にキュンキュンさせられました。神江真凪さんの作る物語世界、やっぱり好きだなァと思いました。
しかしこの攻め、セコいですな!w 相手に言わせようとしないで自分から言えよ!と思ったのは私だけじゃないと思う。とくにラストを読んでからはそう思いました。
受けが昔ついたという嘘もたいした嘘じゃないので苦笑しました。どうにでも言い訳のきく嘘だろうに、いつまで罪悪感を引っ張ってるんだ、と。どんだけ繊細なハートの持ち主なんだ、と。
ただ、この手の地味さや焦れったさや繊細さは私好みです。同じプロットで他の作家さんが書いたら地雷だったかもしれないなとも思いましたが、神江真凪さんだからイイ。
どこがどうとは上手く説明できないんだけど…やっぱ文体がキモかなァ。主役ふたりの性格も、焦れはするしアホやなとも思うんだけど、素直に応援しながら読めるんだよね。
相手の事を「好き」だけど言えなくて、5年間自分がついたウソに囚われ続けた正に臆病者の主人公の話。
「嘘」というより、その気持ちも含めて「隠しごと」だったような気もします。
しかしながら、主人公・悠人の気持ちや取った行動は、実際身に覚えのある自分自身の体験と重なって、何だか切なくて共感を呼びました。
シチュエーションは違っても、こんな経験や感情を持った人というのは少なからずいるのではないでしょうか?
妹の彼氏だった亨と、兄妹含めた3人でつるむことが多かった学生時代。
亨も妹もまだ子供だったから、家庭に悩みのある亨は、同性の兄の悠人といて話を聞いてもらうほうが居心地はよかったでしょうね。
両親の離婚による引っ越しで離れてしまっても、亨との友人関係は続いて現在まできていて、友達でもいい、その関係を壊したくないっていう気持ちは理解できます。
しかし、俳優である亨には色々しがらみもあるわけで、そんな時に見たスキャンダル記事に、悠人はとうとう抑えきれなくなって・・・
この告白場面で、衝撃を受けました!
亨「友達でいられないなら、恋人になればいい」「一緒にいられらば、どんな形でもいい」
いや、自分の気持ちがとうとう露見してしまって、絶望している悠人にこの返しは残酷で、優しくないと!
苦しんで泣いている悠人なのに、そこんとこわかって、どうして優しい言葉にしてあげられないんだ!!
まるでどちらが年上かわからないほどの亨の不遜な言葉。
読者としては、第三者なんで、それが亨の気持ちだってわかるんですけど、悠人の壊れそうな気持ちを壊してしまうもの言いは、、、と、思わず感情移入が激しくなってみたり。
その後の電話でも「もう、うんざりだ」って・・・ええーっ!それって酷いよ。
勘違いするよね。
でも悠人は強かったんですよ。
ちゃんと、自分の気持ちに向き合ってケジメをつけようとする前向きの姿勢。
これで、マイナスを返上して同じスタートラインに立つことができるんですよね。
最後の最後まで、亨は悠人に「好き」って言葉を言ってあげなかったので、悠人がかわいそうにも思いましたが、本当、亨も不器用すぎるよ。。
そんなで、俳優と一般人というカプでしたが、その二人は実に普通で平常のままで、飾りのない素直な部分が前面に出ていたので、とても好感が持てました。
亨も不器用だけど、悠人も鈍感なのかな?どっちもどっち?