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表題作あの日、校舎の階段で

元友人の同窓生 遠藤圭介・28歳
アクアリウムの趣味の会社員 笠井亨・28歳

その他の収録作品

  • アクアリウム
  • あとがき

あらすじ

高校の同窓会で、笠井亨は十年ぶりに元親友の遠藤圭祐と再会した。笠井に告白したゲイの同級生を遠藤が不登校に追い込んだことで仲違いしていた二人だが、また友人としてのつきあいが始まる。だが笠井は偶然、遠藤がゲイでしかも自分をずっと好きだったことを知ってしまう。友達でいい──そう言う遠藤を切り捨てられず表面上は受け入れる笠井だが、執着と欲望を隠そうとしない遠藤に苛立ち、彼の前から姿を消すが──。
(出版社より)

作品情報

作品名
あの日、校舎の階段で
著者
佐田三季 
イラスト
麻生ミツ晃 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラノベルス
発売日
ISBN
9784778109738
4

(41)

(21)

萌々

(6)

(11)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
15
得点
164
評価数
41
平均
4 / 5
神率
51.2%

レビュー投稿数15

こわい(涙)

BLを読み慣れてる人ほど衝撃を受けるんじゃないかな。
拉致監禁レイプな展開にまったく衝撃を受けなくなってくるのが腐の宿命なんだけど。
で、この話は拉致監禁レイプと比べればよほど緩いことしかしてないんだけど、そこにあるリアリティが怖い。どんどん恋の狂気に蝕まれていくストーカー攻めが怖い。
ストーリーが面白いというのもあるけど、BL脳をリセットするのにもいい一冊だと思う。

笠井の人物造型がとくに凄いと思いました。
ぶっちゃけ私は、彼は生来のゲイだと思う。親も友人も遠藤も、そして本人も気づいてないけど。作者の佐田さんはそういうつもりで書かれてるような気がしたのですが、どうでしょう。
彼の生育環境を知った瞬間にいろんなことが腑に落ちて、「ああだから逆にゲイを必要以上に庇ったり、逆に必要以上に忌避したりするんだろうな」と。強烈なホモフォビアの多くがゲイである自分を認められないゲイであるというのもまた有名な話だし。
こういうキャラを造型できる作家さんは稀有で、説明ではなくエピソードを積み重ねて表現できる作家さんはさらに稀有で、佐田さんは物凄い才能の持ち主だなと思いました。

攻めの遠藤についてですが、まともな社会人やってるのが逆に怖いんだよね。笠井が絡むこと以外はまとも。しかも、怖くてたまらないのに、一途な想いが可哀想で、応援したくなってしまう、という…。
まあ実際にこんな男に惚れられたらたまったもんじゃないですが、「それなのに応援したくなるキャラ」を作り上げるっていうのも佐田さんの才能なんだろうなと思いました。

あと蛇足ですが、「気ちがい」という単語がサラッとナチュラルに登場したのにビックリでした。商業出版された小説で、この言葉が使われてるのを見たの、何年ぶりだろう?
確信犯かしらと考えて、ニヤリ。だとしたら佐田さん大好きですw

9

この作品もイタい!!そしてこれは愛なのか?

二カ月連続刊行の新人作家さん佐田三季さんの2冊目は、またまた胸に突き刺さる痛さ!
どこですれ違ってしまったのか、歪んだ登場人物の執着表現に、ちょっと木原音瀬風の痛さを感じます。
イライラを感じながら、どうして!って理不尽を感じながら、木原作品や水原作品の痛さが好きな方には読んでもらいたいな、と思います!

高校3年の時、笠井に告白した同級生の及川が登校できないようになってしまったのは、笠井の友人・遠藤が誹謗中傷を流したことが原因と知り、それから友人を辞めたのでした。
そして、10年後同級会で再会した遠藤と和解した笠井は、また昔のような友人に戻れるのかと思っていたのですが、遠藤が実はゲイだったと知り、そして遠藤の笠原への告白。
友達を失くしたくない気持ちでいたのに、遠藤の笠井への執着は度を越し、お互いでお互いを追いつめていく。

とにかく遠藤が怖いです!!
高校時代に及川の悪口を流したのも、笠井が好きだったから、自分もゲイであったから、それを認めたくない同族嫌悪だったからだと思うのです。
まず、そこに笠井は気がつかなくてはならなかったと思うのですが、遠藤との友人時代の思い出が気持ちよくて懐かしくて、あの時が再びよみがえればと、そんな気持ちでいたので、遠藤に付け入る隙を与えてしまったのですよね。
遠藤は告白後に友達なら、と言われて、それでも笠井があきらめきれずに、友人らしくあろうとするのに、どうしても欲を感じた目で笠井を見てしまう、そして、それを避けようとする笠井にワンコどころかストーカーのような執着でへばりついて離れない。
笠井が、どうしたら離れてくれるのか、一度寝たらあきらめてくれるのか、と安易な結果を求めたせいで、余計にその執着は度を超すのです。
激しく遠藤をののしればののしるほど、歪んでいく遠藤の態度。
もう、苦しいです!
笠井のとる態度も言葉も正しいとは思いません。
でもそれを超えて遠藤がすさまじく怖く、そして憐れなのです!

笠井の別れた彼女の事情だったり、笠井の親の事情だったり、笠井と遠藤の関係に影響を及ぼすエピソードがうまくからめられています。
笠井は、どうして独りで抱えこんでしまわずに親に相談しなかったんだろうと思います。
全てが、ちょっとでも”友人”を期待してしまった笠井が招いたことだとは思うのです。

ラストの結末は、決して納得のいく明るいものだとは思いません。
本当はバッドエンドで終わるかと思ったのに、どうして?とおもうような驚きが!?
次に彼等に修羅場が訪れる時は、死がまとわりつくのでは、とさえ思います(怖い!)

麻生さんの絵が遠藤の粘着な感じにぴったりで、怖さを実感できるほどよくあっていました。
この作品も作者ブログで公開されていたものだそうですが、作者後書きで遠藤が一人で勝手に暴走しだしたと、書かれている通りだったと思います。
それにしても、本当に読み応えのある作品2点を連続刊行ということで、この作家さんには大注目なのです!!

6

ルイ

もうその通り!!って感じのレビューですね★
文章上手くて羨ましいです。私のレビューでは佐田さんの作品の素晴らしさを最大限表現出来ないので;;
つみびとの花、結構順位上がってますね!!
佐田さんの作品を読んでくれる人がもっと増えたらいいですよね(*´▽`*)

すごくやさしくしたいのに…

ヤバイ…ド真ん中入っちゃいました☆
話題の書ということで、このたび手に入れることが出来、
わくわくしながら読み始めました。

学生時代から、笠井(受け)を愛し続けていた遠藤(攻め)。
同窓会で再会したところからお話が始まります。

学生時代の怨恨が解けた後の、穏やかな友人関係。
メールのやりとりや家呑みなど、仲良しな場面が続き、
このあたりは安心して読めたのです…が…。

来た来た~!
…と思ってしまいました。
違和感、肌で感じる視線、じわじわ迫る恐怖感☆

笠井が遠藤の異常さに気付き、
離れようと決意する時点で、すでに遠藤は開き直っています。
友人付き合いは全て演技だったと白状し、
笠井を恐怖のどん底に陥れるのです。

卑猥な画像で脅し、同居を迫り、友人にも根回しするなど
行動力のある遠藤に惚れ惚れしました。
やることが早い!
フットワークが軽い!

追い詰められた笠井は、コーヒーショップで吐血。
臨場感のある描写に背筋が凍りそうでした。

笠井が死にそうになったことで、
次に追い詰められるのは、遠藤です。
病室で笠井の手を握り「こんなことをしたかったんじゃない」と
涙をこぼし、別れを告げる遠藤に、
心揺れる笠井の気持ちがよく分かりました。

もともと天文部の二人は、
最後に星を見に行って別れようということになります。
この設定すごく良いなと思いました。
未練もあり、思惑もあり、ちょっと偽善っぽいカホリもあり。

毛布を分けあい、手に触れることすらなく星を眺め、
静かに言葉を交わす場面は心に響きました。
これが最後と知りながら、本当のことは何も伝えられない二人。
「空が明るくなってくるのを、二人は黙って見つめた」
という1文が胸にしみました。

これでエンディングだろうと気を抜いていたら、
もう1回来た!!
美しい別れの余韻も冷めやらないまま、
ラストの短いエピローグを読んで驚愕しました。
なんだこれ?
こんなことってアリですか?
話の流れとして奇妙すぎて、
別時間枠の話かと思い、2回読み返したくらいです。
自分としては、ドンデン返しに近い衝撃がありました。

後日談はとても楽しかったです。
遠藤は最後まで“遠藤”していてブレがなく、
「ヘンだよなぁ、すごくやさしくしたいのに、結局こんなふうだ…」
という台詞に、彼の心情が凝縮されているように思いました。

同級生の友人や同僚、親とそのパートナーなど
脇役も光っていて、笠井が追い詰められる場面でも、
救いの手がそこかしこにあるのも良かったです。

遠藤が笠井に想いを寄せるきっかけとなったエピソードは
割とサラっと書かれているような気がしたので、
心をガッチリ掴まれた場面を、
もっと濃厚(?)に書いてもらえたら、
この本のタイトルがさらに生きたと思います。

最後に、自分的に最大に萌えたのは、
揺るぎなく笠井に執着する遠藤が、
要所要所で、迷いや罪悪感を感じているところです。
彼の弱さを見るにつけ、どんどん感情移入してしまいました。
愛や恋を理由に、何をしてもいいわけではないということを
遠藤自身が、一番よく分かっているように思えたからです。

それでもやめられない止まらないこの執着愛。
後日談があるので、読後感はスッキリしています。
執着好きな方にはオススメ。
佐田さんの他の作品も読んでみようと思います。

追記…
こちらの新書版には後日談は収録されておりません。
2013年出版の文庫版の方に収録されております。
紛らわしいレビューを掲載してしまい大変申し訳ありません。

6

本当にそれでいいのか、と思いながら話に引き込まれる

そんな感じの話でした。
ヤンデレ執着攻めが好きな方にはかなりお勧めの話だと思います。
ただ、かなり受が攻によって精神的にも肉体的にも追い詰められるので、そういったのが嫌いなら駄目かも。
あとやたら受が攻に対して「ボケ」「アホ」「バカ」「死ね」などの暴言を吐いています。

高校時代に喧嘩別れした受・笠井と攻・遠藤が10年後に同窓会で再会(遠藤は別のクラスだったが共通の友人の長沼に頼んで参加)
高校時代の喧嘩は遠藤がほぼ100%悪く、遠藤が笠井に素直に謝った為、仲直りします。
その後家飲みなどもするようになるのですが、遠藤が笠井に告白してからおかしくなります。
笠井は家庭環境のせいでゲイには理解はありますが、自分の事となると話は別で拒絶しますが「友達としてでいいんだ」と遠藤に言われ、その後も遠藤は頻繁に笠井の家に遊びに来たり。しかし遠藤は明らかにそれ以上の物を笠井に求めています(昔笠井に告白した及川と笠井との友情が続いているのは、及川はそれ以上を求めて来なかったからだし)

そんな遠藤から笠井は逃げ出します。引っ越して携帯も着拒にして行方をくらませようとします
…が無駄でした。
会社に偽名で電話を掛けたり、会社から後をつけて笠井の転居先を突き止めたり。
その後更に追い詰められた笠井は「一度我慢して遠藤寝たら憑き物が落ちるように執着も消えるのではないか」と考え、遠藤に提案します。
読者視点では「それは絶対に駄目だろ!」と思うのですが、笠井はかなり追い詰められています。
遠藤は一回だけで済ますはずがありません。
その後遠藤は笠井の家に住むと言いはじめて家に居着かれてしまいます(仕事は普通にしている)
笠井は更に追い詰められ、相談しようと呼び出した長沼の目の前で血を吐いて倒れてしまいます。
笠井は入院、さすがに遠藤も反省したようで、更に遠藤は長沼にも責められて笠井に別れを切り出します。
笠井が退院後、二人で星を見に行って綺麗に二人は別れた…

と思ったら遠藤はこれで終わる男ではありませんでした。
その後も笠井をストーキング。
最後の笠井の選択は「血を吐く程嫌な思いをしたのに、本当にそれていいのか!」と心の中で叫びました。

後日談「アクアリウム」は遠藤視点での話。
長沼に「いつか道がわかれる日が来たら手を離してやれ」と窘められ、その時は「わかってるよ…」と返事し、残り時間が限られているなら、一分一秒でも多く、笠井のそばにいたいと思っていたが、
結局は手を離す気は無いようです。それでこそ遠藤です。

笠井と遠藤の共通の友人の長沼はとっても良い人です。
間違いなくこの話の中では性格は良いです。
他のBL小説だと「スピンオフが読みたい」と思うのですが、長沼の場合は「普通に幸せになってくれ」と思わずにはいられません。
作中で「おまえらとちがって、壊滅的にモテないんだよ、俺は。」と言ってましたが、回りの女性は人を見る目が無いな、と思いました。

どうでもいい事ですが、個人的に序盤で笠井が自分を裏切った彼女をバッサリと切り捨てたのにはとてもスカッとしました。

とにかく攻→→→→→受でゾクゾクしたい方にお勧めです。
遠藤は本当に自分にとって良いヤンデレでした。眼鏡だし。
文句無しの神評価です。

4

痛いけど、イタ気持ちいい・・・

ヤンデレ好きーな私にはたまらない作品でした。
ここまでの執着、立派なストーカーです。

少々のストーカーならば深い愛情の裏返しとして美味しく思えるのがBLマジック。
でもこの作品の遠藤は脅迫までして、受けの笠井を手に入れようとするんです。
BLマジックでごまかせないほどの執着ぶりに恐怖 汗
それでも遠藤の切羽詰まった真剣な気持ち(相手の気持ちをないがしろにしてるから愛情とは言えないかも・・・)に同情しちゃいました。

手段を選ばずに笠井を手に入れようとする遠藤と、そんな遠藤に嫌悪感と恐怖を感じる笠井。どこまでも平行線の二人がどこに落ち着くのか、ハラハラしながら最後まで一気読みしました。

最後に遠藤視点の短編『アクアリウム』が入っています。
また笠井に逃げられるんじゃないか、結婚するからと捨てられるんじゃないかと不安になる遠藤は、関係が落ち着いてからも変わりません 笑

そんな遠藤がクセになる、イタ気持ちいい作品でした。
ヤンデレ好きーな方はぜひ読んでみて下さい(^^)

3

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