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表題作魂読者(ソウル・リーダー)

神埼櫂 占い師 31歳
信時湖 専門学校生 20歳

あらすじ

医療系の専門学校に通う湖は、料理の腕を買われ、小さなバーでバイトをすることに…。店の奥にはタロットカードを操る一人の男がいた――闇に溶け込むようなその男、神崎は占い師ではなく、相手の魂を読むソウル・リーダーだという。謎に満ちた神崎がなぜか気になって仕方がない湖…ある晩、店を休んだ神崎の様子を見にいって、とんでもない彼の秘密を知り……。凍った心を融かすまっすぐな想い…高純度ラブ♪
(出版社より)

作品情報

作品名
魂読者(ソウル・リーダー)
著者
椹野道流 
イラスト
吉村正 
媒体
小説
出版社
イースト・プレス
レーベル
アズ・ノベルズ
発売日
ISBN
9784781604398
3.2

(5)

(0)

萌々

(1)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
16
評価数
5
平均
3.2 / 5
神率
0%

レビュー投稿数3

続編が出ないことが問題

椹野道流先生の新シリーズ。…なんですが、第1巻である本作が2010年に発売されてもう4年近く2巻目以降が出版されていません。続編を待つのは断念した方がいいのかも…。でもあきらめきれずに毎月新刊チェックしてしまうんですよね。いかんせん伏線が残っているし次巻へ持ち越しの問題もありますし、1冊読みきりでは終わってほしくない作品なんです。
1冊単体としては罪の意識から生きることを絶望していた男が再び希望を見出すという物語でとても感動的。しかし続編が発売されていないという中途半端な状態なので、人にはオススメしずらい作品でもあります。

信時湖は理学療法士を目指し専門学校に入学した青年。独り立ちしようと実家を出て寮生活を始めて学費も生活費も自分で稼ごうとするのですが、なかなかアルバイトが決まりません。そんな折に同級生の坂本幸多郎に頼まれて、腕を痛めたマスターの代わりに一晩だけ助っ人としてバーの料理を作ることに。湖は実家が中華料理店なので料理が得意なのです。マスターの東城脩も湖の腕を気に入ったので、湖は専門学校を卒業するまでの4年間バーでバイトすることが決まりました。採用決定にあたって、東城は湖に神崎櫂という男を紹介します。神崎は東城の幼馴染みで、バーの営業時間内は店内で占いの仕事をしているといいます。神崎はタロットカードを用いた占いーソウル・リーディングを行っていました。湖は愛想が悪く、ミステリアスな神崎が気になり始めます。しかし神崎は人を寄せ付けないどころか、理学療法士になりたいという湖に「他人のために何かしようなどと、気安く思うな」と辛辣な言葉を投げつけるほど。それでもなお、湖は神崎のことを知りたいと思っていました。
ある日、神崎の自宅を訪れたことから湖は彼の秘密を知ってしまいます。神崎は悪魔ネビロスと契約して「魔法の手」なるものを授かっていたのです。

現代日本を舞台にしたファンタジーBL。BLとしては恋愛要素薄めかもしれませんが、往年の少女小説やライトノベルを思わせる設定で、ドキドキワクワクの予感がするファンタジー作品に仕上がっています。明るく楽しい作品ではなくて、人の目を避けて闇の中を駆け抜けるような印象。吉野正先生のイラストの影響で、この作品は「黒」がイメージカラーだと読後に思いました。神崎の髪の色から悪魔の羽の色、夜の風景、そして神崎の過去まですべて「黒」なのです。

「黒」ということで、神崎自身も後ろ向きで陰気。人生に投げやりです。その理由は神崎の過去と罪の意識が原因でした。神崎の背負っている重い過去と罪については詳しくは書きませんが、神崎の過去を知ってなお湖は受け入れて支えようとします。湖のひたむきさと健気さによって神崎の頑なな心も溶けていきます。そして神崎は自分は幸せになる資格はないと思いながらも、湖の手を取るのです。二人がこれからどのような未来を選択するのか、幸せになれるのか。続編が期待される終わり方です。
また悪魔が今後どのように動くのかという面も気になるところ。この特殊能力を持ったままでは、神崎は一生苦悩するでしょう。どうやって決着をつけるのでしょうか。

でも続編出る可能性ってあるのでしょうか…。

2

新しいシリーズの始まりです

魂を読む者=ソウルリーダー、そのまんまなんですが、ファンタジー展開がいかにもラノベっぽくて、中々に面白く読めました!
シリーズになるみたいなんで、これからがちょっと愉しみな作品です♪

主人公は実家が中華料理屋で、理学療法士を目指して上京している、とっても真面目で前向きで好感度の高い青年・湖(うみ)
彼が料理の腕を見込まれバーでバイトすることになり、そこでカードを使った占い(ソウルリーダー)をしている櫂がとても気になることで展開していきます。

櫂の秘密というのが、元脳神経外科医で身体を動かせなくなった患者の心を知りたいと願ったことで彼の運命が変わり、触った者の心が読めるようになったという点がとてもファンタジーで、ワクワクさせるのです。
心を知ってしまったことで、患者を死なせてしまい、その償いとしてソウルリーダーをしている櫂がとても暗く後ろ向きなのが、湖と出逢ったことで変わっていく点が見せどころ。
湖がまた、何に対しても真剣で前向きでひたむきな姿なのが、臭くて鼻につくどころか、潔いほどに気持ちがいいのです。
悪魔まで登場して、びっくりはするものの、湖は櫂の為ならと平気で命令したりひるむことをしない、悪魔でさえ面白がるそんな性格なんで、読んでいて楽しいのです。

年上で大人な櫂がヘタレて、ツンデレて、でも湖の真っ直ぐな好きという気持ちに人らしくなる姿になるところでこの本は終わっているので、この先、櫂の持つ特殊能力のもたらすもの、まっすぐすぎる湖がきっと呼び寄せてしまうだろうトラブル(こういう真っ直ぐな人は騙されやすいかも?という憶測)が予想されて、面白そうな展開が期待できます。
元自衛官だったという、人の良い湖の同級生や、全てを知って二人の理解者となっているバーのマスター・脩などもレギュラーになるのかな?という個性があふれていて愉しみです。
今回エチはラストだけだったのですが、次回からはラブ満載だそうなんで、その点も楽しめるかな?

1

得たモノと失ったモノ

今回はある契約で人の心が読める手を持つ男と
理学療法士を目指す料理上手な専門学校生のお話。

受様との出会いで生きているだけだった攻様が
人間らしい感情を取り戻すまで。

受様は理学療法士を目指す
医療系専門学校の新入学生です。

受様は兄は父の中華料理店を継ぎ
自分は家業以外を選んだ後ろめたさから
学費も生活費も自力で稼ぐと親を説得、

地元から離れた専門学校に入り
一人暮らしを始めます。

しかし、
高校出たての受様にはろくな貯えはなく、
初年度の授業料も実家に借金する事に。

そんな諸事情も有り
受様は長く続けられるバイトを探しますが

授業コマも多い上に
講義内容も高校とは段違いに難しく、
毎日補講に呼ばれる受様には
短期バイトしか見つけらませんでした。

そんな時、
同じ学生寮に住む年上の同級生に
腕を痛めたバーのマスターの代りに
料理をしてくれないかと頼まれます。

無下に断れずに向かったバーで
まかない料理で合格点をもらった受様は
マスターに代打として厨房に入ります。

開店後はとにかく
オーダーを上げるだけで一杯の受様ですが
ふと店の奥のテーブルでカードを操ってた
全身黒づくめの男性に目を奪われます。

まるで闇に解けるような雰囲気に包まれた
その男性こそ今回の攻様になります♪

忙しく閉店を迎えた頃
すっかりマスターに気に入られた受様は
このまま厨房に入らないかと持ちかけられ
有りがたくお世話になる事になります。

話が決まったマスターは受様に攻様を
同僚みたいなモノだと紹介します。

攻様はその筋で有名な占い師で
予定がない時には今日のように
店の一角で客を取っていると言うのですが
あまり愛想が良くは見えません。

個人的には攻様に興味津々の受様ですが
攻様はなかなか打ち解けてくれず
受様の中で攻様の謎は深まるばかり。

そんなある日、
連絡もなく店を休んだ攻様の様子見に
受様が彼のマンションを訪ねると

真っ暗なリビングルームらしき一室で
なんと攻様はうつぶせて倒れていた上、
傍には腕組をして長身痩躯の男が
攻様を傍観していてびっくり!!

慌てて攻様を抱き起こしますが
攻様は恐ろしいの熱を発していました。

いったい攻様に何が起こったのか?!
そして泰然としているこの男は何者?!

椹野さんの新シリーズの開幕です。
ファンタジーな要素を多分に含んだ
推理モノになるのかと思われますが、

今回はシリーズスタートらしく
登場人物と設定の説明が主なので
生きる事に消極的で後ろ向きな攻様が
素直で前向きな受様と出逢った事で
生きる事に前向きになっていく様子がメイン。

攻様は元は優秀な脳神経外科医でしたが
ある患者と関わった事で悪魔と契約し
相手の心が読める「魔法の手」を授かります。

しかし、
「悪魔の手」は攻様が望んだ以上に
相手の心の深部の思いまでを伝えた為に
攻様は患者を救えなかったばかりか
自身も大きなダメージを追ってしまいます。

マスターとの再会で
悪魔の手の存在を活かすべく
ソウル・リーディングを始めますが
ただ生きているだけの日々でした。

そんな後ろ向きな攻様が
どんなふうに変わっていくのかが
ワクワクつながら楽しく読めました♪

諸悪の根源の「悪魔の手」も
攻様が思っている程の威力は無いと思われますが
攻様の今後は受様の関わり次第の様ですので
早くも次のお話が待ち遠しいで~す(笑)

今回は本作同様、
受様との関わりで変わっていく攻様のお話で
椹野道流さん『妖魔なオレ様と下僕な僕』をお薦め。
お話が進んだらコラボしそうな予感♪

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