条件付き送料無料あり!アニメイト特典付き商品も多数取扱中♪
『犬と私』のたしさん、『ZERO‐SUM』掲載の心の沁みる描き下ろしコミック!
かわいくない子どもと
無愛想な大人が出会い家族となるまでのお話です。
BL作品ではありませんが、
大切に思われたい、思いたいという気持ちが生まれる瞬間を
実にてらいなく表現した素敵な1冊です。
いのは小さい頃母に捨てられ、育ててくれた祖父母も
亡くなり、叔母の元に引き取られます。
しかし、ワガママで年の割に冷めた性格に
手を焼いた叔母は、1人暮らしの甥の元にいのを預けます。
出迎えたろくは、初対面で「私は子供が嫌いです」と
いのに向かって言い放つのです。
しょっぱなからこの印象の悪さで、
この2人上手くいくのでしょうか。
学校にはいい思い出がなく、いのは登校を拒否しますが、
それならば家事を分担しなさい、とろくは反論を許しません。
いのはその境遇から甘やかされることが多かったので、
不平も不満もありありです。
でも、ろくの言うことは理由がありきちんと筋が通っているので、
暮らしの知恵と方法をいのは進んで学ぶようになります。
これは、いのの成長と彼が新しい関係を結ぶお話ですが、
どうしてか説教臭くは感じないんですよ。
「今日の予定は?」「お使いに行ってきて下さいね」
何てない日常の会話と、一つ屋根の下で時間を共有する関係を、
ちょうど良い距離感で描き表しているからでしょうか。
人を、特に大人を信用していなかったいのが、
誰に対しても変わることのないろくの淡々とした態度に、
信頼を寄せ、安心していくのが豊かになった表情からも伺えます。
大切にされているかもしれないと感じたのに、
ある諍いから、自分はろくの一番には思われてないのだと
思い込んでしまいます。
家を飛び出し一晩を外で明かして戻ったいのに、
ろくが見せた、ただ一度の激昂とぎこちない抱擁。
言葉の少ないろくが、どれだけいのを大切に思っているか。
相手を想うことが、かけがえのないものだと
いのは初めて知るのですね。
この数ページに凝縮した感情の流れはもう秀逸です。
あぁ、彼らは家族になったんだな。
実は個人的見所が、何と言ってもここ!
ろくのあの「眉間のしわ」です。
あと、目元のくぼみがもう、何かを醸し出しているんですよ。
そう言えば作中、眉間にしわとか、げんなりしているか
呆れ顔かで、彼は一度も笑ってないや。
庭付きの一軒家に1人暮らし。
料理上手なろくについては多くは語られませんが、
数年後に成長したいのの姿から
2人が変わらず良い関係で過ごしている様子が分かります。
ろくの眼鏡に、このたった2コマに悶えたことを
言わずにはおれないのでした。