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ストーリーの流れがとても静かで、落ち着いていますね。
奪い合うことも無く。
押し付け合うことも無く。
ただ各々が出会い〜お互いの中に、相手の存在が大きくなっていく流れが、自然で素敵です。
描き方が上手い!
四ノ宮が、澄を思っていた期間が1年。
春原父が、基を思っていた期間が2年。
こちらの2人は、両片思いだったな。
時間を掛けてゆっくりゆっくり、心の中で温めていたもが形になり、お互い大切な存在でいつも隣にいる2人になる。
究極の愛の形だわ。
この作品の好きな所は、無駄なエロもなく、当て馬もない所。
素敵な作品をありがとう!
◆水の春(表題作)
所々で萌えを感じるシーンはあったものの、全体的にはちょっと惜しいような、雰囲気に頼り過ぎていて2人の心情描写が物足りないような印象でした。描き込みも台詞もシンプルですらすら読みやすい分、表情で魅せるシーンやもう少し丁寧なモノローグを挟んでも良かったかも。まだ2人とも未熟な子供ですから多少は勢いで進んでいくのも自然かとは思いますが、さらさらと読み終えてしまった感じでした。
◆花の雨
春原の父の話。父親も同性とカップルであると聞いて気になっていたので、表題作のすぐ後に読めたのは嬉しかったです。こちらは大人の複雑な恋愛事情。春原の担当編集として家に出入りする基の控えめだけど一途な想い方が愛おしくて。最後は穏やかな春原がきちんと基を引き止めてくれたのに萌えました。
読み直してレビューを確認したら、評価だけが「神」で確定されてました。
初読のとき、おそらくわたしは感動を文字にすることができなかったようです。
ただ残念なことに感動は水物で、一度感じたものをもう一度感じるのって困難。
読み返したら「萌2」なんだなあ…。
初読で何を感じたんだ、わたし!!
1冊まるまる1つの家族の話です。
【水の春】(3話)
高校生の春原とクラスメイトでホモと噂される四ノ宮。
2人が関わりを持つようになって、だんだんと距離が近くなっていって…という話。
学校では話さない2人が信号のところで待ち合わせして話すようになるのですが、この行動が瑞々しくて、照れ臭くて、ああ、若いなあって思えます。
四ノ宮の殺し文句がすごいです。
これはぜひ読んでください。読んで感じないともったいない。
「緊張して冷たい手」は他の作家さんの作品でも使われますが、この作品の使い方は秀逸じゃないかなと思いました。
【花の雨】
前話でちょっと出てきた春原の母・基と父の馴れ初め。
色素の薄い髪や目、女顔。
担当する小説家を好きになって、その先生の亡き妻と自分が重なる要素に心を痛める編集者の基。
懐いてくれる先生の子供(澄)の母を想う気持ちや、先生が自分の目や行動を妻と重ねる言葉に傷付きながらも…というすごく切ない話です。
こちら、何だかすごくいいんだよなあ。
先生が書く作品の結末を使ったお互いの駆け引きと真意が交差する辺りも、すごく切ないのに優しくて和みます。
先生が基に言う言葉が、前話の四ノ宮と被ってるのは狙い?
【春日和】
描き下ろし的小話。
基との初対面の印象を語る先生のノロケ。
先生が真顔で繰り出す爆弾の威力たるや…。
【六月来る】
描き下ろし的小話。
大学生になってルームシェアしつつ、同じ大学に通う澄と吉野。
相変わらず意地っ張りな澄に、ついつい意地悪をしてしまう吉野。
軽口を叩き合える関係っていいですよね。
【凌宵花】
描き下ろし的小話。
澄が出て行って2人きりになったことで「子供」を持つことが頭を過る基。
「子供、欲しいですか?」という基の質問に対する先生の返しがいい。
この2人の会話って本当に和みます。
「神」と感じたときにレビューを何としてでも絞り出すべきでした。
「神」と「萌2」ではテンションが違いすぎる…。
おそらく澄と吉野と女子の辺り、細かく分析しながらものすごーーーーく長く語るつもりだった気がします。
読み返した「萌2」のわたしは、先生×基の方に惹かれました。
テンションは下がりましたが、読み返してもほんわかした気持ちになれる1冊です。
珍しい視点で展開する物語。
父と父の恋人=後妻(♂)の穏やかな生活を守りたい為の秘密保持を願う、息子視点で描いた話。
表紙絵を見て、小学生か中学生が主人公かと勘違いしてしまった。高校生でした。
春原の家庭は、父親と二人の父子家族、母は小五で病死。作家の父が選んだ後妻は元担当編集者、母の面影を持つ優しい男性。春原君は、父と父の恋人を守るために、ひたすら秘密を隠している。
同級生の四宮は、オープンゲイ。春原に片思いをしていた。(※「ホモ」は今は差別用語に類しています)
両親と妹と四人家族、母はピアノ教室を運営している。
四ノ宮君が春原君に気持ちを伝えた時、春原は、父の恋人が男性であること隠したいこと、守りたいことを初めて四ノ宮に告げる。
春原君が大学に進学して、別居を始めて家の中が静かになった、子供が居ない=産めないことを実感する春原君の父と恋人。
優しい思いやりを相互に交わしあう理想の良い家庭です。
抒情的な風景、家屋、綺麗な描写の美しい作品でした。
神
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▶季語をtitleに選ぶ著者は、知識豊かな風流人ですね。
★タイトルの「水の春」は、万葉集にもある季語。
春の、水量の多くなった川や湖沼の水。 春の季語。
★「花の雨」晩春の季語。
晩春花時の雨. 桜の咲く頃に降る雨、あるいは咲き満ちる桜の花に降る雨。
何度読んでも良いものはいい!
大好きな作品です。
ふわっとしているようでしっかりしている2組のカップル。
高校生の四宮と澄、そして澄の父とパートナーの基。
とくに大人カップルのエピソードは切なくて美しくて泣けます。
シンプルに、素敵なカップルで素敵な家族だと思える。
高校生カップルは、初々しいですね。
言葉使いとか行動が男らしいのは澄だけど、内面の男らしさは四宮にこそ感じました。
澄を好きな気持ちがどストレートに伝わってくる!
線の細い絵も作風に合っていて好きです。
何度でも読み返したくなる作品です。