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読み始めてすぐから、『栗城さんってこういう作風だったっけ?』と考えてしまいました。
栗城さんをそんなに多く読んでるわけじゃないんですが、いくつかの作品は正直『合わない』と思ったんですよ。ストーリーよりも、キャラクターが好きになれませんでした。そういうわけで、何作か読んだあとは避けてたんです。だけど今回、まずはイラスト、あとあらすじやレビューにも惹かれるものを感じて、思い切ってチャレンジしたんですが、いやあよかったです、読んで。
私、やっぱりこういうほのぼの・ふんわり系統も好きなんだなあと改めて思いました。読む前は、作家さんに対する先入観もあって、こんな優しい作品だとはまったく思わなかったんですけどね。ただ全体の雰囲気はともかく、到底『ほのぼの』とは言い難い過去のエピソードがかなり大きなウェイトを占めてます。
いやもう、何よりもキャラクター!矢波(攻)が、あらすじや表紙から受けるイメージでは、押しの強い『俺様』かと思ってたら(『俺様』キライなんで、最初はそれで読むのを迷ったんです)、『ヘタレ』というのも躊躇われるくらいの『キングオブヘタレ(これ以上ないくらいの褒め言葉です!)』でした。もう大好きです。
矢波と瑞希(受)は、昔隣同士に住んでいたいわば幼馴染みなんですが、十数年振りに再会したら、瑞希の初恋の相手で結婚の約束もしていた『美少年』の矢波は、大きな体のパティシエになっていたんですね。
でも瑞希は、(矢波と別れたあとの)過去の事件のトラウマで、大柄な男と甘いものがダメなんです。父や弟でさえ、いきなり近付かれると怖いというほど根深いんですね(ちなみに父や弟との間には確執なんてありません)。
それを知らない矢波は、昔自分の作ったクッキーを喜んで食べていた頃の瑞希と同じ感覚で、次々手作りの甘いお菓子を持って来る。瑞希は当然、それを食べられないんだけど、理由も言えないというわけです。
矢波のヘタレた(しつこいけど褒めてますので)優しさ、瑞希の葛藤。トラウマを乗り越えようと、不器用に歩み寄って行く2人がすごくすごくよかった!『ラブ』よりトラウマ克服に重点が置かれてるんですが、それを無視しては、この2人はどこにも進みようがないから、それが自然だったと思います。
1編目ではいったん『克服』したはずの甘いものへのトラウマが、実はできてなかった、というのが続編で判明しますが、他の方も言われてるように、こういうトラウマって簡単にはいかないと思うんです。『恋が実って、トラウマも簡単に克服できてめでたしめでたし』ではちょっと安易過ぎ・・・?と思わなくもなかったので、続編での流れは説得力あってよかったですね。
もうひとつ、瑞希の弟・翼視点の最後のSSが素晴らしいです。特に父とのエピソードがたまりませんでした。最後の最後で泣かすなよ!と思ってしまいました。
そう言えば、私がちょっと気になってた、矢波が瑞希に言わせたセリフ(フランス語)は、作者さんがご自分のサイトで言われてたんですが、『君に恋をしているよ』だそうです。甘いな~。
ああ、なんか久し振りに『ディアプラスらしさ』を心ゆくまで堪能した気がします(意外とディアプラスでも、『えっ、このレーベルで・・・?』と思ってしまう作品もありますので。H描写そのものというよりは、『Hのための』流れとか?)。たまにはやっぱりこういうのも必要です、私には。
幼なじみの再会ものでちょっぴり切なくて、でもふんわり甘いストーリーです。
受け様の初恋は隣家の幼なじみで6歳年上の攻め様だったのです。
いつも手作りのクッキーをくれて優しく頭を撫でてくれる攻め様が好きで
子供心に一緒にいたいと思った受け様は断定的なプロポーズを幼稚園の頃に
既に攻め様に伝え、その後攻め様が引っ越しでいなくなると決まった時も
大きくなったら絶対迎えにいくからって、微笑ましいも切ない別れをしたのです。
そして月日が過ぎて20才になった受け様は・・・
極度の甘いもの嫌いでお菓子の匂いだけでも体調が悪くなる程で幼い時の
初恋の相手の夢とセットに出てくるクッキーにすら思い出すだけで吐き気を催す。
さらに受け様はどうやらゲイの性癖みたいなのに自分より大柄な男性が苦手で
近くに寄られるだけで動けなくなるほど恐怖に駆られる・・・
それは子供の頃の不運な出来事の為に、受け様が心に傷を負ってしまった結果で
自分の家族である父親や弟でも突然近づかれるだけでもダメで、かなりのトラウマ
そんな受け様が初恋の相手と再会するのですが、相手は昔の美少年の面影もなく
大柄なイケメンに成長していて、受け様の天敵みたいなパティシエになっていて
受け様は幼い時の思いですらその後のトラウマの為に喜べなくなっていて
再会した攻め様に対してもかなり態度が悪く刺々しい態度で接するのです
それは嫌いなお菓子を作る攻め様に対しての八つ当たりです。
でもその再会から攻め様はお菓子をお土産に受け様の家に遊びに来るようになり
昔の初恋相手だったこともあり、次第に距離が近づいていきます。
でも、甘いものがダメな事を攻め様には言えなくて、罪悪感も感じているのですが
嫌いになった理由を話す事も出来なくて・・・
過去のトラウマを攻め様との出会いで少しづつ癒されて、初恋が叶うお話ですが
完全に克服は出来ないって言う結構リアリティーのある設定でした。
受け様のトラウマの為に恋人になってからもふとしたきっかけで発症し
お互いが傷ついてしまうような繊細な面もあるのですが、それでも一緒に
いたいと願うお話になっているのです。
焦らないふんわりした時間が今後も流れていくような甘いお話です。
この話、表題作より、その後の「スイート×スイート」が、
さらにその後の「フレール」がよかった。
表題作だけだと、「瑞希がをトラウマを克服して初恋を成就した」って結末は、いくらなんでも、ちょっと軽すぎないか?って
まあ、雑誌に掲載される話としては、フィギュアスケートのショとプログラムみたいな物で、分量的にも、要素的にも不過足はないんだけど、でもそれだけって感じで、
それは作者さんも、思うことは同じだったようで、
それで書かれた続きのお話。
この、フラッシュバックを起こしても、無理に克服するのではなく、何が大丈夫なのかを確認して自分の現状を受け入れるって、この発想の前向きさが、とても好印象。
最後の弟の話も、ありがちな「まわりみんなホモ」展開に陥らないところも高評価。
簡単に言ってしまえば幼馴染みの再会モノ。
再会するまでの間に受に大きなトラウマができていましたよ、みたいな感じでしょうか。
そのトラウマは結構大きなものだと思うんですけど、攻と再会して昔の気持ちとか思い出して前向きに取り組もうとしているようにも見えるんですが。
甘いものが食べれたらトラウマも克服!という逆説的な展開に「いやいや、それはちょっと…」と受の友人と一緒になってつっこみたい気分になりました。
結果的に甘いものも食べれるようになって、攻のこともこわくなくなってハッピーエンド?
表題作ではそんな感じで非常に物足りなさを感じました。
が。
2話目でその思いは払拭されました。
大きなトラウマは完治してなかったということ。
そのことが原因で2人の間が少しギクシャクというか、それぞれに傷を負った感じというか。
それでも、受が前向きだったり、攻も包容力のある大人?な感じだったので切り抜けていることになるのですが。
個人的にはもう少し自分の中でぐるぐるしてくれる方がツボです。
自己嫌悪の嵐みたいな。
あれだけのトラウマがあるにしては、受ってかなり前向きだと思うんですよね。
まぁ、攻がいるから変わりたいと思う部分が大きいのかもしれませんが。
あとはなんとなく最初に出てきた攻のイメージより全体的に甘いイメージが強かったなぁと。
年が離れてるから甘やかしたい部分とかも多々にあるのかもしれませんが。
最初の方読んだ時はもっと硬派?な感じかと思ってました。
栗城さんの「今日も明日も会いたくて」が良かったので手にとりました。
受けの瑞希は小柄だけどけっこう漢気のある大学生。
過去のトラウマで、甘い物は香りだってダメ!大柄な男は弟だってダメ!
攻めの豪は瑞希の初恋の相手。
子供の頃はすごーく可愛くて瑞希が求婚しちゃうくらいだったのに、大きく成長し瑞希の鬼門、パティシエになって再会。
瑞希の過去のトラウマ話は先に想像がついてしまいました。
この原因自体はかなりヘビーですが、なんだろう、甘い物がやたら出てくるせいなのか、それとも瑞希が豪に再会してからかなり前向きに克服しようとしているせいなのか重くなり過ぎないです。
瑞希のトラウマはかなり重症だけれども、豪がいればたとえ克服出来なくても大丈夫だなと読後ホンワカしました。
トラウマを克服したと思っていた矢先の出来事や過去話は重いのに、不思議にさらーっとした感じでスイスイ読める作品です。
あともう少し、瑞希の豪への気持ちの移り変わりにページを割いて欲しかったとは思いますが。
瑞希の親友・怜央もイイ味出していました。
小柄で可愛いけど、中身漢!
(砂原糖子さんの「ミスター・ロマンチストの恋」の親友みたいな)
怜央の話も読みたい…
SSは、瑞希のトラウマの一端は自分のせいだと感じている弟くんのお話。
この話がラストにあることでこの作品を萌えにしました。