【SS付】【イラスト付】【電子限定著者直筆サイン&コメント入り】
昔の雑誌掲載作に加筆修正したもので、甘く切ない初恋再会ものになります。
えーと、雰囲気としては、少しほろ苦くてしっとり読ませる感じでしょうか。
これ、読み出したら面白くて面白くて、一気読みしちゃいましたよ。
こう言う、不器用な大人同士の拗らせラブって、めちゃくちゃ萌えますね。
過去作がベースのせいか、ここ最近の栗城作品とはまた雰囲気が違う所も新鮮でした。
看護師となって10年以上、32歳となった峯井。
彼が勤務している病院に、高校時代の親友・呉村が看護師としてやってきた事で再会します。
実は高校時代、呉村に密かな想いを抱いていた峯井。
しかし、寝ぼけてキスされた後の呉村の「間違えた。最悪」の言葉に深く傷付き、卒業と同時に連絡を絶った過去があってー・・・と言うお話です。
で、呉村の事が未だに忘れられず、ほろ苦い思い出として胸のうちに残り続けるままの峯井。
彼との再会に動揺して距離を置こうとしますが、何故か呉村はグイグイと近づいて来て・・・と言う流れ。
こちら、典型的な誤解による拗らせものなんですよね。
終始、受けである峯井の視点で進むんですけど、読者には手に取るように、二人の見事なスレ違いっぷりが分かる仕様になっておりまして。
こう、中性的な美人でありながら、わりとキツい峯井に、爽やかで人好きする呉村。
時系列順に丁寧に、二人の甘く切ない高校時代から始まり、現在の彼等と言う形でストーリーは進みます。
で、再会した二人の再び動き出した恋が、じっくり丁寧に綴られる。
繰り返しになりますが、二人ともすごく不器用なんですよ。
いつまでも初恋である呉村が忘れられず、心の奥底で想い続けてきた峯井。
彼の心情と言うのはとても複雑で、呉村と一緒に過ごす時間が、嬉しくもあり辛くもある。
もう忘れたい。
でも、どうしても忘れられない。
絶対に想いを悟られるワケには行かないのに、ふとした拍子に溢れだしてしまう恋しさ。
そんな峯井の心情が丁寧に綴られていて、読んでいてめちゃくちゃ萌えてしまう。
いや、過去のキス事件が深い心の傷となっていて、相当拗らせた状態なんですよ。
高校時代の彼ですが、いつからか呉村とキスする夢を見るようになり、自分の想いを自覚したんですよね。
そして、親友に恋心を抱いてしまった事に後ろめたさを持った矢先に、「最悪」と強い拒絶をされ、彼の恋と言うのは行き場を無くしてしまった。
そう、いつまでも囚われた状態と言いますか。
対して呉村ですが、彼もまた、峯井に対して特別な感情を抱いているように見えます。
こう、親友だと言う事を強調しながら、グイグイ距離を縮めてくる。
そして、ふいに強い執着心みたいなものを滲ませる。
果たして、「最悪」だと言った彼の真意とは。
また、再び親友として危ういバランスの上で付き合い出した二人の、恋の行方とはー?
と言うのが、キモであり見処だと思うんですけど。
とりあえずですね、読み終えた感想ですが、二人とも拗らせすぎだよ!ですかね。
いやもう、これはちょっと、かなり遠回りしちゃったねえしか出てこない。
こんな事で、ここまでスレ違っちゃうか?
なんて不器用なの、二人とも・・・。
そして、なんて臆病なの、二人とも!
もうこの先は、絶対幸せになってよ!!と。
こう、若干ですね、「最悪」にはイラついたりもするんですよ。
呉村もまた、いっぱいいっぱいだったであろう事は分かる。
分かるけど、そりゃないだろー?みたいな。
また、再会してからも同じ失敗を繰り返してたりするし。
この男。
その点では、納得行かないし、引っ掛かりもするのです。
まぁただ、不器用な大人二人が相当拗らせて、臆病な恋模様を繰り広げてのにめちゃくちゃ萌えちゃって。
こう、切なくほろ苦い、これぞまさに大人の恋愛なんですよね。
うん、すごく良かった。
ちなみにこちら、看護師同士になります。
看護師同士って珍しいと思うんですけど、同僚ならではの、気安いやりとりなんかも萌えましたよ。
お仕事時の。
あと、脇役である鳥谷野先生。
40代、バツイチの外科医で典型的な当て馬なんですけど、めっちゃ好き!
めっちゃいいキャラ!!
こういう、飄々としてるのに包容力のあるキャラ、めちゃくちゃいいですねぇ。
彼が峯井にチョッカイを出すたびに、萌えて萌えて仕方なかったですよ。
また、峯井がわりと鳥谷野に対しては、言いたい事を言ってるのも素敵。
当て馬好きとしては、本当に滾って仕方ないんだけど。
彼でぜひ、スピンオフをお願いしたい。
幼馴染の二人。
呉村の父親は、看護師。
峯井は、呉村の父に手当をしてもらったことから、看護師志望。
呉村も、峯井に引きずられるように看護師志望。
いつも一緒の二人は、看護師を目指して進学する学校も同じ・・はずだった。
いつものように一緒に受験勉強をした夜、呉村が寝ぼけて峯井にキス。
飛び起きた呉村は、舌打ちして「...最悪」と呟く。
その呟きを、峯井は「激しく拒絶された」と解釈。
以後、呉村から遠ざかる。学校も、黙って別を受験。
卒業式から10年音信不通。
10年後、呉村が峯井が勤務する病院に入ってきた。
「呟き」の誤解を解こうと、ひたすら逃げようとする峯井に呉村は努力する。
この部分の、追う人と逃げる人の、心理描写が面白くて良い。
呉村君が諦めない人でよかった。ハピエン。
作家買い。
タイトル、そしてあらすじから、切ないお話かなと思いつつ手に取りました。
栗城さんと言えば、ファンタジーものだったりスパダリ攻めが登場したり、といったお話を多く書かれる作家さま、のイメージが個人的にはありますが、今作品は地に足がついた、と言えばいいでしょうか。等身大の男性二人の恋のお話です。
主人公はDKの峯井。
彼は中学校時代からの親友である呉村にひそかに想いを寄せている。
「将来は看護師になりたい」という同じ夢を抱いていることもあって、彼らはずっと親友という立ち位置にいる。この想いがばれて疎遠になるくらいなら友人というポジションはキープしたい。
そんな想いを抱え、今日も今日とて呉村の傍にいる。
例え、呉村に彼女ができても、その想いに蓋をして。
が、ある日、寝ぼけた呉村にキスをされ、峯井にキスをしたことに気づいた呉村に「最悪」と言われたことをきっかけに峯井は呉村と進路を分かつことを決意する。大学進学を期に連絡を絶ち、看護師になって10年。中堅と言われる存在になり、仕事も楽しく、やりがいを見出している日々。
けれど、峯井はいまだに呉村への想いを引きずったまま。
そんな日々を過ごしている峯井だったが、ある日同じ病院に呉村が転職してきて―。
というお話。
ストーリーとしてはよくある展開です。
両片想いという王道の設定に加え、彼らをサポートしてくれる(当て馬ともいう)存在の同僚のドクターがいたり、拗らせた片想いを抱え、再会し、想いを通じ合わせるという。
バッサリ言ってしまうと目新しさはあまり感じないお話ではあるんです。先の先までスーッと見通せてしまう。
なのですが。
中学生の時に出会い、高校生で恋心を自覚し、そして社会人になって再会する。
という、おそらく多くの腐女子の皆さんの萌えと共感をきっちり抑えた作品で、時系列としては長めのお話ですが、さすが栗城先生といっていいでしょう。コンパクトに、けれど押さえどころはきちんと押さえてある文章で、中弛みすることなく一気にこの作品の持つ世界観へといざなわれます。
さらに、とにかく登場人物たちが魅力的。
峯井は綺麗なビジュアルを持ち、線の細い男性ではあるのですが、仕事には誇りとプライドを持ち、常に患者さんに対して誠実であろうとする。
一方の呉村は不器用で、でも一途に峯井を愛し続けてきた。
そんな二人のすれ違う恋に、思わず応援せずにはいられないのです。
そして二人を取り持つのが、同じ病院で働く医師の鳥谷野先生。
飄々としていて、けれど人の感情の機微に聡く、何より優しい。看護師の恋人がいるらしいですが、うん、彼のことじゃない?と思う登場人物もいて、思わず妄想してしまった…。
あー、彼メインのスピンオフ書いてほしいなあ…。
栗城先生、正座してお待ちしております。
そして一夜さんの描く挿絵も良かった。
表紙が素晴らしい。
青く、若かったDKの時。
そして、成長し、大人になり再会した二人。
そんな二人の内面だったり関係性をきっちり描き切った素晴らしい表紙でした。
本編は峯井視点で描かれていますが、終盤に番外編が収録されています。こちらは呉村視点。呉村視点で描いたことによって、本編の補足もあって、非常に読みやすかった。
切ない恋心を描いた作品ですが、その切なさと、彼ら二人の間に流れる愛情とのバランスが素晴らしく、読後ほっこり優しい気持ちになりました。
本作は昔に他社で雑誌掲載されたものを加筆修正した作品だそうです。
『一途に拗らせる十年愛』
と書かれているとおり長年拗らせた初恋が楽しめました。
表紙がとても好きです。
この絵だけで2人の心距離感がよくわかります。
(目線とか手の位置とか絶妙で良き…(;///;))
本編は受け視点・巻末の番外編は攻め視点と
両側の想いが知れたのも良かったです(﹡´◡`﹡ )
さてさて。
峯井(受け)は中学時代からの友人・呉村(攻め)に片想いをしていました。呉村とは将来看護師になる目標が同じで切磋琢磨しながら共に歩み、呉村宅では家族同然のニコイチ状態。この関係を壊すことが怖く、呉村に彼女が出来る度に心を痛め、彼女への嫉妬感情を心の奥底に沈めて。"一緒にいられればそれでいい"と思っていたのですね。
けれどある日を境に一緒にいればいるほど苦痛が増し、怖くなってしまって…。小さな嘘を重ねて少しずつ距離を置き、高校卒業式の日に友人関係が壊れてしまいました。
呉村を忘れられないまま10年以上が過ぎた頃、勤務先の病院で呉村と再会します。動揺した峯井はさりげなく距離を置いて最初は接しないよう心がけていましたが、昔と同じ親しみやすさ・一緒にいて楽しかった時間を思い出してしまうとズルズル会う機会が増えていってーーーーと展開します。
個人的には高校時代の回想が萌えMAXでした。
峯井がドキドキ片想いしている様子が切なくてキュンとくるのですよ…!そんで小さな嘘を重ね出すのも切ないんですが、嘘の欠片に気付いた呉村がめちゃくちゃショックをうけているのがもうッ!もうッッッ!!!傷つき萌え属性持ちにはホント堪らなかった…(;///;)このシーンは挿絵もあって更に感情が伝わり、めっっっちゃ切なキュンキュンしました。
と同時に、峯井の身勝手さも感じたかな…。多感な10代、自分の心を守るのに必死だったのかもしれない。けれど裏切りに近い形で呉村を傷つける必要があったのかな…と。(その段階で峯井視点だと)多少の落ち度はあれど呉村が特に悪いわけではないですからね~。
けれど番外編で呉村視点を読んで峯井がネガティブに誤解しても仕方ないぐらい追い詰めた呉村も呉村だったな…と思い直しました;ぶっちゃけ2人ともすごく面倒くさい!そんなだから10年以上も長い間、遠回りするハメになるんだよ~~~(;´Д`)ーーというのが読み終えた時の率直な感想です。
当て馬のようなキューピットのような立ち位置で登場する外科医がいるんですが、面白そうだから煽って楽しんだものの10年以上分拗らせまくった呉村&峯井の両片想いに巻き込まれ、結果的に面倒くさい状況に陥ったのは笑えたけれど同情したい気持ちにもなりました。(再会後の様子は互いの気持ちがミエミエなだけにホントにホンットに峯井と呉村が面倒くさいんですよw)
呉村視点・峯井視点、両側から見る高校時代のすれ違い過程はとってもよかったです。言葉が足りなかったし、臆病さ、意地、思い込んだら柔軟性が追いつかない感じ…どちらもちょっとずつ足りなくて誤解を招く。それで10年以上もすれ違うハメになるのは随分遠回りしてるな(苦笑)感もありましたが、今後は話し合いを大切にして空白の時間を埋められるといいなと思いました(﹡´◡`﹡ )
「手練れの作家さんが書く王道って実に面白いなぁ」と思ったのは、2020年5月現在の世界がいつもと違ってザワザワしている所為かもしれません。
今、私が読んでいて楽しいと思うのは『日常もの』だと気づきまして。
「ああ、この感染症流行の中でそれほど被害を被っていない私ですら、何らかの日常を失っているのだなぁ……」と感じたりしました。
お話の詳細は書きませんが、もう、絵に描いた様な『誤解・思い込み』で『すれ違い』の『両片思い』です。
「いつかどこかで読んだような気がする」とか「予想したとおりに話が進んで行く」とか、こんな風に書いてしまうと不満の様に見えるそのことこそが、この物語を読む快楽なんだと思うのですよね。
そんな楽しみ方が出来るのは栗城さんの筆が上手だから。
あとがきによれば『だいぶ昔に他社の雑誌に掲載されたものを加筆修正した』とのことです。
なるほどねぇ……こういう言い方もなんですが、リメイクなんだ。
知っている類の話、しかもリメイクをここまで楽しく読ませてくれるっていうのも凄いことだと思うんです。
その力に感激しました。