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表題作くろねこのなみだ

頬に傷のあるクロを保護した優しい獣医師 犬飼克己
人間と心が入れ替わったクロ(玖朗=佐藤瑞樹)

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

人間不信の黒猫は、ケガをしたところを獣医の犬飼克己に保護され、クロと名づけられる。人には無愛想だが動物には優しい克己のそばは心地良く、このまま一緒に暮らすのも悪くないーーそう思った矢先、散歩中に猫殺しに襲われ瀕死の状態に。なんとか克己の元に帰りたいと願いながらも意識を失ったクロが次に目覚めた時、その心は見知らぬ青年の体の中に入っていた…。人間に恋した黒猫のピュアラブストーリー。

(出版社より)

作品情報

作品名
くろねこのなみだ
著者
夏乃穂足 
イラスト
六芦かえで 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
ISBN
9784778113780
3.7

(48)

(21)

萌々

(11)

(5)

中立

(3)

趣味じゃない

(8)

レビュー数
9
得点
167
評価数
48
平均
3.7 / 5
神率
43.8%

レビュー投稿数9

受けの片思い、最高です!!

克己に命を助けられた黒猫のクロは、そのまま克己の飼い猫として幸せに暮らしていたところに、事件に巻き込まれて人間の青年と心が入れ替わってしまう。
慣れない人間の体で「おれはクロだよ!」と伝えても克己にはうまく伝わらず、
入れ替わった先の男の体もワケありで・・・というお話。

最初は猫として飼い主に今まで通り愛されたいと思っていたクロが、
克己と人間の体で接するうちに恋人としての愛情に変わっていく過程が面白かったです。
猫の世界で精いっぱいの愛情表現をしてみるも克己にはドン引きされ、
空回りするクロがとても愛しくて…。
コミカルなようでいて、伝わらない想いが切なくもあって、
受けの片思いが性癖の私はすごくツボでした・・・!
面白いシーンでは思わず声を出して笑い、泣けるシーンではワンワン泣いてしまいました。
クロはもともと猫なので人間としての情緒や感情に乏しく、言動がとてもピュアなんですよね。
克己に対する気持ちが恋の病だと教えられたクロが
「人間の恋は病なのだな。どうりで胸が痛いわけだ」というセリフがありますが、クロの発言がとにかく可愛くて愛おしいです。

獣医師をしている克己も、男気があって優しい素敵な攻め様です。
二人がくっついてからの二人の空気があまあまあま~~~!!
すごく好きな二人です^^
克己も、人間になったクロと出会ってからだんだんと変化していきます。

あとがきでは、作家さんが人間的な情緒がないクロの視点を描くのが難しかったとありますが、
猫から人間になっていく心の成長の過程は無理がなく、ナチュラルでお見事です!
終盤になると展開的にご都合主義が感じられるのですが、その辺をさらっと流せる方は楽しめるのではと思います。
何よりテンポがいいので、あまり深く考えず書いてあることをスッと受け取るに限る本だと思います(笑)
ストーリーは面白いです!
友人にオススメされて読みましたが、すごく好きな作品。
小暮が送ったいかがわしいオモチャで遊ぶ2人のSSをいつか読みたい…!

2

猫派はもちろん犬派にもオススメします

ケガをしたところを獣医の克己に助けられた黒猫のクロ。
人間不信だったクロですが、克己の優しさを受けて、孤独な克己の側に寄り添うようになります。
が、ある日クロは近所で起こっていた猫殺しに襲われてしまいます。
路肩で死にかけたクロの傍らに偶然捨てられた死にかけの若い男・・・次に目覚めた時、クロの魂はその若い男の中に入っていて、しかも若い男が唯一身に着けていたペンダントは克己の亡くなった兄が婚約者に送ったものでした。
クロだと主張しても誰にも分かって貰えず、記憶喪失の身元不明人として克己一緒に暮らすことになったクロは、猫の姿だったときと同様に克己に寄り添おうとするのですが上手くいかず・・・というお話です。

私はこの物語、かなり好きです。
猫から人間になって戸惑いながらも、ひたむきで一生懸命なクロ=玖朗が愛しかったです。
玖朗から目を離せなくなる克己の気持ちが良く分かる!!本当に可愛い!!
精神科医から克己への説明は至極正しくて、本当のことを言えば、克己は保護対象である玖朗を絶対に抱いてはいけなかったと思うんです。だけど玖朗=クロだと分かっている読者としては、早く二人がくっついて幸せになって欲しい!でも優しいからこそ克己が玖朗と距離を取ろうとしているのも分かるし!!
読みながら克己と一緒に葛藤してました。物語の登場人物の心情と、自分自身の想いとごちゃごちゃになったりもして、読んでいて楽しかったです。

猫は9回生まれ変わるそうで、クロは今回が8回目の生でした。
私は、クロは猫殺しに襲われたとき、本当は死んだのでは・・・と考えています。猫に生まれ変わりたいと呟いた佐藤瑞樹はクロの体へ生まれ変わり、克己の側にいたかったクロは9回目の生まれ変わりで瑞樹の体へ。今までみたいに生まれ変わったら克己の側にいられる可能性はぐっと低かっただろうし。
確かに瑞樹も倖生も沙耶子も、幸運と不運の帳尻が合っていたとは思えません。不幸だったならその分報われて幸せになって欲しいと思います。
でも、きっと今生を猫として生きている瑞樹たちは幸せなんだろうと思います。思いたいです。今が幸せなら、過去の不幸を嘆くのは止しておこうと思います。

私は、幸不幸の天秤が釣り合わないことよりも、小暮の行動が引っかかりました。
いくら克己のための行動でも玖朗を貶めようとした行為は、物語上必要でも少々強引な気がしました。
小暮よりも中西の方が読後印象に残っていて、小暮のキャラクターが勿体無い気がします。もう少し小暮にも活躍の場が欲しかったです。事件の後始末や、玖朗に猫耳と尻尾の玩具をプレゼントする以外にも(笑)

この物語、好きか受け入れられないか評価が別れてますね。
でも私は、健気受が好きな方にはオススメしたいと思います。クロのひたむきさに心打たれて欲しいです!

1

猫は泣かないのかな?

ファンタジーでありながら、夏乃穂足さんの、時に現実を容赦なく突き付けられているような気分になる淡々とした筆致が印象的な作品でした。私は特に動物好きでもないのですが猫好きだったら辛く感じる描写が結構あったように思います。

物語は主人公である黒猫・クロの一人称で進みます。クロは仔猫なのに思考が老成していて人間に対する警戒心が非常に強いのですが、ある日、獣医の克己に拾われたことが切欠でやがて彼の飼い猫になることを決意します。

私は結構この序盤の展開が好きで、老犬とクロの友情にジーンとしました。クロが初めて自分のアイデンティティーや他人の愛情に価値を見出すところが良かったです。ここで完結するのもいいんじゃないか、と思ったほどに笑

その後、ファンタジーが発動されてクロと人間の青年の心が入れ替わってしまうのですが、私は二人(一人と一匹)は最後は元に戻るんじゃないかなーと思いながら読んでいました。BL的にはもちろん人間の体であるべきでしょうが、飼い主と飼い猫の関係でも完璧な幸せの形だったように思ったので。

克己はこの後、玖朗の正体に気づくのでしょうか。個人的には気づかないままでもいい気がします。クロの新しい人生が幸多いものであることを願います。

3

もう一つの涙

 野良猫のクロは、弱っているところを獣医の克己に助けられます。しばらくは克己の動物病院で過ごしているのですが、クロが他の猫を虐待する人間を探していた矢先、裸の青年と心と体が入れ替わってしまうのです。

 元々は猫であったクロが、人間として暮らすのに、言葉も振る舞いも満足にできないけれど、それでも必死になって克己と心を通わせていく姿はかわいかったです。

 クロと入れ替わった裸の青年、佐藤瑞樹は、体を売られていた人間で、証拠隠滅のために捨てられてしまうのですが、今、彼はクロの体に宿っているのです。瑞樹も是非何かしらの形で幸せになって欲しいなと思った1冊でした。

3

クロの成長物語

皆さんのレビューを読んで納得がいかないと思われている人が結構いるんだなーとびっくりしました。
私的にはこの本を読んで非常に感動して沢山泣きすぎて頭が痛くなったくらいだったので(笑)

『くろねこのなみだ』はクロの成長物語です。主人公が成長していく話、大好きなんです。

人間は信用ならないと思っていたクロが段々克己を知って信頼するようになり、二人の関係が築き上げられていくところは、なんとも甘酸っぱい気分にさせられました。特にシャンソンがかかっている時の二人の様子がたまらなく好きです。

クロが人間の体に入ってしまった後、克己が自分だと言う事が分からずに、一緒にいて以前のように愛してもらえずにいる時はせつなかった。でもクロも段々受け取るばかりの愛から与える愛をあげたいと思うようになるのです。無償の愛なんですよ。

クロと克己には今までの分もずーっと幸せになってもらいたいなぁと思えるホントに素敵なお話でした。
私的には大満足です!

7

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