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表題作真夜中の寮に君臨せし者

八鬼沼志季,学園創始者の一族で瑛都のルームメイト・高等部1年生
天国瑛都,名門全寮制男子校叡嶺学園の外部入学生・高等部1年生

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

将来は政財医のエリートか、
大舞台で活躍する俳優か──。
専門コースを持つ孤島の名門全寮制男子校に
入学した瑛都。頭脳にも演技の才能にも恵まれ、
進路の選択に悩む瑛都のルームメイトは、
同級生の志季。芝居の相方としては相性抜群なのに、
誰とも馴れ合わない不遜な志季は、
「荷物を纏めてさっさと帰れ」と
瑛都にはなぜか冷たくて…!?
己の才能を信じて競い、研鑽する、
少年達の恋の軌跡!!

作品情報

作品名
真夜中の寮に君臨せし者
著者
夏乃穂足 
イラスト
円陣闇丸 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199009952
4.1

(44)

(23)

萌々

(10)

(5)

中立

(5)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
8
得点
175
評価数
44
平均
4.1 / 5
神率
52.3%

レビュー投稿数8

続編見たい

円陣闇丸先生のイラストがとても美麗で、電子書籍が発売する前から気になっていたのですが、口コミを読んで、ドロドロした内容だったらどうしよう...と買うのを迷っていました。

夏乃先生の著作は、飼い犬に手を咬まれるな、を先日読んだのですが、好きな要素はあるも、もちょっと早く攻め(の精神)に救いが欲しいし、ダークすぎると思っていたので、余計に迷ってましたが、結果、今回は買って正解でした!

主人公(受け)の心がピュアでキュンとするし、攻めもツンデレながら溺愛してるし、色々事件は起こるも、基本的に友人も主人公も、根がいいし、学園ものらしく成長も描かれていて、総じて青春でした。

最後の攻め視点の短編、もうちょっと読んでみたかったなぁ。主人公みたいな美人で天然な子が恋人なんて、超幸せと思う〜けど心配は尽きないだろうな笑

とにかく、読後は爽やかで、とっても良かった〜
先輩CPで続編ありそう。楽しみです。

9

芸能もので寮もの

離島丸ごと富裕層向け中高一貫校で寮生活
演劇か経済界のサラブレッドを育てるという学校に
有名女優と有名会社社長の間に生まれた息子という煌びやかなバックグランドを持つ天国瑛都が入学してくる
かなり浮世離れしてるのですが
この瑛都がとても真面目で素直すぎるくらいまっすぐで
演劇の道を進んでいくのが心配になるくらい純粋
でも演技を通して仲間を作り嫉妬や恋心を経験して人としての厚みを持っていきます
学校にまつわる不思議な伝説や
彼らが演じる役や物語
役柄にどう向き合うかを通して
相手役である不思議な同室者の不穏な言動と近づいてくる距離感が自然に近づいていく
それもある意味異次元なんですが高校生らしさも失っておらずチート過ぎないとこが良かったです

二人の距離がグッと近づく冬休みのシーンはとてもロマンティック
舞台で愛を確認した二人が舞台を降りて愛を確かめ合うエチシーンはとても良かったです
傲慢だった志季が持つ秘密などモリモリですのに
他の方も仰っていますが読後感がとても爽やかでした
一読したあともう一回読むと志季の苦労が偲ばれました(笑)

高校3年間の最初の一年間なら残り2年や、めっちゃ匂わせてくれた先輩カップルのお話なども読んでみたいです

4

読後の幸福感大

舞台は瀬戸内海に浮かぶ学園。
そこで意図せずも繰り広げられる数々の出来事(事件?)。
好みのど真ん中でもう読まないという手はありませんでした・・・

繊細な絵で彩られた表紙から素敵なのですが、ストーリーも負けず劣らず本当に素晴らしかったです。
この本の出版に関わって下さった全ての方、本当にありがとうございます。
まさに「神」という評価に劣らないお話だったと思います。

主役から脇役まで、めいめいが個性豊かで読んでいてとてもわくわくしました。
しかしこのお話、わくわくだけではありません。
ドキッとさせられることもありますし、あっと驚く展開だってあります。
ぜひ、ネタバレなしで読んでいただきたいです。
あの一文(志季が秘密を明かした科白)には痺れました。
読了後の方ならお分かりかと思いますが、まさかという感じでしたね。

そこからのストーリー展開は多少のドタバタ感があったものの、その事実を通して二人がお互いの想いを打ち明ける場面は本当に素敵でした。
大切に宝石箱にしまっておきたいくらい美しいキラキラが、本から飛び出してきたかと思いました・・・

想いが通じ合った後の、森の家でのえっちもほんとにキュンキュンしました。
他の方もおっしゃっているのですが、喘ぎ声で多くを語るのではなく、二人の会話や文章でどんな様子かを語っているのがとても萌えでした。
志季が瑛都に自分の目に映っている瑛都の感情の様子を伝える場面では、もう萌えを超えた何かが私の中に生まれました。
夏乃先生、ありがとうございます。

そして、主役カプもさることながら、先輩カプと同級生カプにも萌えが止まりませんでした。
とくに先輩カプは気になります。
できることなら、3組のカップルの続編、もしくはスピンオフが見たいです・・・
どれだけ時間がかかっても待ちますので、よろしくお願いします。

3

斬新なスパイスで味付けされた全寮制もの

作家様独自の設定が面白かったです。
いわゆる富裕層出身の者が集まる全寮制の男子校ものではあるのだけれど、耽美だったり陰鬱な雰囲気はあまり感じられません。
どちらかというと爽やかさと華やかさを感じるのは、演劇面の描写が多いことと、メインキャラクター周辺の学園内で育まれる友人関係が密に描かれているからなのかな。
そして何より、主人公の性格がとても良い!
全寮制学園+演劇という斬新さに、オカルトやミステリー風な謎があったりと、1冊の中にさまざまなスパイスが加えられた内容となっています。

舞台は瀬戸内海に浮かぶ"学園島"と呼ばれている、島全体が敷地の全寮制男子校・私立叡嶺(えいれい)学園。
各界の重鎮達が己の財力と理想を注ぎ込んだ、トップエリートの育成校として名を馳せている富裕層向けの学園です。
こちらの学園では、高等部2年生へと進級する際に、政財医コースと芸術芸能コースの2パターンのどちらかの進路を選択する…と、あまり見かけない珍しい設定があったりと、一風変わった現代らしい全寮制学園ものでした。
中等部に関する記述もあるようなので、中高一貫校なのでしょうか。

息子を役者の道に進ませたい母親と、後継者として会社を継がせたい父親の諍い。
のしかかる期待に息詰まらせながら、どちら側にもつけず、逃げるようにどちらも目指せる学園へ外部入学特待生として進学した瑛都。
そんな彼が寮で同室になったのは、八鬼沼志季という大人びた容姿の美しい少年。
初対面のはずなのに不遜な態度で「荷物をまとめて帰れ」と脅すように押し倒され、最悪な出会いを果たしますが、同じクラス・同じ演劇選択学科で…と続きます。

学園内での恋愛ものというよりは、モラトリアム期真っ只中の少年達をメインに描いた成長物語ですね。
瑛都が演劇科目を選択しているので、政財医面の描写は少なめ。
元子役、老舗呉服店の跡取り、俳優を目指し特待生入学をした富裕層ではない少年など、周りを囲む友人達も個性豊かでした。
登場人物が少し多いのですが、そこまで沢山出張る訳でも無いですし、メイン2人と友人数人を覚えておくだけでも問題は無いかと思います。

願い事を書いた短冊を「天使の木」に結ぶと「天使の仮面」に選ばれ、選ばれた者はどんな願いでも叶うけれど、その後に仮面と共に謎の失踪を遂げた者も居るという学園の七不思議。
序盤にさり気なく描かれていたこちらのエピソードですが、これが途中から効いて来て面白い。
天使の木と仮面をきっかけに、ミステリの雰囲気が強く出て来たり、少年達の不安定な心が描写されていく。
登場人物達の心の底にある鬱屈とした部分の仮面が剥がれていくようで、七不思議と上手く絡めているなと感じます。

主人公である瑛都が、女優である母親譲りの華やかな容姿、父親は会社経営者、子供劇団で培った演技力、特待生入学出来るほどの頭脳と、これまたとても恵まれている人物なのですが、全くスレた部分がない子なんですよね。
昔の友達を大切にしていたり、新しい学校では友達が出来ると嬉しいなあなんて考えているような、美しい外見と子供のようにピュアで優しくふわふわとした内面のギャップに嫌味のない愛らしさを感じます。
演劇かそれ以外かで悩んでいる様子ですが、志季や周囲の演技に刺激され、切磋琢磨していく内に芝居の道に魅力を感じるようになっていきます。
志季と演じる内に、誰かのコピーのようだった芝居が変化していくのも良かったですし、芝居を通じて志季との距離が縮まって惹かれていくのも良かった。
物凄く良い子なんですよ。
非常に好感度の高い受けでした。

そして、冷たそうに見えた志季が、蓋を開けて見ればものすごく可愛いやつで、読み進めるに連れてぼろぼろと可愛い部分が出て来てしまうんですよ。
クリスマスのエピソードがめちゃくちゃ可愛くて萌えるしかなかった。
共感覚設定は、ただでさえハッキングやらなんやら出来てしまうというのに、ここで更に設定を増やすのか?と一瞬思ってしまったのですが、この設定を踏まえて読み返してみると、その能力ゆえの境遇が切なかったり、瑛都からの想いに気付き悶えそうになりながらも素知らぬ顔をしていたり、隠し切れずにちょっとデレていたりと、いやこれはすごく萌えるのでは…??
色で見えてしまった瑛都の内面を知って、より好きになっていったと…頭を抱えて萌えた…
瑛都を颯爽と救いに来るスパダリさや有能さもあわせ持ちながら、心配すぎて裏で根回しをして同室・同クラスになってしまう可愛い攻めでした。
なんだか可愛いしか書けていませんね。可愛かったです。
なんだかんだで瑛都が包容力のある子なので、自身の能力にどんなに不安があっても、その不安ごとまるっと抱きしめてしまうのではないのかなと思います。
想いが通じ合ってからのベッドシーンが1ダースもあったゴムを使い切ってしまうくらいの若さと勢いと愛が溢れるものでした。

本当に盛り沢山の内容だったので、ひとつひとつの展開をもう少しじっくりと読みたい気もしましたし、やや詰め込み気味な部分もあったかなと感じるものの、一気に読めてしまう面白さがありました。
いやあ、もっと読みたかったな。面白かった。
タイトルだけを見ると、かなりシリアス路線の作品に見えますよね。
シリアスさもあるのですけれど、非常にバランスの良いお話なので…うーん、ちょっとこのタイトルは合っていないかも。

呉服屋の跡取りの晴臣と元子役の眞秀、先輩の優美な水川と口を開くと残念な榊の組み合わせも読んでみたいななんて。
続編・またはスピンオフも期待したくなる作品でした。
この設定はこれだけで終わらせてしまうには勿体ないと思う。

10

映ずる虚像と秘された真実

今回は学園創始者一族で現理事長を祖父に持つ孤高の同級生と
大女優を母に持ち華やかな容姿の特待生のお話です。

特待生入学した受様が仲間達と切磋琢磨する中、学園の七不思議が関わる
事件に巻きこまれながら進むべき未来を見つけるまで。

受様は一代で財を成した野心的な起業家と美貌の女優の間に生まれた1人
息子です。働きながら夜間高校を出た父は受様にかける金を惜しまず、
受様を各界の重鎮達が後継者創出を目標として設立した叡嶺学園に高額な
寄付金と共に送り込みます。

受様は初年度の奨学金を獲得した優秀な頭脳と、数々の習い事により培わ
れた高い身体能力と人を惹きつける美貌を持ち合わせていました。その上、
中学卒業までに所属していた子供劇団では当然のように主役を務めるほど
演技の才能も有りました。

それ故に受様が物心ついた頃からずっと受様の未来を巡る諍いが堪えず、
受様は会社を継がせたい父と役者の道を歩ませたい母のため、政財医か
芸術芸能の2つの進路を選択できる叡嶺学園への進学を決めたのです。

それでも受様に残された日々はコース選択をするまでの1年間しかなく、
どちらを選んでもどちらかを失望させる選択をせざるを得ず。せめてこの
1年で自分の適性と望みを見極め、辛くても答えを出す決意しています。

瀬戸内海に浮かぶ島が丸ごと学園の敷地であり、基本的に生徒は長期の
休み以外は島から出る事は出来ません。受様は中高合わせて7寮あるうち
の1つ、薫風寮の寮生となります。

寮は全て同学年同士の相部屋で、受様はできればルームメイトと仲良くな
り、親友と呼べる関係になりたいと望んでいました。あらゆる面で人目を
ひく受様は常に周りから特別扱いされて普通に仲の良い友人を得ることが
叶わなかったのです。

ところがそんな受様の細やかな願いはルームメイトとの初対面で粉々に
砕け散ってしまうのです!!

受様のルームメイトは学園の中心的創始者の一族で現理事長の孫であり、
学園の主とまで言われる攻様だったのですが「初めまして」と挨拶をした
受様に攻様は冷たい声でこんなことを言い放つのです。

どうしてこの島に来た。この学園島は飢えた獣共を閉じ込めた檻だ。
お前みたいなのが入ってきたらどういう事が起きるか、想像した事はある
のか。

受様には攻様の言いたい事が全く判らずにいますが、攻様に腕を捩じり上
げられ、口に布のようなものを押し込まれ、脱ぎかけのシャツで両腕を
縛り上げられてベッドに突き飛ばされて、油断していればレイプされると
実地で教えられてしまうのです。

手を緩めた攻様になんとか反撃しようとする受様ですが、周り蹴りも不発
に終わり攻様を面白がらせただけで終わってしまいます。

果たして攻様の言葉は単なる嫌がらせなのか? はたまた忠告なのか?
そして受様の学園生活の行方とは!?

各界の重鎮達の思惑により創立されたエリート育成校を舞台にした学園
ミステリーとなります♪

成金な父親と美人女優の間に生まれた受様は、優秀な頭脳と母譲りの美貌
でいつも注目の的でしたが、幼い頃からぶつかり合う両親の元で育った為
人の顔色を見て出方を決めるタイプで、決して押しが強い方ではありませ
ん。

しかしながら様々な面で秀でている受様によって来る人達は、受様と共に
いる事で何かしらのメリットを得たいと思う輩ばかりで、ごく普通に楽し
い時を過ごす友人を得ることが受様の密かな願いでした。

そんな見た目と中味のギャップがあり過ぎる受様はちょっと天然かかった
優等生君なので、元子役の美少年、老舗呉服店の跡取り息子、受様のファ
ンだと言う俳優を目指す特待生という友人達も得、選択した演劇の授業で
その才能を開花させていきますが、

攻様の懸念した通り、中等部あがりで学園で幅を利かせる上級生一派に輪
姦されそうになったり、俳優を目指す特待生や元子役の友人が学園の七不
思議の1つである"天使の仮面"に取り憑かれたりと、閉ざされた島内、閉ざ
された学園内で様々な事件に巻き込まれ行くのです。

一見、無関係に見える出来事、登場人物の言動に隠された想い、積み重な
る事で見えてくる違和感や綻びを繋げていく事で明らかになっていく真実
に受様と一緒にハラハラししつつ、とても楽しく読ませて頂きました。

友人を信じられなくなったり、自身の才能に限界を感じたり、困難や苦し
みを乗り越えてようとあがく受様を、突き放しながらも守り続ける攻様の
いじめっ子気質なツンデレ言動がすっごく萌えツボでした♡

ただ、攻様が5才で両親の元を離れる事になった異能設定が本作の世界感
にちょっと合わない感じがしてしまったので、今回は「萌2」評価とさせ
て頂きます。嫌いな設定じゃないけどジョーカー感があり過ぎたかな。

8

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