あのころからずっと、あんたに夢中だ。

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表題作報われない恋の代償

佐竹龍二,身分違いからのし上がった会社社長
円城葭也,名門の子息でファンド会長

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

過酷な生い立ちを、まるで野良犬のように、女を利用して生きてきた龍二。生きる意味などなかったが、高校の夏、剣道の試合のため訪問中の凛然と美しい男に強く惹かれた。彼は名門校に通う旧華族の令息、園城葭也。話をしたくとも、厳重な警護の中で暮らす葭也の世界はかけ離れていて、近づくことすらできない。冷艶な彼の表情を歪めてみたい――初めての執着に、手を尽くして葭也と接触できたが、止まらない熱情は、強引に唇を奪うことしかできなくて……。

(出版社より)

作品情報

作品名
報われない恋の代償
著者
義月粧子 
イラスト
小路龍流 
媒体
小説
出版社
ブライト出版
レーベル
ローズキーノベルズ
発売日
ISBN
9784861232626
3.7

(18)

(2)

萌々

(12)

(2)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
6
得点
66
評価数
18
平均
3.7 / 5
神率
11.1%

レビュー投稿数6

高嶺の花に一目惚れした野良犬の10年愛

攻めざまぁそのものではないけど、攻めざまぁお好きな方なら、楽しめると思います。

あとがきで「私の書く話では報われないのは受けと決まっていて、傲慢な攻めたちは読者から大ブーイングを浴びながらも好き放題の限りを尽くしてきた。そんな彼らの罪を背負ったような、そんな攻めになった」とありまして。
つまり、たまには攻め、お前が苦労してみろよ!と、今まで散々な目にあわされてきた受け達の怨念(?)がこもってるかのごとく、この作品の攻めは、受けから相手にされず、報われず、苦労しまくってます。

そもそも、近づく事すら至難の技。

何故なら受けの葭也は、旧華族の御曹司。
一方の攻めの龍二は、虐待されて育ち、高校生にしてヒモで、日々喧嘩に明け暮れてるアウトロー。

住む世界があまりにも違う。

龍二は顔が抜群でタラシでカリスマ性もあって女がわんさと寄ってくるんですね。
そんな自分を最大限生かして、葭也に近づくために女も利用するし、時には危ない橋を渡る。
転がり落ちるままヤクザに片足つっこみかけて、死にかけて目が覚めるんです。

葭也をただ抱くだけではなく、尊敬されたい。
そして、自分の人生と引き換えにしても彼が欲しいと。

そこから裸一貫でのしあがり、ついに仕事で接点を持てるまでになるけど、相変わらず全く相手にされないんですよ。
無理やり抱けば、毒殺しようとするし!

と、思ってたら何故か龍二に抱かれるようになり、幸せの絶頂だった龍二の前から突然姿を消す葭也…
(ここ、自分への復讐なのか……と絶望の縁に立たされる龍二の心境が綴られているので、攻めざまぁ変化形として楽しめる)

そして、財団の持ち逃げが発覚した際、会長である葭也の名誉に傷がつかないよう、コッソリと私財をすべて投げうって窮地を救い、無一文になる龍二、あんた凄いよ…!
破れかぶれだった野良犬が、ここまでになるんだ!と。

で、最後の最後で、何故消えたか、何故気持ちに応えなかったの理由が明かされるんだけど、龍二はそれを聞いてガツンと殴られたようなショックを受けるんですね。
ここも、攻めざまぁの変化形だと思う!

ちるちるから、電子のリンク消えてるけど電子で販売中です。残念ながら挿絵はありません。

面白かったのでオマケして神で。

初読み作家さんなので、他作品も読んでみたいなと思ったら、俺様攻めに受けが苦労させられるのが多いとの事で、悩むわ……
攻めが苦労するのは、大好物なんだけど逆はちょっと…







5

攻め君に胸キュン

とても面白かった!劣悪な家庭環境で育った攻め君(不良で人たらし、めちゃくちゃもてる)が、由緒ある家柄の美貌の受け君を一途に追いかけ、なにも持たない身から必死に努力を重ね、自分の力で受け君の前に立てるまでに成長する姿に胸キュン。いつまでも攻め君が振り向いてもらえなくてどう結ばれるか読めない展開で、受け君に全てを捧げる攻め君に幸せになってほしい!と応援する気持ちで読み進んだ。女にはもてまくるのにたった1つの恋にここまで一途に全てを捧げられる攻め、尊いでしょ。生命力強そうな攻め君ですごく好みだった。

1

冷血の美学

 これまで幾多の薄倖な受けをさらなる不幸のズンドコ(死語ですか?)に容赦なく突き落としてきた義月作品。その報いを一身に受ける羽目になるのが本作の攻めの龍二です。野良犬と深窓の令嬢の身分を超えた恋といえば、大映ドラマの昔から、ある意味王道でもあるわけですが、本作ではなんたって令嬢ならぬ旧華族のおぼっちゃま、受け葭也のクール・ビューティーぶりが際立ってます。
 
 クールというより冷血、その美貌の下には一滴の温かい血も通ってないのかと思わせる徹底した揺るぎなさ。冒頭のシーン、ヤクザにボコられて半死半生の龍二が、最後に一目・・・と這うようにしてお屋敷に訪ねてくるとこなんですが、それに対する葭也の決め台詞は「出直してこい」。この氷の姫君の心は、生半可なことではとけやしないのです。

 龍二は生い立ちこそ野良犬だけど、ルックスや才気には恵まれていた。何より人を惹きつける、天性のフェロモン、人たらしの能力があった。群がる女たちの波間をうまく泳ぎ切って、もっと楽に面白おかしく生きていくこともできたはず。葭也を欲しいとさえ思わなければ。生まれてこのかた色恋沙汰では一度も不自由したことのない傲慢・俺様な彼が、ただ一人本気で焦がれた相手が絶対に手に入らない高嶺の花だった。このシチュエーション、結構ぞくぞくします。

 葭也に近づくため、龍二は使える手は何でも使います。その他大勢の女を平気で利用してポイ捨てもする。その代わり報いも相応に受けることになるけど、甘んじて受け入れる潔さもあり、見ていて不快ではない。賢い彼は自分の限界を見切っていて、なおそれを越えようとあがく。のし上がるための努力も人一倍していて、次第に彼を応援せざるを得ない心地になる。

 龍二があがいて、あがいて、やっと葭也に向き合えるポジションと財力を手にしても、葭也は相変わらずつれない。強引に身体の関係に持ち込めば、毒殺しようとまでする。葭也が望むなら、と毒をあおるのもためらわない龍二。ついには葭也の危機を救うために、これまで築いてきたすべてを擲って全く後悔しない。ここまでされて葭也はようやく・・・

 この氷の姫君ときたら、本当に最後の最後でしか真情を吐露しないので、龍二ばかりか読み手まで、報われないまま終わるんじゃないかとハラを括りかけました。「愛してる」とささやいてスーッとひとすじ、綺麗な涙を流すのも、普通は受けの役どころでしょうが、本作では龍二でしたし。

 だからこそ最後の葭也の告白には仰天。あのノーブルな顔の下でそんなイケナイ妄想を・・・それでも自分を見失わず、冷静に自他を分析していたのはさすが。やっぱり好きです義月作品の一筋縄ではいかない面々。いつもは少々無表情すぎて味気ないくらいの小路龍流さんの絵もこのお話にはドンピシャでした。
 
 

3

攻めが報われないとこうなるのか・・・

あとがきにもしっかり書いてあったのですが、報われない恋をしているのが、
傲慢で退廃的な攻め様なのですから、逆にかなりインパクトがあって面白い。
これで受け様が報われない恋をしているのならありがちな展開で左程惹かれる事も無い、
王道的なストーリーになっていたと思うけど、攻め様が報われないってだけで、
こうも、萌え心を擽られるとは思っていませんでしたね。

母子家庭で虐待されながらもしぶとく生きる攻め様、この辺は持って生まれた容姿の
良さもあり、年上の女性に面倒みられながらある意味賢く生きてるのかも。
でも女は何もしなくても寄ってくるし、欲しいと思うものも無く、
左程生きる目的も無い、高校時代から始まる話で、早くからヤリたい盛りは過ぎて、
はけ口が今度はケンカの方に移行していく。
そんな時に良家の子供が通う名門校の受け様に出会い、一目ぼれ状態に陥る。

この時から、初めて欲しいと本気で思った相手を手に入れる為に多様な策を練るけど、
攻め様を相手にもしていないし、接点も何もない攻め様は焦れる一方なのです。
まるで女王様に恋する野良犬なんですが、この攻め様、ロクでもないかと思えば
受け様が好き過ぎて、ケダモノにもなれないヘタレだったりする。
抱きたいけれど嫌がれれば手を放すし、受け様が負ったダメージを考えて、
罪悪感に苛まれる攻め様で、健気に受け様に恋した事で生き方まで変わっていく。
受け様と知り合う為に利用した女の子に復讐され、死ぬかもしれないなんて事態になり、
そこでも一目受け様に会いたいなんて思う健気ワンコ。
その受け様は、野良犬に知り合いはいないと冷淡に排除。
う~ん、どこまでも報われない攻め様なんですが、それでも諦められないのはある意味
凄すぎで、野良犬と言われ、立場の違いに近寄れない攻め様は、やっぱり受け様の
傍に行くためだけに、猛勉強しながら会社を立ち上げて何とか近づける立場になるが、
それでも、受け様には相手にされていない。

受け様の筋金入りの女王様のようにプライドが高い事が、過去の攻め様の悪事を
忘れていないし許していないから余計なんですよね。
もう少しで受け様に殺されそうになる攻め様は、それでもいいなんて真剣に思う程
受け様にぞっこん状態で、思わず同情しちゃいます(笑)

まぁ、受け様はプライドも高いけれど、良いところのお坊ちゃまで、クーデレ。
10年もストーカー並に思いを寄せられれば絆されるかと思いきや、素直でもないし、
学生時代に攻め様に無礼を受けて告白されてから、攻め様の動向は気にしていたなんて
オチが後半になってやっと露見するのですが、思いが通じ合ってからの受け様は
以外にも男前な所もなって素敵でしたね。
読んでるとシリアスな雰囲気があるのですが、何処かシュールで、最後は甘い。
なかなか楽しめる作品だったように思います。

2

欲しいものはなんとしても手に入れるのだ

なかなかここまでに、蹴られても殴られても(大仰)すげにされても蔑まれても、どうしても欲しいものの為、
運良く身についていた人タラシのその技とたゆまぬ努力で、手の届かない人を手に入れる話。
読んでる途中で、無理じゃない?絶望的じゃない?そう思えたりもしたのですが、ここまでのまっすぐな執着モノは、ちょっと珍しいお話だったかもしれません。
なので彼の運の良さがファンタジー要素でもあるんだと思うのですが、しかし、彼の本気はマジでした。

親から死ねばいいとさえ云われ育児放棄して育てられた龍二ですが、彼の外見と要領の良さと運のよさが幸いして、生活の面倒を見てくれるパトロネスが高校生にしており、彼女のおかげで底辺高校であるが学生をやっていることができる。
そんな彼が、偶然体育館で見たとても美しい男・・・それが円城葭也でした。
彼は元華族の家柄というだけでなく、現在も権力のある家柄の息子で名門校に通い、送迎の車付きで登下校し、とても龍二が近寄れる相手ではありません。
女子にモテるそのルックスを使って、葭也の通う学園の女子を誘惑し学園に入り込んだりもしますが、女生徒を手玉に取りすぎたせいで恨みを買い、龍二は学校を退学するはめに。
荒れて喧嘩三昧するしかない龍二がボロボロの身体で向かった先は葭也の家。
大怪我を負った彼は病院へ運び込まれ、そして命を長らえたことで彼は一年発起して、葭也に見合う、彼と正々堂々と対等になれる男になるために生まれ変わるのでした。

葭也に合える人間になるまでは、彼なりにどりょくして苦労しております。
しかし、その後も彼は努力を惜しみません。
何とか葭也と対面で合う為に努力するのも、仕事も何もかも葭也の為。
対する葭也のキャラクターは、深層のお姫様というわけでもないですが、ストイックで感情を見せない人形のようでもあり、人柄がつかみにくい人物でありました。
しかし、龍二の見事なエスコートと献身にほだされないわけないですよね!
脅しで龍二に毒を盛った葭也ですが、それを知りながら煽ろうとする龍二にもう完敗です。
その後、起きた葭也が会長を勤めるファンドの危機に、龍二が私財・会社、全てを投げ打って助けようとする健気ぶりは、妄信的としか・・・
男冥利につきるというか、なんというかwww
そして明かさされる葭也の本当の気持ち。
やはりクーデレでした。

話はとても単純でシンプルです。
しかし、まれに見る献身・健気が超ド級の攻めという設定は、かなり珍しくこういうのもたまには悪くないなんて、思えたりもするのです♪

6

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