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表題作手を繋いで視線を重ねて

宝生健吾・6歳児を持つ会社員 
柳カナメ・フリーのイラストレーター25歳

その他の収録作品

  • 繋いだ手の先
  • あとがき

あらすじ

三白眼で、見た目にコンプレックスのあるカナメは、インドア派のイラストレーター。ある朝、なじみのカフェで優しい年上の男・宝生に出会い一目で惹かれるが、彼には幼い子供がいるようで…。

作品情報

作品名
手を繋いで視線を重ねて
著者
椿めい 
イラスト
神田猫 
媒体
小説
出版社
白泉社
レーベル
花丸文庫
発売日
ISBN
9784592876991
3.1

(8)

(1)

萌々

(1)

(5)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
3
得点
24
評価数
8
平均
3.1 / 5
神率
12.5%

レビュー投稿数3

トラウマの解けるまで

とても丁寧な綴り方で、新人さんの初文庫?と思ってあとがきを見たら2冊目なのですが、デビューのきっかけになった作品だそうです。
あれ?と思って作家を見たらデビュー作品は花丸文庫で10年に出た『拙いゆびきり』が(レビューしてありました!)
中折に既刊で記入されてないってことは絶版になったの?
しかし、初々しいという感じはあながちハズレでなかったようで。
前作の時、自分は「拙い作品」と酷評してしまいましたがこの作品丁寧さが見えて、誠実な本になっていると思います。(それとも自分に許容ができたのかな)
ただ、主人公にトラウマがあってという点でちょっと傾向は似ているのかな?と思わなくもないのですが。
あと、子連れモノなのに何故か子供が気にならない不思議な作品で、
主人公目線で、彼の報われた幸せに素直によかったね、と思わる作品でした。

生まれつきつり目で三白眼、目つきが悪く親からも疎まれて、人柄を知れば仲良くなれるのに多くの人には誤解されて、それがコンプレックスとなりグラスを手放さずには外出できないゲイのイラストレーター・カナメ。
自炊派ですが、仕事がつまっていて食材がなかったために行きつけのカフェでモーニングを摂りに行った時に出会った親子に目が惹きつけられます。
その父親・宝生はカナメのタイプの男性。
しかし二度目の再会は早く、最初の時にカナメのデザインしたキャラクターを宝生の息子が好きというのを聞いてこっそりマスターに頼んでそれのついたストラップをあげたことへのお礼を言われます。
3度目は出かけた書店で、迷子になった宝生の息子・俊平と出会ったこと。
それをきっかけに、宝生親子と仲良くなり宝生の出張には俊平を預かるまでになるのですが、カナメは宝生への想いを封じ込めなくてはならなくて。
しかし俊平のお泊り保育の晩、飲んでいた勢いで宝生にキスされそして抱かれるカナメなのですが・・・

割と子連れ王道路線の展開でした。
カナメのコンプレックスも親が目つきが悪いのが親に似ていないと愛情を与えられなかったこと、と言っていますがどうやら他にもこの親夫婦自体に問題がありそうですね。
しかし、その親の態度でカナメが縮こまってしまったのは確か。
それに性癖の問題と高校時代の出来事で、彼がもう恋はしないと決めた負い目もあるのです。
それが宝生が子連れという設定とうまくリンクして、カナメという人間をよく見せてくれていると思います。
かわいいよ、カナメ。

一方、宝生はタチが悪いかな?
ノンケの無意識のひどさというか無神経というか、言葉が悪かったですねw
当人は「好き」を表現したつもりだったらしいですが、アレでは読者も絶対違うって思うよ(笑)
後日だから笑い話だけど・・・
妻(俊平にとっては母親?)の存在も怖くてカナメが聞けなかったのもあるが、それがゆえの大いなる勘違い。
聞きたいけど好きだから傷つくのが怖くて聞けない、その気持ちもよくわかる!
事情も詳しく説明しないでカナメに子供の世話をお願いする宝生って無神経?
それにちょっぴり親バカかもしれないデスw

後半【繋いだ手の先】は恋人になったその後、カナメが心残りにしているが罪悪感も感じている担任教師も参加した同窓会の案内が来ることから始まります。
宝生のちょっとしたおせっかいめいた心遣いで、彼のトラウマが溶けることとなったのはよかったでした。

最初気がつかなかったイラストは神田猫さん、カラーは今いちな感じがしたのに、開けると白黒絵はいい感じで♪カナメがつり目だけど表情が出ていてとてもよかったです☆
切ないけど、ほんのりあったかい、とてもわかりやすい主人公の描写に目がいきました。

2

コンプレックスと過去のこだわりが解けだす

受け様の家族設定が今一納得出来ない気がするのですが、取りあえず親に愛されなかった
受け様が、性的嗜好と過去の悔いが今でも胸に巣食っていて、更に親にも見知らぬ相手にも
嫌われて見た目だけで怖がられる三白眼がコンプレックスになっている受け様が主役で、
その相手役になるのが、優しいオーラを目一杯出して子供を可愛がっているような
結婚指輪を嵌めている攻め様。

行きつけのカフェで偶然親子と出会い、イラストレーターである受け様の絵が好きな
攻め様の子供に持っていたそのキャラクターのストラップをあげた事から知り合い、
徐々に友人のような関係になりながらも、次第に受け様はタイプの攻め様に惹かれ、
でも、家族がある人だと、これ以上好きになってはいけない相手だと自分を戒め、
どうせ叶う事のない思いだからと、それでも少しでも傍にいたいと思う切なさが
沁み出ているような展開です。

基本的には、受け様の場合は過去の痛手と懺悔の意味で恋はしない、一生一人でいると
頑なまでに思っているけれど、ホントは寂しがり屋で見た目とは違い繊細で、
攻め様に好意を持ち始めてしまったから、余計に姿が見えない奥さんの事を聞けないで
結果的に一人で傷つき自己完結して悲しみに暮れている内容です。

攻め様も、初めに簡単に説明していれば何も問題がない内容なのですが、
いい歳だから、余計に告白が抱きたいで終わってしまい、好きの一言も無いから
受け様は勝手に遊びだからと決め付け思い込む。
誤解が誤解を招き、すれ違ってしまう二人、それでも攻め様とその子供との出会いで
受け様は長年抱いていたコンプレックスと人を好きになる事に恐れを抱いていた心を
少しずつ攻め様親子に癒されて、幸せになる道を進めるようになるストーリーでした。

それに書下ろし部分では受け様の長年の過去のこだわりが一気に解決することになり、
全てがハッピーな展開で終わる、ほのぼのした読みやすいお話です。

2

すっきりした

変な手管をつかわずに表現してあり、
ただ、素直に読める作品でした。
初読み作者さんだったのですが、目のコンプレックスという
設定に惹かれて、購入しました。

表紙を見て分かるように、ファミリーものです。
ツリ目で、サングラスをいつもしているカナメは、
行きつけのカフェで、好みの男性、宝生と出会う。
ただ、宝生には、子どもが一緒にいたので、
自分が「いいお父さん」のような人を好きになってしまうタチに
寂しさを感じるのでした。
しかし、また、宝生親子と会う機会があり、
徐々に一緒に過ごすようになっていきます。
そして、カナメは、酔った勢いで抱かれてしまう。
翌日、友人が遊びに来て、また、「お父さん」のような男を連れ込んでいると
揶揄され、妻子がいる人と関係を持ってしまったことに罪悪感を感じているカナメは、
つい「遊び」と言ってしまう。

実は学生の頃、カナメは同じような男性に惹かれてしまうという
過去があったのでした。

健気だけど、しっかりしたカナメのキャラクターはとてもすきでした。
ただ、宝生がイマイチ得体のしれない感があったのが残念でした。

1

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