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一穂先生が書く高校生は、何故こんなに瑞々しくて魅力的なんだろう。
半引きこもりの侑史は、在宅専門のアイドルオタ。
学校にもたまにしか行かない彼の生きることを支えているのは、
ベビブロ(ベビーブロッサム)というAKBみたいなアイドルグループのほたるんだ。
そこに突然突風のように登場して、彼を外の世界に吹き上げる航輝。
高3で同じクラスになったらしいけれど、顔も分からなかった彼に巻き込まれて
侑史の生活は変わって行く…
一方の航輝は、実は彼もまだ有名じゃない芸能人で、ほたるんの兄だということが分かり…
以前から一穂先生は、高校生を主人公にした青春小説を書けばいいのになぁと思っていたのだが、
(おいおい、BLファンなのに、そんなこと願ってどうするんだっ?!)
この本はまさしくそういう感じだった。
twitterやLINEといった現代的なアイテムを上手に使っていて、高校生の世界を鮮やかに描く。
Hシーンも高校生の不器用さや直裁な感じが可愛くて悪くはないが、いらなかったかもと思う。
侑史のネガキャラは、個人的にはBLの主人公として好きなタイプではないんだけれど、
彼の純粋さや感受性の強さある種の賢さみたなものが垣間見える心情の表現が、
最初から散りばめられていて、まずそれに唸る。
そう、そうなの、うん、その感じ分かる!と頷きながら読んでしまった。
世の中の評価からすればマイナスに違いない彼を、
ちゃんと本人なりの世界がある大切な人として描いているところがすごく好き。
そして、侑史が登校して航輝達の仲間と過ごすようになってからの、少年達の描写。
若干いい子過ぎだし、カッコよ過ぎの感はなくもないが、
あの年齢の持つ決して大人になってからでは取り戻せない柔らかさを、
何故こんなに見事に描くんだろう。
恋に関しては、侑史が穏やかに変わっていき航輝に惹かれて行く様は丁寧に描かれているが、
航輝に関しては最初から彼に惹かれていたんだろうな、と思うしかない。
途中のキスシーンや相互自慰のシーンは好きだけれど、そう思わないと唐突かも。
前半は、少年達のちょっとした行動やセリフにキュンキュンし、
後半(ただしH以前)は、涙が滲んで仕方なかった。
BLとしての萌えかと言われるとかなり首を捻るのだけれど、
こういう少年を主人公にして、クオリティの高い作品を書く一穂先生に敬意を表したいし、
これはやっぱり神をつけます。
素敵な作品です。でもいわゆるBLとしては薄いかも…。
航輝はブレイク前の俳優で妹はアイドルグループのセンター、少し子供っぽく、まっすぐな性格でみんなから好かれるだろうなと。
侑史は不登校気味の在宅アイドルオタク。
不登校になった理由が心の傷になっていて。
航輝に誘われ登校し、少しずつ馴染んで、航輝の友達とも打ち解けていくが、また、過去の問題が
もう、嫌な奴は小説の中にまでいる!
侑史は弱い部分もあるけど、潔いなあと。
何もかもを拒絶ではなく、自分で考えた最低ラインはキープしていて、案外としっかりしているなぁ。
会ったこともなかった2人が、顔見知りから友達、そして恋に落ちていく。
ふわふわしているけど、高校生らしくて可愛い。
大好きな一穂さんの作品ですが、芸能界ものってあまり好みじゃなかったので敬遠していました。
けれど読んでみると、キラキラした世界を描いていたわけでなく学生達の葛藤が中心で、ああやっぱり一穂さんの作品だったんだなあと。
受けはアイドルオタクで半引きこもりの高校生、侑志。
彼の部屋はいわゆる押しメンの『ほたるん』一色。
一日の予定はほぼ、『ほたるん』のテレビ出演等にあわせて生活しています。
攻めの航輝は役者志望で侑志のクラスメイト。
ただ、ふたりはお互いが休んでばかりいるのでタイミングが悪く、顔を合わせたことがなかった。
親しい友人には自分のカッコ悪いこともさらけ出すことができる、率直な少年。
そんな侑志と航輝の初対面は、なぜか引きこもり中だった侑志の家。
航輝はいきなり訪ねて来て、侑志にちゃんと登校しろとうながしてくるのです。
侑志自身はきちんと卒業できるように調整し引きこもっている(これはまたこれで問題有りですけど)のですが、航輝は自分が出席した日になぜかいつも空いている席があることが気になって仕方ないんですよね。
そして、オーディションで引きこもりの役を演じる上での参考にしたいと、侑志の家へも足繁く通いだします。
航輝は『ほたるん』部屋と化した侑志の部屋も驚きはしても嫌悪せず、ありのままを受け入れてくれた稀有な存在で、侑志にとって他人から理解されるということはそれこそ青天の霹靂といった風だったのではないかと。
侑志は今まで『ほたるん』の存在に依存し現実から目を背けて暮らしてきましたが、航輝の登場で徐々に彼の生活軸は学校や航輝、そして航輝経由で知り合った久住・羽山へと移行しだすのです。
侑志がだいぶ登校し始めた後も、航輝の家庭環境やら仕事やら、学校内でのゴタゴタやら色々起きたりするのですが、でもそういうこともみんなで乗り越えていけると信じられなかなか青春なお話でした。
ただそれがないとBLではないにしろ、あまりえっちの必要性はないかな。キスとかだけで可愛らしくごまかしても良かったと思います。
あ~これは一穂せんせいだから許される本だね。
ギリギリBLライン。だけれどそんなこと気にせずグイグイ読ませてくれる。
これよ!これなのよねぇ。
キラキラで切なくて、
何かに、あるいはどこかに届きそうで届かないもどかしい感じ…青春ってこんな感じだよねぇ。
そういうのが過不足なく、ことさらに青春崇拝されることなく、でも丁寧に丁寧に重なって紡がれるストーリー。
こういう書き方は一穂せんせいならでは。ほかの作家さんにはできない技だ。
リアルに、いて欲しい。
ある時から不登校になって、
一日のほとんどの時間を、アイドル・ほたるんただ一人だけの事を考えて過ごしているようで、
実はちゃんと、卒業にぎりぎり間に合うように計算して学校にも行っているし、
試験もそれなりの成績を維持できるように自宅でお勉強もしている。
共働きで忙しい両親に、少しでも負担にならないように、トイレットペーパーの在庫を注意していたりもする。
そもそも不登校になったのだって、素直ないい子だったからだし。
こういう子、いいなぁ。
リアルにいい。
あと、クラスメイトの羽山と久住!
この二人の、ニュートラルな感じもすごくいい。
航輝も、登場のしかたこそ、唐突で強引だけど、そこさえ、作中の侑史の気持ちと同調して、一緒になって受け入れちゃえば、あとは、ちょいちょい可愛いところも垣間見えて,子供らしくていい。
なんというか、理想のリアル高校生だな。