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俺だけの女王様でいてください。
初読み。
著者は、普通の一般男子を主人公に取り上げる作家で、
主にwebや同人誌で活動している人
鈴木義彦:
有名難関大学卒。
大学では高額寄付者の子弟、頭脳優秀で、中世的な美貌の持ち主だった
胃の手術で激やせ、容姿も仕事力も劣化、激落ち。友人も、恋人も離れていく。
居づらくなって退職と転職。
転職先の新任上司に異様に興味を持たれる。
渥美卓也(サクヤ):鈴木の二才年下の上司 元学生モデル
酔った日に鈴木をお持ち帰りした日から、身の回りの世話をして尽くす
会社で、鈴木の本来の力を周囲に見せつけ喜ぶ。
渥美が一体誰なのか、鈴木との関わりが分かってくると、面白くなってくる。
容姿ではなく、性格や才能、内面に惚れた後輩の一途な恋の物語。
著者ブログに、続編やSSがあるので、探してみて。
タイトルから、何かトラブルが起きて地位から転落、落ちぶれていく暗いストーリーかと思いきや。
違います。面白い。
ストーリーの面白さもだけど、おかしみすら感じさせる「大好き」の暴走が。
主人公は頭良く顔良く家が金持ち、何でも持っていた男・義彦。ゲイ。
しかし、数年前に身体を壊して胃の手術をした後は激痩せして面変わりし、周りの人間が離れていった。
しかし元々人間に執着しない性格だったのでそれ以降は枯れて淡々と暮らしていた…
…という冒頭。
部署に新しい課長が着任するのですが、この課長が…⁉︎ という物語です。
渥美課長はシブオジのイケメン。仕事もデキる。
そんな渥美が自分の歓迎会でわざと義彦を酔わせてお持ち帰りし、生出しでヤる。
は?
こんな痩せたオレを?
…と疑問だらけながら、やりたいならやれば、とどうでもいい義彦!
一方渥美はその日から自分の豪華マンションに義彦を住まわせ、食事も送り迎えもクリーニングも、とにかく生活全般全てお世話する。
そして仕事面でも、義彦の実力を他部署や外部研究者たちに知らしめるが如くに変化させていきます。
義彦はなぜ渥美がそんな事をするか全然わからない、わからぬまま差し出されるものは受け取る。
後半、渥美と義彦の接点が明かされて、渥美の行動原理と義彦の度を超えた他人への無関心が浮かび上がってきます。
といっても深刻じゃなくて、渥美のあまりの報われなさが笑える感じ。
よく考えると渥美は執念深い気もするけど、書き方でそう見えない。
これ、義彦は悪気は無く生来の性格だから、渥美はとことん尽くして義彦の健康管理頑張って欲しい。あとHのヤりすぎ/中出しはダメだと思う。
今回電子で読んだけど挿絵ありました!しかも大好きな水名瀬雅良先生。ヤッタ!
読む前の期待が大きすぎたかもしれません。
もうひとつは『女王様』キャラが私の萌えツボに入っていない所為もあるかも。
ただ、美人で優秀で金持ちというハイスペックな若い頃から、病気をして激ヤセし転職せざるをえなくなって端から見れば『可哀想』な義彦が、結局変わっていない、中身は若い頃の『女王様』のままというのは面白かったです(だからあんまり『転げ落ちた』感がないのよね。淡々としているんだもの)。
むしろ卓也の、まるで母親の様な執着が気になってね。
なんちゅうか「俺の女王様はいつまでも女王様であるべき」とでも言うか。
そしてそれがヤンデレっぽくならずに、どうもオカン系の方面に走って行ってしまうのが、そこはかとなく可笑しかったです。
あ、オカンって言うより乳母か!
いや、笑っちゃいけない部分なのかもしれないんですけれども。
エリート上司×見た目は冴えない部下という組み合わせの職場恋愛のお話です。
お仕事している描写もありますが、恋愛メイン、ベッドシーンが少し多めの大人の恋愛という感じでした。
少なくとも学生ならありえないような恋の始まりと展開の仕方です。
主人公の鈴木は有能ですが、昔大病をして入院してからガリガリの無精髭で髪もボサボサ、服にも頓着しないので誰にも注目されない、という人物。
しかしプライドが高く、攻めからは女王様と呼ばれています。
ヨレヨレの受けって、けっこう珍しいのではないでしょうか。
鈴木はもともとイケメンでモテモテで有能で相手には不自由しないものの、病気で美しい容姿も仕事のキャリアも失って…という設定が珍しいと思いました。
人生下降ぎみの状態を表したタイトルです。
そこに現れた新しい上司の渥美は、何故か鈴木に執着してきて誘いをかけてきます。
大筋は鈴木にモーションをかけてくる渥美にほだされていくストーリーなのですが、渥美はガツガツしていなくスマートなのが好感が持てました。
しかし、ストーリーメインかというとそうでもない印象。とにかく付き合う前に一度やってしまい、あとはなし崩しに何度も、という展開がいわゆる「BLっぽい」といいますか・・・。
設定はともかく、内容は可もなく不可もなく特に良くも悪くもなかった、という印象でした。
オマケのお話は入っているのですが、本編はどうにも、書き洩らしもないけど、ストーリーにこれ以上の発展もないだろうなという感じで終わったため、あともう一歩!という感想でした。
キーワードは「女王様」ですね!
鈴木(受け)の目線で進む表題作「転げ落ちた先に」、
渥美(攻め)の目線で進む表題作の中での短編「転がりこんで来たもの」、二人の大学時代の短編「忠誠」の3作品が収録されています。
鈴木は昔は美貌の持ち主でしたが、胃を壊してからは痩せぎすで見る影もありません。そんな彼を、中途入社の新課長・渥美はなぜか世話を焼き抱きたがり…という内容です。
鈴木は「やってもらうのは当たり前」の女王様気質ですが、相手がしなくても「あっそ」と気にしないさっぱりとした人物です。能力が高いうえに努力も厭わないので、愛想がなくても引く手あまたの仕事ぶりで、リーマン好きの身には好感がもてる社会人です。
一方、渥美は大学時代から惚れていただけあり、再会してからは計画的に酔わせて襲うという諸行をこなします。しかし、それからは鈴木を「女王様」とうやうやしく扱い機嫌をとり世話をし…、そんな関係を鈴木も楽しみますし、こちらも読んでいて楽しかったです。「転がりこんで来たもの」で耐える渥美の姿には笑いました。
単純な「女王様」「下僕」または「犬」という関係でないのが面白かったです。全体的にコミカルな雰囲気が漂っているので、読んでいて明るい気持ちになりました。
水名瀬先生のイラストも作品の雰囲気にピッタリで、元美人な鈴木のやせた姿、髪を切って変身した風貌、鈴木より4つも年下とは思えない渥美の落ち着きぶり、すべて良かったです。
あとがきで「万人向けするとは決して申せません」と担当さんに言われてしまったという作者様ですが、30代リーマン好きにはお勧めだと思います。ちょっと変わった女王様をお楽しみください。