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倫敦巴里子先生の作品の中でも1,2を争うほど好きな表題作です。同時収録作も好き。
この1冊、かなり捻くれた登場人物が多い。受け攻めどちらかが屈託の無いタイプが多い先生の作品の中では、相当厄介なキャラ達ではないでしょうか。
◾︎表題作
孝生(大学生)×千歳(孝生を援助する社長)
援助する×されるの関係め攻め×受けっていうのがまずツボ。そして千歳のトラウマ。
以下、自由に勝手な解釈をしています。
トラウマなんてどこのBL作品にもあるのですが、トラウマが積極的に解消される描写がないところが特に好きです。
千歳本人が孝生にその癒しを求めていないのが非常に好き。孝生が千歳に何かしようとする事に千歳の安息があるわけではなくて、あくまでも自由にさせている孝生の振る舞いの中に、千歳が好きに安息を見つけ出す…この関係性が非常に良い。甘えあっては居るんですけれど、お互いの自立心が高い。
まぁ、自由にさせているとは言っても、千歳の居心地の良い方向にその自由を操作してるところはありますけどね。孝生もなんだかんだ言って千歳のことが大切なので、そうされるの本意だったりして。
倫敦巴里子先生、年齢層の広いお顔を描けるのに、主役の容姿はほぼ判子絵なのが勿体なく思う。髪型もあんまりレパートリーないし…大好きだからこそ。
三村と片桐の本を2冊読んで、すっかり倫敦巴里子さんにハマってしまいまして、
ちょっと遅れてコチラも買ってみました☆
と言いつつも、
「三村と片桐のつれづれ。」に付いてきた「腹ペコ蜘蛛~」の小冊子を読んで、
ん~~?
これだけじゃよく分からん…あんまり好みじゃないのかも??
そう思ってもいたのですが、
ちゃんとコミックを読んでみたら…すご~く好みでした♡
ワガママなろくでなし男は苦手!他の人と寝るなんて許せん!
そういう方にはオススメできませんが、
そこら辺も理由によっては許容できるよ~という方には、是非読んでほしい1冊です。
高校生の孝生(攻め)がテスト期間中で早く家に帰ると、
母親のセフレという若い男が裸で寝ていた。
その若い男・千歳(受け)は、
高校卒業後は家を出るつもりだった孝生に持ちかける、
大学の学費も下宿代も援助してやろっか、と。
その代わりとして、孝生は会社の社長をしている千歳の世話をすることに。
たいして上手でもない食事を作ったり、膝枕をしたり、舌を絡めるキスをしたり…
童貞でまだ若い孝生にとってそれはまるで、
キラキラと美しく光る雨上がりの蜘蛛の巣に、自ら掛かるようなもので…。
毒蜘蛛、蜘蛛の巣、階段、眼鏡…それらの意味するところが切なく、上手い。
受けの千歳は、可愛い顔をしたなかなかヒドイ男。
孝生の気持ちを知りつつも、他の人とも寝てその使用済みのゴムを片づけなかったり。
でもそんな千歳なりの、
孝生への執着がチラチラと見え隠れして、後半には千歳の過去が描かれて、
なぜ孝生でなくてはいけないのか…その理由を知る。
千歳が幸せのカタチを拒む、その理由を……
色んな事が繋がると、じわっと切なさと愛おしさがきました。
シリアスな部分が結構ありつつも、
エロさと笑いどころもシッカリでとても好きなバランスのお話でした。
もうちょっと長く読みたかったなぁ。
ただ、年の差を絵からは感じにくいのが、ちょっと残念に感じてしまいます。
表紙の後ろのメガネが攻めの大学生で、手前の受けが34歳の社長なんですが…
見…えますかね?w
他にも2つお話が載っています。
どちらも過去のことで傷を持っている医者が出てくるお話ですが、
同じ医者でもこうも感じが違うのか~と興味深く読めました。
続けて医者モノが読めるってなかなか貴重かも☆
熟年夫婦ものとはまた違ったちょっと暗いトーンの表紙に、シリアスなのかな?とおもいきや。
勿論下地はシリアスなのですが、そこは倫敦巴里子流。
軽くいなす主人公に、時々笑いも加え、周囲の人間の配置もバッチリとフォローに回り、重苦しさのシコリは残しません。
愛してるよ、君が好きだよ、という実に解りやすい恋愛ではないですが、ストーリーテラーの異名も間違いなく、キャラクターの基盤がしっかりしているために、その気持ちの変遷と交わりだけで、見えてくるものがあるのです。
この本を読んでも、やはり、上手いなーという感嘆が。
そして、どのキャラクターにも愛嬌があるのが魅力なのです。
母親と関係していた男に大学の下宿と学費の援助を申し出られた対価は、彼の世話をすること。
自分の為だけに作られた料理しか受け付けない偏食家で不健康で節操無しの男と、律儀に借りの分は返そうとする大学生のお話。
身体の関係があるかと思えばそこには舌を入れるキスだけ。
そしてその男・千歳はだらしないくせに会社の社長でした。
大学生・孝生は千歳の会社の社員から自分は千歳の会社に引きぬく為の先行投資の青田買いだったことを知らされるのです。
この社員がいいことを言うのです。
雨降りの後の蜘蛛の巣はそこに毒蜘蛛が待っていると解っていてもキラキラ光って近寄りたくなる。
毒蜘蛛は千歳。
孝生は本当はメガネをかけているのだけど、千歳の前でかけなかったのはその蜘蛛の巣を見ないようにするため。
きっとそんな比喩がこめられている設定になっていると思ったのですが、これが小憎いね!と思えた箇所。
そして次の話は、毒蜘蛛は蟻地獄に姿を変えて、もうつかまったら引きずりこまれるという比喩に。
孝生は力を抜いて引きずりこまれるままにすることに、喰われる覚悟を決めることにする。
千歳は節操なしで、平気でいろんな関係を持って刃傷沙汰も起こしたりするらしいが、この蟻地獄の比喩を見て、あ、孝生はだから他と違うんだ!と気がついた。
他は必死でもがいて逃れようとするか、それを逆に支配しようとするか、落ちたくせに自分が落ちたのに気がつかないんだって。
中々に奥が深い心理を抱えたわけのわからない千歳なのであるが、【ゴハンの時間】という子供時代の、彼の心の傷の話を見ることで、千歳という人間が見えたのです。
それと同時に、千歳が孝生を選んだ理由も。
後で補足という形にはなりましたが、そこにあった「自分だけの愛情への欲求」が食べるものに直結するという、味覚障害を伴う偏食の症状、これって現実にもあることなので切ないのではありますが、孝生が特別である理由がわかり結構千歳もかわいいじゃないか、って思えるのです。
【セッキンソウグウ】
過疎地区の医師と、絵が描けなくなって村にやってきた画家の物語。
それぞれがこの村にやってきた理由と、そこに抱える気持ちがあってそれがすれ違ってリンクしていくのが、田舎ののんびりした人情と風景もあいまってとても癒されるお話になっていました。
【さめたキスで起こしてよ】
誰にでも人当たりがよい外科医と、彼に誘われる研修医のお話。
ちょっとラストのエッチまでいっちゃう部分の早急感がこの作品には珍しくあります。
が・・・研修医が美人設定とはいえ気が強そうで一見攻めっぽいのに受けだったことへのギャップの驚き(爆)
エッチシーンの医者であるがゆえの直腸やら感染症やらの医学表現に、前立腺刺激で尿漏れ防止とか・・・色気が~www
しかし、ラストの締めはよかったな♪
作者さんのあとがきは、カバー下の本体にあるのでおわすれなくね。
毒蜘蛛の節操無し千歳が、三村に迫ってるイラストが笑いを誘います(笑)
2冊同時発売の1冊でもう1冊の「三村と片桐のつれづれ。」とは
一味違った奥深い場所にシリアスさを漂わせているのに、後味の悪さを
全然感じさせない優れものの作品、倫敦巴里子ワールドですね。
受けになる千歳の性別も何もかも関係ない奔放なだらしない暮らし、
そして幸せの味に身体が受付けないくらいに精神的に病んでいるようで、
そんな千歳に目をつけられたのが母親が千歳のセフレの一人である息子の孝生。
大学と生活全般の面倒を見てもらう代わりに千歳のお世話をする内容。
普通の恋愛ものとは違う感じで、相手が毒蜘蛛だと知りつつも自ら捕まってしまう、
そしてそれこそが自身の望でもあったと言う流れ。
甘いふわふわした幸せとは違うけれど、これも一つの愛の形だと思える深い内容でした。
表題作が非常にどストライクな話でした。
母親のセフレだった千歳に捕食されるみたいにして孝生くんはズルズルと尽くしている訳ですが、偏食というか味覚障害のある千歳に執着してしまってるのがなんとも言えず萌え。
下半身だらしない千歳にも、何故偏食になったのかっていう背景が描かれた書き下ろしがあってやはり萌え。
千歳は浮世離れしているだけに普通の人と違うさみしい人だなあという印象。
このまま孝生に愛されて欲しいなあと思いますが、その愛した先には何が待ち構えているんだろうとこの関係性に疑問を持ってしまう言わば"メリバ"に近い距離感を感じます。
読後感はすっきりしない人もいるかも知れない。
でもこの後、二人がどうなるのか孝生が蜘蛛の巣の糸にからめとられるように千歳に落ちていくのか続きも見てみたいなあという感じ…。
ふえーん結構だいすきですこの二人!
甘やかな幸福じゃなくて、じわじわと泥濘に落ちて行くようなそんなBL。
倫敦さんのご飯の描き方結構好きなので、読んでいると私も孝生くんに美味しくも不味くもない料理作って欲しいなとお腹が空いてしまうのでした(笑)