君が恋に落ちる相手は、私であってほしい。

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表題作いつか恋に落ちる君へ

クラウス
32歳,ウィーン元貴族の当主
及川春希
23歳,援助を受ける留学生

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

憧れのオーストリア史を学びに、ウィーンに留学した春希。
その生活は苦しく、食費を削って研究に没頭するあまり、資料収集に訪れた屋敷で倒れてしまう。
主である侯爵・クラウスは失態に怒ることなく、春希にパトロンとしての支援を申し出てくれた。
初めは戸惑っていた春希も、彼の嘘のない優しさに負けて頼ることに。身分の差はありながら、二人は良い友人関係を築いていた。
ふとした時に触れる彼の体温に、鼓動が高鳴ることもあるけれど、これは単なるスキンシップ。
そう思っていた春希に、クラウスは愛情ではなく欲情で接しているのだと忠告されて……。

作品情報

作品名
いつか恋に落ちる君へ
著者
いとう由貴 
イラスト
高崎ぼすこ 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
発売日
ISBN
9784773086850
3.2

(53)

(6)

萌々

(14)

(22)

中立

(8)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
12
得点
160
評価数
53
平均
3.2 / 5
神率
11.3%

レビュー投稿数12

なんてこった!こんな展開するなんて!

地獄の苦しみから天国の悦びまで。

途中までは純粋無垢な留学生春希と貴族のクラウスのほのぼのだったのに…。
テオドールがひどい、ひどすぎる!

えー、ここまでする?もう2/3のほのぼのがぶっ飛んで、春希が苦しみ壊れていく様子に泣けて泣けて。

人の気持ちの機微に疎いのが罪なのか?
アジア人留学生はみくびられるのか?
なんですぐ教授に報告しないの?

感じちゃったから自分を許せなかったんだよね。セカンドレイプも怖いし、身体のことを知らないから自分を責めて逃げたくて消えたくて。悲しい(泣)

クラウスを好きになる自分がおかしいとクラウスを憎んで憎みきれなくて。

あのー早く手当てしてからいちゃついた方がいいのでは…?ガリガリ君で正気を取り戻したばかりの春希と、今?ここで?

二人とも初めて知る恋と愛に戸惑って、悪意に邪魔されて苦しんで、遠回りしてたどりついて。

しかしテオドールを訴えなくていいの?
春希にあそこまでする必要あった?
ここまで介入してくるなんて。

あと、紳士のロングコートっていいですよね。

0

・・・

ヨーロッパ史を理解するには、「ハプスブルグ家の婚姻外交」を調べたら良い、というのは通説。エリザベート妃の謎の行動を研究して書籍化した知人がいるので、この小説に興味を持ちました、(知人の本は余り売れなかったみたい)

電子版を読了、挿絵無しです。萌度低いので、紙版を買う予定無しです。・・何故かというと、不完全な終わり方だった。
この小説の中で主人公は、妨害を同期生から受けたり、日本国の支援金打ち切りがあったりで、恋愛は進展しても、論文を提出するまで行かずに終わっていました。残念。

BL小説を読んで思うのは、流行りもののエロスだけの内容だと数年後には存在が消えてしまうので、残れる作品を意識して書いたらいいのに。楽しければいいという理念だけで書いた娯楽小説には、無理な要望だろうけど。なんか、中身が薄い。

あらすじは、先のレビューにあるので割愛。
【トルコのウイーン侵略を押さえた騎士が、パトロンのノイラート侯爵の先祖、という設定になっています。】
主人公の春希は、謙虚で真面目な気質。目立たない容姿だけど、度の強いメガネを外すと、童顔で好感が湧く外観。春希の真面目さが、「騎士」気質を持つノイラート侯爵の「正しく弱い者」への庇護欲を煽って、♥を射止めてしまった。・・というお話です。

--
関連して思い出したこと:
★余り知られていないのですが、婚姻外交で、「ハプスブルグ家の遺伝疾患」も、欧州の王家に拡散していました。
少しですが、アントワネット妃の人相にも出ています。アントワネット妃の肖像画は、妃殿下の希望でその特徴を消して描かれているので、妃殿下の素顔を知る人は直に会う身内しか分からない。素顔を肖像画に描いていないので、絵にそっくりな娼婦が成りすました偽王妃が夜な夜な出現して、妃殿下の評判を貶めて革命を煽っていたので、アレンジした嘘絵は悪循環を起こしてしまいました。
王家の血を守る近親婚によって、血友病や知恵遅れなど、色々な劣勢因子を作っていたようです。

★中世の欧州が震えた侵略・・作品中に書かれていた、トルコの侵略。
オスマン帝国(トルコ)とモンゴルの侵攻は、大変な衝撃を与える脅威だったそうです。特に、トルコは、ウイーン陥落寸前まで侵略しています。
「オスマン家が、ムスリムの王国としての形を整えたのは1299年。以降、オスマン帝国は精力的に領土を広げ、14世紀中頃にはバルカン半島に進出、1389年にはコソヴォの戦いで、さらに1396年にはニコポリスの戦いで、キリスト教国の連合軍を撃破。」

1

紙媒体買ってよかったーっ

ファンタジー以外での神は 自分的には珍しい。
2014年に電子本で購入。超好きで、何回も読み返しでましたが
イラストが入っておらず、ぼすこ先生の絵をどうしても見たくなって
とうとう紙媒体も購入。それぐらい好き。

何が好きって、やっぱ攻めさんの紳士っぷりがたまんない。
さりげなく、でもちょっと押し気味に支援の手を差し伸べる・・・・
うーん、ノブレス・オブリージュ 万歳!
そんな攻めさんの影となって支えていく執事、秘書!くーたまらん!

天然無色な でも大学生 そんな超美人ってわけじゃない、
そんなとろくせー奴はいやじゃ という方は、お止めになった方がよいです。
この受けさん、人が好過ぎるので。

唯一好きじゃなかったシーンがあり、それはないだろーとかねがね思っていたのですが
(二人で心通わせた後の車内ラブシーン。受けさんが超積極的になっちゃった)
今回、ぼすこ先生の挿絵で、すごく印象が変わりました。
超いやだったシーンが、うん、これならありかも と思えるように。
いやー挿絵の力ってやっぱ偉大。としみじみ思いました。紙買ってよかった・・・

もう一点。ラッキーなことに初回特典ペーパーがついてました!
ありがとう、売ってくださった方!!!!

16

綺麗に見えて痛々しい

綺麗な表紙とタイトルからせつない系かと思うんですが、かなり主人公が追い詰められていく痛々しいストーリーでした。

いとう由貴さんの本って、これ以外にも受けがかなり酷い目に合う作品を読んだことが何度かありますが、これはその中でも重めです。ほとんど病むくらい精神的に追い詰められていきます。
自分はというとそういうのは割と好きで、もちろん最後はハッピーになるからだけど、この作品は好みでした。

主人公の春希はオーストリアの歴史を学ぶため、ウィーンに留学中。
元貴族のクラウスと学校の教授を介して知り合い、彼の持っている文献を見せてもらえることに。
クラウスは気難しいとされている人物なのですが、春希の前では優しく大人です。

彼は春希が気に入って、研究に没頭して日常生活がおろそかな春希に食事を世話したり、留学費用の援助までしてくれます。外人だからか年上だからかかなりの紳士。
紳士攻めだとワクワクしていたんですが、途中、春希が好きになって思い極まり強姦…という。
紳士攻めを最後まで見たかったので、やはりBL的なある意味お約束の展開に若干がっかりしました。

それからいろいろあって、春希はどんどん追い詰められて行くのですが、あまりに精神的に追い詰められるのは苦手に思うかたは結構つらい展開ですので、楽しめないかもしれません。
最後は自殺を考えるくらい病んでいます。

最後が駆け足なので、クラウスが駆けつけて大団円・・・なところにあと一ひねりあってもよかったなと思いました。
クラウスに凌辱された日から、気持ち悪いとクラウスを否定した春希が「男性同士でも恋ができる」と認めるシーンは素敵でした。
でも肝心のクラウスに対して恩でなく、愛情を感じているその気持ちってちょっと伝わりにくい。凌辱されたのに…とも、思ってしまう。
この春希の気持ちを、「抱かれたから気になる」というよりはもっと今までの日常から、何かしらクラウスにときめく要素を入れて欲しかったです。そこを補完したらきっと、この素敵なタイトルの重みが増すのではないかなぁと思います。
これだけ読むと「いつか恋に落ちる君へ」という意味がちょっとしっくりこない気もしました。

読み終わってみると案外さらっとしたお話だったなーと思うんですが、ここまで痛々しく、でもきれいに終わらせるのはこの作者さんの持ち味だと思います。イラストはすごく綺麗で、どの挿絵も見ほれてしまいました。

2

問題は気持ち

1冊丸ごと表題作です。序章、第一章から第十二章、終章と区切られている上、春希とクラウス、両方に視点が入れ替わって話が進んでいくので、お互いの気持ちが分かりやすく、読みやすい作品です。

クラウスが先に春希を好きになるので、題名の「いつか恋に落ちる君へ」はクラウスから春希への言葉になると思います。
ロマンチックな題名そのままに、内容も高貴な雰囲気を漂わせる落ち着いた内容でした。

クラウスは元侯爵の血筋であり、貴族の暮らしを維持できるだけの財産もあり、春希とはいわゆる「身分違い」です。さらに、10歳という年の差に、オーストリア人と日本人という国籍の違いもあるのですが、二人の障害になったのは、春希の「同性での行為で快感を覚えることへの嫌悪」「同性に好意を抱く自分への困惑」というBLらしい問題だったのが、外側の条件だけに迷うよりも良かったです。

春希の行方が分からない状況で、苛立ったり焦る自分をぼやくクラウスに、私も大切な人が現れるといいと思う、と宥める秘書が素敵でした。名前もイラストでも登場しないのですけれど。春希が受けた辛い仕打ちと病んだ神経が書き綴られた後に、ほんわりと一筋の風が吹き込んだかのような柔らかさを感じました。

二人がラブラブな同居生活に突入したのは良いですが、第六章でクラウスが、ノイラート侯爵としての責務から逃れる事はできないため、いずれは妻を娶らねばならないし春希には一生日の目を見せる事ができない、と言っていたのはどうなったのか…引退までにはまだ先が長いですよ!というのだけ気になりました。

春希がクラウスにレイプされる場面があり、そのことに春希はかなり精神的苦痛を感じているので、そういう描写が苦手な方はご注意ください。

2

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