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表題作カフェオレ・ランデブー

平北誠,喫茶店の店員,バックパッカー,24歳
久能一眞,企業の社内翻訳,29歳

その他の収録作品

  • カフェオレ・トワイライト
  • 恋する喫茶店
  • あとがき

あらすじ

29歳の誕生日、恋人の笹野が既婚者だったことを知ってホテルを飛び出した久能。やけ酒をあおった帰り道、「純喫茶・東風」の看板を見つける。笑顔の可愛らしい年下のバリスタ・平北に出されたのは、「疲れを癒す、悲しみの溶けるコーヒー」だった――。美味しいコーヒーと平北の存在に癒される穏やかな日々。徐々に平北への想いを募らせる久能だったが、笹野との苦い恋の記憶が久能の心に陰を落としていた……。そんなとき、笹野の妻を名乗る女性が現れて! ?

作品情報

作品名
カフェオレ・ランデブー
著者
栗城偲 
イラスト
藤たまき 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA(メディアファクトリー)
レーベル
フルール文庫ブルーライン
発売日
ISBN
9784040662022
3.4

(45)

(3)

萌々

(20)

(17)

中立

(2)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
13
得点
148
評価数
45
平均
3.4 / 5
神率
6.7%

レビュー投稿数13

珈琲の味と香りの描写が秀逸

二部構成。
 カフェオレ・トワイライト
 恋する喫茶店

珈琲好きが読むと、飲んでみたくなる描写が連発。
久能の恋愛の展開より、関心は、平北が提供する珈琲に釘付け。
どんな風味なのか、想像してしまう。

美貌の主人公、久能は、同じ会社に勤める上司、笹野と 秘密の恋をしている。
24才から交際する有能な上司で年上の恋人を 久能は独身だと思っていた。
近日転職をする予定で、それにも相談にのってくれた笹野。

29歳の久能の誕生日。
お祝いに、初めて笹野とて一夜過ごす。
 最中に笹野の妻から着電。偽装工作だと久能も電話に対応を要求されて、
・・・久能は、上司の笹野は自分と異なる恋愛感を持つことに気付く。
・・・その時まで、上司が妻子持ちだということを知らなかった。

知らずに自分が不倫を犯していた事に悩む主人公。
たまたま通りがかった小さい純喫茶「東風」に迷いこむように入り、
初めて美味しい珈琲を飲んだ久能。

珈琲の豆の名前を聞いたら、見当違いの返事を平北が告げる
「辛い事を忘れる珈琲」
図星を刺されて泣き出して、泣き疲れて店で寝てしまう久能。

東風で出会う人達と、東風の店員平北との新しい恋。
平北は久能に、もっと笑っていて欲しいと話す。
色黒の平北と、色白の久能、手をつなぐとカフェオレだ、と平北は久能を笑わせる。

物語の展開より、
直に豆の買い付けの旅をして、オリジナル焙煎を施した香り高い、
後味に甘味がある東風の珈琲を飲んでみたくなった。

面白かった。

3

最悪な日の最高の出会い

珈琲・レトロな純喫茶好きにはたまらない1冊。
常連客ほど注文しないと噂のおすすめコーヒーを私も飲んでみたい。
派手さはないけれど味がある好みのタイプのお話でした。
作品全体の雰囲気もカフェオレのようなまろやかさです。

恋人同士だと思っていたはずが、知らず知らずの内に自分が不倫相手となっていた…と、ベッドの上で今まさに抱かれている状態で恋人が既婚者だと知る最悪の29歳の誕生日。
そんな最悪な日に出会った、街が夜の帳に包まれる頃にひっそりと開店時間を迎える昭和レトロの香りがする純喫茶。

心理描写やちょっとした表現が上手く、メイン2人を含め登場人物たちがどんな人なのかが分かりやすいのでとても読みやすいんですよ。
傷付いた主人公・久能が、純喫茶「東風」と雇われバリスタの平北と出会ってから少しずつ心が癒され、気持ちが前向きになっていく姿は読んでいて心地が良かったです。
あまり評判がよろしくない久能の元恋人・笹野ですが、キャラがここまで立っていると面白く感じてしまって私は全く気になりませんでしたね。

栗城先生の年下攻め、やはり良いなと思った作品でした。
でもそれは、久能のことをほっとするような明るさと優しさで自然に包み込んでくれる平北の人柄が良かったからなのだと思います。
かっこよさもありつつ、なんだか言動が妙にかわいらしいんですよね。
安心感があって年下っぽすぎないけれど、ふとした瞬間に年下な部分が出て来るのがずるい。これには癒されます。
普段は細かな気遣いが出来る彼が見せる、色っぽいシーンでの若さあふれる余裕のなさが個人的には大ヒット。
でも1番好きだったのは受けの久能かな。
深く傷付いたからこその心の揺らぎも理解が出来るものでしたし、己の非も認められる彼の誠実で嫌味のない性格が好きです。
受けも攻めも好みでした。

最悪な日が最高の始まりになる。
珈琲を絡めてゆっくりと進む恋が素敵な作品です。

2

キャラクターがすごく好き。

栗城さんは一応作家買いしていますが、作品によって(個人的好みとの符合において)かなり当たりハズレが激しいので、買ってもなかなか読めずに積んでしまうことが多いんです。

こちらも、あらすじでわかる範囲の『不倫』『年下攻』がどちらも苦手要素なので、後回しにしてしまいました(ただ『不倫』に関しては本人も知らなかったのでちょっと別だけど)。
疲れてるときにはなるべく苦手は読みたくないので、事前にわかっていたら回避するようにしているんです。

で、ようやく復活して来たので読んでみました。


前述の通り、年下攻は基本的に苦手ではあるんですが、平北(攻)は年下でも例外的に好みの『ワンコ』だったのでたいして気になりませんでした。
どころかすごく好みです、こういう可愛いワンコだけどいざというときに格好いい男前は大好きだ。若さがいい方にだけ出ている感じで、この平北はホントによかった。

久能(受)も、私はこういうキャラクターは好きなんです。ある意味、後ろ向きでハッキリしないんだけど、それはもともと苦手ですらないので。

2人のラブはほのぼのと初々しくて『あ~、私の好きな栗城さんだ』という感じでした。栗城さん作品でも上位に入るくらいよかった。

悪役・敵役である久能の元彼・笹野に関しては、個人的にはこういう自分基準でのみ暴走する(人の話を聞かない)キャラクターは虫唾が走るほど大ッキライなんですが、あまりにも徹底してるので心置きなく切り捨てられていいかもしれません。
『悪役として』は大成功かもしれない。キライだけど。

うん、確かに気分悪いには違いないんですが、彼の妻とその思惑等も含めて綺麗にスッキリさせてくれたので『メインのラブのスパイス』と割り切ればいっそ素晴らしい勧善懲悪でしょう。

まあ、ヤツのそれまでの言動からして引き際があっさりし過ぎな気はしましたが、だからって延々と引っ張られても(読み手として)かえって困るし、ストーリー展開の上ではこれはこれでよかったとも思います。

最低な元彼を除けば、すべてにおいて優しい雰囲気でとても好きです。


あとはイラスト。
藤さんは小説挿絵としては初めてですが、非常に苦手な絵柄で参りました。

12

爽やかワンコ攻め

自分的にはかなり好きな作品なので、他の方の評価が低くてビックリ…。

確かに設定的にはえ?って思うようなことが多いです。
なんで5年も付き合ってて結婚してるって気付かないのとか、たくさん愛人いるのに怖いくらい執着してくる違和感。あとは受けの視点から描かれているので、攻めがどこから何がきっかけで受けのことを好きになったのかとかもさっぱりわかりません。
でも!!
受けの気持ちの動きとか、攻めがすーっごく受けのことが好きなのが細かく、ちょっとした場面でも丁寧に描かれていてリアリティを感じたのでそんなに違和感は気にならなかったです。
特に、「俺を好きになるコーヒー」の場面は攻めの気持ちが溢れてきゅんっとしました。
Hのシーンでも、謝りながらガツガツしちゃう攻めが、受けのことが好き好きで堪らないっ!というのが伝わってきて、そのガツガツさが愛おしさや可愛さになっちゃうよね!と受けの気持ちも納得です。

受け視点なんだけど、攻めの愛に溢れた作品で、年下の爽やかワンコってすっごくいいわぁと余韻に浸ってしまいました。

5

新しい恋は

ちょっとレトロな純喫茶・東風の雇われマスター平北は、まだ年若いバックパッカーなのに感性がなんだか昭和。
微妙にポエムな自作の格言を、店内のあちこちにさりげなくちりばめては常連さんたちにからかわれている。
そんな純喫茶東風に、久能は、恋人だと思っていた相手の手ひどい裏切りを知らされた29歳の誕生日に、偶然、たどり着きます。
そして平北と店の雰囲気に癒されて、主人公・久能は不毛な恋から脱却し新しい恋をつかみます。

落ち着いた喫茶店の店内の香り。
そういえば、ちゃんとしたコーヒー専門の喫茶店のコーヒーって、最後に飲んだのいつだったっけかな。
2階が住居になっているような喫茶店って、今でもどこかにあるのかな。
濃いマンデリンにちょっとクリーム垂らして飲みたくなったな。

5

この作品が収納されている本棚

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