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表題作ドッガール doggerel

比嘉 野波に勉強を教えてもらうことに
野波知哉 比嘉を見るとイライラする

その他の収録作品

  • あとがき
  • 大事なこと

あらすじ

バイトばかりで学校も休みがちな訳ありクラスメイト・比嘉の勉強を見ることになった野波。
明るく人当たりのいい比嘉と、クールな優等生の野波、真逆な二人なはずなのに最初からなぜか言葉一つにも強烈に惹かれあい、すぐに体を重ねるようになるが……! ?
赤の他人である「男」と同居する野波。家族と離れて暮らす比嘉、思い出の写真。それぞれの事情が誤解を生みすれ違う――でも。

「お前は俺の 暗闇をぬける 光」
「全部 お前のものだ」

作品情報

作品名
ドッガール doggerel
著者
天禅桃子 
媒体
漫画(コミック)
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイコミックスDX
発売日
ISBN
9784799714966
4

(103)

(34)

萌々

(46)

(15)

中立

(5)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
15
得点
404
評価数
103
平均
4 / 5
神率
33%

レビュー投稿数15

フラッター越えた作品

天禅桃子さんの作品は全部既読しています。
今までの作品の中で一番は、フラッターでした。あっちが大人の社会人としての恋愛を描いているとしたら、ドッガールは高校生の恋愛と、大人にはなりきれない…高校生にはどうにもならない家庭の事情も描かれています。
もどかしくて、やりきれなくて、でも今を大切にしたくて、今一番良い状態を2人で見つけていきます。
友達2人が良い。留年してる比嘉への気遣いや助言、野波へのアドバイス。
1人は男同士の恋愛に、ちゃんとドン引きしてたし(笑)
野波の父の恋人で、父亡き後も保護者として同居している保との微妙な関係もお互いに分かり合えたのも良かった。
話の終わり方も、可愛くてすっきりしたハッピーエンド。
読んだこちらまで幸せな気分になります
(≧ω≦)bおすすめ

5

心洗われる作品

読んだ後に幸せな気分になれます。
もう本当に、天禅先生の作品はイイですね。

主人公はタイプは違うけど、ままならない事情を背負っていて、どこか似ている二人。

内なるものが惹き寄せあい、かなり早い段階でくっついたけど、若さゆえの熱情が相手を想う静かな優しさに包まれていて、嫌な感じはしなかったです。

ひとりでは乗り越えられなかった主人公二人のそれぞれの問題を、お互いが支え合うことで、一緒に乗り越え、幸せになっていく姿に胸が熱くなりました。

全体的に静かに時が流れ、フンワリと優しい感じの中に、涙腺が緩んでしまうようなシーンや台詞もあります。

巻末の書き下ろしで、比嘉(攻)にきゅっとくっ付いて寝ようとする野波(受)と欲情を我慢しようとする二人が何とも微笑ましかったです。


静かで柔らかい雰囲気やBLだけど涙してしまった天禅先生の古い作品「丘の上の楽園」「青色の澄んだ色は」を思い出しました。

大きな違いは本作はエロが多めです。

3

切なくてエロい

大好きな天禅先生の久しぶりのコミックス。
すっごく楽しみにしていました。

ほとんど学校に来ないで進級できないだけど明るい比嘉と
成績優秀だけどどこか陰のある野波。
比嘉の勉強を見ることになったのをきっかけに
なぜか惹かれあい、急接近した二人。

高校生ならではの気持ちだったり、考え方だったり
友達とのかかわりだったりが天禅先生らしく、描かれています。
大人にはなりきれていなくて、自分本位になったかと思えば
これでもかと相手のことばかり考えてのめり込んでいく。
そんな不安定で、気持ちが揺れてばかりいる年代の心と体。

野波は自分の父親がゲイだったことや、そのパートナーと暮らしていること
普通ではない自分の生い立ちを初めて打ち明けられた人。それが比嘉。
比嘉も、家族から離れ1人辛い過去を持ちながら生きていることを知る野波。
高校生の若い二人には、重い辛い現実でも、その気持ちを受け止めあえる
大切な人と出会ったことで、成長し様々なことが満たされていく。
比嘉の友達も、すごくいい。
ある日、学校にも来なくなった比嘉を
必ず来るという言葉を信じ半年も待ち続ける野波。
その想いをちゃんとわかっていて心配したり
二人の幸せを、陰で応援してくれてる。

このストーリーの見所は何と言っても成績優秀で真面目な野波が
実は誰よりもエロエロなこと。
いつも誘うのはほとんど野波の方からだし、
ひとこと「したい、我慢できない」ときっぱり。
保健室でもどこでも見境なく「今すぐ入れて」とか「もっと奥」とか言うほど。
人は見かけによりません。さすがの比嘉も煽られっぱなしです。

1冊まるまるひとつのお話なので、ゆっくりと二人の気持ちの動きや
時間の流れ、ほんの少しの心の変化までたっぷりと堪能することができます。
野波のお父さんのパートナーと野波の関係に、
最初ちょっと、このおじさんうざいと感じましたが
読み進めるうちに、この人も辛かったのね・・・と思えるように。

一緒に暮らすようになって、やっと比嘉のことを名前でよぶことができた野波。
どんなにエロエロ魔人でも、こういうところは可愛いっ!とにやけてしまいました。

7

寂寥と幸福のさかいめに漂う高校生

不器用ながらも真っ直ぐに紡ぐ恋の詩。

doggerel(ドッガール):韻律不整な詩、こっけいな、不揃いな、不格好な、の意味だそうです。

子どもと大人の狭間にいる高校生らしい性急さと不安定さ、好きな人のことで頭がいっぱいになってしまうキャパの狭さ。
はぁ~高校生ってたまらんな!!(力説)
【ラ・サタニカ】で天禅さんにハマった私はこの作品も大好物です!

担任に『勉強教えてやれ。』なんて色気もそっけもない言葉で無理矢理気味に引き合わされたクールな優等生:野波(ノンタン)と比嘉。
比嘉はワケありな噂がつきまとうひとつ年上(留年くん)のクラスメイトで、これまで野波と接点すらなかったけれど、放課後の短い時間を重ねるうちにふたりは惹かれ合うように。

互いに複雑な家庭環境のためか、早いうちにふたりは恋におちます。
それこそ、数えるほどしか言葉をかわさないうちから相手の存在がどんどん自分の中で大きくなる不思議さは愚直なほどの真っ直ぐさとふたりの寂しさが似ているからかもしれません。

野波と同居する後見人:保は野波父の恋人だった人で彼と別れた後、野波父が結婚してできたのが野波です。
野波父か亡くなった後、母親に似ている自分は保から疎まれてると野波は思っています。
比嘉は保と野波のやりとりから自分はアテ馬だと思ったり、野波も比嘉の部屋にある写真から彼の過去に嫉妬します。
すれ違い、勘違いがてんこもりですがふたりの気持ちはブレず、深刻になりすぎません。
物足りない人には物足りないか…安心して読み進められますが(笑)

表面上はドライで淡々と生きているんだけれども誰かに温もりを求めることに関しては不器用な彼らが理屈も手管もなしに相手にぶつかっていく姿が鮮やかに描かれています。

生い立ちからくる諦めにも似た冷静さを越えて沸く嫉妬や不安が絶妙に絡まって終盤まで飽きません。
野波の大切な人たちはいつも自分を置いていってしまうというから、という刹那な想いが伝わりズキズキします。
でも、擦れてないんですよ、野波って。
意地張っても、比嘉には見透かされてしまって赤面したり可愛いです。
比嘉も見た目のカッコよさと社交的な性格とは裏腹な独占欲や一途で純な表情を惜しげもなく出します。
それがすご~く良い!

そして脇役スキーの私にはたまらない一冊となったのは…比嘉の友人ふたりがすっごく好いヤツだったこと!
ふたりに的確なタイミングで言葉をかけるんですが距離感がいい。
比嘉の事情を知っているからこそ野波にも真っ直ぐに向かいあって話をしますが、押しつけがましくない。
でも本当に心配してるのが伝わります。
友だちの中継って学生ものの特権ですね!!

あとノンタンの後見人の保。
幸せになってほしい。
勿論、今も亡き野波父を想うだけで幸せなんでしょうが。
野波父との話も読みたいけれど死で終わるのはツラいかも~。

久々の天禅さんの学生もの。
難解な表現やまわりくどい伏線は一切なし。
ベタですが、恋の一瞬のきらめきが普段使いの言葉で波のように寄せてはひいていく。
その寄せる部分の表情がすごく好みでした~。
あんな思いつめた目で見つめられたらまずいわ~惚れてまうやろ~逃げられなくなるやろ~。
天然もの誘い受け認定ですよ、ノンタンww

描き下ろしの同居話が可愛かった~!
緩くなった保さんが好きだ…。

6

甘くせつなすぎる両片想い

 1年留年していて軽そうに見える攻めと、クラス1の秀才メガネな受け。正反対に見える2人ですが、それぞれ抱えるものを持っていて、他人と深く関わろうとしないオーラはどことなく似ています。そんな2人の、恋と愛。
 強いまでの優しさで気遣い合う、2人のすれ違い。すれ違いながらも真っすぐ向き合う2人の姿に、ハッピーエンドを信じながら読み進めることができる、切ないけれど甘くて幸せな物語でした。

 切なさを120%体験したい方は是非ネタバレ無しで読む事をお勧め致します!
↓以下ネタバレです。100%体験で良いという方はお進み下さい。

◆切なさその1:はじまり
 どちらからともなく抱き合う初Hから切ない雰囲気が漂ってます。クラスメイト達には本音を見せない二人が惹かれ合い、お互いの家庭の事情に触れて「期待してはいけない」と警鐘を鳴らしながらも「もっと知りたい」と思ってしまう心。
 いつ始まったのか分かりませんが、すでに引き返せない2人の恋。切ない予感しかしません。

◆切なさその2:両片想いのすれ違い
 お互いに抱えているものを知り、それを尊重しながら愛し合う切なさ。想いを伝え合い、体を重ね合い、恋人同士のような甘い時間を過ごしながらも、両片想い。
 見ていてヤキモキしてしまうようなすれ違いではなく、お互いを想う気持ちがぎゅんぎゅん伝わってくるすれ違いには納得せざるを得ず、苦しいのではなく幸せになってしまう不思議な切なさがありました。

◆切なさその3:先の見えない切なさ
 先の読めない展開になりながらも、2人の気持ちは強く真っすぐです。今回の物語の結末がどうであろうと、いつか幸せを掴めると信じることができる2人の愛し方。涙があふれながらも爽快な気持ちにさせられる切なさが詰まっていました。

◆受けが素敵でした
 切ない切ないと「切ない」ばかり連呼しましたが、読んでて一番萌えたのは受けの「エロさ」でした。潔くエロいです。男前な直球誘い受け。他人の気持ちを尊重しながらも、自分の気持ちも大事にして時々甘えてみせる姿にきゅんきゅんです。
 そして、感情的にならずに幸せの最大公約数を導き出した最終話。設定だけで終わらなかったクールな秀才ぶりに悶えました。

 まとめに入ってしまったようなラストの台詞が一部しっくりこなかったので評価1つ下げての「萌×2」ですが、ほぼ神!な作品でした。

5

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