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前向きで心優しい青年×心に傷を持つ青年の切なくも心温まる純愛ストーリー
綾さんの『イエスタデイ〜』は切なくてそれでも最後はホッとさせてくださる作品でしたが、あらすじのせつなさで読み出すのに時間がかかっていました。
今作もまさにそんな感じで。
答姐で随分前にお勧め頂いてすぐに購入したわりに、ズルズルと(苦笑
はー、でも久々に泣きましたし、大切なものを頂けた作品でした。
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受けの翠(スイ)は18歳の大学生。
幼少時に発症した解離性同一症で小学生の頃から十年心療内科へ通いを続けていましたが、去年人格統一がされました。
現在は養父母と三人暮らし。
攻めはお隣さんで、翠(スイ)と同じ大学に通うカメラが趣味の真優。
去年の春にずっと見守ってきた翠へ告白した、二つ上の幼馴染み。
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解離性同一症の翠は、スイという翠よりも大人な人格に頼り、兄弟、半身として大事にしていました。
そしてそのスイとの人格統一が起こり、残ったのはスイであったというところからのスタートとなります。
このことに関しては読み進めて行きますと色々露わになるのですが、それはぜひご自分で読まれて欲しいなと思います。
スイが翠のために書き続けてきた日記(スイが表層に出ている時のことは翠は覚えていない)が、本当に切ない。
彼の溢れる愛情がひしひしと伝わってきます。
『翠のために自分はいる』ということをまさに体現している存在です。
その言葉はもしかしたら自分を縛っていたかもしれないと感じましたし、それは施設でともに過ごした嘉人への気持ちを横に置いたことでも表れているのかもしれませんが、スイが誰よりも幸福であったことは伝わってきて泣けました。
この嘉人については、わたしラスト近くを先に確認していたので(苦笑)、真優が詫びた言葉について胸にストンと落ちました。
できたら二回続けて読まれると、納得できる部分が多かったり違うイメージで読めると思います。
翠とスイという存在について、周囲がそれを受け入れていたのがすごいことですね。
まるで翠とスイは別の人間であって二人存在したかのような会話が、人格統一された後も続いているのです。(「おまえ『たち』の母さん」と父親が言ったり)
もちろん二人が一つの体に同居していた頃も、彼らの生き方を尊重していました。
まるで兄弟のような。
彼らの周囲には優しくて強い人しかおらず、嫌な気持ちになる登場人物がいないのもこの作品の安心できる部分でした。
じっと気長に翠の心がほどけるのを待った真優は名前負けしない本当に優しい人でしたし、養父母も、嘉人も、担当医も、施設の先生も、亀の歩みである彼らを歩みの遅さに目をやるのではなく前に進むことが評価できる人達でした。
それは最初から強い人間などいないことを己の経験で知っているからなのかもしれません。
惜しむらくは挿絵でしょうか。
カラーはひじょうにイメージにあっていて素敵なのですが、モノクロの挿絵はちょっと真優も嘉人も子供っぽく(高校生くらいに)感じました。
そしてエチシーンだけ線が荒く(他のページは普通なのですけど)、描いた方が別なの?と思うほど。その辺りはちょっとガックリいたしました。
綾さんの作品にはもう少しフワフワした絵柄の方が合うなあと個人的には思います。
今までの綾ちはる作品の中で一番好きです。
最後まで読んで「なるほど」と思わせる納得の一冊でした。
翠(みどり)は幼い頃DVを受け、それがきっかけでもう一人の人格(スイ)が生まれます。
スイは翠を守るために生まれたので、スイは翠の時を含めた全ての出来事を記憶しているけれど、翠はスイであった時の行動を知りません。その為、スイは翠に驚かせないために手紙風の日記を幼い頃から書いています。
ひとつの体で全く別人のスイと翠ですが、一年ほど前から翠の人格が現れないというところから物語は始まります。
DVを受けていた家から養護施設を経て新しい家庭に引き取られたスイと翠が出会ったのが、隣に住む真優(まひろ)です。真優は翠が好きで、ずっと翠が戻ってくるのを待っています。
ネタバレを最小限にとどめてレビューをするのは非常に難しい作品ですが、
説得力があり泣けました。とても丁寧に話が綴られているなと感じました。300ページ近い厚めの文庫本ですが、全くダレるところもなく最後まで一気に読んでしまいました。
そして最後のページでやられてしまいました。
切ないです。
おススメです。
どんなに気をつけてもネタバレに、なってしまいそうな気がして…うぅ〜(¯―¯٥)
時間をおいて再読した作品です!
最初に読んだときどうしても手元に残したいと…思っての再読。
やはり切なくて優しくて…泣きました。
翠とスイと真優のお話ですが、
この3人に関わってくる人たちが
とても優しくてとて素敵です。
あまり上手かレビューではありませんが、
ぜひ読んで頂きたいです!!
このお話の最後の最後に書かれている
分章に涙が溢れてきて、
そして…優しい笑顔が溢れます(*´ェ`*)ポッ
幼少期に虐待されていた翠が
自分の心を守るため生み出した別人格「スイ」。
内気で臆病な翠を、明るく優しいスイが励まし守るという関係は、一年前に翠の人格が消えてしまったことで終わりを告げる。
スイは、翠を待ち続ける幼馴染の真優に、何とか翠のことを諦めさせようとするが…。
同じ身体なのに、そこにいるのは全くの別人。
そんな相手に恋することは、いつか人格が甦るかもしれないと希望を捨てられない分、死別より酷かもしれない。
「片想い萌え」だという作家さんの本領発揮ともいうべき題材です。
どん底からスタートし、中盤~後半に思わぬ仕掛けがあり
ハッピーエンドという構成も健在。
―――――――以下ちょっとだけネタバレ
スイと翠。
性格も、考え方も、好きな人も違う二人。
読者としてはスイにも翠にも幸せになってほしいけれど
身体は一つしかない。
一方の幸せのため一つの結末に向かっていく過程が
嬉しくもあり悲しくもあり…
まるで自分が失恋したような気持ちに囚われますw
各章の冒頭に綴られる、もう一人の自分にあてた日記。
子供の頃はひらがなだらけだった文章が
章が進むにつれ段々大人びてくる。
子供の頃からずっと彼を愛し続けた、
彼の限りなく優しい文面に目頭が熱くなります。
もひとつ切ないのが、スイたちと同じ施設育ちの嘉人。
究極の片想いは真優よりこっちという感じがしました。
実はメインカプより、ごく短い彼のエピソードの方が
より強く自分の琴線に触れたところがあります。
嘉人メインの話でも一冊の本にできそう。
(というか是非読んでみたい。。。)
―――――――
自分では何もしない主人公がやたら周りに愛されフォローされまくりというパターンはあまり好みではないのですが、
傷ついた心が、周囲の色んな人に支えられ
再生し育っていく物語への感動の方が勝りました。
デビュー作と同じくらい好きな作品です。
初読みの作家さんで、あらすじを読んで購入しました。
多重人格の子と幼馴染みの話。
実の父親のDV被害にあって、別の人格「スイ」を作り出してしまった翠だったけれど、ある日スイを残して翠が消えてしまった。翠“が”好きな幼馴染みの真優は、翠が戻ってくるまで待つという。
スイはそれを聞いて「僕にすればいいのに」と云い続けていたけれど。
詳しい感想を書くと、ネタバレになるのでそこらへんはふれないように。
多重人格は、有名どころの「ビリーミリガン」を読んで、これは「ああ、すごいなあ。不可解な事が世界にはあるんだなあ」と理解出来ましたが、色々TVのドキュメンタリーを観ていて、これ人格じゃないんじゃ?というものもあったり。まあ、実際、人格が変わるといえども自分が作り出した物だから、過度の妄想とレべルが変わらなくても仕方ないのですよね。
そういう認識で読んでいるので、スイが翠を大好きというのも、当たり前ですが極度の自己愛だと思うと、うーうーん。まだまだ理解が足りないようです。
傷ついた子が皆に優しくされて立ち直るのはとてもいい話なのですが、少しだけ引っかかるのは翠の年齢が行き過ぎてること。
これが中学生、高校生だったら、もっとすんなり入ってきた話な気がします。あ、でもそれだとエロ展開はきついですなあ。
社会人だと更に微妙なので、矢張り大学生くらいが一番いいのですかね。
オチはハッピーエンドなので、良いと思います。
一番可哀想なのは、嘉人くんかも。