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歳の差カップルで、出来る大人な年上×健気な年下美人の組み合わせ。
どちらもひねたところがなく、綺麗で落ち着いたカップルでした。
お話は甘いけどそれだけでなく、仕事ものとしての要素がきちんとあって、音楽業界という舞台についてもしっかり調べられている作品でした。
中身は受け側の一人称です。
主人公の奏は、男性に襲われかけた経験から接触恐怖症で、今はそのトラウマを知る先輩の音響スタジオで雑用のようなお仕事をしています。
でもいつかは何者かになりたいという、奏の自立や能力についてもしっかりテーマに添えられていて作りこまれていると感じました。
これが単なる恋愛だけのお話だったらおそらく途中で飽きてしまったと思うのです。
攻めである家弓は、奏の会社にあるある古いスピーカーを買い取ったことで奏と知り合います。
大人でセレブで男前で落ち着いていて…。かなりハイスペックな攻めでした。
およそ現実にいなさそうなハイスペックさ、こういう攻め大好きです。
奏は耳が良く、家弓の買い取ったスピーカーを調整しているうちに仲良くなり、距離を縮めます。
流れだけを見るとくっつくのが早いのですが、それが不自然というようには感じられなくて、触られるのが苦手なのに「この人は大丈夫だ」という感じも自然でうまく書かれていました。奏がこのトラウマを家弓に守られるだけでなく、自分で解決していく様子もよかった。
もとは雑誌に載ったお話だそうですが、短いながらに出会いから中盤に事件も起きて、良くまとまっていました。
スタンダードなんだけど良質、という感じです。
だだ、奏の先輩で社長の修先輩が奏を襲うシーンだけはちょっと頂けない気もします。親のように大事にしてきたのはわかるし、奏のトラウマもかわいそうではありますが、成人した男性に対し「外には悪い男がいっぱいだからな」なんて守り方、小中学生の女の子に言うような台詞に思えました。
奏が手に入らなくて襲うという展開もBLにありがちなので、やっぱり、という感じがしてしまいました。でもこの先輩とはその後の関係がとてもよいのでプラスマイナスゼロでしょうか。
後半はその後の二人なのですが、七年後のお話ということ。
すぐ後とか、一年後などはよくありますが、七年後(同居を始めて五年後)のお話ってあんまり見ないなあ…という感じでなかなか面白かった。
今だに新婚のようにラブラブなのはやはりBLだからだなあとは思いますが、白髪を気にしはじめた家弓がかわいくてやけにリアルでした。
作者さんは攻めがアラフォーになってしまう!と慌てたそうですが、アラフォーって、自分は断然好みです…。
歳の差カップルが大好きなので、いくら歳をとっても歳の差が縮まるわけではないですものね。一緒に歳をとっていく、という事をしみじみ実感している二人がほほえましかったです。
蓮川さんのイラストは本当に美麗でよかった。大人な年上も年下美人もほんとうにこの主人公達2人のイメージにぴったりでした。
欲を言えば、「コントラバスの声」って設定なのにこちらに声は伝わってこないから、もっとイメージできるように最後まで書いてほしかったなぁと思います。
最初のほうだけであんまり活かされてないと感じたことが残念でした。
「声が素敵」って攻め、たまに見かけますが、本当に本だとわからなくて惜しいですよね^^;アラフォーになったのならさぞかし深みを増してるだろうと思います。無理だけど、どういう声なのか、聞いてみたいなぁと思ってしまいます。
ドラマCD化を要望します!!
コントラバスとヴィオラの声…素敵すぎます。
表題作と短編「7th anniversary」が収録されています。
どちらも奏(受け)の目線で進んでいきます。
奏は男に襲われかけたことから接触恐怖症になっており、事情を知る副島が経営する音響制作会社に勤めています。ある日、家弓(攻め)がヴィスケのスピーカーを譲ってほしいと店にやってきて…という話です。
学生時代から奏を守り傍にいた副島でなく、会ったばかりの家弓に惹かれるという「恋に落ちるのに時間は関係ない」を地で行く展開でした。そして家弓の方も一目惚れ(一声惚れ?)という運命の恋でした。
しかしそれが嘘くさいのでなく、全体的に漂う甘い雰囲気に心地よく酔ってしまい、とても自然でした。
読後の印象はもちろん甘く明るいもので、続編のプロポーズではきゃー、ご馳走様!(ニヤニヤ)といった具合でした。
家弓はもちろんカッコイイのですが、奏を一度は襲いかけてしまう副島も良い男。しかも主人公の奏も、家弓の会社に行くかと思えばそれとは別という気骨のある男で、蓮川先生のイラスト効果と相まって、イイ男ばかりで満足の一冊でした。
悪人が登場しないので安心です。特に音楽に詳しくなくても支障はありません。ベタ甘とはちょっと違う、大人の甘ーい愛し愛されている社会人カップルがお好きな方には絶賛お勧めです。
ストーリーは古典的というか分かりやすくロマンティックで良かったのですが、文体のクセが強すぎてとにかく読むのがしんどかったです。攻でも受でも一人称で進む作品が苦手なのに、その上「…」や「ーー」や読点が多用されていて読んでいて苛々しました。
気を取り直して…。主人公は接触恐怖症のある青年・奏。学生時代の先輩・修が社長を勤める音響制作スタジオで働く彼がある日出会ったのは、コントラバスのような心地良い声を持つ年上の男・家弓。スタジオに置かれていた年代物のスピーカーを通じて二人の交流が始まり、奏と家弓はお互いの持つ不思議な魅力に惹かれ合っていくのだがーーというお話です。
お仕事の描写が多く緊迫感のあった本編と対照的に、7年後を舞台にした書き下ろしは甘々でした。白髪のエピソードがとても良かったです。ただ、修の処遇にはちょっと納得できませんでした…。
文体が苦手な私としては、CD化されたらもっと面白いかなーと思いました。家弓のコントラバスな声も聴いてみたい。