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恋人たちは草原を駆ける夢をみる

koibitotachi wa sougen wo kakeru yume wo miru

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表題作恋人たちは草原を駆ける夢をみる

オーリ,亡き兄の親友,25歳
ハワル,草原の民,18歳

その他の収録作品

  • 草原の夜
  • あとがき

あらすじ

馬に乗れない者は一人前の男として扱われない草原の民でありながら、幼いころの出来事が原因で馬に乗ることができないハワル。 そんなハワルをなにかと気にかけてくれる、亡き兄の恋人だった男・オーリにハワルは淡い想いを抱いていた。 ある日、宿営地が敵襲に遭いハワルは捕らわれの身になってしまう。そして、そこで見たものは、敵と通じているオーリの姿だった――。 オーリの裏切りに衝撃を受けるハワルだったが、どこかでオーリを信じたいと願っていて……。

作品情報

作品名
恋人たちは草原を駆ける夢をみる
著者
夢乃咲実 
イラスト
サマミヤアカザ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784344848344
4.1

(42)

(16)

萌々

(17)

(8)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
7
得点
173
評価数
42
平均
4.1 / 5
神率
38.1%

レビュー投稿数7

一人の戦士なのです

モンゴル風民族BLで「草原の王は花嫁を征服する」のスピンオフになります。
単独でも問題無く読めるんですけど、セルーン達が結構活躍するので、既読だとより面白いと思います。
セルーン、立派になってたよ!

で、こちら、草原で羊を放牧して生きる草原の民が主役になるお話なんですよね。
厳しい彼等の生活に、男同士の特別な絆。
いや、まさにタイトル通りのドラマチックなお話で、読んでてうっとりしちゃうんですよ。
えーと、作者さんがおっしゃってくれてるように、広々とした草原を駈ける気分を味わえると思うんですけど。

ちなみに、夢乃先生と言うと、受けがわりと悲惨な目にあわされる事が多いイメージですけど。
が、今回の受けは多少不憫ではあるものの、そこまで辛い目にあいません。ご安心を。
それどころか、戦士として戦う彼が格好いいんですよねぇ。
攻めとともに馬を並べて、広い世界を見つめる姿にシビれるんですよねぇ。

まぁそんな感じで、皆様もモンゴル(風)の草原の爽やかな風を感じていただきたいです。

内容です。
幼い頃の事故が原因で馬に乗れず、一人前の男としては扱われないハワル。
そんなハワルを何かと気にかけてくれるのが、亡き兄の「馬を並べる」相手であったオーリ。
オーリに対して密かに恋心を抱くハワルですが、自身の境遇から、素直に想いを認める事が出来ないんですね。
そんな中、部族の宿営地が敵襲に遭いハワルは捕らわれますが、なんとオーリが敵と通じていた事を知ってしまいー・・・言うものです。

まずこちら、個人的な萌え処ですが、ずばり草原の男である彼等の特別な絆だったりします。

えーと、この草原の民ですが、男同士で「馬を並べる」と称される特別な関係を結ぶんですよね。
こう、家族であり親友であり誰より信用できる特別な相手と。
時には身体を重ねちゃったりする彼等の関係は、やがて大人になって結婚する事で解消される。

で、亡き兄のそんな馬を並べる相手であったオーリに対して、密かな想いを抱いているハワル。
彼はですね、幼い頃の事故がトラウマになり、草原の男なら乗れて当たり前の馬に乗る事が出来ない。
何だろう。
兄の恋人だったとか一人前の男として扱われない自分の立場とかがネックになって、ハワルは自身の気持ちを素直に受け入れられないんですよね。
そんなハワル視点で進むんですけど、彼の複雑な心情と言うのが焦れったいのにめちゃくちゃ萌える。

周囲からバカにされている、情けない自分を見られたくないと言う意地。
兄の身代わりにはなりたくないと言う矜持。
それでも、一人の男として彼と馬を並べたいと言う強い憧れ。

これね、今回の攻めですが、おおらかで包容力があって優しくてと、まさにスパダリなんですよね。
ハワルにすげない態度をとられようと、ひたすら気にかけ関わり続ける。
こう、そんな彼とオーリとの、スレ違いにとにかく焦れる。
彼等の文化とか、それに裏打ちされたハワルの複雑な心情とかがしっかり理解出来ちゃうだけに。
なんとももどかしいって感じで。

と、こちら、最初こそとてももどかしいものの、王道のスレ違いラブなんですよ。
が、ここから、ハワル達の部族が敵襲に遭う。
更に、オーリが敵国に通じていた事が分かってと、まさに嵐のような怒涛の展開。

果たして、オーリの真意とは?
そしてハワルは、彼と馬を並べて、あの懐かしい草原を再び駈ける事が出来るのかー?
ってところでしょうか。

これね、ここからお話は壮大な広がりを見せと、とても面白いです。
こう、戦う男って格好いいよね!と。
また、オーリの真の狙いだったり、彼とはまた違った視点で、広く世界を見つめるハワルがシビれる。
彼も一人の戦士なんですよね。
ついでに、本人じゃなく、その付属物なんかで評価されがちなんですよね。
こういう草原のような、厳しい場所なら尚更。
それが、オーリですが、あくまでハワルをハワルとして見てくれているのが素敵で。
馬に乗れても、乗れなくても、ハワルはハワルだと。
や、こういうのって、めちゃくちゃ感動ですよ。
胸アツですよ。

と、そんな感じで、とても壮大だし感動的だし素晴らしい作品でした。
夢乃先生の民族BL、最高ですよね。

11

民族BLその2

「草原の王は花嫁を征」に続く物語で、セルーンとソリルが登場します。
このシリーズは、読み物として面白いけれど、エロス度低いです。

自分が馬に乗って、大草原を走っているような気持ちになって楽しかった。
モンゴルが未だまとまらなかった時期の草原の物語、馬と家畜と人の移動生活は郷愁を感じるので好き。

「草原の王は花嫁を征服する」に登場した草原の部族を連合する王のソリルは、草原の部族を未だ全統合しきれていなかった。
事故のトラウマで馬に乗れないハワルの部族は、最後まで統合に反発している。
或る晩、東の軍の奇襲を受け、ハワルは捕虜になる。
敵軍にはなぜかオーリがいる。
ハワルが東の国の王へ男妾として移送される途中、オーリが捕虜たちを逃がす。
オーリは密かにソリルと会い、密偵として東の軍隊に入り込んでいた。
逃避中、敵に見つかり、ハワルを逃がしてオーリは、東の軍隊に捕縛される。
乗れなかった馬に乗って走り、ソリル王にオーリの伝言を伝えると、ソリル王は即座に出撃を決定。ソリル王の横には、セルーンも居る。
並んで走るソリルとセルーン、二人の様子を見てハワルは考える・・・
・・ハッピーエンドです。

電子版のSSは、「草原の光」
ハワルを訪問したセルーンが、馬を並べる関係について語らう。

この作品を読了後、遊牧民族キャラが登場する「転生の神王妃 ~夜に抱かれる少年~ 」を読みます。

1

風が変化するんですよ

前作『草原の王は花嫁を征服する』が好きだったものですから、楽しみにしていたんですね。出版社あらすじも見ないまま購入して「え?主人公、馬に乗れないの?」とビックリ。前作ではあれだけ爽快だった『草原を吹く風』が、このお話ではちょっぴり痛冷たいです。

遊牧の民であるならば、馬に乗るのは必須のこと。
それが出来ないハワルのつらさ、いたたまれなさを考えるに(それもメンタルの理由なんですよね)……
それでも卑屈にならずに、部族の中で生きる術を考え、居場所を作って行く彼の在り方は感動的でした。

だから余計に「もう少し早くにオーリはなんとかしてやれなかったもんかねぇ」と思っちゃうんですよ。気がきかないよね、オーリって。ってか『身近にいる現実の男性』を思い出したりなんかしちゃって、この辺は腹が立ったり。

だから余計ハワルの頑張りに共感できたっていうのもあります。
そう、風が変わるんですよ。
お話の初めと、中盤と、ラストで。
この変わり方がとってもとっても素敵でした。
草原を吹く風、良いよ。

2

草原の民

先生買い。「草原の王は花嫁を征服する」のスピンオフでした。草原を渡る風を感じられるような心地で、お話は好きですが、めっちゃ残るか?と問われると?なので萌にしました。「草原の王・・」のカプがちら出するし、そもそも草原の民vs東の民という設定にがっつり乗ってる話なので、「草原の王・・」の方も読んだ方が面白いと思います。本編270P弱+攻め視点の後日談8Pほど+あとがき。

幼い頃のアクシデントで馬に乗る事が出来なくなってしまったハワル。宿営地に残り、蔓や革を加工することでなんとか部族の中での役割を見つけています。ある日男たちが集められて告げられたのは「東の国に対抗するべく、草原の民は一つにまとまるべきだ」という内容で・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
ミン、ユイ(東の民、親子)、ホロル(受け兄、故人)、エレルヘグ(攻めの馬、お利口)、王+セル―ン(草原の民をまとめつつあるカップル)、ザーダル(王の側近)ぐらいかな。前作カプがよい感じになってて嬉しい。

++良かったところ

受けがトラウマから馬に乗れなくなっていたのを、克服できるという成長話な側面がありまして、やっぱり嬉しいですね。馬乗って、颯爽と草原を駆け抜ける。読んでるだけで気分爽快。乗れないころは何とか自分のできることを一生懸命やろうとする頑張り屋さんなので、気持ちよい子ですし。女々しくないのが良かったでした。

攻めさんは行動力あるし、新しい考え方を取り込もうと色々考える方なので、良いなとは思うのですが、きゃ♡カッコいい♡と惚れる瞬間が今一つ無かったでした。王族というのではないから、圧倒的なオーラを持ってる訳でもないですしね。

東の民vs草原の民という構図は大学専攻していたところに近いものがあるし、ハラハラ面白くて好きだし、受けはいい子だなと思ったのですが、攻めに惚れられなかったお話でした。

3

草原の民なのに、馬に乗れない

コロナ禍でどこにも出かけられない中、執筆されたとのことで、想像の中だけでも「密にならない、広大な場所へ」という作家さんの願いが伝わってくるかのような作品でした。

前作でも「馬を並べる」関係に萌えましたが、今作も出てきましたよ〜。
ハワル(受け)の想い人であるオーリ(攻めは)、かつて亡き兄と「馬を並べる」関係だったというパターンで。

「馬を並べる」とは、親しい男同士の一対一の特別な絆で、実の兄弟よりも互いを優先し大切にし合うという濃い関係なんですね。
人によっては体を重ねることも含んでいて、どちらかが結婚したらその関係は終わるけど、でも終生深い友情は続く……というやつで。
恋人同士でしたーよりも、馬を並べる関係でしたーのほうが、なんか不可侵的なものを感じるわ。

というわけで、オーリが自分を何かと気にかけてくれるのは、亡き兄の存在があったからだ……としか思えないハウル。

おまけに、ハウルは幼い頃のトラウマのせいで馬に乗れない。
草原の民にとって馬に乗れないという事は致命的で、一人前扱いされないハウルだけど、卑屈になりすぎずに自分の出来ることを見出す。
その姿が良かったです。

実は一番記憶に残ってるのが、電子限定の描き下ろしSS

前作の受け、セルーンがハワルを訪問し「同じ立場同士、仲良くしましょ」と言うお話。
受け同士が仲良くなるのが大好きなので、その先の展開を考えるとあれこれ萌えました。
ぜひぜひ仲良くなって、お茶飲みながらでもあれこれ語り合ってほしーわ。

0

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