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ここに来たのは、別れを告げるためだ。もう二度と会わない。
これは数年前のハーレクイン・ラブシックの超訳シリーズ。海外BL作品の元の翻訳があってさらにそれを日本のBL作家が超訳する…というよくわからないシリーズ。手間かかるし元の翻訳者に失礼じゃね?とも思ってましたが、今回は「デッドロック」シリーズで外国人が主役のお話も読み慣れてる英田サキ先生の文章だからか読みやすくて話にどんどん引き込まれました。
19世紀オーストリアと戦争中のプロイセン(今のドイツ)軍の大尉(黒髪口髭ダンディー)×中尉(金髪碧眼20代)が攻めと受けなんですが、導入部分から面白い。攻めが受けの裸の写真をニヤニヤ眺めてる所から始まり、2人は今回の戦いが終わったら除隊して駆け落ちしよう!と約束していたのに攻めが落馬して記憶喪失になってしまう。受けが切なくて1番可哀想なパターンです。
受けは療養の為に軍を離れる攻めのベルリン方面への帰省の旅に付き合うのですが、受けにとっては試練の連続です。攻めに恋人だった事を思い出してもらえないわ、攻めの召使いや攻めの元愛人にはネチネチ虐められるわ…物語の最後までよく我慢できたなと思います。
最初の方の攻めのモノローグでそれまでの恋人は庇護しなければいけないタイプばかりだったけど受けは逆に自分の事を守ろうとする凛々しくて勇敢なタイプ、との事で大好きな男前受けです。カッコいい受けが傷ついて弱ってるのがまた萌えるのよね。イラストもそんなアンニュイな雰囲気で素敵でした。
展開が早いので一気に読めました。面白かった!
除隊して二人で逃げようと決めたルドルフとマティアス。
除隊届を出してルドルフに会いに行ったマティアスは、最後の戦いでルドルフが落馬し自分との記憶を忘れていることを知ります。
除隊届は出してしまったし、途方に暮れるマティアスでしたが、
記憶が戻るかもしれないというわすかな期待を胸に、療養のため地元に戻るルドルフの旅路を共にします。
でも現実は記憶を失ったルドルフが、自分以外の男性に恋していることを知ってしまうという残酷なもの。
自分が騙されていたのではないかと悩み苦しむマティアスがかわいそうでした。
自分の知っている愛し合っていたころのルドルフを信じるのか、記憶を失い自分が知らなかったルドルフを信じるのか。
二人の擦れ違いの感情がとても切なかったです。
超訳というのもには興味を持ったのですが、翻訳物のBLに惹かれずためらっていました。
けれど一度は読んでみようと好きな作家さんの作品を読んでみました。
19世紀のプロイセンの戦場での出会いです。
BL作品ではあまり馴染みのない時代背景に軍人同士のカップル。
先の見えない戦闘が続く中で愛するものとの逢瀬だけが幸せなひと時。
故郷には妻もいる貴族のルドルフ(中将)と身内との縁の薄い庶民マティアス(中尉)の物語です。
作戦中にもかかわらず、不名誉な経歴を残すことになっても除隊し二人で逃ようと約束した日、落馬による怪我で記憶を失ったルドルフ。
それも最近の2年間を忘れてしまいます。
その間に前の恋人と別れマティアスと出会い恋をし総てをかけてもいいと思ったことも忘れ去ってしまったのですからマティアスには辛いです。
恋人だった人が見知らぬ他人を見る目で挨拶をするのですから。
旅の途中、ルドルフはなぜか友人のはずのマティアスに惹かれてしまう自分の心を持て余し、ある晩思わず抱きしめ口付けてしまうのですが、国で待っている美しい恋人(実際は別れている)がいるのに、それでも惹かれてしまうことをやめられずに苦しい思いをする場面はじれったかったです。
やがてベルリンに到着し、2年前に別れたがそんなことを忘れいまでもラブラブだと思い込んでいる元彼に出会うのですが、これが早速金を無心するひどいヤツなんです。
バカですね。尻軽の上に金の亡者になんて引っかかって。
美しい高値の花を手折るのがたまらないというルドルフ、苦労して堕とした恋人が愛おしくてしょうがないって感じです。
マティアスは自分がはじめから戦場だけの恋人で道具のように扱われ捨てられたのだと離れていきます。
目の前で愛する人が別の人とイチャつくなんて見ていられません。
切ないよ。
終盤真相がわかったルドルフが、それでもマティアスを探し出して呼び戻そうとか謝罪しようとはしないのだからヘタレてます。
記憶を失くしていたとはいえ、愛する人を裏切った自分にはもうマティアスを求める資格がないなんて思い込んじゃうんですからもうホントしょうがない。
海外ミステリーなどは好きですが、その他の翻訳物の文章は苦手でした。でも超訳は素晴らしいです。読み慣れた作家さんの文章の所為でしょうか、あらすじだけを読んだら読みたくなる傾向の話ではありませんし、登場人物も好きなタイプじゃなかったんですが、最後には何としてでも再び結ばれてほしいという気持ちになりとても楽しめました。
翻訳物に躊躇している方にもお勧めしたい作品です。
2年分の記憶を喪失したルドルフが、記憶を取り戻そうとする時に、頭に鳴り響くのが太鼓(ドラム)です。表題の言葉そのものをページで見つけた時は「これか!」と思わず叫びそうになりました(笑)
ルドルフがエルンストという恋人と別れたことを覚えていなかったのが一番の不運ですね。最終的に、ルドルフはマティアスをちゃんと思い出しはしないものの、再び愛するようにはなるのですが、かなり終盤まで切ないです。
二人の誤解やすれ違いが無理なく展開され、流れるように読めます。
ただ、翻訳に慣れていないと戸惑うのが名前です。途中、名前でなく姓が登場して、誰のこと?と思ってしまうことがありました。日本語だと違和感なく切り替えられるのですが、カナ名だとなかなか・・・。でも、この作品ではほんの少しでしたよ。ルドルフがマティアスを愛称で呼んでなくて良かったです(笑)
時は19世紀、プロイセン軍の大尉ルドルフと中尉マティアスの恋。
珍しい舞台設定、英田さんの超訳、えすとえむさんの挿絵、と
魅力的な要素に惹かれて購入。
普澳戦争が勃発する中、互いへの愛を全うする為に
除隊して共に生きようと誓い合う二人だが、
いざというその日に、落馬によりルドルフが記憶障害に……
2年間の記憶を失い、マティアスとの関係も忘れてしまう。
戦場でのシーンは冒頭のみ、その後はヒストリカルらしい描写は
あまりなく、さすがに現代じゃあないという気がするが
大雑把に昔、時代がいつであってもあまり変わらない感じの背景。
その後舞台がベルリンに移ってのちは、昼ドラみたいな展開。
受けのマティアスも軍人なので逞しいという設定は、悪くないし
えすとえむさんの絵は、外人こそがピッタリでとても合っている。
英田さんの超訳は、硬さと品があるが読みやすく、
雰囲気を楽しみながらするするっと読み終えたが、
萌えと言われるとどうかなぁ?という感想。
なんだかんだとこの超訳シリーズ読んでいるが、
日本のBLにはない設定に惹かれ、手にとってみるものの
悪くはないが、それ以上の魅力はあまり感じられない。
今回も雰囲気はあるが、それぞれの思いというところでは
あまり響いてこなかったのは、国による感性の違いなのか
あるいは私個人の感性の問題なのか?
※
この1866年の普墺戦争で大敗し、失望の底に沈んだウィーン市民を
慰めるためにJ・シュトラウス二世が作曲したのが、
かの有名な第二のオーストリアの国歌とも言われる『美しき青きドナウ』。
※※
Helan Gar=スウェーデンの最も有名な乾杯の歌
https://www.youtube.com/watch?v=XOmrJk3M6HQ
snowblackさま、こんにちは。
レビューもHelan Garの動画も楽しく拝見させていただきました♪
超訳シリーズ、私も何だかんだで毎回読んでおります(『親友の行方』はまだ未読ですが)。
このシリーズ、原書はハーレクインの子会社でデジタル専門のCarina Pressから出ているようですね。
あまり長くないライトなお話が多いのは、元々が電子書籍ということもあるのかな?なんて思いました。