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表題作メメント・モリ

エディ・アッシャー,34歳,元軍人のアメリカ人
アキフミ・サクライ,18歳,麻薬カルテル幹部の息子

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

日本人のアキは麻薬カルテルの幹部に養育され、暗殺の仕事をしていた。追っ手から逃げる途中、アメリカの元軍人に助けられ…!?

作品情報

作品名
メメント・モリ
著者
英田サキ 
イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
白泉社
レーベル
花丸文庫black
発売日
ISBN
9784592851295
3.9

(76)

(31)

萌々

(26)

(11)

中立

(3)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
11
得点
295
評価数
76
平均
3.9 / 5
神率
40.8%

レビュー投稿数11

リカルドが格好よすぎて困る

英田サキさんで、外国人が主人公となれば、「DEAD LOCK」シリーズのような、海外小説風の文体を期待して買いました。
期待違わず。わーい!
実は英田さんが、挿絵のyocoさんの絵に惚れ込んで、「yocoさんが描いてくださるなら、外国の話がいい」と、設定が決まったんだそうです。
特に表紙がいいよね。
タイトルの「メメント・モリ」は、「自分が(いつか)必ず死ぬことを忘れるな」という意味ですが、あとがきによると古代ローマの「いずれ死ぬのだから、生きている今を楽しめ」という意味の言葉から発しているのだそうです。
本作は舞台がメキシコなので、メキシコでのスペイン語の慣用句や俗語(?)がたくさん出てきて、日本語にスペイン語のルビが振られていたりします。私は正直文庫でのルビは目が厳しいので、きっと正しく読んでいない!自信があります。また時々「えーっと『グリンゴ』って何だったっけ?」と、前のページを探すこと数度あり。これも海外小説風なればこそ。

メキシコの麻薬犯罪都市・オルティナ。(架空の街)
ある思惑で潜入してきたアメリカ人のエディ・アッシャー。
彼はとあるバーで、地元の麻薬組織ベリラ・カルテルの一員である、18歳のアキと出会う…

30代のエディと10代のアキが、どうしようもなく惹かれあってしまう。
しかし、アキの心の中には、アキの養父というか支配者であるリカルドの存在が大きく、どうしても悪魔(デモニオ)・リカルドを裏切れず苦しむことになるのだ。…

このリカルドが、実に格好いいんですよ。麻薬カルテルの№2で、寡黙で、ストイックで、何を考えているのかわからない神秘的な男で。
私は、この孤高の男リカルドに惚れ込んでしまいました。
特にラストシーンのリカルドの姿! 幸せになったカップルなんてどうでもよくなってしまいましたわ。
リカルドは、また何かで出てこないかな。でも、彼は誰とも結ばれないで「孤高の男」であってほしい。なんて勝手なことを思う私でございます。

11

ピピン

snowblackさま こんにちは
コメントをありがとうございます。
リカルド、かっこいいですねえ。
物語の後半、彼の魅力がどんどん出てくるのがたまりませんです。
ほんと、誰ともまとまって欲しくありません。
孤高を貫いてくれ、リカルド!

snowblack

ピピン様、こんにちは。
はい、私も「すっかりリカルドにもってかれた〜!」というのが
一番の感想です。
かっこいいですよね、リカルド。
リカルドの話また読みたいけれど、誰ともまとまって欲しくない、
というわがままな読者でございますw

ココナッツ

ピピンさま、お返事ありがとうございます(*^^*)
うふふ、注文してしまいました!
しかし、ルビは小さいですよね…

ピピン

ココナッツさま

すみません。私はまとめ買いしたので、この文庫のお値段に気がついておりませんでした(汗)「英田サキさん・海外が舞台・主人公が外国人。よっしゃ買ったあ!」と、条件反射のように買ってしまいました。
そか800円だったのか…お高いなあ… でも後悔はいたしておりません。
ココナッツさまのお財布のが紐が…、どうもすみません!! でも、嬉しいです。
コメントをありがとうございました。

ココナッツ

ピピンさま

たびたび、すみません(^^;;
この作品、発売前から気になってはいたものの「文庫に800円かあ」とケチ心が発動ししばらく静観しておりました。
でも今自分の中で翻訳BLブームなので、ピピンさまが書かれた『海外小説風』というレビューに読みたくなってしまいました。
しかも年の差!
ああ、最近ピピンさまのレビューでお財布の紐がガバガバでございます…

死を思い、そして

三月の終わりに出ました、英田サキ先生の「メメント・モリ」です。
メメント・モリという言葉の意味については英田先生があとがきで書かれていますので、このレビューでは極簡単に一言、「死を思う」です。
メキシコの架空の町、オルティナでアメリカ人の元グリーンベレー隊員エディと、麻薬カルテルNo.2を養父に持つアキは出会い、惹かれ合う。
yoco先生のスタイリッシュな表紙の左側の人物、銃を持っているのが攻エディ、妖艶な表情で男性の手に縋りついているのが受けのアキ、男性らしいセクシーな手は養父リカルドで間違いないでしょう。
読み進めていくと美麗な表紙より、エディには元軍人らしい武骨な印象を持ち、アキには中性的な容姿の陰に秘めた芯の強さを感じます。
メキシコは美しい国ですが、麻薬やアメリカへの密入国を試みる者が後を絶たないなどの、深刻な問題も抱えています、レイプツリーは現実にあるものです。
エディとアキは出会った瞬間から互いに惹かれますが、一筋縄ではいかないメキシコ事情そのままに、普通の恋愛にはなりません。
アキは絶対的な存在であるリカルドのために人を殺しもするし、元グリーンベレーのエディも無惨に殺害された大切な人のためにオルティナにやって来た。
人の命を奪いながら死を思い、愛を見つける二人。
果たして彼らの愛はどのような結末を迎えるのか。
死が身近なものだったろう二人のエンディングには、ホロリとしました。
英田先生のあとがきに納得、且つ、目からウロコの思いでした。メメント・モリ、深遠な言葉の一つの答えですね。
一つ欲を言えばもっと読みたい、もっとボリュームがあっても全然嬉しい感じでしたが、スッキリ収まっています。
英田先生、流石の完成度だと思いました。
そして一つ、アキがアメリカの国籍を持っていたというのが重要なポイントですね、メキシコ人だったならば全く違う結末が、むしろバッドエンディングよりと思われます。
女装がどうしてもイヤな方にはお勧めできませんが、是非読んで戴きたい作品です。

9

title通り、重い

冒頭から、木に吊るされた死体についての描写。
死と隣り合わせの主人公。殺し屋だから当たり前か。
title通り、重いお話でした。メメントモリ、この小説の場合の解釈は、「死、明日は我が身」という意味が近いかも。

アメリカ生まれ、アメリカ国籍。日本人の母/日系の父を持つアキは、黒髪アーモンドアイ、母のマリコ似の華奢な体躯の美少年。
仕事をするときは、女装。女装すると、蠱惑的な美女になる。
★表紙の絵は、前面の金髪ショートは、アキではないでしょう?背後の人物がアキなら、金髪の人物は、エディ?変装したアキ?

アキが、恋人;エディと育ての親;リカルド、どちらを選ぶのか心配しながら読みました。ひょっとしたら、どちらも選ばず自死するかもしれない・・・

リカルドは、漢。ボスにふさわしい人格と頭脳を備えている。
マリコを愛していたリカルドは、実の息子のようにアキを愛していた。

メキシコの報道でよく見る、凌辱と裏切りの報復、の場面が日常のように書かれていて、アキ自身も、いずれは自分も消える日が来ると覚悟をして生きている。でも無駄死にをしたくない、大事な人を犠牲にすることだけを恐れるアキ。

♥この物語はハピエン。最後にドン伝返しがあって、安堵。読んで良かった。とてもおもしろかった。
続篇は無いようなので、残念。未読の本を読み終えたら、英田サキさんの書籍を全部読むつもり。
この作品のような一寸先が読めない構成のサスペンスが、好きです。

スティーブ・ジョブズが、米スタンフォード大学の卒業式のスピーチのテーマだったことが有名。ゲーム「ペルソナ3」のテーマも、メメントモリ。ポンペイの遺跡の壁画にシャレコウベの絵あって、それに沿えた文が、メメントモリ。

--調べた物:
▶メメント・モリ(羅: memento mori)
直訳は「死を想え」/「死を憶(おも)え」 
意訳は「死生観」 Vive memori mortis. (死を心に置いて生きよ)

▶キリスト教や芸術作品などで広く扱われた宗教用語。キリスト教や芸術作品などで広く扱われた宗教的解釈で、終末観の高まった中世ヨーロッパで盛んに唱えられた
「人間どうせ死ぬんだから生に執着するな」
「人間どうせ死ぬんだから今の生を楽しめ」

▶逆に古代ローマで主に使われていた解釈は、あまり広く使われていなかった
「(自身にいつか必ず訪れる)死を忘れるな」
戦いに勝った将軍が凱旋パレードを行う際、「今日は良くても明日はどうなるか分からないから気を抜くな」と、後ろの使用人に「memento mori(死を忘れるな)」と言わせて、気を引き締めさせたと伝わっている。

2

Hasta la vista!

メキシコの架空の街を舞台に、
麻薬カルテルを巡って展開する物語。

組織の大物リカルドに育てられた18歳の日系人・アキと
この街を訪れたグリンゴ(よそ者)・エディ。
大切な人を麻薬組織に奪われたエディには目的があり……。


ちゃちじゃなく、でも重すぎず暗すぎず、
海外小説風だけれど読みやすく、
洒落たエピソードや風物も散りばめられ、
拷問や暴力シーンもあるが生々しさは薄く、
シリアスだけれどメランコリック、
その塩梅が絶妙。

個人的には食い足りない気がするのだが、
BLとしてはこのバランスで正解なんだろうと思う。
英田さんは、やはりこういう世界を描くのが似合う。

yokoさんの挿絵がまた、
フランス映画のような味わいで雰囲気を盛り上げる。

エディに今ひとつ魅力的に感じないせいもあり
アキ(黒髪の猫のような美少年!)と何故惹かれあったのか
やや唐突な感じはするが、
ライトながらハラハラ感もあり、よくまとまった話で
ちゃんとハッピーエンド、スルスルっと一気に読める。

アキの養父、寡黙で冷徹なリカルドのキャラがいい。
最後のシーンの決め方は、海外ドラマや映画そのもの、
映像が浮かぶ。
最後に彼に全部持って行かれて、読了!


*レビューのタイトルは、かのシュワちゃんの決め台詞から。
 Papá Ricardoに!

8

最初から最後まで男くささムンムン

電子書籍で読了。なんと表紙絵も含めてイラストは一切なし(悲しい)。あとがきもなし。

男!
男がムンムン!
なんであたし、もっと早くこのお話を読まなかったんだろーっ?
『男の話』を書かせたら、英田さんはやっぱり超一級ですね。

殺される前に自分の名を呼んだミシェル……米国人のエディはある目的を果たすために軍を退役してメキシコにやってきました。麻薬カルテルの抗争によって殺戮と腐敗がはびこる街のバーで、エディは猫を思わせる日系人、アキに出会います。『悪魔』と呼ばれる組織の幹部を養い親に持つアキは、殺しも含む組織の仕事を行っています。でもそれは、養い親であるリカルドを盲目的に崇拝し、彼に認めて貰いたいため。リカルドに命じられた仕事を行った後、追われる女装をしたアキをエディは彼と気づかずに助けたことをきっかけに、親密な関係になっていきます。『愛される』ことを初めて知ったアキにリカルドはエディを殺す様、命令します。一方、目的を達成するため、エディは組織に潜入しようと……

司法など無いに等しい過酷な状況の中で、それぞれの登場人物が自分のやろうとすることを全うしようとしていることに加えて、エディ、アキ、リカルドが抱えている過去の因縁が複雑に絡み合って、大変読みごたえがあります。
また、それぞれが人生の中で何を大切にしているのか、して行くべきかが問われ、その選択が違っているのも面白い。そして、違った答えを出す理由が手に取る様に理解出来るのが素晴らしい!
「アメリカ映画の『軍隊もの』『警察もの』『政治陰謀もの』等がお好きな方は、絶対読んだ方がいい。もう、あの世界だから」と大声でお薦めしたいです。

難を言えば、事件の最終盤がちょっとバタバタと片付いてしまったことが、ちょっともったいなかったです。そういう展開を匂わせる伏線は張ってあったのですが、やっぱりちょっと駆け足かな?と。
それでも、お話のラストに漂う匂いは、すごく好みでした。
愛する人と引き替えにしても、守ろうとしたものが糞に変わっていく様をどのような想いで見ていたのか、それを考えると心の中に哀愁の風が吹くようです。

5

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