形を覚えて帰れよ、刑事さん

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表題作ケルベロス

織宮水樹
石川組幹部,経済ヤクザ
瀬戸彰
警視庁捜査一課の刑事

同時収録作品ケルベロス

10人のヤクザたち
瀬戸彰
本庁捜査一課巡査部長

その他の収録作品

  • ララバイ
  • あとがき

あらすじ

身体で犯人を挙げるビッチ──ある事件のせいで、そう唾棄される美貌の刑事・瀬戸彰。
だが彰は悪評など意に介さず独りで殺人事件の容疑者『肩に傷のある男』を追っていた。
そして経済ヤクザの大物・織宮水樹に目星をつける。
彰は男の身体に証拠を見つけるため単身事務所に乗り込むと裸になれと織宮に迫る。
けれど男には鉄壁のアリバイがあった。
「さあ、瀬戸刑事。覚悟はいいか」
面白がるように低く囁く織宮に抱き竦められた彰は……!?

作品情報

作品名
ケルベロス
著者
真式マキ 
イラスト
葛西リカコ 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
発売日
ISBN
9784773088335
3.8

(29)

(10)

萌々

(8)

(8)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
11
得点
108
評価数
29
平均
3.8 / 5
神率
34.5%

レビュー投稿数11

タイトルの付け方が好き

可もなく不可もなく……という印象に落ち着いてしまった。主人公のトラウマ克服がテーマかと思いきや、ネチネチ言葉責めセックスであっさり上書きされてしまったようで、なんだか拍子抜け。無駄な説明と脱線が多く、テンポが悪く感じた。

瀬戸はかつての相棒に裏切られ、誰も信じないと単独行動に出てばかり。過去に騙された経緯も今回の事件捜査も、感情と主観優先で刑事としては能力不足な気がする。新相棒の芝は試されたり利用されたり振り回されて可哀想。

織宮は終始余裕で、瀬戸への執着はいつか冷めそうな危うさがある。気まぐれに玩具を弄ぶかのような振る舞いは魅力的だが、セリフがあまりに攻め攻めしいというか、BLの攻めをやりすぎてて二次元キャラ感が強い。

ストーリーは事件もので、早い段階から犯人が分かった状態で読むので、謎解きでなく捜査とBLを楽しむ感じ。といっても瀬戸は客観性のない憶測を根拠に思考を組み立てたりしており、いつか冤罪を生みそうで刑事にしておくのは怖い。

BLとしては愛とか恋とかそういったものはこれからかな?と不思議な感じ。瀬戸は心の安寧を得られたようだが、そこに相互性がないように見えて気になる。織宮が一方的に与えるだけでなく、瀬戸から何らかの影響を受けているのを見たかった。

好きだったのはタイトル。BLでこのストーリーでそこをタイトルに持ってくるのか、っていう目からウロコな付け方で感動した。瀬戸と芝を犬扱いしてたのはミスリード?とは考え過ぎかな。

1

強引さが心地良い萌えに

読み終えたあとにタイトルを見ると、なるほどなあ…なんて気持ちでいっぱいに。
担当編集さんのセンスが良すぎる。

事件の謎解き部分や2人の恋愛面に関しては、やや設定が甘いようにも見えたので、もう少し詰めたものだったらなお良かったかもしれないなと思います。
唐突さと理由の薄さは否めないのだけれど、どうにもこの攻めの間合いの詰め方がツボでした。
物語冒頭に攻め視点が一瞬入っているのも効いていたのでしょうね。

今作の受けであり刑事の彰は、身体だけではなく心も誇りも傷付けられた…うーん…トラウマどころではない辛い過去を持っているんですね。
それこそ人間不信になってしまうのも無理はないでしょうし、外を出歩くことすら恐怖に思うのでは…?というレベルのもの。
意地と信念だけで必死に立っているような危うい人です。

そんな、毛を逆立てながら生きる美しく危うい手負の獣に、迷いのない手と言葉で奥深いところに触れ、じっくりと解して開いていきながら自然と自分を求めさせる織宮の手腕が見事。
これが真式先生の文章力も相まって非常に官能的なんです。
ヤクザと刑事といえば…な、無理矢理に事を進めるタイプなのかと思いきや、これが本当に丁寧に触れるものだからどきどきしました。
流れ的にはヤクザらしい強引さです。
ただ、強引さからの緩急が妙に心地良く感じられたんですよねえ。
過去の痛みと辛さを塗り替えるように優しく抱いて、少しずつ体温を教える様がなんだかとても印象的で。
織宮に誰にも吐露出来なかったことを暴かれて、良い子だと褒められながら甘い快楽を覚えさせられていく彰の姿もすごく良かった。
それぞれに萌えたというよりも、受けが抱える根深いトラウマを溶かして自分を植え付ける攻めの手腕に萌えた1冊でした。

0

読み終えた今、少し心が痛い

挿絵目当てで購入。


警視庁捜査一課刑事の彰と経済ヤクザの織宮のお話。
いきなりエッチな描写から始まるので、ちょっとびっくりしました(*´▽`*)

序盤から彰に2年前に何らかのことがあり
それがトラウマになっていることは想像できたのですが
それが一体なんなのかわからなくて、ちょっとモヤモヤしていたのですが
トラウマの原因がわかると悲しくて泣きそうになりました。

彰のトラウマを知っている織宮が、彰を無理矢理抱こうとするのですが
その時彰の弱さに触れることが出来ました。
結果的に無理矢理じゃなくて良かったです。

身体から始まったこの二人がどのように進展していくのか
なかなか想像つかなかったのですが、なるほど…。


事件の犯人はもう読んでるとわかってきましたね。
理由は私にはわからないけど、まぁ…なんかそういう気持ちになることもあるんでしょう。

ペアの柴は信じて良いのかわからなかったんですけど
いい子だったみたいで、そこに私は救いを感じました。


とても面白いお話だと思ったのですが、
スッキリ円満!なお話じゃないので犯人の気持ちを考えると切ない気持ちになりました。

0

芝居調の台詞

絵師が、葛西リカコさんなので読んだ、初読みの作家。
2013年の作品。 文章力高い作家だと思った。
このまま芝居に使えそうなセリフが随所にあるけど、違和感ない。
受賞歴は無いようだけど、この作品はとてもおもしろかった。

▶「ケルベロス」(ギリシャ語: Κέρβερος)
ギリシャ神話、 冥府神ハデスの『地獄の番犬』
冥府の入口の兄弟犬、ケルベロスとオルトロス。性質は、主以外には凶暴で残忍。
ケルベロスは三つの頭と蛇の尾、さらに胴体には何匹もの蛇の頭をもつ。
3つの頭はそれぞれ、「保存」「再生」「霊化」を象徴し、死後に魂が辿る順序を示す。
3つの体・顔をもつ「ヘカテ」と関連がある。
冥界と夜の世界に属する亡霊や魔術の女神 セレネ,ペルセフォネ,アルテミス

▶トリカブト(附子)
水で煎じた極少量なら薬。新陳代謝機能を回復。
特に根は猛毒。致死量はアコニチン2~6mg、即効性の神経毒で数分で絶命。
葉はヨモギに似て、花は紫色で「菫」と書く。

---話中に登場する上記を踏まえて読むと、面白さが増します。

葛西先生のイラストが、色っぽくて素敵。

この物語のケルベロスとは、主人公。
体を張って、殺人事件の容疑者『肩に傷のある男』を探し続ける美貌の刑事・瀬戸彰。
経済ヤクザの大物・織宮水樹に近づくけれど、・・逆に瀬戸の毒に溺れていく。

ギリシャ神話で、ケルベロスはヘラクロスに捕まえられる。
=織宮の神経毒に浸されていく瀬戸・・

電子版で読んで、あんまり面白いので紙版も購入して、再読。

3

ミスリード楽しい

 見開き? のイラストからしてえろい。好みすぎる。
 
 わーい攻め視点だー! と思ったらすぐ攻め視点終わっちゃった。最初の数ページだけで、あとは最後までずっと受け視点です。

 ちるちるのキャラ説明を見てて、経済ヤクザってなんぞやwって思ってたら、フロント企業を仕切って組の稼ぎにする役割らしい。(それでも珍紛漢紛)
 彰が人に期待や信用をしなくなった、トラウマになった原因の描写が痛い。

 ミスリード面白い。
 単身で水樹の事務所に乗り込み聴き込みをしたあと、言うこと聞いてやったから犯させろって流れになる。水樹に押し倒されてトラウマ発動すると、一転して水樹が優しく彰に「まわされたとき怖かったか」って聞いて、それに対して彰が正直に当時の恐怖を話す展開がめちゃくちゃ好き。
 水樹に陥落した彰がえろい。

0

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