イラスト入り
触れた相手の心の声が聞こえる力「ジーチェ」を持つ少年と、 冷酷なマフィアのボスの不思議で、ひそやかで、切なく甘い恋物語
既刊『マフィアの華麗な密愛』と同じ世界観の話で、前作の二人もチラッと登場。
巻末には前作の二人の番外SSも収録されています。
あらすじ:
人の心が読める凛(受け)は、養母の入院費を稼ぐため裏カジノへ。
そこで、カジノオーナーでマフィアボスのラファエロ(攻め)と勝負することに。
ラファエロの心が読めず敗北した凛は、彼の下で働くこととなり…
攻め受け両視点あり。
マフィアの話ですが、ストーリーは彼の屋敷での凛とのやり取りメインのため、ガッツリ裏社会モノという感じではありません。
凛は、触れると人の心が読めるという不思議な能力の持ち主。
ラファエロに犯された翌朝、何事もなかったような顔で彼のため朝食を用意するような、ちょっとお人好しすぎる青年です。
いくらラファエロの心の声が聞こえたからといって、犯された後にここまで優しくする必要があるか?という感じですが、
人の心が読める凛にとっては、ラファエロの表向きの言動より、彼の心の声から感じ取れる孤独や不器用さの方が気になってしまうんだろうなと思います。
ラファエロは、マフィアボスとして周囲に信頼できる人物がおらず、常に孤独を抱えている人物。
最初は激情に任せて凛を犯しますが、その後は凛の心の美しさに毒気を抜かれ、なかなかの溺愛攻めに。
凛を抱きながらの情熱的な口説き文句(心の声)の数々は流石イタリア男という感じでした。
本人は口に出さずとも、凛には心の声が逐一伝わっており、実際に聞こえてくる言葉と心の声とのダブルパンチに前後不覚になっているのが面白かったです。
ラファエロが何者かに撃たれ、凛が疑われる等、ちょっとした事件はあるものの、基本的には非常に平和なお話。
タイトルに「冷酷」とありますが、むしろ甘々路線に100%振り切っているような印象の作品でした。
凛が難しい本を読めない、等の設定からやや昔の時代の話かと思っていたら普通にスマホが出てきたり、
凛の養母の入院費の問題が宙ぶらりんになっていたり(おそらくラファエロが今後永久に援助してくれるのでしょうが)と、
終始ゆるい感じのお話でしたが、ゴージャスで甘い雰囲気は楽しめました。
良くも悪くも、非常にB-BOYノベルズらしいマフィアものかと思います。