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表題作甘い罠

志水千博(しみず ちひろ)18才
高森恭介(たかもり きょうすけ)29才

あらすじ

生真面目な公認会計士恭介は馴染みの居酒屋で知り合った千博とひょんなことから親しくなる。
かつて親友に恋人を奪われて以来、恋愛に積極的になれず、仕事に没頭する日々を送っていた恭介にとって、自分に懐いてくる年下の千博は可愛い弟のようであり、心和む相手だった。
だが、その出会いは単なる偶然ではなく、巧妙に仕組まれたものだった。
千博によって、次第に追い詰められ、理性や常識で覆い隠していた欲望を暴かれていく恭介は…。
スリリングなハード・ラブストーリー前編。

作品情報

作品名
甘い罠
著者
暁由宇 
イラスト
斐火サキア 
媒体
小説
出版社
イーコネクション(星雲社)
レーベル
Gene novels
発売日
ISBN
9784434022883
4.2

(5)

(2)

萌々

(2)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
21
評価数
5
平均
4.2 / 5
神率
40%

レビュー投稿数2

読んだことのないタイプの調教もの

この作者さんのマニアックな作品の中では今まで読んだ中で一番好きです。
調教ものですが、調教といってもハードなSMだったり道具を使ったり激しい言葉のオンパレードというわけではなく(逃げないよう手を縛ったりする場面はありますが)雰囲気えろという感じです。
なのにすっごくえろい。

真面目な30歳手前の社会人、恭介は偶然知り合あった学生の千博と親しくなり、家に招くほど仲の良い関係になります。
ですが次第に千博に惹かれている自分に気がつき、千博に欲情していることを後ろめたく思い、千博を遠ざけようとします。

千博はまだ10代で年下の可愛い男の子、という感じ。小悪魔系という言葉がぴったりです。最初は純真・可愛い・弟みたいってタイプの千博が後半になると豹変します。

私は前情報なく読んだので、恭介が千博にベッドにくくりつけられた辺りで千博は襲い受けなのかな?と思ったのですが…まさか、恭介が挿れられるのか!と結構な衝撃でした^^;
見るからに体格差も結構ありそうです。

嫌がる恭介が千博に体中開発され、変わっていく様子が丁寧に書かれていてため息ものです。
無理で痛々しい調教を千博はしません。多少の強引さはありますが、恭介が100%本気で嫌がったらここまではしないという逃げ道は残しています。

調教の様子はあくまでゆっくりねっとり丁寧で、激しさは無く、恭介も千博が嫌いという感じではなく、おそらく形は変わっていてもこれは恋人だといえる関係です。
あくまで「選んでいるのは最終的には恭介なんだ」という感じがします。

自分の変わりように驚きながらも恭介が流されていく様子、大胆になって行く様子が本当に上手い。
それも普通の状態では羞恥心を残していて、ここまで来たら…というスイッチが自分の中でわかっている様子も心理的な調教とでもいうのでしょうか、奥が深いと思いました。

千博が足で恭介の局部をぐりぐりしたり足の指を中に挿れたりっていうシーンが結構あって、普段足を使って嬲るシーンってそこまで好みではなかったのですが、これは萌えました。
多分、千博が可愛い系でなく、普通に体格のよい大人の男性だったらここまで萌えなかったと思います。
体格差があって、攻める側のほうが細く可愛い子だからこそ萌えに繋がるシチュエーションだなぁと実感。

普段は可愛い受けが調教されるお話が好きですが、可愛い子に大の大人が調教されるって、個人的に手を出したことがないジャンルでしたので、意外性がありすごく楽しめました。

いままでされる経験のなかった大の大人が受けになる、という作品が好きな方にオススメです。

こちらは恭介視点のお話ですが、対となる千博視点のお話も刊行されています。2人の出会い編はこちらですので、こちらを先に読むことをオススメします^^

1

年下のS

これ読んだ時はなんて素敵な攻めかしらと思っていたけれど、今読むとちょっと怖いですね、前編だけだと。攻め18歳、受け29歳の年の差です。

内容的にはソフトSMによって、大人の男の抑圧されたリビドーが暴かれていくストーリー。当時作者様が追究したいテーマだったのでしょうか。

公認会計士の恭介は、近所の飲み屋でよく顔を合わせる常連さんの一人、千博がコンビニで財布を忘れて困っていたところに偶然居合わせます。恭介が支払いを立て替えたことからより親しくなっていった二人。千博は愛嬌があって義理堅い、気持ちのいい若者でした。

恭介の自宅に千博が出入りするようになってしばらくすると、恭介は名状しがたい気持ちに襲われます。それが千博に対する欲情だと気付くと、パニックに陥り千博を遠ざけようとしますが…。

しかし。恭介が飲み屋の常連さんだと思っていた千博は、実はバイトの出先で以前から恭介に目を付けていて、狩ってやろうとつけ狙っていたことが明らかになります。(ひゃー)

千博は、恭介が同性に惹かれるタイプだと直感していました。プライドの高そうな男が性的に嬲られて崩れ落ちる様を見たいという千博の願望が着々と実現されていく一方で、ターゲットとなった恭介は現実を受け入れられずに憔悴していきます。

恭介にとって、ひと回り近く年下の千博によって引き出されていく受け身のセックスは屈辱的なのに、なぜか抵抗できない。混乱してはいても、千博を邪険にできません。

普段は年相応で屈託のない明るい千博が、セックスでは恭介に対し支配的にふるまい、年上の男を屈服させる悦びを得る。その二面性が矛盾せず、自然に成立している描き方が見事です。

恭介には結婚を考えていた女性がいましたが、親友だと思っていた友人に心を移され、傷ついていました。ヘテロを自認していたとしても、セクシュアリティや性癖というのは本当は曖昧なものだという前提の上で、(その部分を省略することなく)キャラが自覚したり認めたりする葛藤をガッツリ見せてくれるところが貴重ではないでしょうか。萌えっていうより、精神分析のようにも読めて笑

本作は恭介視点で、続編『恋の獲物』は千博視点です。そちらではこの魅力的な?攻めのバックグラウンドが描かれていて、新たなタネ明かしがされていきます。

実は続編にさほど思い入れがなかったのですが、レビューを残すに当たって読み直してみたら、めちゃめちゃ重要だったことに気付きました笑。カバーイラストが左右横並びで繋がっているように、続編併せて完結します。

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