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表題作月夜ぎんいろ山犬異聞

灰脊未知留、代々永島家に仕える妖怪「山犬」で弁護士
永島矜、蛇神に祟られた家系の末裔 、20

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

先祖代々蛇神に祟られている天涯孤独の矜には、やっぱり先祖代々仕えてくれる妖怪・山犬がいる。
彼の名は未知留――人間に化け弁護士として生きる年上の男。
矜が幼い頃から四六時中つけまわし祟りから守り続けてくれた、矜の大好きな男。
けれど数年前、未知留が自分を守るたび傷を負うのだと知った矜は、恋心を隠し彼から離れる決意をした。
けれど無愛想なくせに忠義に厚い未知瑠は、矜の邪険な態度にも全くめげず――!?

作品情報

作品名
月夜ぎんいろ山犬異聞
著者
さとむら緑 
イラスト
梨とりこ 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
シリーズ
いちご牛乳純情奇譚
発売日
ISBN
9784778123536
3.8

(23)

(10)

萌々

(5)

(5)

中立

(0)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
4
得点
85
評価数
23
平均
3.8 / 5
神率
43.5%

レビュー投稿数4

完璧。

自分にとって、好きな要素がぎゅっと詰まった作品でした。
すごい。
好き成分しかない。

「祟り」や「祓い」が出てくる和風ファンタジーであること。
攻め受けの関係が、主従関係であること。
年が離れていること。
攻めが受けに対して「さま」呼びなところ。
攻めが受けに対してわかりやすく、激しく執着していて悶えポイントなんだよなー。
なのに受けは気づかず、切ない片想いだと思っているところ。
お互いを護るために、命や身体を犠牲にしようとするところ。
あと、もふもふ。
大きなわんこが、もふもふなところ。←重要なので。

いやぁ…こんなにてんこ盛りされちゃうと、もうずっと鼻息荒く、フガフガ読んじゃったじゃないですか。
攻めの未知留のケナゲさにズキューンと(古)きてしまい、切なくなってしまうのですが、受けの矜もとても良いコなので。
ハッピーエンドを信じていながらも、ハラハラと楽しませていただきました。
癒やしをいただきました。

0

主人一筋のイケメン忠犬♡

タイトルといい、とりこ先生の挿絵といい、とても楽しみにしていた当作。
神に近い萌2で満足~♡犬好きにはめっちゃオススメしたいです。

主従もので、モフあり、可愛いサブキャラあり、王道!と感じます。
本編250P超+あとがきのみ。本編だけでもかなり満足ですが
ショートがあると尚ハッピーだったかも。切なさ多めですが
ところどころで笑いました。犬の感情ダダ洩れなのが可愛くって・・・
妖等の怖め記載は少しありますが、怖がりな私でも
全く問題なく読めました。

主な登場人物
矜:永島家当主。代々夜刀神の祟りを受けている家系で、巻き込まないよう
  人との関わりを薄くしようと頑張っている。
未知留:矜の守護者として指名された山犬。人、犬(サイズ自由)変化可。
    人間としては弁護士資格をもち、製薬会社に勤務。
アオジ:夜雀という妖怪だが見た目可愛い小鳥。矜の肩で色々喋っている。
    アイスに弱く矜に買収される事あり(笑)
忠久:矜の数少ない友人で、矜のバイト先(定食屋)の跡継ぎ。陽気。
などが出てきます。

挿絵話。とりこ先生の挿絵は全部でカラー口絵+モノクロ8枚。
どれもこれも好きすぎて困る・・が一つ挙げるなら、最後の方で
受けをぎゅする攻めの図。着衣上半身の絵ですが、絶対しっぽがあれば
ちぎれんばかりに振ってるに違いない という攻めの想いあふれる絵で
好きすぎて、胸がきゅーーーーーーーーーーーーー です。
私もぎゅうしたい。


**************** 以下は内容に触れる個人的感想

攻めを思って離れようと頑張る受け(王道)や、
そんな気持ちはまったく関係なく、ひたすら主(ということになってる)を
思う攻め、どっちも好みドストライクなため、
お話をずんずん読めてしまいました。
製薬会社関係で、ちょっと渋めそうなおっさんも出てきて、
いい感じなんです♡
アオジが、ところどころで可愛らしくちゃちゃ入れしてくれて、
よいアクセントになるし、犬もふ堪能するシーンもあるし、
きゅーんと上目遣いに見上げられてそうな印象のシーンもあるし、
好みてんこ盛りでした。
そう、犬ですが、変態臭は少ないです(無いとは言わない)。
収集癖はありますがパンツとかは集めてないので、
変態認定してはちょっと可哀想と思います(笑)

もしもうちょっと、主が女王様気質とかだと、神になったかも と
少し思いますが、いや、この作品はこれが一番良かったんじゃないか とも
思います。
いずれにせよ大満足でした!先生有難うございました!!!
関連あるという「いちご牛乳」も読んでみようと思います。

2

主人と忠犬



「いちご牛乳純情奇譚」と同じ世界線のお話です。「いちご牛乳」の受け様が勤めていた「占いの館カメリア」が登場するのですが、スピンオフというほども前の話は絡んでいないのでこれ単体でも全く問題ないと思います。

蛇神の呪いを代々受け続けている永島家の末裔・矜(受け)は自身の守護者である山犬の末裔・未知留(攻め)のことが好きでした。自分の代わりに傷を受けてしまう未知留を解放したい矜は未知留を拒絶し自分だけで対処したいと思うのですが、人間の自分では太刀打ちできないことが多く未知留に助けられる日々を不本意に思っています。

矜は巫覡の家系で祟り神となった蛇神の呪いを受ける永島家の現当主です。契約により山犬一族の未知留が守護者としてついています。当主となった時、呪いの負の力に寄ってくる妖を未知留が撃退するたびに代わりに傷を負っていることを知らされます。未知留の傷だらけの身体を見た矜は未知留を遠ざけようとするのです。


未知留は永島家に従属する山犬一族の末裔で矜の守護者であり現在は製薬会社に勤める弁護士です。矜のことを身体を張って守るのですが、未知留が傷つくのを恐れた矜に遠ざけられるので、ストーカーしながら矜を手助けしています。これが一体仕事はどうしているのかっていうくらい張り付いているのです。

矜は他人に呪いの一端が降りかかるのを恐れて小さい時から人とは距離を置く生活をしています。嫉妬に駆られ、未知留の想い人だと誤解した女性に会いに行ってしまった時でも彼女が危険に晒されるのを心配する優しい人です。なのに誤解され、いつも一人でいる矜がかわいそうでした。
唯一自分の側にいてくれると思った好きな人が自分の代わりに傷を負っていると知ったときはつらかったと思います。
高校の同級生で矜の勤め先の定食屋の息子の忠久に連れられて行った「占いの館カメリア」で妖狐の幸子に未知留を自分から解放する方法を尋ねたり、未知留を開放しようと思いながらも、未知留の山犬姿を唯一見せたという同級生の女性に嫉妬したりと未知留が好きなのに素直になれない矜がとても切ないです。

矜の友達で陽のオーラが強いため呪いの影響を全く受けない忠久がいることが救いでした。彼がそばにいてくれていたからこそ、矜は未知留との契約解除を考えるくらい強くなったんだと思います。忠久はじめ彼の両親も含めていい人がそばにいてくれて本当に良かったです。
そして、前作でも登場した妖狐の幸子や前作では敵役かつ救い手となった千眼寺たちの協力も。

前作受け様が今も占い師として仕事している姿をちょっと見られたのもよかったです。

未知留の従者である夜雀のアオジは癒しキャラでとても愛らしかったです。
未知留の言いつけを守ろうと頑張るのに、矜の作戦にあっさり嵌って大好物を餌にぼろぼろとしゃべってしまうところも笑えます。

呪いがあるから素直になれず、大好きな未知留を遠ざけるようなことばかり言って、落ち込む姿は切ないし、未知留を心配するあまり遠ざけようとするためにひどい言葉が投げかけられる未知留をみるのもとてもつらい。

これまで苦しんだ分たくさんの幸せをつかんでほしいです。

それにしても飄々としたイメージだった未知留のすごい執着が最後に判明したのには驚きでした。全部は明かされなかったけどきっともっともっとあるんだと思うと、怖いもの見たさでもっと見たかったです。

1

人から見れば「不幸」でも、本人にとっては「幸せ」だったりするんです

タイトルからも分かるとおり、「いちご牛乳純情奇譚」と世界観を同じくする作品です。そちらを未読でも大丈夫ですが、既読の方は思わずニヤリとするシーンがちょこちょこあるんじゃないでしょうか。私は結構ニヤニヤしました。

内容です。
ちょっとシリアス寄りで切ないファンタジーになってます。
蛇神に祟られた家系の末裔・矜。彼には、代々その家系に仕える妖怪「山犬」が付き従い、守られています。幼い頃から、頼りになる山犬・未知留に心を許してほのかな想いを抱いていた矜。しかし、矜を守るたびに、未知留が代わりに怪我を負うことを知ってしまい-・・・というものです。

意地っぱりながら健気な矜が、自分の代わりに怪我を負う未知留に心を傷めて、彼を遠ざけようとしてるのがお話の序盤です。
この矜がホントいい子で、なんとか彼の家系を守るという「契約」を解除して、未知留を自由にしようと頑張るんですね。自分は「呪い」のせいで長くは生きられないけど、未知留だけは自由にー、という覚悟が切ないです。

そんな矜を幼い頃から守ってきた未知留。設定の悲壮感も何のそのの犬攻めです。矜から遠ざけられてからは、影ながら見守り・・・と言うと聞こえはいいですが、要はまぁ、ストーカー状態。矜の周りをウロウロしては、彼に叱られているんですね~。

と、キャラクターも魅力的だし、設定としても面白いのです。
しかし、その設定を生かしきれてないと言うか・・・。その「呪いの解除」だったり、謎解きの部分にページ数をとられちゃって、やや未知留の影が薄いんですよ。個人的な好みの問題もあるとは思いますが、せっかく「呪われた主人公」に「付き従う妖怪」と美味しい設定でありながら、その旨味を生かしきれてないと思うのですよね。もっと二人が一緒に居て、こう受けが大切に扱われるというシーンを読みたかったのですよ!!なのに、二人が一緒に居るシーン自体がそう多くなく感じる。

と、そのあたりが個人的には残念でしたが、他はホント良かったです。互いに自分の体や命より、相手の幸せを願ってというのは、かなり切ない気持ちにさせてくれますよね。
あと、最後に分かる未知留の矜への執着ぶり。作中でも「物事なんて本人の見方次第」(by幸子先生)という台詞がありますが、矜はかなり心を傷めてたけど、未知留にとっては矜に仕えて守護する事は不幸どころか幸せなんですよね。その証拠がラストにボロボロと(笑)。
あと、梨とりこ先生のイラストが作品にぴったりマッチしていて、とても素敵でした。

切なくもあり、優しくもありと、素敵なファンタジーでした。

7

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