電子限定特典つき
この人とはわかりあえない! と思ったけど――
ピンクが基調の装丁に、どうしても目がいってしまいます。あと「恋の話」という文言に弱いんです。
表題作3話+短編が2つ+表題作描き下ろし?(10ページ)、で構成されています。
『ひねくれ恋愛小説家の恋の話』
あらすじです。
小説家・梶井の依頼で 江原は家事代行サービスとして彼の家へ。
第一印象は「綺麗な人…」の梶井だが、初対面から横柄な態度の彼の印象が「感じ悪っ!」に変わるのに時間はかからなかった。
温かい食事をいつも用意してくれた祖母のように 誰かを支える仕事がしたいと思う江原だけど、梶井から感じられるのは 余計なことはするなオーラ。
静かで温もりを感じないリビングとは対照的に、キッチンは「誰か」の なごりを確かに感じる。
ここにはいない その人の名前を 梶井が弱々しく消えてしまいそうな声で呼ぶのを聞いた時から 江原は・・・
「その人」が部屋を出ていった理由があるのですが、それが私にはしっくりこなかったせいか 梶井の執筆活動に影響を及ぼすほどの人物に どうしても思えず…
でも、彼が最後に梶井へ送った手紙は とても素敵で「贈る言葉~♪」というフレーズが頭を過りました。
江原君は、おばあちゃんに大切に育てられたっぽい雰囲気が ほんわかと伝わってくる、終始イイ子だったなぁ。
『君じゃないと』
一人が寂しい遥馬は 彼女を作っては家に住みつき、別れると恭平の家へ転がり込んでくる…を繰り返している。
勝手に来て勝手にいなくなる遥馬に振り回される日々から解放されたいと願う恭平だったが・・・
毎回毎回、迷惑って思いながら甘やかす人と、甘やかされ上手な人のお話です。
『追いかけた恋の顛末は』
高校生の圭太と藤原奏太(フジ)は小学校からのつきあい。小柄でかわいらしい顔立ちだが性格は男らしいフジとは逆に、圭太はパン一個買うにしても 昼休みの間中迷ってしまうくらい優柔不断だ。
自分にないものを持つフジに憧れ、その感情はいつしか憧れ以上のものに育っているのを圭太は自覚している。そんな時「おつきあいを前提に 友達になってほしい」とフジに告白する後輩(♂)が現れ…
ただのハッピーエンドで終わらず、二人の気持ちの温度差を匂わせたままフェードアウトしていくのが 爽やかな男子高校生らしくて良かったです。
『雪の夜の恋の話』
東京に珍しく大雪が降った日、江原君と梶井の距離が ぐっっと縮まった「夜」のお話でした。