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あるアンソロで出逢った気になる作家さん、蛭塚タウン先生。
本作は至極ストレートに切ない恋愛を描いています。
高校生の恋人同士。一緒に地元の大学に進学しようと思っていたが、片方が東京の大学に入ることになり遠距離恋愛がスタートするが…
…というストーリー。
視点は、一貫して東京に上京する翔の方です。
初めて親元を離れ、一人暮らしをする翔。
学業に、バイトに、忙しい毎日。勉強も大変。自炊も大変。
そうして少しすり減っていきます。
でも心はいつも恋人のなつめにあって、なつめに恥じない自分でいたい、と頑張る翔。
大学の友人もできていつしか生活のペースを掴んでいくけれど、それは地元に残るなつめにとっては「変わったね」ととらえるような変化で…
皆さん仰る通り、もうまんま「木綿のハンカチーフ」なんですよ。
都会の絵の具に染まらないで帰って、ってヤツですよ。
章のつくりも、春夏秋冬でそれぞれ詩が添えてある。季節が変わるように状況も心も移り変わっていく。そんな表現法をとっています。
これはお別れエンド?と思いながら読んでたけど…
東京の友人が手放してはいけない芯/感情をバシッと言ってくれて、踏みとどまるんですよね。
本作はなつめの視点が無いけれど、なつめはなつめで自分の変化もあったと思うの。でもやっぱりなつめも改めて翔を選ぶ。
2人は「変わらない」んじゃなくて、2人で一緒に変わっていくんです。
友人も言ってましたよね。「アイツ強いよ」って。
最終章で、翔は友人になつめを紹介します。ここはちょっとコミカルで、本当にあったかい。
絵柄はクセがあるけど、私は好みです。「萌x2」で。
タイトル通り方言が…
伊予弁なんだと思うんですが、ほかの方も言っているようにそんなに「けんけん」いいません。
出だしから????ってなりました。
ストーリー自体はよくある遠距離ものです。絵も皆さんが言うほど苦手ではなく、寧ろエキゾチックな雰囲気のタッチがお話の優しさといい意味でチグハグでよかったです。
ただ、もう方言が…
標準語で喋って語尾に「けん」をつけていたり、関西弁がまざっていたり。
ベースが標準語なのを無理矢理田舎の方言っぽくして「けん」をつけた感じですね…
例えが最悪なんですが某大サーカスのク○ちゃんが語尾に「しん」をつけるのと同じ感じで「けん」をつかっています。なんにでもつけりゃいいってもんじゃない。
両親ともに愛媛出身で幼少期を愛媛で過ごしていたため、読んでいて違和感しかなく、その違和感のせいで話があまりはいってこず、その違和感のせいで最後まで読みきれませんでした。
おかしいところの例をあげると
「心配してたんよ」→「心配しとったんよ」
「せやね」→「ほやね」
「今バスまってたけんね」→「まっとるけんね or まっとるんよ」
「不安になるけんね(独り言)」→相手がいない状態で「ね」はつけないです。
「次は俺が行くけん」→「行こうわい」
(「けん」でもいいんですが前後の文脈的に不自然です)
「まあそんな日もあるけん」→「そんな日もあらい」
など。なので愛媛の方が読むと違和感しかないと思います。逆に伊予弁がわからない方は普通に読めるんだと思います。
あと、私はあけびが自然生息してるところを見たことがないです。なんかメジャーに生えてるみたいな書かれ方なんですが…
私の大好きなベタ設定だったので、全部よみきりたかった…
伊予弁がわからない状態でよみたかった…もしくはもう標準語で…
絵が独特ですが味があるなぁと感じました。
東京に染まっていく翔に距離を感じて寂しくなってしまうなつめ。
思わず懐メロの"木綿のハンカチーフ"を思い出してしまいましたw
翔が東京に慣れていくのは、別にそうしたくてしたのではなく、自然なことで、友だちも悪気があるわけではなく、誰のせいでもないんですよね。
ま、よくあることなのかもしれない。
その辺りを丁寧に、自然に描かれていて、飽きることなく読めました。
各話(春夏秋冬)の扉絵、独白のポエムがいい感じでした。
詩的表現は理解力が欠けている私には難しいことが多いんですが、本作の場合はまだわかりやすかったし、情緒が感じられました。
エロの時の擬音、ズッズッドクドク…等の手描き文字が大きくリズミカルで、バンドの演奏音のようでおもしろかったです。
変わっていくモノ、変わらないモノ。
そして、変わってはいけないモノ……
遠距離恋愛となった2人を通じて、誰かを愛することの尊さを改めて感じることが出来ました。
環境が変われば、誰しも翔くんのように価値観が変わってしまうことでしょう。
元いた場所の変化のない様に、居心地の悪さを感じるかもしれません。
それでも、好きになった人を、誰かを好きになったという自分の気持ちは大切にしないといけませんね。
『アルファ戦隊アルレンジャー』や『さよならスーパーダーリン』のようなギャグ要素はありませんが、丁寧に描かれる描写が素敵な作品でした。
地方住の私にとって、大学入学して東京住まいは実感はわかりません。
だけど、やっぱり高校卒業して進学してからの2~3年目くらいは毎日、毎日自分だけど自分を探す、自分を知るような日々だったと思うんですよね。
この作品は、気になりながらなかなか読めなかったんです。
今、あの頃とは違うけどまざまざと思い出してしまいました。
伊予弁、初めて触れました。文字だけど生きている言葉って感じました。もちろん、私の地元の言葉も生きている。
感情の乗った話し言葉って本質が良くわかる。
翔となつめの、松山での日々は美しい!
あけびとか、自生していて帰り道に取って食べる。
一転して、翔が進学した東京は違う。
どっちが、どっちじゃなくて心の拠り所が何処に有るのかなんですよね。
ふらふらになっても、自分と誰かのために踏ん張る事の意味を、この作品を読んで考えてしまいました。
翔となつめが、迷って悩んで、選んだ未来に繋がる自分たちの事は彼らの選んだ精一杯のベスト。
読んで、ほんと良かったです。
18~20才ちょい迄の期間は、悩めば良いし、流されても良いし。もちろん、その先も流されても良いと思うんです。
でも、根っこの自分は残すんだよね。
うーん、色々思うところ深い、良い作品でした。