Renta!限定版
「いつものやつ、……する?」 昼夜働く幼馴染×明るくお人よしな大学生
本編の終わり方が、まるで映画を観ているような哀愁漂う切なさ。
波真田先生の作品は、自分には合うもの・合わないものがハッキリしてますが
何故か決まって作家買いしてしまう…。
で、今回もあらすじなしで購入。
まず手に取って帯に惹かれ。
読み始めてすぐに世界観に惹き込まれ。
気が付けばあっという間の時間で。
また1冊、好きな作品が増えました(^^)
物語の舞台は”団地”。
そこでずっと一緒に育った同級生で幼馴染の夏喜と忍。
夏喜はそのまま大学進学。
忍は父が亡くなり体の弱い母と弟の学費を稼ぐために毎日働くように。
お互い進む道は別れても、2人だけの秘密を共有しながら
たまに会ってはお互いだけしか知らない表情を見せ合い…。
と、一見団地という狭い空間で育った2人の青春物語なんですが
紐解いてみれば
忍はずっとずっと昔から夏喜が好きで夏喜だけの世界で構築されていて
夏喜も自覚ないだけで忍中心に世界が回っていて。
2人ともお互いに依存し合ってる関係なんだな…と。
それで2人が納得しているようなので、読み手としても不快感や困惑もなく
サラッと読めた純愛ものでした。
本当にどこにでもありそうな日常の一コマを
うまく書かれた1冊だな…と、今回も脱帽です (●´ω`●)
幼馴染物です。
小さい時からずっと一緒に過ごしすぎたので、相手に対しての自分の気持ちに気づいていないお人好しな大学生と、最初からずっと好きでいた働き者の幼馴染。
そんな二人が、子どもの興味本位の触りっこから、なし崩し的にセックスするようになって、そして、ほんとの恋人になるまでを描いたお話。
この二人って、二人一緒にいるのが家族から見ても当然すぎちゃって、特にカミングアウトとかもなくそのうち平然と二人暮らし初めて、三十代とかになっても、家族から結婚話が出るでもなくずっと一緒に居そうでいいよね。
なんかこう、波真田先生の作品って、ずっとずっと添い遂げちゃう感じが好き。
読んでまず感じたのは「普段エロを描かない先生の描くエロの破壊力」です。
波真田かもめ先生の作品はエロ少なめのピュアな印象が強く、あまり手に取ったことはなかったのですが、この作品は表紙がとても好みだったので思い切ってチャレンジしてみました。
物語の世界観は決して壊さず美しいまま残す。
その中に描かれるエロが「エロに特化する作者さま」のエロより何故かとてもエロく感じてしまう。
ここまでエロをしっかり描かれる先生ではないと思っていたので本当に驚きました。
郊外にある古い団地で育った幼馴染の2人の物語。
家庭の事情で昼も夜も働く忍と、大学に進学した主人公・夏喜。
人に頼まれるとつい断れずキャパオーバーしてしまう夏喜は、大声で自分の不甲斐なさを叫ぶことでストレスを発散しています。
それを誰にも見られないよう見守ってくれていたのが忍。
そして2人の間には秘密がもうひとつ。
夏喜が忍を手でイかせてあげること。
『大人っぽかった忍の表情がゆがんで震えて赤く染まる』
『上ずった声と汗ばむ体』
『オレだけが知ってる 忍の表情』
もうこのあたりから、忍の視線や、声を押し殺すため腕を口に押し当てる仕草などエロさ全開。
きっかけは中1の冬。エロ本を拾って見ていたら、もじもじし始めた忍に自慰の仕方を教えてあげたこと。
『昨日あれしてみた?何見てした?』とニヤニヤする夏喜に対し、『夏喜の事考えながら』と応える忍。
この時点で忍は夏喜ひとすじなのですが、夏喜は忍を気にかけつつも自分の感情に気づかない。
ある夜、街で年上の女性から何かをプレゼントされている忍を見かけた夏喜。実は忍は居酒屋ではなく、ソープでボーイのアルバイトをしていました。
いつの間にか大人の顔になっていた忍と自分を比較し、恥ずかしいと感じる夏喜。
先程店の女性から冗談で渡されたコンドームとローションを見て「オレで使ってみる?」と口にした夏喜の手を掴み、押し倒す忍(ここの流れ、本当に堪りません)。
完全にオスの表情で、シャツを脱ぐ仕草、夏喜を見つめる目、なんかもう、いちいちエロい。
それからはひたすらセックスに溺れる2人。
ただ快楽に流されていただけの夏喜は、ある日忍にはっきりと「好きだ」と告白されたことにより、混乱し、忍を拒絶してしまい…。
ベースにあるのはあくまで淡々とした団地での日常。
夏喜と忍の子供時代と現在を交互に描き、揺れ動く気持ちをとても丁寧に描写しています。
そこに、思春期から18歳という多感な時期の男子の「性に対する興味や好奇心」、「エロ」を織り交ぜることによって、より深みや複雑さが加わり、魅力的な作品になっているように感じました。
そしてまさかのキャラ萌え。
黙っていればクールなイケメンなのに、実は天然ドジっ子。しっかりしてそうなのに頼りない。一途に夏喜を想うワンコな忍に激しく萌えました。
物語の途中に夏喜が映画を見終えて『オレの人生のエンドロールはどんなんだろ』と言うシーンがあるのですが、きっとこの青春時代を振り返った時、一番上には夏喜と忍の名前が載るのだろう、そしてようやく思いが通じ合った2人の物語はまだまだ続くのだろうなと感じさせる、どこか愛おしくて、もどかしくて、でもとても優しい作品でした。
波真田先生の作品の中でもHが多かった。もともと夏喜は忍のを触ってイかせてたので、男同士には抵抗が無かっただろうから、セックスするまでが早かった。気持ち良さから行為に嵌る夏喜。でも、周りの友達は変化してるのに自分だけ変わって無いのではと思い、2人の関係に疑問を持ち始め。もうこんな関係を止めようと言う夏喜。自分からセックスしようと誘っておいて、それは無いよ!忍に以前から好きだったと告白され、気持ちがついて行かないからムリとか。えー今さら?って思った。忍が可哀想。
結局、忍の存在の大切さに気づくのだけど。忍のお母さんが倒れたのをきっかけにお互いの気持ちを再確認出来て良かった。
ラブラブな幼なじみの二人のお話。
……と書いてしまえばそれまでなお話なのですが、
それだけの普通のお話をここまで読ませてしまうのが、
波真田マジックなのですよ!
ストーリー的には淡々としているようですが、
実に目まぐるしく主人公の夏喜の気持ちが動いていく。
相対して忍の気持ちは一貫していて全くブレがない。
気持ちが付いて行かないままに身体を重ねる夏喜に、
最初は女の子の感覚からすると違和感を感じるのですが、
リアルな男の子ってこんなものなのかなとも思ってしまう。
浜真田さんにはそう思わされてしまう!
あぁ、浜真田マジック‼︎
特に大事件が起こる訳でも、激しい葛藤がある訳でもなく、
大学生の男の子が幼なじみを思い、想うお話。
実に自然でちょっとありそうなんだけど、どうだろう?
先の方々も書かれているように、
浜真田さんにしてはえっち度高め。
夏喜も忍も気持ちよさそうで幸せそうv
二人の日常はこれからもここで続いていくのだろうかと、
思いを馳せつつ、評価は「萌×2」で!