幼馴染に執着する天狗×泣き虫頭領の婿取り物語!

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表題作今宵、天狗は花印に契る

蘇芳、次期頭領と目される優秀な天狗、20
那智、元人間で落ちこぼれの天狗、16

その他の収録作品

  • あとがき:長朔みかげ、沖麻実也

あらすじ

元人間の那智は、次期頭領と目される優秀で男らしい蘇芳に憧れていた。いつもは不愛想な蘇芳が、那智と二人のときは優しい表情を見せてくれて、何故か那智の胸は高鳴る。しかし蘇芳を差し置いて落ちこぼれの那智が天狗の頭領に選ばれてしまい!? 蘇芳は那智の後見人となり「頭領を支える」と宣言するが、蘇芳から頭領の座を奪ってしまったと那智は思い悩む。さらに悩ましいことに、頭領は神通力の反動を抑えるため、「刻印者」と呼ばれる契る相手を選ばなくてはいけなくて…!?

作品情報

作品名
今宵、天狗は花印に契る
著者
長朔みかげ 
イラスト
沖麻実也 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA
レーベル
角川ルビー文庫
発売日
ISBN
9784041073438
2.7

(10)

(0)

萌々

(2)

(5)

中立

(1)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
5
得点
24
評価数
10
平均
2.7 / 5
神率
0%

レビュー投稿数5

BL的に美味しい設定(*´▽`*)

こちら、角川ルビー小説大賞・奨励賞受賞作家さんの書かれた作品になります。
デビューおめでとうございます。
ファンタジーとしてしっかり練られたストーリーに、王道の萌え展開と、とても楽しく読ませていただきました。


で、内容としては「天狗の婿取り譚」。
元人間で落ちこぼれの天狗・那智。
次期頭領と目される優秀で格好いい幼馴染み・蘇芳に憧れを抱いています。
そんなある日、現頭領が亡くなり、何故かみそっかすの那智に頭領の証・花押が現れると言う事態に。
蘇芳から頭領の座を奪ってしまった事に悩む那智。
更に、頭領として使った神通力の反動を封じる為、生涯寄り添う事となる「刻印者」を選んで契らねばならずー・・・と言うものです。

みそっかすながら、元気で頑張り屋な那智。
そして、優秀で男らしい幼馴染みの蘇芳。
蘇芳は皆の前では無愛想なのに、那智と二人だけの時はちょっぴり意地悪で優しい素顔を見せます。
憎まれ口を叩きながらも、実は那智に対してかなり心を許してる蘇芳に、そんな彼に懐く那智。二人のやりとりにキュンキュンさせられたりして。

で、ストーリーがしっかり練られてる上に、萌える設定なんかがありまして。
神通力を使うと、逆凪と呼ばれる反動を受けるんですね。
力が強ければ強い程その反動は大きくなり、術者の命を脅かす-。
で、そんな逆凪を封じ込める方法と言うのが、自身と契約を結んだ「刻印者」と交わる事。
頭領はたった一人の刻印者を選んで生涯を共にし、逆凪を封じる為に契る。
また、刻印者は契約相手である頭領以外と契れば死んでしまい、頭領も一度刻印者を選べば、二度と別の相手と契約する事は叶わない-。とってもBL的に美味しい設定です。
あと、落ちこぼれである那智。
でも実は、彼は不思議な力を持っていて・・・と主人公が特別な存在なのもファンタジー好きとしては気持ちを高揚させてくれます。
超、王道でございます!!

で、萌え所ですが、蘇芳の意外な執着ぶり。
彼は次期頭領となるべく努力して来たワケですが、頭領となったあかつきには那智を刻印者にする事が出来る-。
それが自分では無く那智が頭領となってしまいと、選択権は彼に移ってしまうんですね。
「誰を刻印者に選ぶつもりだ」と嫉妬心丸出しで那智を襲う蘇芳に萌えます。
受けに執着する攻めの言動が大好き(*´▽`*)

この後、蘇芳に横恋慕する美少女の天狗が、那智を亡き者にしようと妖魔を呼び出し・・・と手に汗握らせてくれる展開。
最後まで飽きさせず読ませてくれました。

ところでこの二人、キャラクターとしては魅力的ですが、あまりにスタンダードでもあります。
少女漫画に出て来そうなちょっぴり意地悪で強引、そして男らしい攻めに、元気で頑張り屋でちょっと泣き虫な受け。
本当に個人的な好みになりますが、もうちょい「何か一味」ある人間味のあるキャラが好きなのです。(この二人が人間味が無いと言うことではありません)
そんなワケで「萌」とさせていただきます。

その意味では、サブキャラとして出て来た他の山の頭領・八雲と刻印者の雨水がまさにどストライクでして。
こっちのカップルが主役の作品をぜひ読んでみたいです。

5

嫁にするつもりが婿にされました♡

今回は次期頭領と目される優秀な天狗と
天狗を目指して修行中の元人間のお話です。

攻様が新頭領となった
受様の刻印者となるのまで。

天狗族は日本各地の山々で集団で暮らし
縄張りの山に結界を張った仙界内に
妖魔や悪霊が入り込まない様に
妖魔調伏を行っています。

受様は幼い頃、
比良天狗の住む仙界のある山の中で
1人さまよっていたところを
少し年上で黒髪に褐色の肌の大人びた
天狗族の少年に助けられます。

この少年が今回の攻様になります♪

攻様が助けた時点で
仙界の山の木の実を食べていた受様は
人間界に戻れなくなり

攻様は受様を一族の元に連れ帰り
受様は元人間の息子を育てる
天狗族の夫婦の元に預けられます。

元人間でも結縁によって翼を得て
一人前の天狗となれるので
受様は修行に励みますが、
受様は勉強が苦手で要領が悪く
複雑な呪術が扱えずにいました。

人間上がりで未だに翼もない受様が
能力の高さで次期頭領と目されている
攻様に近づく事を面白くなく思い
受様をいじめの標的する若い天狗もいます。

その為受様を可愛がっている義兄は
攻様を毛嫌いしていました。

そんな中、
体調かすぐれず死期が近いのではと
噂されていた現頭領が逝去するのですが

直後、快晴だった空に暗雲が立ち込め
地を振るわせる轟音が鳴り響き
凄まじい稲妻が受様を直撃します。

なんとそれは
山神の意思と言われる「神降り」で
額に頭領の証である花押を刻まれた受様は
次期頭領と目されていた攻様を差し置き
新頭領にと選ばれてしまいます。

対して攻様は
今まで頭領候補として学んだ様々な事柄を
受様に教える役目を命ぜられます。

果たして受様は立派な頭領になれるのか!?

角川ルビー小説大賞・奨励賞
受賞の作家さんのデビュー作は
天狗族の新頭領誕生をめぐるお話です。

生粋の天狗でない受様が
新頭領となった事で一族内は騒然としますが
頭領となるに相応しいと思われていた攻様が
受様の新頭領就任を認めているので
大っぴらに反対するものはいません。

実は攻様が頭領就任を目指したのは
頭領に不可欠な刻印者に受様を指名して
誰にも反対されずに受様を傍に置く
ためだったのです(笑)

2人の立ち位置が変わっても
新たな関係を築いていく気でいた
攻様ですが

受様の就任祝いに駆け付けた
京都の愛宕天狗の頭領が受様に
攻様が時期尚早と教えずにいた
頭領と刻印者の関係を告げてしまい
受様との関係がギクシャクしてしまいます。

その上、受様さえいなければ
攻様が頭領になるはずと
受様を亡き者にしようとする天狗が現れて
受様は絶対絶命の危機に!!

受様が頭領に選ばれた理由が明かされ
攻様が刻印者となるまで
とても楽しく読めました。

受様が素直で良い子なのですが
ちょっと天然系なくらい
人の言動の裏が読めません。

攻様は俺様策士なので
受様を自分のモノにすべく
いろいろと策を練るのに

何も考えていないような受様が
最後に大活躍なのが
けっこうMYツボで面白かったです。

これからの2人の今後よりも
出来上がってる愛宕天狗の頭領カプの
過去とか未来のほうが気になるので
スピンオフお願いしたいです (^O^)/

今回は執着攻繋がりで鴇六連さん
『美魔は花泉にたゆたう~ドラゴンギルド~』を
ご紹介作とします。
シリーズものですが単巻でも大丈夫です♪

3

もっと厳しい天狗の世界観が欲しかった

読みやすかったし、良く練られた作品だと思いました。辻褄も合ってたし、キチンと伏線も回収されてたんです。でも、読み終わるとちょっと足りないんです。那智が人の善や陽の気持ちなどから産まれた山人だからでしょうか?鳩羽や双子の兄弟を許さないから自分が立派な頭領になるのを逃げないで見届けさせる為に残すって?蘇芳じゃなくても心配になるわ!
そこは羽根を千切るなり手脚斬り捨てるなり罰を与えないと!里に妖魔を入れた事は長老には言っておかないとかあり得ない。
那智の善良さを書きたかったのだと思いますが、せっかく天狗だの魑魅魍魎の世界観を書くなら、ダークな雰囲気も大切だと思います。でないと軽い作風で終わってしまいます。新人さんらしいので、次回作に期待です。

0

天狗の婿取り?嫁入り?


エリート天狗の攻めと元人間のみそっかすな天狗の受けが神の差配により立場逆転してしまい、焦る攻めと慌てる受けの話。
話の展開もよくできていて、面白かったです。

<あらすじ>
琵琶湖の側の比良山に住む比良天狗。
元人間だった那智(受け)はまだ羽根も生えていない半人前天狗です。
親からはぐれた那智を見つけてくれた蘇芳(攻め)は、出自もよく能力も高い次期頭領候補。
那智はそんな蘇芳を慕っていますが、人間上がりの天狗はプライドの高い生粋のの天狗からは下に見られており、他の天狗からはいい顔されません。
そんな時、死期が近いとされていた頭領の次郎坊が突然儚くなってしまいます。
近々継承の義をして蘇芳が引き継ぐはずだったのが間に合わず、神降りによって何故か那智が頭領に選ばれてしまいます。
次期頭領としての教育を受けてきた蘇芳に申し訳ない気持ちと未熟な那智に後見人としてずっと傍にいてくれることに対する嬉しい気持ちが入り乱れながらも、少しでも蘇芳に追いつきたいと頑張る那智。
少しづつ自覚をもつようになったころ、比良天狗頭領・次郎坊の名を継いだ那智のもとに、代々義兄弟の契りを交わす愛宕天狗頭領・太郎坊の八雲が訪ねてきて、刻印者を早く選ぶようにと言われるのです。

頭領は職務の都合上、強力な術を行使することが多いためその反動である逆凪を多く受けます。そのため、その身体を癒してくれる存在・刻印者を持つことが許されているのですが、一度刻印者となってしまうと刻印者は頭領以外とは契ることができなくなってしまうのです。
そのことを知った那智は自分のために刻印者を選びたくないと思ってしまいます。


この話は那智が突然頭領になってしまって、信奉していた蘇芳の邪魔をしてしまったことに悩み、刻印者を選ばなければならないことに悩み、蘇芳を慕っていた女天狗の嫉妬で命を狙われる話のはずなのですが、真の主人公は自分が頭領になって那智を刻印者に指名するはずだったのに、立場が逆転して焦る蘇芳の話だったと思います。
基本那智視点で2回ほど蘇芳視点になるのですが、もっと蘇芳視点でもよかったんじゃないかと思いました。余裕な態度を崩さないようにしていた蘇芳が、実は表に出さないだけですごく焦っていたと思うのです。
元人間なだけに刻印者のことなど全く知らないまだお子様の那智が成長するのを待っていたのに、下手をすればトンビに油揚げだったかもしれないのですから。
それをうまく引き出していたのが、愛宕天狗の八雲でした。
愛宕天狗の頭領・八雲とその刻印者・雨水は個性的で強烈な印象を残しました。
八雲の出現で焦りながらも様子見していたのに余裕をなくし動かざるを得なくなる蘇芳。

刻印者のことで悩む那智は蘇芳の刻印者になりたかった女天狗の策略で大ピンチに・・・

どんなピンチになっても、矜持を持ち絶対に己を曲げない那智には好感をもちます。
蘇芳に関してはもうちょっとうまくできなかったものかと思いました。執着攻めは好きなんですが、やり方が少し姑息だったせいで、那智が危ない目に会ってしまうことになってしまったのですから。
そして、蘇芳が好きなあまり重大な罪を犯した3人が結局なんの咎もうけていないのも、話の流れ上そうなるだろうなと思っていたので驚きませんでしたがもやもやしました。やったことの責任は取るべきだと思うのですが・・・
大体、かなり強力な妖魔が現れ、那智と蘇芳があれほどの怪我を負ったのに他の誰も疑問に思わなかったのか。比良天狗たちはぼんくらすぎでは・・・

刻印者の苛烈な条件にひよって蘇芳を選ぶのを躊躇する那智が覚悟を決めて刻印者とするまでで話は終わってしまったので、ちょっと物足りない。
那智の家族、特にブラコン兄の東至と蘇芳のバチバチとか、ちゃんと反省したのか気になる3人組とかちゃんと頭領として頑張る那智の姿とか読みたかったです。



電子書籍特典「蘇芳の受難ー八雲・雨水編」

刻印者となってから逆凪を癒すためだといって毎日契ろうとする蘇芳。
今日は大丈夫といって逃げようとする那智をどうやってい言いくるめようかとなし崩し的にことに至ろうとしていたところへ、いきなり八雲(と雨水)の襲来が・・・

見るからに初心でまだ少年の那智のために(いや蘇芳のために?)人間界で手に入れた大人の玩具を差し入れに来ただけなのですが・・・
蘇芳をからかおうと那智を口説くふりをした結果、雨水の静かな怒りに大慌てで帰っていく八雲が楽しかったです。
そして、八雲の魔の手から助けようとした蘇芳も被弾し、那智が拗ねてしまう最後もまた笑えました。
傍若無人な八雲がなんだかんだで雨水の尻に敷かれているのも面白いし、八雲がこれからも蘇芳の天敵になるんだろうと思うと想像するのも楽しいです。

0

人間あがり

ルビーさんの奨励賞受賞とのこと、おめでとうございます。読みやすく納得のお話でしたが、攻め受けさんとも少々若くそんなに好きなタイプではなかったので中立かな。あまり笑うところはなく色っぽいお話も少なく、なんと挿絵も少ない!「本編のみ210Pほど+長朔先生のあとがき+沖先生のあとがき」です。

琵琶湖西岸の比良山系、そこにいる天狗たちが主人公です。翼のある天狗たちにからかわれている那智は、幼い頃に山に迷い込んで異界の食べ物を食べたばかりに、人間界に帰れなくなった「人間上がり」。運動神経はいいし、体力もあるんだけど、お勉強が苦手なため呪術を覚えられず、いまだに天狗になるための結縁の儀式を行う許しをもらえていない=翼がない。それなのに何を思ったのか、神降りにより次の頭領に選ばれてしまい・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
攻めさんを慕う?言い寄る?方々(♀♂)、受けさんを弟のように可愛がってくれる「兄ちゃん」、他の山の天狗さん、天狗一族の方々といったところ。色々出てきますが混乱はなかったです。

**以下は攻め受けについて

攻めさんは欲しいもの(受けさん)が手に入るなら手段は選ばないさっというだんまり一直線な方で、嫌いではなかったのですが、受けさんが特にお若く、可愛いにもいたらないうぶうぶであったため、萌えなかったです。実は力がありましたという設定なので、そこは良かったんですけど。
受けさんに刻印者のことを教える役割を担っていた他の山の天狗さんと、その刻印者の方の方が大人~で、その刻印者さんがつんつんっぽい感じでしたので、そちらの方々の方が好みでした。

設定等は面白かったので、次回作も楽しみにしたいと思います。できればもう少し大人なカプがいいな・・・。

2

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