侯爵家の御曹司α×過去に囚われた国語教師Ωの、純愛オメガバース!!

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表題作愛しき年上のオメガ

藤堂悠真,17歳,公爵家出身の高校生,α
加納雅己,23歳,国語教師,Ω

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

人生でもう二度とアルファには近づかない──。密かな決意を胸に全寮制名門学院に赴任した国語教師の加納。希少なオメガの加納には、無理やり番(つがい)として飼われた苦い過去があった。ところが赴任早々出逢ったのは、侯爵家出身の精悍なアルファの高校生・藤堂!! 出自を鼻にかけず十代の性急さで好意をぶつけてくる。拒絶し続けていたある日、ついに藤堂の前でヒートの発作に見舞われて…?

作品情報

作品名
愛しき年上のオメガ
著者
遠野春日 
イラスト
みずかねりょう 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
シリーズ
愛しき年上のオメガ
発売日
ISBN
9784199009303
3

(29)

(1)

萌々

(11)

(10)

中立

(3)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
11
得点
82
評価数
29
平均
3 / 5
神率
3.4%

レビュー投稿数11

一途過ぎる攻め、なんて尊い・・・!!

作家買いです。
更に、教師と生徒ものでオメガバースと、個人的に好きな要素ばかり。
発売を楽しみにしてました。

で、こちら、想像以上に純愛。
教師ものは萌えるんだよね~と軽い気持ちで読み始めたら、攻めのあまりの真っ直ぐさに、いたく心を動かされました。
そう、最近即物的な教師ものばかり読んでいて、こんな感覚を忘れてたけど、これぞ本来の先生生徒ものの醍醐味ですよ。
背徳感と、それ以上に真っ直ぐで一途な想いと、相手を守る力の無い現実のもどかしさ・・・。
めっちゃキュンキュンする! めっちゃキュンキュンする・・・!!



内容ですが、生徒×先生でオメガバースです。
過去に無理矢理番の契約を結ばされ、心に傷を持つオメガの加納。
全寮制の名門学院に教師として赴任しますが、そこで出会ったのは公爵家出身でアルファの生徒・藤堂。
彼から純粋で真っ直ぐな想いを向けられますが、教師と言う立場から、また二度と番を持たないと決めている加納は拒みつづけます。
そんな中、何者かが加納を狙い、彼に身の危険が迫りますが-・・・と言うものです。

受けの加納ですが、影のある儚げな美人です。
今作のオメガ設定ですが、オメガがかなり社会的地位が低く、虐げられている状況。
たとえアルファに無理矢理攫われて番にされようと、誘惑するオメガの方が悪い的な。
で、加納ですが、過去に無理矢理番にされており、しかも相手からはアクセサリー扱い、更に他の男達を連れて来られて彼等からも犯されと、かなり辛い目に合っているんですね。
そのため、アルファに対して強い怯えを感じています。
可哀想なんだけど。可哀想なんだけど!!
まぁ、儚げな美人が苦悩してるのは萌えてしまうんですよね。

対して攻めの藤堂。
こちらがイチ推しなんですよ~。
一途で真っ直ぐ、加納を全力で守ろうとする。で、高校生らしい青さや未熟な部分もあり、更にそれを自覚していて、もどかしく感じている。
好きな相手を守る力が無いと悔しがる高校生・・・。
うわ~、なんて健気で純粋だと、もうキュンキュンが止まらない・・・!!
また、加納にヒートが起こった事により、二人は身体を重ねてしまいます。
それを無かった事にしようとする加納に対して「俺が後悔してる事があるとすれば、それは先生が目を覚ますまで傍に付いていられなかったこと、それから、メモに書いた言葉が「帰ります」の一言だけだったこと。この2点だけです」て!!
ああ、真っ直ぐ過ぎるよ!!
こいつ、めっちゃいい男だよー!!みたいな。
私は受け大好き人間で、普段は受けに感情移入して読むのです。
が、今回は攻めに大いに感情移入。
ひたすら真っ直ぐ受けを思う高校生。なんて尊い・・・!!

で、こちらはオメガバース。
二人は運命のなんちゃらで、最初から本能で惹かれ合います。
が、互いをどんどん知るに連れ、相手の内面にこそ惹かれてゆく・・・。
ここもまた素敵でした。
両視点で進むのですが、互いのここがいい、あそこがいいと後からやってるのがですね、なんかニヤニヤくる。
やっと気付いたんかーい!!みたいな。

欲を言えば、加納が狙われた事件の結末がアッサリ過ぎるとは思うんですけど。思ったより単純な事件だったなぁと。

あと、藤堂の両親の話がちょこちょこ出て来ます。
この二人のお話が、雑誌掲載作で先にあるそう。
順番的にはそちらが先に読めた方が、世界観に入り込みやすいんじゃないかと思ったりします。

とひっかかる部分はありますが。
個人的にはとても好みの作品で、とてもキュンキュンさせてもらえました(*´▽`*)



10

後から読んだ方が面白かった

こちらの作品は「高貴なオメガは頑健なアルファを恋う」が雑誌に掲載された後の書き下ろし作品です。発売は後になりますが「やんごとなきオメガの婚姻」を読んだ後の方がより人間関係が理解出来きて面白いと思いました。

悠真の親の雅純は伯爵家の次男だったので、大切にされて性的な被害に遭うこともなく祥久と出会って番になっています。

一方で悠真が思いを寄せている臨時教諭の雅己は無理矢理番にされただけでなく、番相手がベータに雅己を凌辱させたりと悲惨な目に遭って来ました。
そしてその番相手が殺されて雅己に殺人容疑が掛かってしまってました。あまりに気の毒な境遇です。

刑事とのやり取りを目撃した悠真は何とか力になろうとしますが、雅己は怯えていて心を開こうとしません。そのうち雅己は誰かに命を狙われるようになって、悠真は学生である自分がいかに無力であるか思い知るのです。

この悠真が祥久と似て寡黙で真面目で愛情深くて、17歳にしてはとても大人びた人物です。初恋の人は産みの親の雅純で拗らせていたのが、雅己に出会ったことで昇華出来たらしいです。

悠真は雅己が轢き逃げに遭った後にアパートに見舞いに行って、雅己がヒートをおこし治療だと言って抱いていました。
本当は気持ちを伝えたいのに、臆病な雅己を追い詰めないように自分を律したのでした。

その後暴漢から雅己を庇った時に悠真が刺されてしまいます。その時に入院先の病室に雅純が現れて、悠真が寝ているからと雅己の気持ちを聞き出すのですが、悠真が寝たふりをしているのを知っていてあえて雅己の気持ちを確認していたのです。

雅純は悠真がもう少しで成人すること、悠真の相手には親は口出ししないことを伝えて帰って行きました。
そして次の日に会った祥久も雅己には好意的でした。

退院した悠真は侯爵家の別邸に雅己を一緒に連れて行き、改めて番になって欲しいと気持ちを伝えていました。2人は卒業まで番にはならないと決めて、悠真が大学に入ったら一緒に住む屋敷を手に入れたそうです。スパダリすぎる…

3

父親と似た恋をする息子

「やんごとなきオメガ」に登場する二人の息子の恋。
先に「やんごと・・」を読むことをお薦め。

「やんごとなきオメガ」の二人が、親としてちょびっとだけ登場。
三宅祥久:25才 用務員、実は藤堂家の御曹司
仁礼雅純:17才 βと偽っていたΩ
難産で産んだ一子が、悠真。


「愛しき年上のオメガ」
藤堂悠真:17歳 α
「やんごとなきオメガ」の祥久x雅純の息子。
とても高校生と思えない、父親似の少年。


加納雅己:23歳 実親に捨てられ、孤児院で育つ 不運続きのΩ
産休の代理教師として赴任。
悠真の実母・雅純と似た容姿。

★「やんごと・・」読了後、随分間が空いた続編の読了。

0

年下感全くなし! のできた17歳アルファ攻め様

初読み作家様でした。不憫オメガ受け様と、それを救う年下アルファ攻め。

この年下17歳高校生攻め様が、人間的にめちゃめちゃできた人で…「君、本当に高校生!?」って感じでしたよ。全てのアルファよこうであれ。って感じのアルファです。

オメガであるということで親に捨てられ、施設で育った主人公、雅己。彼は無理矢理犯され番にされ、囲われていたのですが、無理矢理番ってきたアルファが殺され、その殺人事件の犯人として警察に疑われています。
臨時の教師としての職をなんとか手に入れた始業式の日、アルファ然とした生徒、悠真を見て本能的に恐れを感じるのですがー

と進むお話。

なんというか、この攻め様の人間の出来っぷりがすごくて。
若いのに、アルファならではの傍若無人ぶりが全くなく、ただひたすらに恋をして、その相手を守りたいと願う。

そんなひたむきな純真さと健気さに、じーんとやられてしまいました。未来のスパダリ、と言いたいところなんですが、17歳で既にスパダリってます、この攻め様。

で、とっても素敵にお話が進んでいくんですけれど、どーーーしても自分の中で納得できなかったのが!!

…こんなにもできた攻め、なぜ、避妊しなかった?

という点でして。
いや、「子供ができたら俺、責任とります」(キリッ)ということはちゃんと言葉にして言ってくれてるんですよ。

であるならば!まずは避妊しようよ…と、なんだかそこでやけに我に返り、冷静にツッコんでしまう自分がいました。

それまでの言動が完璧で、我慢のできる攻めだっただけに…そこはアルファの「孕ませたい」って本能を抑えきれなかったのかな、、でもなんだかモヤっとしてしまいました。

あとは、殺人事件の真犯人が、後半ギュギュッと短めに明かされ、ちょっと物足りなかったかなぁ、と。

ただ、オメガバースでこんなにも傲慢なところがなく、ひたすらに相手を想い、守ろうと奮闘する攻めってなかなかいない!
…と、攻めにかなり萌えたオメガバース作品でした◎

0

面白いのですが

遠野さんの新刊はオメガバースもの。みずかねさんの描かれた美麗表紙効果も相まって、どんなお話かなと思って手に取ってみました。

すみません、ネタバレ含んでいます。苦手な方はご注意を。








主人公は全寮制の名門高校に臨時教師として赴任してきた加納。
彼はΩで、自身がオメガであるという事をひた隠しにしている。そして、とある理由からαが苦手。

けれど、その高校で出会ったのはαで生徒である藤堂。藤堂がαであると悟った加納は藤堂を避け続けるが、藤堂は加納のことが気になり…。

というお話。

オメガバースものは作家さまによって解釈が様々で、また、作品ごとに描かれるバックボーンも様々ですが、この作中ではΩは見下され、卑下されるべき存在として描かれています。

が、そういうバックボーンがあるにせよ、加納先生がΩであることを隠したりαを怖がるさまは異様なほど。

なぜ加納先生はαを怖がるのか。
そして、加納先生が隠している秘密は?

というところを軸に、物語は進んでいきます。

視点は加納先生と藤堂くんの交互に描かれているので、彼らの過去の話が少しずつ見えてくる。

その中で見えてくるのは、かつて、加納先生は一人のαによって飼われていた、という事実。

読み始めたときは加納先生に横恋慕したαによって意に沿わない行為を強いられていた、みたいな話かなと思って読み進めたのですが、まさに「飼われる」といった展開でした。直接的な描写はありませんが、かなり外道な描写もありますし、モブレもあるので苦手な方にはちょっときついかなと思います。

そして、加納先生を飼っていたクズ男(いや、失礼)が亡くなっており、クズ男を殺した容疑が加納先生にかけられている、という事も。

ミステリー要素もありつつ、加納先生に少しずつ惹かれていく藤堂くんの一途な恋心もあったりして、なかなか面白かったのですが。

でも、なんていうんだろうな。
もう一声ほしい、という感じ。

そもそも藤堂くんが加納先生に惹かれた理由の一つとして、彼の初恋の人に加納先生が似ている、というバックボーンがあります。が、その過去の話はほとんど描かれていない。

彼の初恋の相手は、彼の初恋がどうしても成就できる相手ではない。
が、そこがさらりとしか描かれていないので微妙にもどかしい。

そして、ミステリーとしての部分も、え、これだけ?というあっさりした展開。

加納先生に外道な行為をしていたクズ男が誰に殺されたのか?というミステリーの部分よりも、αを怖がり避け続ける加納先生を、藤堂くんが年下攻めらしい一途な恋心でもって振り向かせることが出来るか、の部分が、より濃く描かれている作品でした。

が、藤堂くん×加納先生、の二人の恋の行方もいまいち感情移入しづらい。

加納先生が藤堂くんの気持ちを受け入れられないのは、彼が「αだから」というところに終始していて、それなのに、最後に急に「藤堂くんのことが好き」という展開になっているからかな、と思いました。

先生と生徒という関係であること。
男同士であること。
藤堂くんはお坊ちゃんで(しかもかなりいいところのご子息)、でも、自分はΩであるがゆえに両親に捨てられ孤児院で育ったこと。
かつてαやたくさんのβたちに凌辱されていた過去があること。

加納先生が藤堂くんの気持ちを受け入れられない理由なら、すごくたくさんあるんです。
あるのに、そのあたりは途中までは、拒否する理由として挙がっていない。

遠野作品らしい、と言って良いのか、今作品も攻めはかなりのハイスペック男子です。
薄幸・健気受けが、スパダリ感満載の攻めの愛によって救われる、という展開も個人的にはめっちゃツボなんです。

が、いまいちそれらを生かすことなく終わってしまった、という感想を持ちました。バックボーンや設定は非常にツボな作品だったがゆえに、もう一声ほしいなとより強く思ってしまいました。

ただ、「年下攻め」がお好きな方にはたまらない設定かなと思います。身体を張って加納先生を守ったり、一途に加納先生を思い続けたり。まさにこれぞ王道!といった年下攻めが描かれています。

藤堂くんの両親はα×Ωで、αである父親は自分の連れ合いであるΩ(藤堂くんの母親)に深い愛情を捧げ続けている、そんな両親を藤堂くんは尊敬している、というバックボーンがありますが、この二人の話がめっちゃ読みたい!と思ったら、あとがきで遠野さんが「小説Charaで掲載されていて~」と書かれていました。

ぜひともそのお話を文庫化していただきたいと所望しています。

藤堂くん×加納先生の二人は、最後まで首を噛まれることがなく終わっています。

「藤堂くんが高校を卒業したら正式に番になろう」という約束をしたためなのですが、彼らが、無事番になり、そして赤ちゃんを授かるところまで見てみたいので、続編も書いていただきたいなと思う作品でした。

みずかねさんの描かれた挿絵は、今回も大変美しかったです。
加納先生の儚げな美しさがこれでもかと表現されていました。

6

この作品が収納されている本棚

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