全員、男。

小説

  • BL古典セレクション1 竹取物語 伊勢物語

BL古典セレクション1 竹取物語 伊勢物語

taketorimonogatari isemonogatari

  • 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作BL古典セレクション1 竹取物語 伊勢物語

在原業平
二条君

あらすじ

古典作品の性別を変え、ボーイズラブ化したポップな現代語訳シリーズ第一弾。
誰もが知っているはずの『竹取物語』と『伊勢物語』が、唯一無二の言語感覚でロマンチックな世界を描く作家の雪舟えまによって、全く新しい物語として鮮やかに動き出す。

竹から生まれた絶世の美少年・かぐや彦が、貴公子たちや帝の求婚をしりぞけて、惜しまれつつも天に昇ってゆく竹取物語。
数々の男たちと歌を詠み合い枕を交わす稀代のプレイボーイ歌人・在原業平の元服から終焉までを、一代記風の歌物語として描く伊勢物語。

はじめての古典、はじめてのBLにも最適な一冊。

★初版のみヤマシタトモコによる装画ポストカード封入! ★

❖目次
竹取物語
伊勢物語
本書のねらいと訳者解説

作品情報

作品名
BL古典セレクション1 竹取物語 伊勢物語
著者
雪舟えま 
イラスト
ヤマシタトモコ 
媒体
小説
出版社
左右社
発売日
ISBN
9784865282122
5

(1)

(1)

萌々

(0)

(0)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
1
得点
5
評価数
1
平均
5 / 5
神率
100%

レビュー投稿数1

男、男、男・・・どこをみても男しかいない!

本書はあの有名な「竹取物語」と「伊勢物語」2つの古典のBL訳である。

【竹取物語】
主人公は絶世の美女のかぐや姫ならぬ、絶世の美男のかぐや彦(♂)。
彼は竹取の翁(♂)と爺(♂)に拾われた後、蝶よ花よと大事に育てられ、
長じた暁にはその美しさゆえに5人の貴公子たちから求婚を受けることとなる。

しかし、翁と爺との3人での暮らしに幸せを見出し、
結婚願望の欠片もないかぐや彦はそれぞれの貴公子たちに
無理難題をふっかけて、彼らの求婚をのらりくらりとかわす始末。

その後、天界からのお迎えがやってきて・・・と物語の大筋は原典と変わらない。
しかし、些細で細かな部分にBL訳ならでは著者のオリジナリティとうま味を感じる。

例えば、
(原文)この世の人は、男は女にあふことをす、女は男にあふことをす。

(BL訳)この世とは、男が男に出愛い(であい)、結ばれる愛♥源郷(らぶとぴあ)。
になる。

もはやセンスしか感じない!

【伊勢物語】
こちらもまた登場人物は男だらけの愛♥源郷(らぶとぴあ)である。
主人公を恋多き粋な遊び人・在原業平とし、ボーイズたちのラブを
ときに尻軽に、ときに熱く、ときに切なく、ときに狂おしく、
彼らの赤裸々な恋愛遍歴が歌に込められて綴られてゆく。

語り手は恋愛脳なので基本的には年がら年中恋ばかりしている。
若い頃に恋に落ちて以来の最愛の恋人・二条君に始まり、
失恋傷心旅行先で引っ掛けた名もなき地方都市の少年との愛の逃避行や
職場恋愛のお相手、親友の兄弟、物見遊山に出かけた先で見初めたお相手、
果ては弟にまで、と恋のお相手を数えあげればキリがない。

しかも、この数多くの恋はけっこう同時進行で行われていて、
二股、三股もザラである。
それも最愛の恋人が側にいてくれないせいだよ!
なんて開き直ってしまう始末。
もはや、恋愛狂いもここまでくると清々しいものである。

膨大な文(手紙)に綴られる恋の歌を読んでいると、
粋な文章を文に込めて駆け引きするという
この時代の恋の在り方が上質なものに思えてくる。
面と向かってではなく、あえて匂わせるような文章をつかって、
相手をその気にさせたり、ときにはまっすぐな想いを伝えたり。
現代にはない、恋のテクニックだなあと古典に学んだ。

登場人物も数多い中で魅力的な人物たちが登場する。
特に業平の親友の紀有常(有くん)と惟高親王(惟たん)
(=3人併せて、眩達大三角形(まぶだちとらいあんぐる))や
業平がライバル視するチャラ男の源★至は大好きだ。

登場人物が男のみということで、女御が男御だったり、
女房が男房へと表記が変わっていたり、細やかな設定は隅々まで、
読み応え十分すぎる1冊だ。

1

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP