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【電子オリジナル】うずたか氷(苺)を君と

uzutaka koori wo kimi to

  • 電子単行本
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表題作【電子オリジナル】うずたか氷(苺)を君と

兼古緑
荻原楯

あらすじ

甘酸っぱくも切ない男子高校生の緑と楯の恋は、卒業後どう動いたのか――。大学進学で東京を離れ、未来京都で学生生活を送る緑と地元に残って働く楯。距離ができたことでより一層想いを募らせる緑と相変わらずマイペースな楯は夏休みに再会の約束をして……。まだまだ拙い二人のその後を描いた電子オリジナル短編。

作品情報

作品名
【電子オリジナル】うずたか氷(苺)を君と
著者
雪舟えま 
イラスト
紀伊カンナ 
媒体
小説
出版社
集英社
レーベル
集英社文庫【非BL】
電子発売日
4.3

(3)

(2)

萌々

(0)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
13
評価数
3
平均
4.3 / 5
神率
66.7%

レビュー投稿数2

布教したくなる二人

BL小説ではないけど、ぜひ推したい!
そんな二人を描いた『緑と楯』の続編です。
本書は雑誌『小説すばる』での掲載以来書籍化もされていなかったので、
電子専売といえど、こうして読めるだけでもう歓びしかありません…
集英社さんGJです。

読み終えた今、私の胸は「みどたて」の愛で
ほっこほこで、いとおしい気持ちでいっぱいです。
いま、私めちゃくちゃ満たされてる…

前作で、兼古緑は高3の秋、ひょんなことから同級生の荻原楯と親しくなり、
彼への恋に落ちた緑はストーカー紛いの猛アプローチの末に楯と結ばれました。

けれど、その後、進学し【未来京都】に住み始めた緑と
【未来東京】に残って大学生活を送る楯は遠距離恋愛に。

今回はそんな絶賛遠恋中の二人の夏の3日間の再会が描かれます。

離れ離れの間もこれは楯と食べたい、ここには楯と来たい…と
事あるごとに楯を思い浮かべ、相も変わらず、猛烈熱烈激烈に
楯に恋い焦がれる日々を送る緑。

自分の方からアクションを起こさないと連絡も寄こさない楯に
一人悶々としたり、楯のホログラムを自作して慰めにしたり、
だけど、楯からの返信ひとつで明るい気持ちになれたり、
ほんとに緑はブレることなく楯が大好きすぎなんですよねぇ、可愛い奴♬

そして、遂にやってきた再会の日!
きっと情熱的な感動の再会になるんだろうなぁとニヨニヨしていのに…

楯:「やあ」
緑:「うん」

って、え、それだけ??淡々としすぎじゃない?
緑なら周りも気にせず抱き合うくらいすると思ってたのに…どうしたん?

以前と変わらず柔らかく、優しく笑う楯。
緑が楯をいとおしく感じる気持ちも変わらない。

だけど、久々の逢瀬の歓びを噛み締めながらも、
会えなかった時間が緑に楯との間に距離感を感じさせてしまう。

その上、待ちに待った夜は楯が別室でシュラフで寝ると言い出して…
同じ家にいるのに?恋人同士なのに?久々のお泊りなのに?

え、やだやだ、どうしたの?
イチャイチャするんでしょ?
やる気満々でゴムまで用意してたじゃん…

緑がずっと気が狂いそうなほど会いたかった恋人を前にして、
触れ合うことも出来ず、雰囲気の変わった楯に戸惑い、
今の楯が自分をどう思っているかわからない、もう恋人じゃないの?とか、
告白する前に戻ったみたいだ、なんて不安でそんなことを考えてしまうのが
切なくて、もどかしかい…(´;ω;`)ウゥゥ

一方で今回は楯の視点も加わっていて、前作では謎めいていた楯が
何をどう感じ、どう考え、緑のことをどう思っているのかが明かされます。

楯も少なからず緑の想いを感じ取っていて、緑の激しい愛に対して
どうすることが彼を大切にすることなんだろう、と柄にもなく
考え込んでいたりしているんです。

だけど、それは緑をどうやって愛せばいいのか
という迷いであって、緑を拒む意思は感じられない。

気持ちがすれ違い、楯から愛されていないと
不安がる緑に教えてあげたかったなぁ…

そして、旅の中で緑との関係に答えを見つけた楯。
緑との関係はこの先もずっと続き、何があってもだいじょうぶ、だと。

そんな確信を得たからなのか、突然の楯からのキス。
前作でセックスしておいて、今更と感じるかもですが、
それだって今まで恋愛に興味がもてず、受け身で生きてきた楯からの
初めての欲望の証とあれば、俄然意味も違ってくるというもので、
びっくりしたのと同時にちょっと嬉しかったです。

精神世界に浸り、浮世離れしていた楯が緑といることで
少しずつ俗っぽさというか、人間らしく変わり始めているのかな、と。

いつもはぐいぐいと恋に暴走しまくりの緑でしたが、
今回はキスもハグもいらないから何か証が欲しい!なんて
健気で意地らしく悩んだり、乙女メンタルでした。

(家に来た楯の姿や声を録音・録画したり、冷蔵庫の表面のビジュアルを
楯の画像に設定したり、その執着を超えた盲愛っぷりは怖すぎだけど(笑))

最後は楯の「だいじょうぶなんだよ」の一言で手懐けられてしまい、
ポジションは攻めですが、メンタル的には案外楯の方が優位なんだな、と
認識を改めたり。これも惚れた弱みってやつかな。

一歩戻って、また一歩進んで。
まだまだ始まったばかりでこの先の未来を感じさせるところで終わり。

続編が読めたのは嬉しかった…けど、
夏の3日間だけじゃ、全然足りません!!
もっと緑と楯のお話が読みたい!
いつの日か、また続編が執筆されて、このお話も紙媒体で読めますように。

※今回はキス(1回)のみでエロはありません

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あああああ、苦手な要素が入って来ちゃった

『緑と盾 ハイスクール・デイズ』に引き続き、こちらも読ませていただきました。
違った大学に進学していわゆる遠恋になった2人ですが、前作のラストで緑が盾の手帳に書き込んだように、夏休みに盾が緑のいる京都に遊びに来る3泊4日のお話です。

相変わらず緑は盾が好きすぎて自分を見失っています。
でも、高校時代とは異なり大学生としての暮らしは充実していて、側に盾がいない以外は上手く行っている感じなんですね。
でも、盾のことになると我を忘れて、妄想が暴走する状態です。
この妄想が可愛いのね。
例えば京都での初かき氷は盾と一緒にと、食べるのを我慢しているのですよ。
可愛いでしょう?
あそこに連れて行こう、あれを見せよう、あんなことやこんなことも一緒にやろう、と考え続けてワタワタ準備する緑は、あまりにも可愛くて涙が出そう。

今回のお話には、前作では書かれなかった盾視点の部分がありました。
盾の進学先は適塾墨東大学神秘学部(!)で多次元意識交流サークルに入っているのです。
で、意識だけを飛ばすことが出来るのね。だから緑のことも離れていても解る部分がある、と言う感じなんですけれども、これがちょっと……私、苦手なんですよ、スピリチュアルな話題が『匂わせ』ではなくごろんと出て来てしまうことが。

いや、運命っぽいお話がゴリゴリ出て来たわけではないのですが、それでも、個人的にはこの設定、ない方が好みでした……

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