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表題作その花の馨しき色…

敷島聖司,元モデルで受様の新しいマネージャー
富海伸,若さとルックスのみと言われ中途半端なモデル

その他の収録作品

  • 花弁に寄せる唇

あらすじ

「お前は今日から俺が面倒みる」事務所で、新しいマネージャーの敷島に引きあわされたモデルの富海は、その日から彼と同居することになる。
強引で不遜な敷島を腹立たしく思う富海。
だが敷島は、三流モデルの富海には不相応な大きな仕事を取ってきては、富海の欠点を指摘し的確なアドバイスをあたえた。
反発しつつも、富海は彼の実力を認めざるを得なかった。
そんなある日、富海はモデル仲間から、敷島がかつて有名なモデルだったと聞いて…。

作品情報

作品名
その花の馨しき色…
著者
火崎勇 
イラスト
雪舟薫 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
ISBN
9784344805576
3

(4)

(0)

萌々

(1)

(2)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
11
評価数
4
平均
3 / 5
神率
0%

レビュー投稿数2

自分だけの「華」

この作者様は基本的に、一人の目線で書かれるようで、今回は富海の目線で進んでいきます。表題作と続編の、中編2本が収録されています。

「その花の馨しき色…」
ぱっとしないモデルの富海(18歳)は、新しいマネージャーの敷島に引き合わされる。敷島は小汚く不遜な男で、心中は反発ばかりしていたが、表面は言われるがままに従っていた。だが、ある日の撮影で、敷島に色気のある顔をするためにマスターベーションをしろと言われて…。

できるわけない、と答えた富海に、口の中に指を入れて感じさせた敷島がエロかったです。富海は、敷島が元トップモデルと知り、事故で引退した敷島「セイジ」の身代わりに自分はされているんだ、もっと俺自身を見てくれ、と詰め寄ると、敷島はため息をつきながら説明をします。

この、富海に散々迫られて、敷島がようやく説明をする。このパターンは続編でも同様です。敷島は口ベタというか、説明不足というか。そんな彼の無精ひげでちょっと長い髪形イラストがやけにピッタリでくらりとしました。


「花弁に寄せる唇」
甘い生活を期待していたのに期待はずれ。敷島は富島に仕事はとってくるものの、富島に付き添ってくれない。二人ともそれぞれの仕事で忙しくて、話をする時間もない。そんな中、敷島は自分を差し置いて、新人・原口のマネージャーをしていると聞き、不安になる。カメラマンの清水にセクハラされたと訴えても、敷島は笑って相手にしてくれない。富海が心の支えにしていた「自分だけの華」だと言ってくれたセリフも敷島は覚えていない。挙げ句の果てに、欲求不満なんだろうと自分だけイカされた後、敷島は背中を向けて部屋に鍵をかけて閉じこもってしまい…。

この、敷島に必死で言い募るのに、笑って流されてしまう。身体を求めて欲しいのに、ため息をついて鬱陶しがられてしまうという場面なんですが、富海の目線で語られているためか、読んでいるとつい感情移入してぽろぽろ泣いてしまいます。最後まで読んで敷島の心情を理解した後で、冷静に読めば、敷島なりに宥めたり応えたりしており、そんなに酷い仕打ちではない(むしろ富海の幼さが分かる)のですが、言っても言っても伝わらない、というのが切なかったです。

敷島は頼れる男なのでしょうが、「察しろ」というより、自分では十分話しているつもりなのがまた始末が悪いと思います。なので、まだ関係が短く18歳の富海にとっては不安が残るのは当然であり、だからこそ清水のセクハラ事件を乗り越えて、富海が自信を持って敷島に甘えるようになったラストが微笑ましかったです。敷島の「モデルの命は短い。恋は長くてもな」も素敵でした。

富海は仕事より敷島が大好きで、敷島が見てくれるからモデルをしているような印象は最後まで拭えなかったので、敷島がこれと惚れこむような新人が登場したら、もしくは富海がモデルを引退したら、二人の仲はどうなるのだろうかとちょっと心配になりました。しかし、それは先の話であり、そこまで推測しなければ、ラブな関係のままラストを迎えた二人でした。

あと、イラストがいいです!作者様のあとがきの後にある写真のような二人も良いですが、終盤に登場する敷島が富海を片腕で抱っこしたイラストがなんとも言えません!清水はもうちょっと富海の顔が見える角度で撮影したんだろうなとか想像するとついコーフンしてしまいました。

よくある展開の話なんでしょうが、私は妙に気に入ってしまいました。
モデルとマネージャー、無愛想な年上攻め、生意気な年下受け、年の差カップルがお好きな方にお勧めです。

2

あなたに抱かれて私は蝶になる〜BL版

表題作と、その後を描く続編の2編収録。続編の方が長いです。

「その花の馨しき色」
タイトルだけ見て、昭和以前?耽美?文芸?など先入観があったけど、全然違った!
主人公はパッとしない雑誌モデルの富海。
その他大勢から抜きん出るものもなく、野心もなく。
そんな富海が急に呼び出され、今日からマネージャーが変わるから、と言われて見知らぬ男性・敷島のマンションで同居することになる…
…と始まります。
敷島は元トップモデル。富海にキツく冷たくあたり突き放しているが大きな仕事を次々と取ってきて。
年齢はもちろん容姿も経歴も全て全く歯が立たない富海が、悔しがりながらも敷島に惹かれて新しく艶を持った顔を得ていく…
…というのが表題作。

続いて続編の「花弁に寄せる唇」
一度は想いを確かめ合ったはずなのに、またしても冷たい敷島。
またまた大きな仕事・ソロでの写真集が決まるが、ほとんど放ったらかしにされて不安を隠せない富海。
著名な写真家・清水には仕事をちらつかせての悪質なセクハラをされ、態度では噛みついて歯向かうけれど、心では。
僕を思っていてくれたんじゃなかったの?僕を大切にしてくれないの?僕があんな奴に触られていいの?
な〜んて泣きべそっ子。
若い富海のやんちゃさ、子供っぽさ、余裕ありげな敷島の本心などなど、とりあえずありがちなストーリーではあります。
この2人が面白くなってくるのはこれからでしょうね。

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