本格ファンタジーBLの書き手・鴇六連が贈る鳥もふBL!

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表題作黒鳳凰の愛する小鳥

烈、凶禍を喚ぶとされる黒鳳凰、0~6
玻璃、美しいが力を持たない鳳凰、18~24

その他の収録作品

  • 凶禍の記憶
  • あとがき

あらすじ

美しいばかりで鳳凰としての力がない玻璃は、伽を求める他の鳳凰への憤りと自身の不遇を嘆いていた。だが千年に一度生まれ、禍を招くという黒い鳳凰の孵化に居合わせた玻璃は、懸命に生きようとする雛鳥に惹かれ、命令に背いて命を助ける。烈と名付けた雛は日毎に成長し、玻璃は幸せな時を過ごすが、一方で先行きへの不安が募る。ある夜、玻璃は見知らぬ男に押し倒されるが、その正体は驚異的な成長を遂げた烈だった。烈は「玻璃はおれのだ!」と上位鳳凰たちに宣戦布告をし!?

作品情報

作品名
黒鳳凰の愛する小鳥
著者
鴇六連 
イラスト
羽純ハナ 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA
レーベル
角川ルビー文庫
シリーズ
黒鳳凰の愛する小鳥
発売日
ISBN
9784041078020
4.1

(93)

(47)

萌々

(28)

(8)

中立

(2)

趣味じゃない

(8)

レビュー数
14
得点
373
評価数
93
平均
4.1 / 5
神率
50.5%

レビュー投稿数14

彼の行動原理の全てが受け!

こちら、鴇先生の新作で、神仙界を舞台とした鳥モフBLになります。

世界観がかなり凝ってまして、この神仙界だの四神だのと言う題材にあまり興味が無い方は、ちょっと取っ付きにくいと思うんですよね。
が、実の所、至極単純明快なお話だったりするんですよ。

そう、受けに育てられた攻めがですね、受けを幸せにする為だけに、常識も何もかも吹っ飛ばして行動するー。
ただ、それだけのお話なのです。
彼の行動原理の全ては受け。
いやもう、ここまで徹底してるといっそ天晴れですよ。

まぁそんな、ある意味究極の健気攻めと、真面目で情に篤い美人受けの鳥モフBL。
四神萌えの姐さんじゃなくとも、ぜひオススメしたいです。

内容ですが、凶禍を喚ぶとされる黒鳳凰・烈×美しくはあるものの、何の力も持たない出来損ないの鳳凰・玻璃による、四神もので子育てものです。

美しさから他の鳳凰達に伽を求められ続け、辟易している玻璃。
ある日、禍を喚ぶとされる黒鳳凰の孵化に偶然立ち会います。
懸命に生きようとする雛鳥に心を打たれ、命令に背いて隠し育てる玻璃。
烈と名付けた雛鳥と心暖まる日々を過ごすものの、ある夜、眠っていた玻璃は、突然見知らぬ男に押し倒されていてー・・・と言うものです。

で、玻璃を押し倒した男の正体ですが、驚異的な成長を遂げた烈と言う展開です。

まずですね、舞台の神仙界に、作者さんの独自設定である鳳凰達の社会システム。
更に瑞獣同士の戦いと、世界観がかなり複雑なんですよね。
中華風ファンタジーだけあり、難読漢字もめちゃくちゃ多い。
この世界観を理解するのに、最初に苦労する事になると思うんですけど。

が、それは本当に最初だけ。
世界観を理解してしまえば、後はほのぼの可愛い子育てパートに突入なのです!
それこそ、エサを食べない雛鳥に四苦八苦から始まり、順調に成長するチビッ子との心暖まるエピソード。
烈がですね、とにかく可愛いのです。
小さな身体で、「はりちゃんを幸せにする!」と、「早く大きくなるから待ってて」が口癖。
そして、「好きな子にとびきりのプレゼントをするんだよ」と危険な目に遇いながら見つけてきた宝石をプレゼントして求愛。
可愛いよ~。
死ぬほど可愛いよ~。
もう玻璃じゃなくともメロメロだよ!

で、チビッ子烈の愛らしさに悶えた後は、BL的萌えが満載の展開。
ある夜、驚異的な成長を遂げる烈。
「求愛行動はもう済んでいるから、次は交尾だ」と、玻璃を押し倒すー。

烈はですね、とにかくシンプルでブレないんですよ。
卵から孵り、皆が不吉だから殺せと言う中、一人だけ必死で庇い烈の為に泣いてくれた玻璃。
そんな玻璃を幸せにすると誓ったあの日から、彼の行動原理は全て「玻璃を幸せにする」ただ、その一点なのです。

身体は大人とは言え、まだ生まれて6年の烈。
子供特有の無邪気さで強引に番になろうとしたものの、玻璃に泣かれれば我に返ってストップする。
「交尾したいけど、玻璃を泣かせるのはダメだ」みたいな。
くっ、しつこいけど、可愛い過ぎる・・・!

また、最初こそ「可愛い烈を返して」と、大人の烈に拒絶反応を示した玻璃。
大人の烈と共に過ごすうち、彼が何も変わってないと気付くー。
そして、自分を幸せにする為に、ただただ懸命な烈に男として惹かれて行く。

実は、二人はかなり過酷な状況に置かれたりもするのですが、そんな中でも烈の揺るぎ無い「信念」が救いになるんですよね。
そして、ただただ守られてるだけでは無く、烈の為に自身が出来る事を真摯に頑張る玻璃に、心を打たれるのです。

あと、個人的にどうにも気になって仕方ない鶂己。
玻璃の友達で異母兄弟かもしれなくて、弓の名手の超美形です。
彼がめっちゃいい味出してました。
イラストが羽純先生になりますが、鶂己が美し過ぎる・・・!!
鶂己が主役で続編を激しく希望します。
ついでに、彼は受けだと思ってましたが、作者さんによるとゴリゴリの攻めとの事。
それはそれで読んでみたい。

最後にSSがありまして、凶禍を喚ぶとされる黒鳳凰の謎が分かります。
なるほどね~と色々驚くのですが、ここでもやっぱり、烈の健気さにキュンとさせられました。

とりあえず、最高!!

20

二人の愛の重さが同じ

烈と玻璃の愛に圧倒されました。烈は孵化した瞬間から全部憶えています。自分の凶禍の本能を背けて玻璃の幸せを優先します。玻璃も烈が殺されないように必死に守っています。二人は刷り込みではなくちゃんと恋をしています。
雛の烈はとても可愛くて、玻璃に甘えて「匙ではなく嘴移しで食べさせてほしい」といやいやと顔を振りながら一生懸命に伝えます。青年になっても求愛行動がかっこよくて危険を顧みずに珍しい石を玻璃にプレセントします。最初は烈の恋に戸惑った玻璃は恋の寂しさを気付いて愛しい烈を想って恋鳴きをします。

作家のブログに二人の書き下ろしが読めます。相変わらずラブラブです。

4

続編希望

読み始めはやたらと難しい漢字の名前や役職、建物の名前が煩わしくて後悔しました。

ですが烈が幼児の姿になり、玻璃が生きがいを感じて生き生きとしてからとても面白くなりました。

烈が巨大な黒鳳凰になって九尊鳳凰の元に向かうシーンにはゾクゾクしました。どちらが悪人だよと夢中になりながら読みました。

そしてしまいに軍鳥として玻璃の為に必死で戦果を上げる烈に拍手喝采してました。烈に憧れる雀達がとても可愛いし、玻璃の危機に良い働きをしてくれます。

玻璃の幼なじみの鶂己も魅力的な人物でした。何を考えているか分からないのですが、玉座を辞退した理由が与えられるものに興味がない。ボソっと真ん中を奪うみたいな発言がありました。

出来るならば鶂己を主人公とした丹天老君を酷い目に遭わせる下克上物語が読みたいです。

2

二作まとめての感想

漢風神話調の物語。

横暴な純血統の朱色の羽を持つ鳳凰の悪習に振り回される鳥族。
玻璃と鶂己は、離宮に隔離されて育てられている美貌の雛。
二人はよく似ているけど、鶂己にある鳳凰の印が玻璃にはない。
玻璃は、なりそこないの鳳凰の雛。

玻璃の様子を観にきているらしい、母鶯に気付いた鶂己が、
母鳥が止まる木に向かって玻璃を投げ飛ばす。
でも玻璃の母鳥は、木に止まった姿のまま既に息絶えていた。

数年流浪した後、苦労して職に就いた玻璃は、雛を育てる役職に就く。
玻璃が担当した卵は、なんと、黒鳳凰の卵だった。
「一族を滅亡する黒鳳凰」は、孵化してすぐ処分することが定められていた。
でも、たまたま卵の担当になった玻璃は、黒鳳凰に愛を注ぎ、狂暴性を削いでしまう。
・・という冒頭の黒鳳凰物語、面白かったので続編も読みました。
白鳳凰は、宮中の悪習改革物語。

「黒鳳凰の愛する小鳥」のスピンオフが、「白金鳳凰の愛しい勇鳥」
で、ファン要望を受けて、創作された「白金鳳凰の愛しい勇鳥」
玻璃と異母兄弟ではないかと思われる容姿の白金鳳凰の鶂己が、自分だけの番を得ることができた。

その短編が二つ公開されてます。
頁数の兼ね合いで、納まらなかった短編なのだそう。・・タイトルが違うけれど、同じ内容だった。

鴇先生のブログに、SSが公開されてます。
★『黒鳳凰と小鳥の冬籠もり』
http://tokimutsura.blog.fc2.com/blog-entry-138.html

★多忙な白金鳳凰の愛の巣づくり、「鳥籠の悪夢は陽光に消え」は、二か所で公開中。
カクヨム :http://tokimutsura.blog.fc2.com/blog-entry-162.html
ブログ  :https://kakuyomu.jp/works/1177354054894723856

2

鳥姿も可愛い!

鳳凰の玻璃は、多種多様な禽鳥が住む瑞郷天を守ることが望みであったが、鳳凰の力がほぼ皆無のため叶う事のない夢だと諦めていました。ある日、雛を育てる職に就いた玻璃は、凶禍を喚ぶ黒鳳凰を殺すように命じられるが、烈と名付けて隠して育てていたところ…という話でした。

玻璃と烈は同じ鳳凰とはいえ、食べ物のの好みや、鳥姿の大きさとか、違いがあるのが面白かったです。口絵見たら、目白と鴉っぽく感じました。

とにかく烈が小さい頃から玻璃好き好きなのが可愛かったです。すぐ大きくなる、幸せにする、とチビ鳥の微笑ましいセリフが実は宣言でしっかり叶えていくのも良かったです。

鳥姿の烈が、人姿の玻璃の肩に止まったり膝に乗ったりしてるのも可愛いですし、一晩で成長した烈が怪力男になってしまったと嘆く玻璃も楽しかったです。序盤は哀しい過去でしたが、それを吹き飛ばす幸せなストーリーでした。

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