9巻で割と辛辣なレビューを書きました。あえて既刊を読み返さず読むことで、自分にとって美しい思い出と、満足な読後感を得た気がする。9巻の絵柄に怯んだけれど、10巻は戻っていたような。
そうか、1巻から10年も経ってしまったのか。1から10までの全てを、1巻の時点の自分が読んでいたら、感想は違ったことでしょう。作中の皆は10年経っても若々しく、揃いも揃って成功しているけど、現実はもっと現実である。勿論この作品に現実描いてくれとは思わないけど。実際彼らはまだ確かに若いもんな。
真冬はまだ若いのに十分とか言ってんなよ、という価値観の自分には、一連の描写をうまく受け取れなかったし、彼がそう考えるに至った10年は描かれていないわけだし。
それはそれとして、春樹推しの自分はこれからも5巻を何度も読み返すことでしょう。春樹のふらっとから秋彦の指輪に至るまでが読めたらよかったなぁ。
絵が上手い!!!!!
まずそれがくるのも失礼なんじゃないかとすら思えるほど絵が上手い。商業単行本だしてるから正真正銘のプロなのに野生のプロという言葉が頭をよぎるのは、恐らくBL漫画界には少ないタイプの絵のうまさからだろうか。
オタクが延々と早口で捲し立ててるタイプの作品です。恥ずかしくなったら負け。メタ要素まで出てきて、コメディなんだろうけど絵がうま過ぎてコメディが周回遅れ気味。んで4話から急激にシリアスが追いかけてきて、コメディと読者が振り落とされる。と思ったら恋次郎の解像度がさがる。
そんなこんなで一貫性は薄いんだけど、ページ数がもりもりで絵も美しいので満足度は非常に高いです。作者のやりたい放題を楽しむ作品。
この世界の構造の全てを理解した、全知全能の鎌足くんではダチに不足だったのだろうか…十分変え難い友達なのに。でも彼は"BL漫画の主役さ"には欠ける(と恐らく彼自身も思っている)ので、BL漫画である以上そのルートはない。恋愛巧者の彼は最高のダチポジションなのだ。あれ?結局最高のダチは鎌足くんじゃん?ってのをきっと狙って描いてる。
恋次郎さんは普通にめちゃくちゃ可愛い。足の長い可愛い生き物だーーー!!!ありがとう顔面保証。でも皆んなの本命は小出祖父だよね?あれ?違う?
冒頭の『ろくでなしBLUES』っぽい何かは、『うつけものBOOMBAR』だったBOOMBARってなんだ。
おきりこみは群馬の郷土料理らしい。随分治安悪いな。学業に準じろよ。あともっとイチャイチャしてるとこ見たかったんですけど!!!
企業戦士インキュバスおじさん(元野球部@電子限定おまけ漫画ネタ)で1冊全部でもよかったんですよ、ってぐらいツボです。イイモ先生、さすがのところをついてくる。昇進おめでとうございます。健気で可愛い。
そんなわけで1冊でもいいんですよと思っていたら、無灯くんと夢野くんも最高に可愛かったので勝ち確定。メガネで真面目な無灯くんからツノが生えてきて、その上あのがたいの鬼に…最高か。照れて焦って出てくるツノが大変エッチ。これで攻め。可愛いでかい攻め最高。
そして3つめ。3作品それぞれで、キャラクターのビジュアルも、話の雰囲気も、愛の関係性も全く違うところがすごい。素敵な1冊をありがとうイイモ先生。
二階堂さんまで可愛いと思わせてくるなんて、この作品やるな、と思ったけど、そらこの作家さんなら、おじさんのチャームを描くのはうまくて然るべき。そして闇堕ちする二階堂さん。
このまま完結に向かっていきそうな展開ですが、今のところ9巻まで出てるのでまだまだ続きそう。2人がくっついてからの展開させ方が想像できないけど、どうするのか楽しみ。骨肉先生、怨念で漫画描いてるタイプだと満たされちゃったら描けなくなるのか、あるいは浄化されて新たな境地が開けるのか。
巻末に収録されていたエッセイ的なもので、薄々気づいてはいたが作家本人の怨念が乗っかってたのねと。そらあの解像度の高さにもなりますよ。
実写化してたんですねこの作品!
2,3巻のレビューでありがちな展開って書いちゃいましたが、ドラマ化するにはこの分かりやすさって良いんだろうな、と思う。むしろ自分が楽しんでる同人活動ターンの方はドラマ化すると分かりづらいのかな。いや、今時どんな界隈であれ推し活をしてる人が、同人活動を全く知らないで生きてるということもないのかな。
さて、『田舎に住む男子高校生カップルくんまとめ本』を読む骨肉先生が今回のハイライト。性根は腐ってないし、めちゃくちゃ純粋な猫屋敷くん。髭フラ先生もこういうのにハマっちゃうのであろう。これもまたありがちな展開ではあるけれど、この作品で得られるものが分かってきたので、連続で読んでだいぶハマってきました。
この長期連載にも関わらずちるちるの点数は全く伸びてない。けど連載は続いているということは、どこかに読者がいるってことなんだけど、やっぱりガチのゲイの人に人気なのか…?Xのフォロワー層もそんな感じ…?
この作品に最近の腐女子は何でも読むというくだりがあるけれど、やっぱり棲み分けはありますよね。
と思うに至ったのも、この作品、「承認欲求を拗らせた同人作家」の解像度がやたら高いところ以外は、話の展開はよく見るというかありがちで。大人向けっぽくない一方で、同人活動は完全に大人向けだから、読者層が不明。アイドルが不祥事起こしたメンバーの学校に揃って乗り込むあたりとか、まぁ大人向けな展開とは言い難い。
なんとも不思議な作品だ…
それはそうとツバサくんはまた違ったありがちな子だなぁ。彼が主役のBL漫画よく見る。
そしてリュージくんもな!電子特典のリュージくんいい子すぎて推せる。
冬コミand一星くんの身の上話巻でした。
サクサク読める絵柄やコマ割りなので、長期連載を一気に楽しむには向いてます。
ご本人も公開というか前面に押し出して作家活動をされてるので、そういう読み方で構わないと思いますが、ゲイ作家の描くBL漫画という目線で読んでしまう。こういうラブストーリーを描くんだ〜という面白さがありますね。承認欲求を拗らせた男が幼馴染に愛されることが一種のドリームなのだという。そもそもこの作家さんは少女漫画も描かれるようなので、身のうちに色んな性別の視点を持っていそうだ。こういう作家さんの登場人物の描き方は気になってしまう。意外と不倫やらおかん像はステレオタイプに描くんだな〜とか。