ぱるりろんさんのマイページ

レビューした作品

エキスパートレビューアー2025

女性ぱるりろんさん

レビュー数176

ポイント数1034

今年度29位

通算--位

  • 絞り込み
条件

指定なし

  • レビューした作品
  • 神作品
  • 萌×2作品
  • 萌作品
  • 中立作品
  • しゅみじゃない作品
  • 出版社別
  • レーベル別
  • 作品詳細
  • レビューした著者別
  • レビューした作画別
  • レビューしたイラスト別
  • レビューした原作別
  • レビューした声優別
媒体

指定なし

  • 指定なし
  • コミック
  • 小説
  • CD
  • 映像
  • ゲーム
  • 特典
発売年月
月 ~
レビュー月
表示モード

IN THE APARTMENT コミック

絵津鼓 

再生の物語

美容師の杉本が住んでいるアパートで、決められた日のゴミ出しを守らない住人に声をかけると、それは小学校の時の同級生妹尾だった。という偶然の再会から少しずつ仲良くなって、お互いに心の奥の深い部分を晒し澱を溶かし、前を向いて進んでいくお話。
良かったです。というとなんだか軽いですが。二人は同級生だったといっても当時とりたてて仲良しだったわけではなくて、いわゆるクラスの目立つ子とすみっこの子タイプ。おとなしいのが杉本、目立つのが妹尾。大人になると、そういう個性みたいなものが薄れるのと同時に、人には話しがたい悩みを抱えて立ち止まったり食いしばって生きていく。考えることが多くなり自問自答を重ねていく。この二人もそうで、もちろん問題の種類は別ですが、ちょうどのタイミングで出会うべくして出会ったのだと思いました。仕事のこと家族のこと過去の恋。いまこのときだからこそ、身内みたいな関係性が築けて、共に居られたのだろうなと。恋愛的には恋人未満風ではありますが、それよりももっと深いところで繋がっていて、本当に身内とか家族とかそんな風に感じられる二人でした。
そして、メインの二人だけではなく、登場する人それぞれみんななんらか思いを抱えていることが垣間見られるのもよかったです。髙木さんも元彼も杉本の兄も祖父も美容院の店長も。それぞれの人生を感じられました。彼らひとりひとりの歩む道が交差して、杉本や妹尾に出会ったのだと、そんな感想を持ちました。
絵津鼓先生の作品を読むのは「メロンの味」に続いて2作目ですが、ふんわりした空気感にふんわりした日常会話、少しずつゆっくりとつながっていく関係性、立ち止まって歩き出す心の変化などを描くのがとても巧みだなと思います。
表紙もおしゃれで、往年のグラフィックデザイン雑誌の表紙みたいでとても素敵です。

他愛の無いやりとりが

本編のその後の夜のおしゃべり。
他愛ない会話がたいへんに愛しいです。この二人はこうやって何でもない日常に光を灯すように言葉を交わし、ちょっとふくれたり笑ったり、相手の気持ちに探りを入れてドキドキしたりして、少しずつ近付いて信頼を深めていくんだなと思いました。
とても短いお話だけど想像の補完をしていただけたようで良かったです。
あとがきに「コミックス描き下ろしの海外編になるまで描こうと思っていたのですが」とあり、ああそれ読みたい!と強く思いました。どういう経緯で海外で生活するようになったのかとか、実際にはどんな暮らしをしているのかとか、あの子たちとの関係とか、色々知りたいことがありました。いつかどこかで読むことができたら嬉しいです。

メロンの味

少しずつ明らかになるにつれ、いろいろな点が腑に落ちました。テトリスみたいにさくっとはまった感じ。
メロン味ってにせもので全然メロンではないけどメロン味と定着してる。それを羨ましいと上巻で木内は言ってました。
自分の音楽の寿命は15歳までだったんだと認めて諦めること。このこととリンクしていてとてもしんどい気持ちになります。なまじ15歳で作って歌った曲が大ヒットになり、そこから急落すれば誰だって病むと思うのです。15歳という年齢も非常に残酷。ただでさえ音楽などの芸術分野は、他人の評価ほど当てにならないものはなく、一つ評判がよかったからといって次もいいとは限らないし、まさに水物なわけです。書かれてはいないけど当時は相当もてはやされたことでしょう。いろんなことを言って持ち上げてきた大人は消えるように背を向けて居なくなったに違いなく、そこには絶望しかないだろうと思うと、木内が苦しみながらだったとしても今ここに生きていること自体が奇跡だとしか思えません。
二人が、どちらかが受け止める側だったとしたらうまくいかなかったのかもしれない。二人ともニュートラルにただそばに居て、ただ会話してごはんを食べて夜に眠る、肩の力を抜いて一緒にいられる関係性だったから、お互いによかったんだなと素直に思いました。
作品全体に流れる空気感が穏やかで、交わす会話も自然体で、とりたてて大きな出来事があるわけでもないのに不思議と飽きさせない。とても魅力的な作品でした。

突然の同居生活

ライブハウスでバイトしている中城は、あるとき突然「彼女と別れて部屋を追い出され寝るところがない」というお客の木内を家に泊めることになった。というところから始まる同居する二人のお話。
二人の関係性は当初ほぼ無くて、友達というわけでもなく、バイトとその店の客というだけ。それでも一緒に暮らすうちに馴染んでいきますし、おおよそ他人には言えないことも言えてしまったり、逆に他人だから話せてしまったり、という微妙な関係が描かれています。
下の名前は教えないと言っていた中城でしたが上巻でばれますし、木内だって敢えて言いたくもなかった過去の自分が何者だったかも共有されますし、少しずつ繋がりが深くなっていきます。
元の相性もよいのでしょうが、木内のさりげない気遣いが他人と生活を共にすることに慣れているようで、中城が日常の土台となる部分を乱されていないことが伝わってきますし、いまのところ恋愛感情は見えないので(少なくとも中城側は)下巻でどうなるのか楽しみです。
面白いなと思ったのは、周囲のおじさんたちは、二人の歳が近いだろう、というし、木内も年齢が近いようなニュアンスで語るけれど、中城的には納得がいっていない。中城25歳で木内30歳くらい。ただの5歳差ですが、年下の人からみた5歳差と、年上の人から見た5歳差はだいぶ違う。ましてや何十歳も離れた人からは25も30も同い年くらいに思うのかも。こういうところ上手いなと思いました。

前半のみでした

あれ?と思ったのが最初の感想でした。
私の知っている展開とは違っていたのです。記憶違いだろうか、と原作本を引っ張りだそうにもすぐには出せなくて、かわりにドラマCDを探し当てて確認しました。
ドラマCD2枚組のうち、最初の1枚分がコミックの上下巻とわかりました。
原作文庫本の前半に当たるのですね。
心の声が聞こえなくなるのは、このあとのお話(原作小説の後半部分、CDの2枚目)でした。
決して厚くない文庫本の半分をコミック2冊分で表すなんてとても丁寧だなと改めて思いました。
余村は突然に身についたこの能力に振り回されています。周囲から垂れ流される大勢の心の中身。取り繕うことで社会生活が形成されているのに、本来見えないはずのナマの声を聞かされ続ける状況というのは、察するに余り有ります。仲のいい友達、恋人だって、本音と建て前は普通にあるわけだし、人間不信にもなるでしょう。上巻のレビューにも書きましたが、見ないように聞かないように集中力を高めるにも限界があるので、てっとりばやく自分の心を守るには他人との距離をあけること。大変な孤独です。
逆に、この人には本音が筒抜けなんだよなと思えば、怖ろしくて近寄れないものです。長谷部は余村の能力を知った上で、それでも余村と共にあることを選びました。下巻の最終話、たたみかけるような展開は感動的ですらあります。でもこの決断の真価は今後の二人の関係性がどう描かれるかにかかってくるので、難しい問題はここでは一旦棚上げに。
コミカライズはここまでかと思ったら続きの後半部分もあるんですね。怖々読んでみたいと思います。

すべてはここから始まった

砂原糖子先生原作の同名小説のコミカライズ。原作の挿絵を担当された方がコミカライズ手掛けるのは珍しいかもしれないです。
懐かしくなって手に取りました。原作の小説も、ドラマCDも当時好きだったのに、コミック読んでみたらあんまり覚えていなくて、初読のように夢中で読んでしまいました。
3年前のクリスマスの日、突然人の心の声がきこえるようになってしまった余村。
結婚したいと思っていた彼女や、親友だと思っていた職場の同僚の心の声が、実際に口にする言葉とかけ離れていることに驚き怯え、ありとあらゆる人の心を遮断できず、生活に支障を来すようになっていきます。
家電量販店に勤める今は、ある程度その能力にも慣れてきて、人との距離感を保ったり、自身の売り上げ成績に役立てたり、マイナス方面ばかりでもないのですが、別の売り場で働く長谷部の、自分への好意を知ってしまうことをきっかけに起こるお話です。
まずこの能力。心の声はネガティブなものばかりでもないと思うのですが、お話の中ではマイナス面しか語られておらず、聞きたくない他人の心が垂れ流されるのも相当なストレスだと思います。病んでしまうのも、それまでの人間関係を続けられないと思う気持ちも、分かるような気がします。
ここで問題となるのは、それまで聞こえて来たのは悪意ばかりだったのに、恋愛の意味での好意を感じ取ってしまったことによります。余村本人も言っていますが、その能力がなければ長谷部とは普通に友達として仲良くなっていたのでしょう。なまじ聞こえてしまうから、やはりおかしなことになるし、平静では居られないし、そもそも好意を向けられることが能力を得てから初めてみたいなので、新鮮だし嬉しいというところなのかもです。
長谷部の好意が恋愛感情でなければ良かったのにと思ってしまいます。
自分の気持ちがあるなら別ですが、そうではないのに、知らない振りをすることや、思わせぶりな態度をとってしまうことは、どうかなと思う一方で、相手が悪意をもっていても好意をもっていても、距離を保つしかないならば、余村は一生恋愛も友情も育めず、無味乾燥の中で生きていかないといけなくて、それはあまりに淋しすぎるのではと。彼と同じように無理に気持ちを高めて恋する必要もないけど、このままでよいわけはないので、下巻読みます(笑)

経理マンが公爵家次男に。

試し読みしてみたら読みやすいし絵は美しいしで購入しました。
滝沢晴先生の同名小説が原作の、コミカライズ作品とのことです。
転生もの、ということでよいのでしょうか。元は経理畑のサラリーマンでしたがそのときの記憶を持ったまま、どこかの王国の公爵家、嫌われ者鼻つまみ者の養子ユリウスに転生します。
贅沢三昧の怠け者おまけに癇癪持ちで浅薄だったユリウスが突然人が変わったようにまともになったため、周囲の反応がいちいち驚愕に満ちていて、それを見るだけでも面白いですし、とにかくテンポがよいです。
内容も、ほとんど説明のない中でスタートする割には飲み込まれますし、1巻ということで続きものですが、充分楽しめます。
タイトルからわかるとおりオメガバース設定です。でもそれを忘れるほど、ユリウスの奮闘と兄弟の関係性、獣人の子供ティモの可愛らしさにすっかり夢中になってしまい、第5話で発情期が来て改めて設定を思い出した次第です。
兄がαで弟がΩ、血は繋がっていないとはいっても、ラファエルは以前からユリウスを可愛がっていたようですし、自分の気持ちを自覚しているかはまだ分かりませんが、まあそうだよなあと。致してしまったので二人の今後の関係性がまた変わっていくでしょう。続きがとっても気になります。
それにしても絵が綺麗。少女マンガ風なのが作品に合っていると思いました。
読んでよかったです。原作も読んでみたいです。

人間とカッコウの織りなす世界

人間とカッコウが居る世界。カッコウといっても鳥ではなく、人間そっくりの生命体(ヒトもどき)。
カッコウは雄しか居らず、妊娠初期の女性に欲情し接触して胎児にカッコウの種を植え付ける(托卵)。
主人公の桐矢は高校生で、親代わりの泉水に養われているが、学校の教師から種無しのカッコウであることと、祖体という特殊な種類であることを知らされる、というお話です。
たいへん珍しい世界観でした。馴染む前に上巻が終わってしまいました。
桐矢は孤児で施設で育っていて、教師から知らされるまでは自分の正体を知らなかったとはいえ、あまりにも警戒心がなくて人を信じ過ぎる。反対に泉水は、自分も種無しのカッコウということもありなおかつ桐矢を守らねばという気持ちからか警戒心のかたまりのような人です。
泉水がどうして桐矢を引き取り保護することにしたのか、上巻では詳細はわかりません。
また、祖体はへそから子供を産めるようで、桐矢は上巻で2回もアメーバみたいな子供を産まされています。カッコウが食べると寿命が延びるらしく(赤目)、人間が食べると自身がカッコウになるらしい。
自分は人間ではなく特別な存在なんだと思い込んでいる尚野という殺人鬼が、その子供を食べてカッコウになりました。大変に気持ち悪いですが、こちらのその後も下巻に持ち越しです。
尚野×桐矢 となっていますが、いやいや、いやいやいや、というところです。
下巻でなにか進展があるのかも知れませんが、気持ちの持って行き場がなくて、続きを読むのは難しい。
ところで祖体の産んだ子供を食べたらカッコウになってしまうし、妊娠初期の女性の胎児も托卵でカッコウになってしまうなら(キスだけで種付けできてしまうらしい)、世の中はいつか人間がどんどん少なくなってカッコウだらけになるのでは。

アホウドリ最強

2巻がとても不穏なところで終わってしまったので、その先が気になっていました。
3巻すごく良かったです。「完結」の帯に相応しい終わり方、収束の仕方だったと思います。
思い返せば2巻が発売になったときに、この続きは○日発売の雑誌gateauで!との謳い文句につられてgateauを購入し、3巻収録の11話を読んで、ますます不穏な気持ちになったものでした。(11話を読んで思い出した)
さすがだなあと思ったのは、2巻から続くこのお話の鍵となったのは、特異性αだということでした。1巻もそうでした。そういう意味でも作中の意味でも、特異性αに尽きるというわけです。アホウドリ最強ですね。
龍之介は男前でかっこよくて急に可愛いし、晃太は天然ワンコでアホウドリなのに突然良い男だし、なんだかんだでこの二人にメロメロでした。
ああいい話だったなあと浸りながら巻末描き下ろし、そこからの見開き告知ページに、「んっ?!」となったのは言うまでもありません。あとがきに納得しました。(意識なくプロット作るのがすごすぎますが先生のお身体は大丈夫なのでしょうか) 新章も楽しみにしています。

バーを舞台にしたオムニバス

銀座のゲイバー「銀城」を舞台に展開するオムニバス作品集。
オーナー葛城、占いが得意なバーテン佐竹がメインキャラで、バーのお客(教師、俳優、マンガ家等)それぞれの恋物語。
面白かったです。佳作揃いです。読後感もとてもよい。
私は個人的に小説の連作短編集は好きなのですが、マンガのオムニバスは少し苦手で、(話ごとにメインキャラが変わり新キャラが増えるのは同じなのに、小説は楽しいのに何故かマンガはちょっと苦痛) でもそう思って敬遠していたことを後悔しています。もっと早く読めば良かった。
話ごとにメインは異なりますが、4話は1話の続きだったりして、後日談も楽しめます。
色々なキャラが登場しますが、ニュートラルで案外真面目な佐竹くんが気に入っています。占って欲しい(笑) うぶくて面倒くさそうな武田先生をいなしながら、この先も何やかんや二人は仲良くやっていくのだろうと微笑ましく思いました。人に騙されそうな武田先生がとても心配。
気になるのはキャラクターの名前ですね。既存の有名キャラと同じもしくは類似の名前が続けて出てきて、敢えてなのか偶然なのかどうしてこの名前にしたのだろうと思うなどしました。
鳥人ヒロミ先生の作品は心に残る物が多くて、特に「成層圏の灯」シリーズは気に入っております。発売になるたびにチェックしていたはずなのに、この本と「ジュエリー・スィートホーム」だけ未読でした。2013年刊なので結構前ですね。