しぐれ西瓜さんのマイページ

レビューした作品

エキスパートレビューアー2024

女性しぐれ西瓜さん

レビュー数33

ポイント数257

今年度47位

通算--位

  • 絞り込み
条件

指定なし

  • レビューした作品
  • 神作品
  • 萌×2作品
  • 萌作品
  • 中立作品
  • しゅみじゃない作品
  • 出版社別
  • レーベル別
  • 作品詳細
  • レビューした著者別
  • レビューした作画別
  • レビューしたイラスト別
  • レビューした原作別
  • レビューした声優別
媒体

指定なし

  • 指定なし
  • コミック
  • 小説
  • CD
  • 映像
  • ゲーム
  • 特典
発売年月
月 ~
レビュー月
表示モード

静かに愛を深めるオメガバース

全ての能力がαの2倍優れている特級α(100人のαに1人)の礼。その秀でた能力の為にバース研究所でも、学校でも、どこでも注目の的になっている。そんな彼が唯一自分が特級αという事を忘れさせてくれる場所が、美術室で一人で絵を描いている司と一緒に過ごす時間。
オメガバースだとヒートが来てそのまま運命を感じて、、なんて展開がよくありますが、
こちらの作品はヒートが来てもお互いに迷惑をかけないで過ごしたいという感じで、またヒートで学校を休む司にノート(礼は優秀だからノートは普段取らない)をとってあげていたのが優しいなぁと。なんだかこの2人のは普通にアオハルだなぁとか思いながら読んでいました。静かに過ごす二人の時間が尊い。
しかし、そんな二人は司がレイプ被害に遭いそのまま離れ離れに。
10年後に弁護士と、体外受精で出産代行を希望してるΩとして2人は再会するのです。

普通のオメガバースだと、Ωが不妊に悩むことはあまりないと思います。が、こちらの作品は過去のPTSDの影響か、出産を希望しても正常なヒートが起きなくて悩んでいるのが、なんともリアルなお話に感じ、この辺りの司の気持ちの問題で妊娠が上手くいかない展開は心に刺さりました。
司の過去を知った礼が彼のPTSDをどのように克服しようとしたのかは実際に読んで見て欲しいですが、
オメガバースでありながら礼はとても理性的で、司に寄り添いながら過去の司の恐怖を少しずつ取り除いていったのがとても良かったです。

ラストに司の加害者が司に接近した場面で、二人の過去を知っている妊婦の高橋さんが鉄槌を下した場面は、かっこいい所を全て彼女に持っていかれた感がありましたが、、
このお話全体から、母性とはとても感受性が豊かで、たとえオメガバースでもきちんと心を伴って家族が作られる事を強烈に感じさせてくれます。
ラストに番となった礼と司の静かで穏やかな表情で幸せになりました。

ずっと心に残る名作

上巻で滝が言ってた「一歩進んで二歩下がる」この言葉は滝の心を良く表していると思いました。柴田と自分の心の距離は縮んだのか遠くなったのか?凄く不安だったと思います。まだ何も柴田の事を知らされていない滝。
それは同時に柴田も同じ気持ちだったと思います。だから何度も滝の前から姿を消してしまう事で、柴田の心の中の葛藤が伝わってきました。イキガミの情報をリークして彼らをを苦しめていた政府への復讐をしてもなお消えなかった怒り。何人ものイキガミが春人がイキガミとして死んでしまったのに、まだ生きてる自分への怒り。
そんなに自分を責めなくても良いのに、、既に滝に絆されてるのに、、
と、思っていたら反逆を起こしたイキガミの怒りが柴田に向かって…

事の顛末までは書きませんが、

柴田は鬼道に対しても幼い彼に呪いの言葉をかけたことを後悔していたけど、、柴田が思っている以上に鬼道は強いし、そして強すぎるが故に心の機微が分からないのを上手く吉野がサポートしてあげているのがとても微笑ましかった。
そして、急な迎え火の展開。
春人の登場で慌てる滝、そして嫉妬を顕にする春人。凄い展開でしたがとても幸せな時間を描いてくれて先生ありがとうございます。という気持ちになりました。滝の性格がほんと、ジメジメと考える様な事無さそうだから、そういう部分は安心しました。
前作の鬼道と吉野が好きだったので、柴田の話はどんなだろう?と思っていましたが、もう、この四冊全てを読み終えると、過酷な状況の中でも、大切な人のために生きるイキガミとドナーの尊い生き様を読めて本当に素晴らしい体験が出来たと思います。
大切に読み続けたい作品になりました。

切ない、悲しい、しんどいけど知れて良かった。

既刊イキガミとドナーに出てきた柴田さんのお話。柴田さんの過去という事は、、もう最初から悲しいのは分かっていたのですがそれでも想像以上に悲しい過去でした。

防衛省に入省して将来を約束されていた柴田。しかし急にイキガミのドナーとして選ばれた為に官僚の地位を諦めなければならなくなります。しかしイキガミを最大限有効活用する為のデータを提供するという名目で防衛省に留まる事を許されていたんですね。これが柴田さんを苦しめる原因だったのがほんと悲しい運命を背負ってしまったなぁと。

イキガミの春人が穏やかで優しくて、子犬みたいな可愛さのある少年なのが、柴田をかえって苦しめる事になっていたのがなんとも、、悲劇的なんですよ。春人は柴田を全面的に信頼しているし、だんだんと好意を伝える様な関係になってるのに、柴田はその春人の気持ちを素直に受け入れる事が出来ないんです。それは、彼には防衛省に入った役目があったから。
春人は、メディア露出などは苦手なのを分かっていても、それを上手くとりなして、イキガミのPR活動を積極的にやらせなきゃならなかったり。春人は疲れていても柴田の為ならと頑張って活動しているしで、春人が純粋に柴田の為に頑張っている姿を見ているだけで泣けます。。春人が「柴田さん、柴田さん」って言ってるだけで読んでいて苦しくなりました。春人も柴田には官僚としての役目があって自分と一緒にいてくれているって事も分かっていたのかも知れないけど、それを凌駕する柴田への愛着があったのでしょうね。本当に春人のそういう姿が健気です。

結局、春人は戦闘中に死ぬほど重症を負った訳では無いけど、このまま撤退したら怪我を治す為には柴田の身体を大きく傷つける事を悟って、命と引き換えに任務を最後までやり遂げてしまった、、柴田が自分のせいでと言っていたのはそういう意味だったのかと知るとまた泣いてました。
それにしても、春人が死亡した直後の政治家の反応が胸糞悪かったです。そういう胸糞悪い連中の中でずっと役目に徹してきた柴田は責任感じたし、官僚の立場に憎しみが湧いたのも分かります。
後半は鬼道や滝がいる時間に話が戻っています。
このずっと抱えた柴田の憎しみや後悔をどのように滝くんが消化してくれるのか?どうなのか?疲れた感じの柴田がなんかセクシーでした。
それにしても、イキガミに愛されすぎる柴田さん。春人も滝も不安や孤独の中で、柴田のちょっとした優しさの積み重ねで好きになっていったのが、、イキガミの置かれた立場の困難さや苦しみが分かっているからこそ、二人のイキガミに愛されたんでしょうね。
最初から最後まで幸せな時も、苦しい時も胸がきゅうきゅうと締め付けられましたが、柴田の苦しみを知ることができて良かったです。

凄く良かった!続編ならではのタイトル回収が素敵。

一巻で心配していた事が二巻であれよあれよと、不協和音になって二人はギクシャクしてしまいます。

慧も智秋もちょっとした自分の見栄から仕事が忙し
くなってしまい、二人の時間が少なくなってしまいます。そんなギクシャクしてる二人が相談したのが、光輝なんですよね。そして、直斗も良い働きしてくれています。慧の職場の桜井さんも戸田さんもみんな素敵な人でした。(女性キャラは二人にちょっかい出すんじゃないかとちょっと心配でしたが、ニコさんを始め全員素敵な人でした、、変に疑ってしまい申し訳無かった)

そんな中で狼森が、慧の居ない間に智秋にちょっかい出した為に、慧が怒ってしまいます。智秋くんもやっぱりどこか軽率なんだよね。
でも、怒った慧を見て、そこで智秋が過去のPTSDが出てしまうんです。
母親に捨てられた過去がある智秋は、好きになっただけ別れた時に傷つくって事が心に刷り込まれていたのが不憫でした。

元はと言えば、慧は高校生の時に優しくしてくれた智秋を好きになったのがキッカケだったし、
智秋はAV男優としてのKEIから好きになったっていう。
この二人の好きになったタイミングがお互いの気持ちに自信が持てなかったんですよね。そうだよね、、
ただ、お互いが一番大切なものって、、智秋と慧のAV出演していた事の身バレの危機とか、智秋も慧も職を失うんじゃなんて危機的な事を考えるまでに至ると、何を一番失いたくないか?ってことがハッキリ見えてきて。
この二人の気持ちの確認し合う様子がとても良かった。
1度目は2人とも色々失敗ばかりしていて、でも2度目にはちゃんと成功している。そういう事の積み重ねがちゃんとこの続編にも生きていて、その事実で二人で生きていく自信に繋がっていったのが、タイトルも踏まえてとても良かったです。

慧のモデルの仕事の場面や、狼森に最後ドン!と釘を刺したシーンや、そして二人のエチエチなシーンなど見所が沢山ある大満足な作品でした。やはり上下巻になっていたので慧の魅力も思う存分発揮されていたし、なんと言っても智秋の心がトラウマを乗り越えられた事が嬉しかったです。

ラブラブ生活とお仕事頑張る巻!

AV男優を無事に卒業して、再三の誘いに負けて智秋が慧と同棲生活が始める所からのお話です。
ようやく智秋と両想いになった慧の智秋を大事にしたいって気持ちの入った冒頭のセッ がとても良かったです。一巻では、ビジネスな面も持ち合わせたシーンしか無かったので、これが男優ではない素の気持ちなのかと、、そしてそんな優しかったり、余裕なくてちょっと意地悪だったり激しかったりする慧にトロトロにされる智秋の顔も凄く良かったです。
でも、続編で冒頭幸せいっぱいだと、何故か不安になる今日この頃…

やはり何かしら二人の間に出てきましたねー

まず出てきたのが慧の本業、広告代理店の総務部勤め。総務の仕事にやりがいを持って働いているけど、男優の様なカッコ良さは無い地味な仕事です。そこに、契約モデルのトラブルで急遽慧がメガネの商品モデルに抜擢されるのです。そして、そのカメラマンであるニコに気に入られて更にモデルを頼まれてしまいます。

一方、智秋はアパレル店舗に勤めていました(一巻では情報無かったからそうなんだーって)太い客が付いてくれていて、お店のディスプレイを任されたり、少しずつ重要な仕事をするようになっています。ただ!この狼森という太客が、絶対に智秋を狙っているんですよね、、見た目では慧を超える男性はなかなか居ないと思いますが、、なんかエリート金持ち全面に出してきて、そんな顧客と智秋が懇意にしていると知ったら、慧は面白くないだろうなぁと。
慧と智秋、どちらの仕事関係でも不穏な展開になってきました。
付き合ってて、同棲生活は順調なのに、相手を好き過ぎて、もっと良く思われたい。かっこよくなりたい!って気持ちが慧にも智秋にも出てきてしまうんです。こういう気持ちの面から不穏な誘いが出てきてしまうとつい首突っ込まない方が良い所に二人共が向かってしまっていました。
気持ちの面や、そして仕事にきちんと向き合っている二人の今まで見られて無かった面を見ることができてストーリー展開がとても自然で楽しく読めました。ちゃんと気持ちが分かるんですよね。慧だって最初はAV男優として智秋と再開してそこから好きになって貰えたけと、男優辞めたらただの人っていう不安とか。そして、智秋も適当にしか生きて来なかったという自覚があるのに、そんな智秋をかっこいい!とべた褒めしてくれる慧の為に、もっとちゃんと頑張って生きなきゃ、そのうち愛想尽かされるかもって言う不安とか。そんな事ないのに、って思うけど、とても分かりみが深かったです。
お互いの為に背伸びしたくなってる二人。なんだか出てくる人皆が今後トラブルになりそうで読んでいてハラハラしました。
続きが楽しみです。

攻めと受けの愛の重さが違い過ぎる所からのー

こちらの作品、続編が出たので久しぶりの再読になります。
受けは、男同士は経験がないまま28歳の智秋。脱処女体験でマグロ呼ばわりされた事を克服しようと、、軽いノリでAV会社に行くのです。そこで教育係として担当になったのはクールな見た目に極上の筋肉美も持ち合わせた事務所の俳優KEI。
KEIは体のあちこちにピアスが空いてるけど、話す言葉は常に丁寧で紳士的なんです。一方智秋は考え方も浅く、思いつきで流されて広く浅い人間関係で生きてるような人なんです。早い段階でストーリーのあちこちに智秋とKEIこと慧は知り合いだったんじゃないか?って表現が散りばめられているのに、智秋の鈍いのにはヤキモキさせられました。知り合いだったことを思い出さないだけじゃなく、慧から向けられるかなり重めの執着愛にも気づかないのがほんとにも〜って思いながら読んでいました。
まあ、二人の関係がお友達ではなく仕事としての先生と生徒の立場だったから智秋が色々体験しても仕事だよね!って思考に帰結してしまうのも仕方ないのですが。
ちなみに、一巻では智秋が浅い人間関係しかできなくなった理由は軽く匂わせてるのですが、続編まで読むとこの辺りの智秋の事情も分かってきますよ。

それでも何度も慧のレッスンを受けるうちに、そんな浅い人間関係しか持てない智秋も、だんだんと慧に対して1度で良いから、抱いて欲しいって思うようになるのです。体だけでなく心もどっぷりハマっていくんですよ。慧は仕事に徹していたので、あまり馴れ馴れしい関係にはならないのですが、たまに智秋が懐いてくると本音の顔をするのがとてもドキッとするんです。慧の無感情な顔からのちょっと嬉しそうな顔がとても良いです。
最終的には智秋が慧の事を思い出して、、自分にとっても男に目覚めるキッカケの相手だった事が分かるんです。ラストは成行きでやっていたAVの研修が、二人で本番撮影で出演する…という流れに。
慧は智秋の人生を狂わせたくないからって自分からは正体を明かさないのですが、慧の正体を知った智秋が、慧から告白された過去とは逆に自分から慧に告白する場面は、、智秋の気持ちも、何年もわすれられなかった慧の気持ちもお互いの気持ちが好きで溢れていたのがとても良かったです。
最初から読み直すと、最初から慧の気持ちは重たいのに、それに気付かずにいた智秋の軽さが目につきましたが、AVレッスンのはずなのに、本当に人を好きになるってどんな気持ちなのか?って事を慧と触れ合う事で知ってしまう智秋の変化していく様子が可愛かったです。

スポーツの先輩後輩なのが良い

こちらの作品は陸上やってる二人の物語なんですが、攻めの漣太郎との出会いは彼が中学生の時。可愛らしいサッカー少年だったけど、サッカーは伸び悩んでいた所を、受けになる新が陸上にスカウトする所から出会いが始まりました。出会った時の新は高校生でした。
その後新は一旦陸上を辞めてしまい、大学生となった漣太郎が新と再会するストーリーです。
漣太郎が小さ頃は可愛いのに、大丈夫になるとちょっとクールな感じの塩顔イケメンになってて、そういうギャップが萌なのです。しかし、過去を振り返りながら二人がお互いを恋愛対象として意識し始めると、漣太郎が本当にウブな様子で、顔は大人になったのに、恋愛の事とか性的なことは全く無知な感じで、分かりやすく不機嫌になったりら喜んだりしながら新にくっついているのが可愛かった。
一方新は高校生の時は黒縁メガネで野暮った感じでいたのが、就職しビューティアドバイザーとなって、仕事ではギャルっぽく振る舞いながら上手く女性が多い職場を立ち回っていました。でも、なんだか仕事では無理してるな、、って感じで私は見ていたのです。
新の前に漣太郎が現れて、そういうギャルな感じの新ではなく、やっぱり体動かしたり、陸上への興味もずっと持っていたというのが心が熱くなりました。故障して治りかけの漣太郎の体をとにかく気遣うのですよ。
自分は諦めた陸上でも、自分が才能を感じてスカウトした漣太郎はとても大切なんだというのが伝わってくるのです。
最後まで読むと、新が陸上で不調になった理由も、漣太郎が陸上で伸び悩んでしまったのも、お互いに恋心を自覚した時だった事が分かるのです。恋心を自覚するタイミングには時間差があったけど、会わなかった時間があったことで、恋心は結ばれるという、とても綺麗なストーリーでした。
性的な事は色々経験ある新と、全く無知な漣太郎が性的な事を知った後が、、ラストに描かれていたのでそのあたりは楽しみに読んで見て欲しいです。

イビツ、、お前の好奇心ってどこに向かってるの?

二巻の終わりで、え?
って終わり方でしたが、あまり心配はしていませんでした。椿くんは怪我しても、もはや人の能力以上の回復力があるのでそういう面では心配はしないで読んでいます、、ちょっと感覚がバグっています。そして今回も喧嘩や暴力で椿くんが怪我をするシーンが多いですが、それも椿くんの自己表現の1つだと、そんな風に捉えています。
ただ、言葉の暴力はしんどいですね。椿くんの父親からの人格を否定する言葉の数々が本当に酷い。兜くんじゃなくても、何とかして殴ってやりたくなる様な糞親父でした。
椿くんの怒りや、押し殺している感情を兜くんが素直な気持ちで表現してあげる事で、徐々に椿くんが微笑む場面が出てきて、人間らしい感情を取り戻せていたのがほっこりしました。感情を共有出来る人の存在の大切さが椿くんが理解出来て本当に良かったです。
二巻から引き続き、モブの女子や、彩くん、イビツの役割は変わらなかったのですが、、ちょっとイビツが何を考えてるか(企んでいるのか)想像の先を行ってて怖かったです。顔も良いし、パルクールもカッコイイし、物凄くタイプですが、もはや影の支配者的な影響力があってコワ…ってなりました。
今回のラストも衝撃的な感じでしたが、、これも彼のシナリオなのか?とか。そういう事まで心配になりました。
あと、ずっと椿を目の敵にしている先生。あの人も何かスカッとする様な制裁が欲しい所ですね。既に何かイビツにされてそうですが、、
兜くんの運命を見守りたいです。

キャラクターの繊細な心が美しい絵で描かれています。

表紙絵が美しかったので、手にとりました。読むと作画も表紙と変わらない繊細な美しさで描かれています。そして、髪の毛の間から見える目の表情はとても表現力がある作家さんだと思いました。
ある時期の記憶が無くなっている牧緒と、最初の失恋から人を好きになれなくなったサラリーマンの侑のお話です。
牧緒くんが記憶喪失だし、なんだか不思議ちゃんというキャラクターだったので、理解するのが難しいと思っていましたが、読んでいくと記憶喪失の理由や、記憶が戻る前と後で牧緒くんが取った行動はとても理解出来たので、すんなり受け入れられました。
一方、侑くんは思った以上に理解するのが難しかったです。恋愛にトラウマがあって、本来ならば人懐っこい性格なのに、恋愛に対しては自分の恋愛感情は人とは違うと感じていて、恋愛出来ない人なんです。
二人の過去を振り返りつつ、二人の交流が深くなっていくと、この感情は友情なのか?愛なのか。そしてこの先、性的な事は二人の間でどうなっていくのか?牧緒くんの記憶喪失の理由が分からないまま、どんどん牧緒くんと近づきたくなる侑。牧緒くんと一緒にただ添い寝するだけで満足している気持ち。しかし、自分が恋愛的な感情を抱くとその人を傷つけると思っているので好きな気持ちに自信が持てない侑。このなんとも表現出来ない人に対する好意がタイトルの「不可視の愛」なのかな?と思いながら読みました。
一方牧緒は記憶喪失の時は素直に自分の気持ちを表現して侑に対しても恋愛感情を隠さなかったのですが、いざ侑と触れ合うと過去の記憶が蘇り、触られる事に恐怖を感じるように…

二人の前に侑の元カノが出てくるのですが、侑は彼女に感じていたのは恋愛感情ではなく家族的な友愛だったのでは?と思いながら読みました。でも彼女は恋愛したかったという未練がましい気持ちが侑を傷つけていったんだろうなと。まあ、侑も恋人同士にならなきゃ良かったのでは?とは思いましたが。ただ、化粧もしてない普段着姿で牧緒くんの侑に対する素直な気持ちを聞いて「ありがとう」といった彼女の言葉はようやく侑の幸せを受け入れられたのかなぁと。この場面は少しほっとしました。この場面で化粧をしていない事に意味があったのかは分かりませんが、何となく侑の前では素顔を出せないようなそんな不器用な女性だったのではないかと、思ってしまいました。
侑の気持ちとこの元カノの気持ちというのがなかなか複雑でそこにトラウマを抱えた牧緒が居て。全体的に暗い感じのストーリー展開の中、ゆっくりと心を救済していくストーリーでした。
二人がラストで結ばれるというカタルシスよりも、途中途中でふと見せる優しい笑顔とか、気持ちが解れて行く顔の表情などにとてもキラキラしたものを感じる作品でした。

センチネルバース、初読みです。

センチネルバースの作品を初めて読みました。
五感の一部又は全てが異常に発達した能力者を「センチネル」という事を知りました。読み始めると犯罪捜査の特務機関に所属しているセンチネルの天川と、酷使される五感能力のダメージを癒す役割のガイドの黒井。この2人のバディ捜査もののお話でした。設定の時点でとても面白い!と思いましたが、その他にも、スピリットアニマル(能力者の精神を具現化したもの)が出てくるのも面白かった。天川は鷹で黒井はヘビだったのが、キャラクターのイメージと重なる部分があります。
天川と黒井は魂の融合率は99%と、とても高いのに、性格的な相性は最悪だと言ってるんです。読んでいる時にもその辺の相性が悪いという事に違和感を感じながら読んでいました。
二人の過去の話が出てくるとなかなか拗れた関係だったみたいです。
ストーリーとしては、政府の特務機関として犯罪捜査で二人が活躍する場面の作画がかっこよくて、ドキドキしながら読みました。センチネルバースはこういう刑事ものなどと相性が良いんじゃないかな?と思いました。他のセンチネルバース作品はどんなものか興味が湧きました。

黒井は天川との能力差を感じていながらも、それでも天川を守りたいという気持ちが溢れているのが、良かった。ヘビの様な粘着質な感じの攻めなのです。プライドが高い天川に徐々に恋愛的な意味でも好きだと迫って行くので、天川の困った顔が見ていて可愛かったです。それと、天川の泣き顔が何度か出てくるのですが、この天川の顔も良かったです。

相性が悪いって話はラストまで読むと、そういう事だったのかー、と納得でした。お互いを守りたい気持ち、大切にしたい気持ちがひしひしと伝わってきて、困難を乗り越える二人から目が離せませんでした。バース設定とストーリーの相性がとても上手く機能している作品だと思いました。